WeChatとは
WeChat(微信・ウェイシン)とは、中華人民共和国大手IT企業である腾讯(Tencent)が2011年にリリースした無料インスタントメッセンジャーアプリです。アジアでは、欠かせないSNSアプリとなっています。日本で多くの人に利用されているLINEと似ているため、中国版のLINEとも言えます。今回はこのWeChatとは何かについて、紹介していきます。
文字や音声を使うSNSアプリ
WeChatとは文字を使ってコミュニケーションをとることができます。更に、音声を使ってコミュニケーションをとることも可能なSNSアプリとなっています。
チャットで送信できるものには、ステッカーや画像、動画、友達の連絡先カード、自分の位置情報、ファイル、音声があります。ステッカーとは、LINEでいうところのスタンプです。WeChatのステッカーは、ほとんど無料で使うことができ、種類も豊富です。
音声についてですが、音声とは、自分の声をチャット上で送信できるというものです。LINEにも同じような機能がありまが、ほとんどの日本人は使用しません。しかし、中国人はよく、この機能を利用します。更に、無料音声通話も行うことができます。以上のように、基本的な機能は私達がよく利用するSNSアプリであるLINEとほとんど違いがないです。
WeChat・日本で使えるものとは
そもそも、「WeChatは日本で使えるの?」と思われた方もいっらしゃるでしょう。結論としては、WeChatは日本で使うことが可能です。先程説明したWeChatの機能は、通常のSNSアプリと同じように、ネット環境さえ整っていれば日本のどこでも無料で使用することが可能です。
中国IT企業が提供している国際版
中国IT企業、腾讯(Tencent)がリリースしているWeChatには、中国版と国際版があります。腾讯(Tencent)は、中国版を微信(weixin)と呼び、国際版をWeChatと呼び分けています。これは、登録する電話番号、言語によって、中国版か国際版かのどちらかに自動的に登録されます。私たちが登録する場合のほとんどが、国際版に登録されることになります。
では、中国版と国際版で何か違いがあるのか見ていきます。国際版の場合、中国版と違い、限定されてしまう機能が存在します。国際版ですと、電子マネー機能、ウォレット機能が使えません。
WeChat・LINEとの違いとは
ここまで、「WeChatとはなんなのか」について説明してきましたが、WeChatは日本でよく使われるSNSアプリであるLINEととても似ています。WeChatには既読がつかないという点を除けば、LINEとほぼ同じです。
そこで、「WeChatとLINEは何か違いがあるのかな?」と疑問を持たれた方もいらっしゃるでしょう。その疑問にお応えすべく、ここからは、WeChatとLINEの違いについて紹介していきます。
①利用ユーザー数
WeChatとLINEの一番の違いとは、利用ユーザー数です。WeChatの利用ユーザー数は11億人を超えていますが、LINEの利用ユーザー数は、4億人程度です。
また、月間アクティブユーザー数は、WeChatの場合、9億6,300万人ですが、LINEの場合だと、8,000万人以上となっています。以上のことからも、WeChatはLINEと異なり、より世界的に利用されているSNSアプリだということが分かります。
②コミュニケーション機能が豊富
更に、WeChatにはあってLINEにはない機能として「シェイク機能」があります。「シェイク機能」とは、自分がスマートホンをシェイクしている時と同じタイミングでスマートホンをシェイクしている人間とマッチングしてくれるという機能です。「シェイク機能」は、位置情報をオンにした後に、「トップ画面」→「発見」→「シェイク」から使用できます。
マッチングした相手とはチャットをすることが可能です。国内にいる人だけではなく、海外の人ともマッチングすることができるので、海外に友達を作りたいという方にとてもお勧めです。外国語が分からなくてもWeChatには翻訳機能があります。
WeChat・セキュリティ面の危険性とは
世間一般的な考えですと、中国に対して良いイメージを持たれている方は、そう多くはないはずです。「中国の企業がリリースしているSNSアプリでしょ?セキュリティ面は大丈夫なの?危険じゃないの?」と思われている方が大半でしょう。
