【挫折とは】意味
挫折とは、できればあまり経験したくないものです。それでも私たち人間は、人と関わらないでは生活できませんし、母親のお腹から「おんぎゃー」と産声をあげた瞬間から、人間社会と関わることを余儀なくされるわけですから、挫折を避けるのはなかなか難しいことでしょう。
①目的をもって続けてきたことがダメになる
挫折とは「目的を持って企画や計画を立て、成し遂げようとしたことが途中で駄目になること」ある事典では「苦悩・闘争および責任などに直面するときに出現する宿命的な経験のこと」と表現されています。
また「意気込んで行ってきた仕事や計画などが、中途で失敗し駄目になること。それによって意欲や気力を無くすこと」とも記されています。
⓶くじけ折れること
挫折とは、「挫」のくじけるといった意味と「折」が折れるという意味ですから、合わせると「くじけ折れる」という意味になります。
くじけ折れるから連想される言葉を調べてみると「傷だらけ、しゅんとなる、テンションが上がらない、がっかり、失望する、くじける、やる気が出ない、自己嫌悪感、自信を失う、心が折れる、転落、押しつぶされる、心のしこり」など、250以上もの言葉があります。
読み方は「ざせつ」
まずは「挫折」を分けて考えてみましょう。挫折の「挫(ざ)」は、くじき・くじく・くじける、折ったり曲げたりしてきずがつくという意味があります。ケガをしたり、関節を傷めたときに挫傷(ざしょう)や捻挫(ねんざ)で使われます。
挫折の「折(せつ)」は文字通り、おる・おれる・棒状や板状のまっすぐなものを鋭角に折って曲げる、または、切り離すという意味があります。このように「挫折」とは、同じような意味の漢字2文字からできています。
【挫折とは】失敗との違い
挫折の意味や、挫折についてを検索して調べようとすると、「失敗」というワードがほとんど一緒に出てきます。挫折の類義語として「失敗」があげられているくらいなので当たり前なんですが「じゃあ、挫折と失敗の意味の違いを言ってみて。」と問われて、明確に意味の違いを回答できるかどうか自信ない人もいるでしょう。
⓵失敗は確定した事実
では、「失敗」の意味を考えてみましょう。失敗の「失」も文字通り、なくす・うしなう・うせる・わすれる・おちど・あやまる・あやまち・しくじるの意味があります。失敗以外にも「失」は、失念・失態・過失など多くの熟語に使われています。
失敗の「敗」も文字通り、やぶれる・まける・しくじる・だめになる・くさるの意味があります。失敗の「敗」も、完敗・敗北・勝敗・腐敗など多くの熟語があります。
失敗とは、目標を達成しようと試みたが、達成または、成功できなかったことを意味します。別の言い方に置き換えると、ミス、不成功、仕損じ、間違い、過ちなどの言葉で表すことができます。失敗とは「目標を達成できなかった出来事、結果、事実」を意味します。
⓶挫折は未来への糧にできる経験
挫折とは、目標を達成する時に、何らかの障害で期待通りの結果が得られなかった経験をした際の気持ちを表した言葉です。仕事に失敗したり、恋愛に失敗したり、スポーツの大会で敗北をした際に味わう、落胆や無力感、失望感や絶望感など、これが「挫折した感情」いわゆる挫折感です。
挫折とは、失敗との大きく違うところは、何らかのことに挑戦し、目標に向かって自分なりにアクションを起こします。そのアクションや行動が学び、経験となるわけです。
「失敗は成功の基」という諺があるように、失敗して学んだ経験を、次に失敗しないためにはどうするか考えるための材料となります。失敗という事実(過去)から成長するための途中経過が挫折です。
【挫折とは】類語
挫折の類語として、邪魔をする、あるいは妨げる不運な出来事という意味で「頓挫」「蹉跌」があげられています。挫折感での類語では、「自信喪失」「無力感」「絶望感」「失意」などがあります。
物事がそれ以上進まなくなってしまっている状態の意味では、「行き詰まる」「つまずく」「深刻な事態」などがあります。ここでは、「破れる」と「破綻」の二つの類語について考えていきます。
⓵破れる
「やぶれる」には、「破れる」と「敗れる」の二つの表記があります。まず「破れる」は物理的に物が破けたり、裂けたり、砕けることを意味します。心理的に「破れる」は、夢が破れる、均衡が破れる、恋に破れるなどの文例は、日常会話の中でもよく使う表現です。「敗れる」は、負ける、敗北するなど勝負ごとに敗れることを意味します。
⓶破綻
