「根に持つ」の意味
俗に「根に持つ」といった言葉が使われます。あなたは「あなたって根に持つタイプだね」と言われた経験はありませんか?もしあるとしたら、あまり愉快な気持ちにならなかったのではないでしょうか?
それでは「根に持つ」とはどういった意味なのでしょうか?1つのことをずっと覚えていたら「根に持つ人」という意味になってしまうのでしょうか?
いつまでも恨んで忘れないこと
「根に持つ」とは、ただ単に1つのことを忘れないでいる意味ではありません。「根に持つ」の意味は「いつまでも恨みに思いながら忘れないでいる状態」です。
10年前の悔しさをいつまでも覚えていたり、過去の相手の失言を忘れないでいる、といった場合に使用されます。「根に持つ」はずっと思われて、恨まれているという意味です。
「根に持つ人」は怖がられたり、「根に持たれた人」は恐怖を感じたり、あまりいい意味に使われないのではないでしょうか?
根に持つタイプの人の性格
「根に持つ」の意味がわかったところで、あなたの身近に、根に持つタイプの人はいるでしょうか?あるいは、あなた自身が根に持つタイプだったりしないでしょうか?たとえば失恋をして、いつまでも忘れられない場合があるのではないでしょうか?
昔の恋をいつまでも引きずる人は、「根に持つタイプ」と言えるでしょう。それでは根に持つ性格というのは、どういったものなのでしょうか?
神経質
まず、根に持つタイプの性格の1つ目は、神経質だということが挙げられます。神経質な性格だと言われる人は、根に持つタイプになりやすいと言えるでしょう。
すぐに忘れてしまうようなことや、他の人なら気にしないような問題も、神経質な性格の人は気にしてしまう傾向にあります。
このような人は、気にし過ぎて病気になってしまうぐらい深刻になってしまう場合もあります。神経質な性格の人は、よくある人間関係の悩みや他人の言動に気を病んでしまい、結果、根に持つタイプになっている可能性があるでしょう。
執念深い
根に持つタイプの性格の2つ目は1つのことに執着しやすく、執念深いということが挙げられます。小さな1つのことをずっと覚えていたり、執念深い人だと言われた経験はありませんか?
執念深い人は、どうしても狭く考えがちで、全体を見ることができない傾向があります。さまざまな角度から物事を考えることができないタイプと言えるでしょう。次にまたやればいいと考えることがなかなかできず、落ち込んだりもするでしょう。
細かいことに固執して、いつまでも覚えている執念深い性格の人は、根に持つタイプだと言えるのではないでしょうか?
マイナス思考
根に持つタイプの性格の3つ目は、なんでもマイナス思考で考えてしまうことです。マイナス思考の性格の人は根に持つことが多い傾向があるでしょう。プラス思考の性格の人は、同じことをされても、あっけらかんとしていることが多いです。
しかしマイナス思考の性格の人は、いつまでも忘れることができないケースがあるようです。ずっと心に引っ掛かってしまい、ずっと考えてしまうことで、根に持ってしまう結果になるようです。
心が狭い
根に持つタイプの性格の4つ目は、心が狭いということでしょう。心が狭い性格の人は、職場でも学校でも家庭でも、さらにはあらゆる生活の場面でも、いらいらしがちなのではないでしょうか?
心が狭い性格をしていると、少しのことでも許せなくなって、相手を攻撃したりする傾向があります。だからといって攻撃したから気が晴れるわけではないでしょう。
後味が悪くなって、ますます怒りが膨らんだり、相手の反撃に遭って不毛な争いに発展させてしまう場合も多いのではないでしょうか?
傷つきやすい
根に持つタイプの5つ目の性格は、傷つきやすいということでしょう。人と人とが相対する中で、何か言われるとすぐに傷ついてしまう性格の人もいるのではないでしょうか?
「私はとても傷ついた」と感じると、いつまでも忘れられなくなる場合があります。その結果、いつまでも根に持つということになります。こうした性格の人は、自尊心が強く、傷つけられたことで恨みに思うことがあるようです。
根に持つタイプの人の心理
根に持つタイプの人の性格は以上のようなことです。あなたの周囲に根に持つタイプの性格の人はいるでしょうか?または、あなた自体が、根に持つタイプの性格をしていたというケースもあるでしょう。
根に持つタイプの人と対峙したり、自分を振り返ったりする時、根に持つタイプの人の心理を知っておく必要があるのではないでしょうか?根に持つタイプの人は、どういった心理をしているのでしょうか?