結論から言うと、WeChatの安全な使い方を知れば、セキュリティの面から考えてそこまで危険ではないと言えます。ここからは、WeChatのセキュリティ面や起こりうるトラブルについて説明していきます。
①中国政府による検問
中国のメッセンジャーアプリ、SNSは基本的に政府の管理下にあります。WeChatも例外ではありません。結論から言いますと、WeChatでのメッセージのやり取りは、ほぼ100%中国政府から検問されていると考えて間違いないです。実際に中国政府が、WeChatの削除済みメッセージを取得するしくみを持っていることを認めました。
更に、中国政府が規制しているワードを使用した際に、メッセージがブロックされた、アカウントが停止されてしまったという事例もあります。
WeChatを使う際には、言葉に慎重になる必要があります。しかし、WeChatのセキュリティは、政府の管理下にあるという意味合いから考えると安全と言えます。
②情報漏洩の可能性
Amnesty Internationalが人気メッセージングアプリを提供する11社のプライバシー対策に関する評価をランキングにして発表しました。評価は100点満点です。1位は、Facebook(Messenger,WhatsApp)の73点でした。LINEは4位の47点です。WeChatのセキュリティ対策は最下位の0点でした。
エンドツーエンドの暗号化(第三者がユーザー同士のやり取りを盗聴できないようにする技術)が搭載されていない、バックドア(セキュリティの防御を潜り抜け、コンピュータに侵入するための仕掛け)に反対する姿勢を示していないことが最下位となった理由です。
以上のデータから、WeChatのセキュリティはとても安全と言えるようなものではないことが分かりました。
③出会い機能のトラブル
WeChatの「近くの人検索機能」を使用することによる危険性について説明していきます。この機能は、位置情報をオンにした後に「トップ画面」→「発見」→「近くにいる人」から使用できます。検索すると相手のトプ画像や名前、性別、ステータスメッセージ、その人が自分からどのくらい離れた距離にいるのかが表示されます。
この機能を使った知らない人から突然連絡がくることもあります。純粋に友達を作りたいと思いこの機能を利用する人もいると思いますが、何かのトラブルに発展する可能性もあります。おかしいなと感じた場合は、すぐに相手をブロックするなどの対策をとりましょう。
「近くの人検索機能」は、きちんと危険性を考慮した上で使用するようにしましょう。また、位置情報をオフにしてWeChatを利用するなど、自分でセキュリティ対策を行うことも可能です。
④WeChat pay利用トラブル
更に、WeChat payを利用する際の危険性についても説明していきます。近年、中国ではキャッシュレス化が進んでいて、QRコード決済が普及しています。QRコード決済を利用した詐欺も増えているため注意が必要です。
中国の自転車シェアリングサービスでQRコードを利用した詐欺が起こりました。このサービスは、専用のアプリから使用可能な自転車を探した後に、その自転車に貼られているQRスキャンするとロックが解除され、自転車を使用することができるという仕組みです。
しかし、その自転車に貼られているQRコードの上に、偽のQRコードが貼られていたために、フィッシングサイトに飛ばされ支払いを請求されたという事がおこっています。QRコードの利便性は高いですが、それと同時に危険性をありますので注意が必要です。
WeChat・安全に使うために必要な事とは
これまで、WeChatのセキュリティについて説明してきましたが、WeChatは、便利さと同時に危険性を持ち合わせているSNSアプリであることが分かりました。「使用する際、安全に使うための方法はないの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるでしょう。そのような方のためにWeChatを安全に使用するための方法を解説していきます。
WeChatは、安全に使う方法が分かれば危険なアプリではありませんし、自分でセキュティ面の対策をすることも可能ですので、安心です。
①スマホにパスワード設定
