家計簿をエクセルで作るメリット
エクセルで家計簿を作るとどんなメリットがあるのでしょう。あなたのパソコンにエクセルがインストールされていたら無料で家計簿が作れるチャンスです。
エクセルは表計算ソフト、数学的で難しそうと、少し苦手に感じているかたもいますが、意外に使ってみると簡単で面白いんです。ではどんなことができるのか、どんなメリットがあるのかをご紹介します。
集計の手間がかからない
エクセルの最大のメリットは、なんといっても「SUM(Σ)」という集計機能です。あっという間に自動で各項目の集計を計算してくれるのです。家計簿で一番めんどうな計算を、いままで電卓でパチパチやっていたのがウソのように、正確に一瞬で計算してしまいます。また集計する範囲も自由に設定できます。とにかく手間がかからず楽チンです。
自分好みにできる
エクセルで作る家計簿は、自分好みのレイアウトにできるのがもう一つのメリットです。エクセル画面は「セル」という長方形の小窓のようなマスがびっしり並んでいます。
セルの一つ一つを別々の色で塗りつぶしたり、中に入力する文字や数字のフォントや色も自由に設定できるのがエクセルの魅力です。
たとえば食費は黄色、教育費はブルーなどと仕分けすれば、あとで探しやすくなるでしょう。またセルの幅や高さも、文字数やフォントに合わせて自由に変えられます。
つまりエクセルで作る家計簿は自分好みのスタイル、好みのレイアウトに作れるのです。味気ない家計簿がエクセルのお陰でカラフルになり、作るのが楽しくなります。でもあまりハマリすぎないように注意して下さい。
お金がかからない
パソコンにエクセルさえ入っていれば、家計簿を作るのにお金がかかりません。いままで買っていた家計簿帳やノートがいりません。その購入費用が無料になり、少しずつでも貯蓄などにまわせます。帳面やノートは安いものですが、何冊にもなればそれなりの支出になります。「ちりも積もれば山となる」です。
エクセルの家計簿に必要な項目は?
エクセルで家計簿を作るには、どんな項目が必要なのでしょう。エクセル画面の一番下にSheet(シート)と書かれたところがあり、そこに名前を付けられるようになっています。
シートはいくつでも増やすことができて、クリックするとちょうどページをめくるような感覚でシートが変ります。このシートに必要な項目を書込んで管理するのです。
具体的な家計簿の作り方や、エクセルの操作方法など詳細については、このあとの「エクセルで家計簿の作り方」などで説明しますので、ここでは大まかな流れと、おすすめの3つのかしこい項目を紹介します。
毎月の家計簿
最初の項目「毎月の家計簿」をSheet1(シート1)で作ります。ここでは主に毎日の現金のやりくりを(例えば、食費・日用品など)項目別に記録し、それを月ごとにまとめて管理します。月ごとにシートを変えて作ることもできますが、どうしてもシート別に管理したいという人を除いては、多くなりすぎ、項目が煩雑になるのであまりおすすめできません。
年間の家計簿
つぎに「年間の家計簿」をシート2に作ります。ここでは主に銀行の入出金、引落しなどを月ごとに記録します。それから「毎月の家計簿」で記録した現金のやりくりの月額も入力します。給料が振込の場合もここに記録します。この家計簿を管理することにより、家計全体の年間の状況が見えてきます。
ライフプラン
3つめのシートには将来のライフプランを表にして作りましょう。人生にはいくつかの大きな転機や出来事があります。結婚そして出産、子供の進学、住宅の購入、予期せぬ病気やケガ、その都度大きなお金が出て行くことになります。
西暦とその時のあなたの年齢、結婚していれば相手の年齢、子供の年齢を年表のようにします。年に合わせて予想される出来事、それに掛る費用、目標額と実績を記録する欄などを作っておけば前もって計画が立てられます。
たとえば子供が18才になる頃に大学進学のための目標額を決めておけば、「毎月の家計簿」や「年間の家計簿」で記録したどの費用をけずって、何年貯蓄にまわせば目標額に近づけるかが分かりやすくなります。このようなライフプランをエクセルをうまく使って作ることをおすすめします。
エクセルで家計簿の作り方