劣等感が強い
根に持つタイプの人の心理の1つ目は、劣等感が強いということが挙げられます。劣等感が強い人は、すぐにいらいらしてしまうケースが多いです。
それはどういう意味かというと、ちょっとした失敗でも、そのせいで全ての評価が下がってしまうという不安に襲われる心理になるからです。劣等感が強い人ほど、ちょっとした失言や失態で、自分の全てに最悪の烙印が押されるのではという心理が働くようです。
怒りの表現方法を知らない
自分の感情を押し殺してしまう人は、嫌なことを言われても、怒ったり泣いたりせずに笑っていることもあるのではないでしょうか?根に持つタイプの人の心理の2つ目は、怒りの表現方法がわからないということがあります。
怒らないので、冗談の通じる寛容な心理状態に見えるかもしれません。しかし実はひどい言葉を言われても、どうすればいいのかわからずに笑っているだけの場合があります。
常にイライラと考えてしまう傾向のある人は、他人との衝突が怖くて、その場を笑ってしのいでいます。しかし実際の心理としては、悲しい気持ちでいっぱいの場合があります。
自信が無い
なぜかすぐにイライラしてしまう人はいませんか?そういった人の中には、自分に自信がないという心理から、イライラしている人もいるでしょう。根に持つタイプの人の心理の3つ目は、自分に自信がないということがあります。
怒ったり、根に持ったりという感情は、不安だからこそ芽生えると言ってもいいでしょう。見捨てられるのが怖い、呆れられたら嫌だ、といった意味からくる不安から、自分を守ろうとして反発が起こってしまうケースがあります。
したがって、ずっと嫌なことを思い出す、根に持つタイプの人は、自分に自信がなくて、怒りを感じやすい心理を持っているとも言えるでしょう。
人に期待する
根に持つタイプの人の心理の4つ目は、人に期待しているというものです。これは少し手厳しい指摘に聞こえる人もいるでしょう。
しかしそもそも人に期待しないで、自分で何とかしようという心理であれば、一緒に活動をしていた人が失態を犯してもそれほど気にならないでしょう。もともとは自分でやるべきことを手伝ってもらっていただけだという思考になるからと言えます。
他人に任せ、期待してしまうと、その期待が裏切られた時のショックは大きいものになるでしょう。根に持ってしまう人には、人に期待し過ぎるという心理があると言えるでしょう。
常に不安
根に持つタイプの人の心理の5つ目は、常に不安な状態にあるということが言えるでしょう。根に持つ傾向にある人は、いつも不安な気持ちでいることが少なくありません。
つまり安心できることがなかなかないでしょう。1つのことが解決してホッとしたのもつかの間、すぐに次の不安を抱えてしまうという人もいるのではないでしょうか?仕事の悩みであったり、人間関係の苦悩であったり、不安は尽きることがないでしょう。
不安は人間誰しも持つ心理です。しかし根に持つタイプの人は、不安を忘れることがなく、いつも心に引っ掛かっているという人が多いようです。
根に持つタイプの人の長所
ここまで、根に持つタイプの人の性格や心理を見てきました。こうして見てくると、根に持つタイプの人にいいところは少ないと感じる人もいるのではないでしょうか?しかし、根に持つタイプの人にも、それゆえの長所があると言われています。では、根に持つタイプの人には、どういった長所があるのでしょうか?以下に紹介します。
失敗を次に活かす
根に持つタイプの人は、自分にしろ相手にしろ、ミスや失敗がとても気になる傾向にあります。失敗したら、そのことをずっと忘れずに覚えているのが、根に持つタイプの人の特徴です。
そのため、同じ失敗を起こさない人が多いと言えるでしょう。根に持つ人は、ミスや失敗には敏感で、それを恐れる傾向にあります。臆病になることなくしっかりとミスや失敗を受け止めて、対処法を考えて活かせるようになると、根に持つ性格は長所となるでしょう。
感情が豊か
根に持つタイプの人は、感受性が鋭く、感情が細やかだからこそ、少しのことが気になるもののようです。この感受性が豊かな面を、他人への思いやりに変えることができたら、立派な長所となるでしょう。
自分が根に持つような嫌なことを、他人も嫌だろうということで配慮することができるでしょう。その結果、相手を思いやることができます。そうなると素晴らしい長所になるのではないでしょうか?