「破綻」とは、破れほころびるという意味です。また、物事が修復しようがなくなるほど上手くいかなくなってしまうこと、行き詰ることを意味しています。また、まとまっている状態が維持できなくなること、成り立たなくなることとも記されています。例文では、経営が破綻する、生活が破綻するなどがよく使われます。
【挫折とは】失敗との関連性
挫折と失敗の言葉の意味についてを話してきましたが、ここからは、私たち人間にとって挫折と失敗はどのように関わってくるのかを考えていきます。
私たち人間にとって、挫折と失敗は人生経験の中で、切っても切れない関連性を持っています。人間社会において、人は一生、失敗をして挫折をしてを繰り返して生きていきます。挫折とは、何によって起こるかというと失敗を経験したことによって、挫折をしたり、挫折感を味わうわけですから、失敗なくして挫折はないわけです。
挫折とは幼いころから経験している
私たちは人として生まれてきて、まず幼児期は、家族という暖かい社会の中で、比較的守られた環境で成長します。それでも、兄弟や姉妹がいる場合は、幼児期から家族という社会の中でも、妨害される要素が多くあるため挫折をしている子もいるでしょう。
一人っ子の場合は、両親や祖母・祖父など大人との接する時間が多いので、割と自分の思いが通るため兄弟や姉妹がいる子と比較すると個人差はありますが、挫折は少ないかもしれません。でも挫折が少ないのもほんの一時的なことです。
母親と公園デビューしたり、保育園や幼稚園に通うようになれば、同年代の子たちと接するようになるので、一人っ子でも挫折は間違いなくやってくるでしょう。意外と一人っ子で育った子のほうが、それまで挫折を味わっていない分、挫折を感じやすいかもしれません。
挫折とは人によって違う
挫折とは、人によって特に個人の性格によって感じやすさに違いがあります。失敗については、人に対して比較的平等に起こってくることです。現代の日本の生活水準が整ってきているので、ほぼ保育園や幼稚園に通い、小学校、中学校、高校と段階を踏んで社会の中で成長していく過程に、あまり大きな違いはないでしょう。
挫折は、失敗を経験した時に個人がどのように失敗を受け止めるかによって、挫折の大きさが変わってきます。部活やスポーツチーム、会社の仲間も自分と同じように失敗はします。
特に部活やスポーツチームであれば、共に練習をして、共に戦って、勝つのも負けるのも一緒です。皆も同じく敗北をしているわけです。
しかし、試合に負けたときの悔しさを表現するときに、個人によってそれぞれ違います。ある人は大きな声を出して悔しがったり、大泣きして悔しがったり、静かに悔しさをかみしめている人もいます。試合に負けたときの悔しさの表現の違いと同様で、挫折感は人それぞれ違います。
【挫折とは】経験しやすい人の特徴
人が失敗をしたり、負けた場面などを客観的に見ていると、とても落ち込んでいて力を落としている人、あまり落ち込まないであっけらかんとしている人とがいます。
落ち込んでいてため息をついたりしている人を見ると、つい「どうしたの、大丈夫?」と声をかけてしまう人もいるのではないでしょうか。逆にあまりあっけらかんとしていると「なんだよこいつ、ほんとに反省してんのか!」と、イラついたりした経験をお持ちの方もいるでしょう。
それでは、その落ち込み方の違いは、個人によってどのように違いがあるのでしょうか。どんな性格の人が挫折を感じやすいのかを見ていきます。
⓵プライドが高い
完璧主義な性格、プライドが高い人は挫折しやすい傾向にあります。何か目標を達成しようとするとき、新しいことに挑戦しようとするとき、障害や壁、いわゆる今まで経験したことのないことや、知らない知識、できないこと、わからないことがあるのは当たり前のことです。しかしプライドが高い人は、できない自分を受け入れることがでません。
心理学的にも、完璧主義の性格の人は、自分の目標レベルを高く設定してしまうことが多く、目標を達成する途中で障害に直面してしまうと、「自分はだめだ、無理だ。」と挫折して諦めてしまい、障害を乗り越えずらい性質を持っていることがわかっています。
⓶何でも手をだしたがる
何でも手を出したがる人は、基本的に支配欲の強いタイプが多いです。自分の思い通りにことが進まないと気が済まない性格で、しかも感情的な面もあります。周囲の人からみると少し厄介な感じかもしれません。
しかし、支配欲が強い人は、自分に自信がなく、周りの人が自分から離れていってしまうのではないかという不安感も強く持っています。また、思い込みも激しいため、周りが自分の悪口を言っているのではと思ってしまい、人に頼ることもできないため、挫折に陥ってしまう傾向があります。
③一つのことに集中できない
