エコーチェンバー現象の意味
現代の社会では、実に多くの情報が出回っています。情報社会では、1人1人欲しい情報だけを受信することができます。それゆえ偏りが生じたりするのです。
SNSで見られる現象なのですが、心理用語でエコーチェンバー現象というものがあります。エコーチェンバー現象が続いてしまうと思考が偏った状態で凝り固まってしまうので注意が必要です。今回は、エコーチェンバー現象の意味や危険性から対処法まで詳しく解説していきましょう。
閉じられた空間で共鳴する
エコーチェンバーの言葉の意味は、共鳴室を指しており、閉じ込められた空間で音が響く部屋を表しています。イメージとしては、音が共鳴するような狭い空間で収まってしまっているということです。
音が閉じ込められた空間で響き渡るということは、外部の音をシャットアウトしていることになるのです。共鳴室に入れば、音は確認できますが、その空間の音しか確認することができません。SNSにおいてエコーチェンバー現象は、どういう意味を表しているのでしょうか。
SNSでのエコーチェンバーの意味
SNSでの意味は、情報・意見が偏り凝り固まってしまうことを表しています。人それぞれ情報の受け取り方や解釈は異なります。そしてSNSは、大抵意見が似ている同士をフォローし合います。すると、ある物事に対し賛成派であれば賛成の意見ばかり集まってしまいます。
エコーチェンバー現象から抜け出せなくなると、情報がもたらす効果も先入観や偏見というフィルターがかかり効果が薄れてしまいます。
危険が潜んでいるのは、似た意見の同士が集まるSNSだけではありません。ネットで検索時にもエコーチェンバー現象が起きているのです。知りたい情報の記事を調べた時に見かける広告は、その人の過去の検索履歴をもとに最適な広告が表示されます。つまり、ネットの情報も外部の情報ではなく求めている情報が集まりやすい仕組みになっているのです。
エコーチェンバー現象は周囲にも悪影響
エコチェンバー現象は、受け取った情報が正しいと認識するだけではありません。SNSが普及している現代では、若者も含め誰でも情報を共有することができます。価値観のズレや何の根拠もない意見を周りに共有し共感を得ることは、無意識であっても気づかぬうちに周囲に悪影響を与えてしまうこともあります。
Googleパーソナライズド検索機能が及ぼす効果
ネットの普及により、ビジネスの幅が広がり物販業界での競合性も激しくなりました。ネット通販の利用者も年々増え続けており、どうしたら商品が売れるか試行錯誤されてきました。価格や品質も大切なのですが、それだけでは多くの方の目に触れることはありません。
Googleパーソナライズド検索機能は、ユーザーの住所や過去の検索履歴をもとに最適な広告を表示させる機能です。例えば、英語を学びたい場合に効率の良い勉強法を調べたら、検索結果からおすすめの英語教材や英会話教室の情報が表示されるようになっているのです。
ある分野に興味を持ったユーザーに興味のある情報を流すことで売り上げにつながりやすいということです。ユーザーのニーズに合わせることによる効果は、とても大きいのです。
過去の閲覧に左右されない方法
Googleの機能が便利とはいえ、同じような情報ばかり見ても知識は溜まりません。もし幅広く情報を得たい場合は、Googleによる機能は妨げになってしまいます。
対策方法としてWebブラウザの中には、過去の閲覧記録や検索ワードを反映しないシークレットブラウジングモードというものがあります。受け取る情報の偏りを解消することで、幅広く情報を得ることができるのです。
エコーチェンバー現象は危険?