当たり前ですが、大元であるスマートホンには必ずパスワードを設定しておきましょう。そして、WeChatにもパスワードが設定できますので、WeChatにもパスワードを設定しておきましょう。「トップ画面」→「本人」→「設定」→「マイアカウント」→「パスワード」から設定できます。
WeChatのパスワードを設定する際は、少なくとも8文字は必要で、文字と数字が含まれている必要があります。設定の際には、できるだけ複雑なものにする必要があります。
②パスワードは他と同じにしない
これは、WeChatに限った話ではないですが、パスワードの使い回しはやめましょう。パスワードの使い回しは、不正侵入される確率を高めることになります。そして、設定したパスワードは必ずメモしておきましょう。
スマートホンの中にメモするのも良いですが、いつ何かしらの形でデータが消えてしまう可能性がありますし、スマートホンを落としてしまうなどのトラブルが発生してしまうことも考えられます。万が一の時に備えて、紙にもきちんと手書きでメモしておくことがベストです。
③声紋認証の設定
また、WeChatのパスワード設定の方法として、声紋認証があります。「トップ画面」→「本人」→「設定」→「マイアカウント」→「声紋」から設定可能です。パスワードのみだけではなく、声紋認証も設定して安全性を更に高めておきましょう。
声紋認証とは、生体認証の一つで、自分の声で認証を行う仕組みです。設定できるパスワードや認証はすべて登録して、アプリ利用により起こりうる危険度を下げておきましょう。
④緊急連絡先の設定
WeChatのアカウントパスワードが停止されてしまった際には、緊急連絡先を登録しておけば、その緊急連絡先経由で回復することができます。少なくとも気軽に連絡できる友達3人程度を緊急連絡先として追加しておきましょう。設定方法は、「トップ画面」→「本人」→「設定」→「マイアカウント」→「緊急連絡先」です。
⑤知らない人とのやり取りは慎重にする
「シェイク機能」によって、知らない人と友達になれる、話をすることができる点がWeChatの良い点ですが、知らない人とのやり取りは慎重に行いましょう。WeChat上で仲良くなったから、直接会おうという話になった場合は特に注意した方が良いでしょう。何かトラブルに発展する可能性があります。
それだけではなく、「シェイク機能」を利用した知らない人から突然、連絡がくることも考えられます。相手に不信感を抱いたり、危険だと感じた場合には、相手をブロックする、通報するなどの対応をしましょう。
⑥WeChat payの支払いに注意
WeChat payでの支払いの際にも、先ほど説明したようなQRコードの詐欺に合わないように気をつけましょう。更に、店舗での決済時に購入者がQRコードをスキャンするのではなく、店舗側が購入者のQRをスキャンする場合は後ろの人に注意が必要です。後ろの人にQRコードをスキャンされ、お金を盗み取られたという事例があります。
その他にも、WeChatで支払いをする際は、入力金額を間違えないようにしてください。アプリのバグなどのよっても、金額が間違って入力される可能性もありますので、金額入力の際には、慎重になる必要があります。
WeChat payは、とても利便性が高いですが、使用の際には、注意すべきことがたくさんあることが分かります。
WeChatは使用しても良いのか
WeChatは、安全に使う方法さえ知り、更にそれを実践して使用すれば危険なSNSアプリではないことが分かります。また、政府の管理下にあるということからも、詐欺などの犯罪が起こる確率も少ないです。そのような面から考えても、WeChatはセキュリティ面は安全なアプリであると言えます。
また、WeChatとは、世界中の人々と繋がれるSNSアプリとなっていますので、言語学習に特に向いています。日本語を勉強したい中国人もWeChatで日本人の友達を求めていますので、良い言語学習の場となります。
WeChatとは中国で幅広く使われるコミュニケーションアプリ
ここまでWeChatについて解説してきましたが、WeChatとは主に中国で使われているコミュニケーションアプリだということが分かりました。アジアで主要なSNSアプリです。先ほど説明した「WeChatを安全に使う方法」を読みながら、楽しく、安全にWeChatを利用していきましょう。