いわゆる優柔不断な性格のタイプの人で、一つのことに集中できずいろんなことに手を出してしまい、結局は目標を達成できない人のことです。優柔不断な性格の人の根本には、不安感が強い場合が多く、その不安から逃げ出すために、少しでも興味があると誘惑に負けてあっちもこっちもと気持ちが揺らいでしまい、乗り越えられずに挫折してしまいます。
失敗したことが頭から離れないと、一度失敗を経験したことで、また失敗するんじゃないかと不安な気持ちが強く起こり、それが障害となって、困難が立ちふさがると逃げ出してしまい、困難を乗り越えることができなくなってしまう傾向にあります。
④諦めが早い
諦めが早い人は、基本自己肯定感が低い人が多いです。自分に自信がない性格が特徴です。自分自身の価値評価が低いので、途中で何かに阻まれると「私はだめだ、私にはできるわけない、私には無理だ。」とはなから自分のどこかで諦めてしまっているので、目標達成までに至らず挫折してしまうことが多いようです。
⑤精神的にタフ
精神的にタフな人とは、一見挫折に強いのではないかと思われがちですが、本当に精神的に強い人であれば問題はないのですが、ただ見かけだけ強がっている場合は、自己不信だったり、他人の目を気にするため人の意見に流されやすいのが特徴です。また、自分の弱みを見せたくないため、感情を隠そうとしてしまいます。
本当に精神的にタフな人とは、苦しい時はその感情を表に出せます。人の意見に振り回されることなく、他人の目を気にすることなく行動ができる人です。
自分の感情を表現することができ、自分の失敗や過ちから学ぼうとする準備ができている人が、本当に精神的にタフな人と言えます。
⑥こだわりが強すぎる
こだわりが強いタイプの人は心理的に、物事に対して不安が強い性格の人が多いです。不安を感じやすい性格の人は心配性で自分に自信がないことが多く、物事を難しく考えがちで失敗したことがなかなか頭から離れない特徴があります。また、準備を万全にしていないと不安なため、計画をしっかり立てるのも特徴の一つです。
また、自分の計画通りに物事が進まなくなると、不安感と心配な気持ちが強くなると同時に、戸惑いも強くなり前へ進めなくなってしまいます。
⑦不安が強い
不安とは、人にとってなくてはならない感情です。危険を感じたときに、自分の身を守るための大事な生理的反応です。これがなくなれば、危機回避ができなくなりますから、それこそ危険なことです。
不安感も人によって違います。人が新しいことに挑戦しようとするとき、挑戦することに対しての興味や好奇心よりも不安感や恐怖心が勝ってしまうと、失敗を恐れる気持ちが先行して、そこで立ち止まってしまいます。人生経験の中で、不安を全くなくすことは不可能なことです。不安を自分でどう解釈し、どう受け止めていくかが大切です。
【挫折とは】乗り越え方
実際にテーマパークなどにある迷路で、何度も同じところで迷って迷路の壁に阻まれ、先に進めずリタイア扉から断念した経験をしたことがあるでしょうか。迷路と同じように、人生にも本当に先が見えない大きな壁があって、どっちに進むのが正解なのか、とりあえずやってみないと次へ行けるのか、全く予想がつかないことが多くあります。
挫折とは、迷路で例えると、目の前にある壁であり、心理的には「不安」「先が見えない恐怖」です。挫折を経験しやすい人は不安感が強い性格の人、心配性の人です。元々不安の強い人や心配性の人が、不安や恐怖を乗り越えるのは、そう簡単なことではありません。
しかし、先に進むためには挫折を経験し、その挫折を乗り越えなければなりません。どうしたら、挫折を乗り越えられるのか考えていきましょう。
⓵理由を分析する
理由を分析するとは、失敗した原因を追及することです。反省することと似ていますが、反省はやり方によって、意味がある反省と無意味な反省があります。
無意味な反省とは、ただ失敗を悔いるだけの反省です。「自分は何もできなかった、自分は無力だ。」と自分の力不足だったことだけを、振り返る反省です。
意味のある反省は、「今回の目標を達成できなかった理由は何だろう、何が原因で失敗したんだろう。」と失敗したことの理由を振り返ることです。
失敗の理由が、自分の知識不足なのか、スキル不足なのか、それとも気付かなかったのか。また、複数で行っているプロジェクトの場合は、チームの中での問題は何だったのか、しっかり連携が図れていたのかなど、失敗の理由を具体的に出した方が分析しやすいでしょう。
⓶信頼できる人に相談する
特に仕事で悩んだり、失敗したりした場合、職場に頼れる先輩や上司がいると、とても心強いものです。頼れる存在がいることで、精神的にも余裕ができるでしょう。