世の中には多くの情報が存在します。ですが、エコーチェンバー現象になるとSNSやネットから入る情報は凝り固まってしまいます。
エコーチェンバー現象が持続してしまうと自分を中心とし集まった情報が正しいと判断してしまう危険性があるのです。よくSNSの良さとして承認欲求を満たす効果があると言われています。その効果は、フォローの数やいいねの数が多ければ多いほど大きいです。
閉じ込められた情報・関係性の中で過ごすことにどのような危険性が潜んでいるのでしょうか。エコーチェンバー現象の危険性について考察していきましょう。
コミュニケーションの幅が狭くなる恐れがある
エコーチェンバー現象が深刻化してしまうと自分の信じた情報のみに限定されてしまうので、多くの情報に触れることができてしまうのに情報に蓋をすることになります。情報の大きな偏りは、ごく一部の人とでしかコミュニケーションを取れなくなってしまいます。凝り固まった価値観の理解者も極端に減る危険性があるので注意しましょう。
間違った情報が拡散する原因
まず、理解して頂きたいのが社会に出回っている情報が必ずしも正しいとは限らないということです。そして、エコーチェンバー現象は閉じ込められた情報の事を指しています。
つまり、閉じ込められた情報が間違った情報であった場合、真実と勘違いしたまま拡散してしまう危険性があるのです。
たとえ情報が間違っていたとしても自分が正しいと勘違いしているので、間違いを自覚して修正するのは極めて難しいです。ですが、修正しなければ情報の拡散は、周りの人にも悪い方向に効果が作用してしまいます。まずは、情報に対し自分の意見・先入観を押し付けるのではなく柔軟な考えで受け止めるように心がけてみましょう。
ネット社会によるデメリット
現代では、ネット社会が進歩し若者から高齢者まで多くの方がスマホやパソコンを持つようになりました。機能性も高くなり、従来に比べて格段に便利な社会になりました。
ネット社会はによる効果が持つデメリットは、情報提供する際のラインが低くなったということです。ネットが普及する前は、特定の分野に詳しいプロになりメディアに出演することで情報を共有することができていました。
しかし、SNSの普及により素人でも情報を簡単に共有することができるようになったのです。便利すぎる故、間違った情報も出回るようになったのがネット社会のデメリットでもあります。
エコーチェンバー効果はなぜ起こる?
エコーチェンバー効果には、危険性があると分かっているにも関わらず、なぜエコーチェンバー現象が起こるのでしょうか?
理由はシンプルで個人それぞれに選択する自由があるからです。情報で溢れているとはいえ、人は自分にとって好きな情報や都合の良い情報を選ぶことができます。逆に自分にとってあまり気持ちの良くない情報を拒むことさえできるのです。
ベストは、凝り固まった偏見や先入観は捨てて柔軟な考えでさまざまな情報に触れ適応することです。ですが、人は心地の良い場所や自分を認めてくれる環境が大好きなのです。そしてエコーチェンバー現象が起きている場所は、似た考えの同士が集まるので居心地が良く抜け出せなくなってしまうのです。
選択的接触によって個人の意見が過激化する
個人の意見が過激化する原因は、若者と高齢者で考えのずれが生じているからです。若者は、全体的な経験値も浅いので、どの情報が正しいのかなんて判断できません。一方で、高齢者の方は数多くの経験や他者の意見も多く吸収しています。
高齢者は、芯のある意見を持っている方が多いのですが、若者よりも考えがはっきりしているため上から意見をぶつけたりと強気で過激な意見になる時もあります。
個人の意見が過激化する場面の代表的な例が1つの情報に対し、1つのサイトだけで完結してしまうことです。サイトやブログは、書いている人の主観も少し入ってしまうので本当に正しい意見とは限りません。それに対し考えをぶつけていては考えはまとまりません。選択を限定しすぎるのではなく、柔軟な考えで情報と向き合うことが必要なのです。
若者と高齢者の抱える意見の明確な差とは
若者と高齢者の意見の差について考察していきましょう。若者の方は、経験値が少ないのが弱点だが学びの姿勢から柔軟な考えを持っています。高齢者は逆で、経験値が豊富だが意見も固まりつつあるので、よほどの事が無い限り自分の意見は曲げません。
若者と高齢者の意見の違いは、経験値による説得力の差だけではありません。近年の実力主義により若者の意見も有力になってきましたが、日本を支えてきた高齢者の年代には、年功序列の考えが深く定着しています。ですので、目上の意見を優先すべき教えにより若者の意見なんかという先入観が根付いてしまっているのです。
エコーチェンバー現象のフィルターバブルに注意
我々は、知りたいこと・分からないことがあればGoogleで検索をかけ、調べる習慣があります。検索時にサイトを開くと求めている情報だけでなく、宣伝広告が表示されるようになっています。この表示されている広告は、人によって異なるのです。