人間関係を深く築く
根に持つタイプの人は、あれこれと深く考えることが多いです。友人関係でも、友人に対して深くいろいろと考えるので、深いつながりを求めることでしょう。感情が豊かなので、友人に対して、深い友情を持つ人も多いと言えます。
恨みさえ買わなければ、根に持つタイプの人とは、仲の良い友人になれたり、深いつながりを持つ人間関係を築くことができるのではないでしょうか?
根に持つタイプの人の短所
根に持つタイプの人の性格や心理から、根に持つタイプだからこその長所を挙げてみました。しかし、根に持つ人には長所の他、短所もあるでしょう。根に持つ人にはどういった短所があるのでしょうか?根に持つ人の短所を知ることで、それに対する対処法がわかります。その結果、人間関係がスムーズになるよう、改善することができるでしょう。
プライドが高い
根に持つタイプの人には、プライドが高過ぎる人もいるでしょう。プライドが傷つけられたと感じて、相手に対して根に持ってしまうパターンです。自分のプライドに関して、あまりこだわらない人なら、根に持つこともないのではないでしょうか?
プライドが高いという性格は、悪いことではないでしょう。しかし、根に持ったまま前に進むことができないのなら、あまりいい状況とは言えないかもしれません。
視野が狭い
根に持つタイプの人には、考え方や視野が狭い人が少なくありません。視野が狭いと、人間関係の中で根に持ってしまう場合があります。他の考え方や他人の意見を聞くことができるなら、根に持つ必要もありませんし、「よくあること」で済ませられるでしょう。視野を広げ、周囲に目を配り、俯瞰してものを考えると、楽になれる場合もあるでしょう。
ネガティブ
根に持つタイプの人は、失敗やミスが怖い傾向にあります。「また失敗したらどうしよう」と考えたり、「あの人がまたああいうことをするかもしれない」と気になったりして、消極的でネガティブになってしまうことが多いです。
ネガティブになり過ぎると、鬱といった病気になる危険性もあります。根に持ったら、それを次に活かすようにしましょう。前向きになることで、根に持つ人の短所は長所に変わるでしょう。
根に持つタイプの人への対処法
あなたの周りに、根に持つタイプの人はいるでしょうか?もし、根に持つタイプの人が身近にいて、どうしたらいいかわからないでいる場合、対処法を考えてみませんか?根に持つタイプの人には長所も短所もあります。短所には関わらないようにして、長所だけを引き出してやるような対処法はあるのでしょうか?
距離を置く
根に持つ人が周囲にいて、その人がそれほど親しいわけではない場合は、距離を置くのが対処法の1つです。心の距離はもちろん、物理的な距離を離すといった対処法でも効果はあるでしょう。
根に持つ人と付き合うと疲れてしまったり、仕事や勉強に集中できなかったりする人もいるでしょう。
その人が目につく場所にいれば、どうしても話をしたり、一緒に行動したりしてしまうこともあるでしょう。そうした人用の対処法として、その人が目に入らないように、関わりを避けましょう。
おだててみる
根に持つタイプの人が、あなたの上司だった場合、どういった対処法を取ればいいでしょうか?関わりを持たないという対処法は取ることができません。
この場合、とにかくおだてるという対処法を試してみましょう。根に持つタイプの人は、認めて欲しいという気持ちが大きいと言えます。その願いを満たしてやることが、有効な対処法の1つと言えるでしょう。
意見をしない
根に持つタイプの人は、自分を認めて欲しいという心理が大きいと言えます。さらに反発されたらどうしようという不安を常に抱えているとも言えます。その場合の対処法として、根に持つ人を認めてあげるのはどうでしょうか?
根に持つタイプの人は、意見をするだけで、根に持つ恐れがあります。逆恨みされないよう、また、目を付けられないよう、意見をしないことが対処法と言えるでしょう。
あなたが根に持つタイプの人だったら
これまで、あなたの周囲に根に持つタイプの人がいる場合の対処法を見てきました。しかし、根に持つタイプの人間が他人ではなく、あなた自身の場合、どうすればよいのでしょうか?
このままでいたら、周囲から煙たがられ、いい人間関係が築けない恐れがあります。あなたが根に持つタイプの場合、どういった点に注意し、対処法を考えていけばいいのでしょうか?