信頼できる人を探すためには、それなりに人を観察することが必要となります。相談する人を間違えると余計に自分が傷ついてしまいますし、挫折も大きくなってしまいます。
そうならないように、常日頃から先輩や上司の観察をして、頼れる相談相手を見つけておきましょう。いくら優しくて良い先輩でも、おしゃべりな先輩や、すぐに感情的になる先輩は、避けることをお勧めします。
③新しい目標を見つける
人が新しいことに挑戦しようとするとき、挑戦しようとしていることに対して、興味や好奇心、わくわく感が、不安感や恐怖心よりも上回っていれば、楽しんで新しいことに挑戦することができます。
挫折を経験しやすい人は、不安感や恐怖心が強く心配性の人です。そういう性格の人が、不安よりもわくわく感が勝るためには、目標を見つけて不安感をコントロールしていくことが必要です。
小さな計画を立ててみる
不安が大きくならないために、不安になっている理由を探してあげることです。例えば、ダイエットを始めたときに「食べ物の誘惑に負けたらどうしよう、続けられなかったらどうしよう、逆に体重が増えちゃったらどうしよう。」などいくつか不安要素があります。
その不安と向き合うには、一つの要素に対してどうしたら、自分が不安に感じているような結果にならないかを考えます。「食べ物の誘惑に負けないためにはどうするか→週に1日だけ自分の好きなものを食べていい日を作る」「続けられなかったらどうしよう→とりあえず1週間続けてみよう」など、小さな目標を立てて少しずつ乗り越えることです。
④自分を客観的に見る
自分を客観的に見るということは、主観的に見るのとは違い、第3者的な目で自分を見るということです。自分のこととなると、大抵は感情的になったり、パニックになったりしてどうしていいかわからなくなることがあります。
自分が当事者ではなく、傍観者だった場合「あー、またあの人怒ってるよ。」「あんなに慌ててるけど大丈夫かな。」と冷静に物事を見ている自分がいることにお気付きでしょうか。
自分を客観視することで、主観的視点では冷静に判断できなかったことが、冷静に判断することができるようになります。これが自分を客観的にみる最大のメリットです。客観視できるようになると、失敗の分析をする際に大いに役立ちます。普段から自分を客観的に見る練習をしてみましょう。
⑤再挑戦する
再挑戦とは、もちろん、もう一度やり直してみるということです。初挑戦とは違い一度経験をしているわけですから、前回失敗してしまったことを、今度は失敗しないように、また違う方法でチャレンジすることができます。
自転車に乗れるようになるためにも、何度も何度も練習して乗れるようになるわけですから、失敗や挫折をある程度は繰り返さないと、できるようにはならない、目標は達成できないということです。
乗り越えている自分をイメージしてみる
自分の失敗の理由は何かを探して、分析して新たな目標を立てました。その後更に、自分が挑戦していることが成功している場面、目標を達成し成功している場面を想像・イメージしてみましょう。
この成功をイメージする方法は、実際に心理学的にも行われている認知行動療法です。スポーツ選手も自分が勝利している場面をイメージをすることで、モチベーションが上がり勝利する確率がアップすることも証明されています。
モチベーションは無理に上げようとしない
不安感が強い性格の人は、自分の失敗している場面をイメージしてしまう傾向にあり、実際に挫折すると、ますますモチベーションが下がり、挫折を乗り越えるためのモチベーションを保つことができません。
モチベーションは上げようと思っても、なかなか上がってくるものではありません。それよりも、自分が成功している場面をイメージする方が簡単にできます。不安が強い性格の人が、自分の良い状態をイメージをすることは、始めはなかなか難しいでしょう。しかし、練習すれば必ずできるようになります。
挫折とは人生の一つの経験!次につなげよう
挫折とは、人生の一つの経験です。挫折を乗り越えるためには、失敗することを恐れてはいけないとよく言いますが、失敗を避けることを考えるより、まずは自分の成功している場面をイメージするトレーニングをすることから始めてみましょう。
するとおのずから、モチベーションが上がってくるはずです。無理にモチベーションを上げようとすると結構疲れます。かえってストレスにもなりますので、無理せずにモチベーションを上げていきましょう。誰でも挫折は乗り越えられるようになります。あなたのペースで挫折という経験を乗り越えていきましょう。