Googleには、Googleパーソナライズド検索機能が備わっており、過去の閲覧履歴・住んでいる場所などを元に使用ユーザーに合った情報が表示されるようになっているのです。
どういう効果をもたらすかというと、ユーザーが好む情報というフィルターがかかり、それに似た情報ばかりに囲まれている状態に陥ってしまいます。この状態をフィルターバブルと呼んでいます。フィルターバブルが続いてしまうと、世の中にたくさん情報があったとしても限られた情報しか得ることができなくなってしまう危険性があるのです。
インターネット検索では異なる情報が多い
ネット社会が発展しているおかげで、辞書が無くてもお手持ちのスマホなどで検索すれば分からない事でも簡単に解決できるようになりました。
注意して頂きたいのが、人それぞれ意見が異なるようにインターネット上にある情報にも異なる考えが多いということです。疑問を解決してくれる優れたインターネットなのですが、疑問が出れば当然みんなが同じ意見ばかりではありません。
インターネットの情報でも賛成派もいれば反対派もいます。フィルターバブルが続いてしまうと、自分とは異なる意見や情報を得ることが困難になってしまい、間違った情報であっても気づかないまま定着する危険性があります。
エコーチェンバー現象の対処法
エコーチェンバー現象を解消するにも、まずは現象の意味をしっかり把握しておかなければいけません。意味を理解していれば、主観的になりすぎることはありません。
SNSを使っている時は、似た意見を持った者同士つながりやすい点があるのですが、メリットのように見えてデメリットでもあります。人の意見は、十人十色で人それぞれです。
エコーチェンバー現象が続けば、情報に偏りすぎてしまうので、年齢を重ねるごとに価値観が凝り固まる危険性があります。エコーチェンバー現象は、深刻化すると限られた人のみでしか上手くコミュニケーションを取れなくなります。そのようにならないように若いうちに改善しておく必要があります。具体的な対処法を紹介するので、是非参考にしてください。
①SNSでは正しい情報とは限らない
SNSは、誰にでも使用することができる利点があります。自分の経験による情報を提供でき、フォローをすると他のユーザーの情報もキャッチすることができます。
ですが、一般人が提供する情報すべてに裏付けできる確信的な根拠があるわけではありません。つまり、SNSの情報すべてが正しいとは限らないのです。間違った情報を見分けるためにもさまざまな意見の比較が必要になってきます。
見分ける力を養う近道は、視野を広げてSNSと向き合うことです。ユーザーが提供する意見だけではなく、メディアや本・論文の情報を比較しながらSNSを見ることで、正しい情報の判断や理解力が高まります。正しい情報と限らないと分かれば、一つの意見に固執することは解消されるので、エコーチェンバー現象になりにくくなるのです。
②違う視点の考えを理解する
エコーチェンバー現象は、著しい情報の偏りによって起こる現象です。原因は、Googleの機能やSNSによって自分に似た意見に関する情報が集まりやすくなっているからです。
対処法はシンプルで、Googleの過去の検索履歴などによって受け取る情報が異なるなら意識的に検索するキーワードを変えればいいのです。つまり、すでに知っている情報・意見ではなく自分の知らない情報や価値観を調べる習慣をつけるのです。
さらに、情報を受け取る手段を変えることもエコーチェンバー現象の防止策にもなります。SNSやネットでも十分に情報を得ることができるのですが、テレビやラジオ・新聞など他のメディアに触れることで無差別に多くの情報を見ることができます。自分とは違う視点の考えに目を向け、理解することが手っ取り早い対処法になります。
③積極的に知らない情報に触れる
ネットやSNSで似たような情報ばかり入ってくるとはいえ、必ずエコーチェンバー現象が起きるとは限りません。常に好奇心旺盛で知らない情報に目を向け、分からないことがあればすぐに調べる習慣を身につけてみましょう。意味が分からないままでも、情報が蓄積されることで情報と情報がつながる瞬間があります。
積極的に知らないことを調べることで、さまざまな情報のつながりを理解できるようになるので、やりがいや達成感が味わえます。
エコーチェンバー現象は見た情報が正しいと信じてしまうこと
エコーチェンバー現象の意味をご理解頂きましたでしょうか。SNSの効果は大きいです。SNSにおいてのフォローは、相手の意見に共感できた時に行う行動です。
SNSが持つ意味の本質の理解を怠っている方は、見た情報が正しいと信じてしまっている危険性があります。個人の主観による思いが強ければ強いほど、情報に対しフィルターがかかり都合の良いように解釈してしまいます。
エコーチェンバー現象が続けば、見た情報が間違っていたとしても正しいと信じてしまいます。やがて、正当な人間の考え・価値観とはズレが生じてきます。たかがSNSやネットとはいえ人間の方向性が大きく変わってしまうのです。それほどエコーチェンバー現象による影響が大きいということを理解する必要があります。