他のことを考える
自分は根に持つタイプだと自覚しても、すぐに性格を治すのは難しい話でしょう。しかし、少しずつ意識して、自分を変えていくことはできるでしょう。少しずつでも、同じことを考えたり、悩んだりする時間を少なくしていきましょう。
どうしても思い出してしまう時は、なるべく別のことを考えてみませんか?そうした努力の積み重ねで、根に持つ性格を克服していくことができるでしょう。
他人を気にしない
自分は根に持つタイプだと自覚している人の中には、他人をあまりに気にし過ぎる性格の人もいるのではないでしょうか?他人を気にし過ぎる結果、根に持つことは多々あるでしょう。
他人のことを気にしないようにしてみると、気持ちが楽になる時があります。少しマイペースになって、他人の動向をあまり気にしないようにしてみませんか?相手も深い意味で言ったり、行動したりしていたわけではないとわかり、気持ちが楽になるでしょう。
人に話してみる
根に持つタイプの人は、自分の中にさまざまな思いをため込んでいる場合が多いのではないでしょうか?自分は根に持つタイプだと自覚していたら、人に気軽に話してみることも、対処法の1つと言えるでしょう。
話し相手から「そんなことないよ」「大丈夫だよ」と言ってもらえると、それほど気にしなくて済むのではないでしょうか?
「こんなことをして、根に持っている」と人に話すだけですっきりすることもあるでしょう。気持ちを吐き出すことは、有効な対処法でしょう。
プライドを気にしない
プライドを持つことは、決して悪いことではありません。しかし、プライドを傷つけられて、根に持つ場合も少なくないでしょう。
あなたがプライドを傷つけられ、根に持つ状況になったなら、そんなにプライドが傷つくような問題ではないと、自分に言い聞かせてみる対処法はどうでしょうか?
相手も深い意味で言ったのではないということは多いでしょう。気にせずに、気持ちを落ち着かせることをおすすめします。
趣味を持って発散する
根に持つことを治したいと思っているなら、違うことに喜びや楽しみを見つけてみてはいかがでしょうか?根に持つ気持ちをそうすることで転換していくのはおすすめの方法です。考え方や時間の使い方を、別のことに使ってみましょう。
身体を動かす趣味もおすすめです。身体を動かしていれば、くよくよと根に持つようなことも忘れてしまうことでしょう。趣味を持ち、そういった習慣を繰り返していくことで、根に持つ性格もだんだん変わっていくのではないでしょうか?
広い視野を持つ
根に持つ性格を変えていくために、広い視野を持とうと心がけることも有効でしょう。1つの視点からでなく、別の視点からものを見ることができるよう、努力してみましょう。そうすると、あなた自身も楽になれるでしょう。
最初は難しいかもしれませんが、「こういう意味にも受け取れる」とか「あまり大したことではない」と考えるように心がけてみませんか?また、そういった視野の広い人が周囲にいるのなら、見本にしてみるのもおすすめです。
「根に持つ」の英語表現
これまで、根に持つということの意味についてさまざまに考察してきました。最後に英語での言い方について見ていきましょう。「根に持つ」とは英語で何というのでしょうか?「根に持つ」をそのまま英語にすうることは難しいですが、「恨みを持つ」という意味での英語にすることはできます。それでは「恨みを持つ」は英語で何と言うのでしょうか?
恨みを持つという意味で使用
「根に持つ」を英語にするなら「hold a grudge」でしょう。英語でgrudgeは「わだかまり」といった意味になります。「まだ根に持っているの?」を英語にすると「Are you still holding a grudge?」になります。
「そんなに根に持つ人だと思わなかった」を英語にすると「I didn't know you were that kind of person」という英語を付け加えるといいでしょう。日本のホラー映画「呪怨」のハリウッドリメイク版は英語で「The Grudge」でした。
もう1つの英語として「resent」というものもあります。この英語を使うとすると「resent an insult」となり「無礼を根に持つ」という意味になります。しかし英語では「hold a grudge」ほど一般的ではないようです。
「根に持つ」の意味の英語で、よくあるスラングで「have a beef with」という言い方もあります。この英語を使い「I still have a beef with him」も「私はまだ彼を根に持っている」の意味になります。
根に持つ人には適切な対処法で関わろう!
根に持つタイプの人は、そのことで人を不快にさせたり、困らせたりする可能性があります。自分で思い悩み、病気になってしまう危険性もあります。
根に持つタイプの人の性格や心理を知ることで、気持ちを変えていけば、状態は好転していく場合があります。
さらに、あなたが根に持つタイプの人であるなら、そういった性格を治す対処法を考えることもできます。他人のことを考えすぎることなく、適切な対処方法で関わっていきましょう。