ここでは、エクセルで家計簿の作り方を解説していきます。エクセルを立上げると、画面の上にはヨコにA〜Zまでのアルファベットが、左はじにはタテに数字が1〜無限大に並んでいます。また画面には長方形のマスがびっしりとあり、これをセルと呼びます。
アルファベットと数字の組合せでセルの位置を表し、例えばA列の5番目はA5です。このセル番号は数式を入力するときに必要になるので、セルには位置を示す記号(No)があると認識しておいて下さい。では手順を追いながら、エクセルで家計簿の作り方を具体的に解説します。
手順①エクセルで家計簿の形を作る
手順①、エクセルで家計簿をどんな形にするのか、レイアウトを作ることから始めましょう。ここではおすすめのかしこい項目で紹介した「毎月の家計簿」を例にとって作り方を進めて行きます。
毎月の家計簿は現金のやりくりを記録する家計簿です。まず1番上のA1のセルに年と月を書込める欄を作ります。現金はほぼ毎日出し入れがあるので、左側A列A2から下は日付の記入欄に、B2からヨコにC2,D2,E2〜には食費や日用品などの支出の項目を入れるようにしてみましょう。これで大まかなレイアウトができました。
手順②ワーク名の変更
作業をしているシートのことをワークシートと呼び、ワーク名の変更とは作業シートに名前をつけることです。目的のシートを見つけるときに、ワーク名がついていないとシートを開いて見ないと分からないので苦労します。
ワーク名の変更の仕方は、Sheetタグの上でマウスを右クリックするとメニューが出ます。メニューから「名前の変更」を選択するか、またはSheetタグをダブルクリックして「(例)毎月の家計簿」と入力すればシートにワーク名がつきます。
シートの数が少ないうちはまだ良いのですが、多くなると無駄な時間を使って大変なのでワーク名をつけることをおすすめします。
手順③文字の入力
次の手順はセルに文字を入力しましょう。入力の仕方は、セルを選択しダブルクリックすると入力できる状態になります。大まかなレイアウトを作った「毎月の家計簿」の例で説明を進めていきます。
左上A1のセルに○○年○○月と入力、年号は西暦でも和暦(令和)でも好みでOK。つぎにA2に「日付」と入力、それからヨコにB2〜順に食品、酒類、日用品、小遣いなど、あなたの家庭に合った出金の項目を各セルに入力し、最後に合計と入金、残高を入力します。
A列の日付のセルは、1週間は7日なのでA3から下に7つ空白をあけA10に「小計」を入力します。これを5週分繰り返し最後に「合計」を入力します。これでだいぶレイアウトが出来てきました。
手順④罫線を引く
エクセルの画面ではセルが細い線で区切られていますが、この線は実線ではありません。ただ単にセルの目安のためで、プリントされない線です。セルに背景色をつけたりすると境界が分からなくなるので、表になる部分には罫線を引きましょう。
罫線のひき方は、「毎月の家計簿」の場合は一番上の年月の部分をのぞいて、表になる全体の範囲をマウスでドラッグして囲うか、または最初のセルをクリックした後、シフトキーを押しながら最後のセルをクリックして範囲を指定します。
それからツールバーの「罫線」の右をクリックして、メニューの中の「格子」を選択すれば指定した範囲全体に罫線が引けます。太線や二重線にしたい部分があればそのセルを指定してメニューから選択すればOKです。好みのスタイルに色々と試してみると良いでしょう。
手順⑤セルに色を付ける
手順のラストはセルに色を付ける行程です。いままで作ってきた家計簿のセルに背景色を付けることによって、仕分けが鮮明になり見やすくなります。
例えば小計の欄や合計の欄を色分けする、また支出の項目別に色をつけるなどです。あなたの感覚で色を決めて仕分けすれば、エクセルの家計簿が自分だけのオリジナル家計簿になります。
作り方は色を付ける範囲を指定して、ツールバーの塗りつぶしで表示されたパレットの中から色を選択してクリックすればOKです。標準の色でも、その他の色で微妙な変化の色も選択できます。
また文字や数字そのもののフォントや色、太字などに変えることも出来ます。ここまで来ればエクセル家計簿のオリジナルレイアウトは完成です。
エクセルの家計簿を便利にする方法
エクセルの家計簿を便利にするとは、エクセルの持っている機能を家計簿の中に活かすことです。機能を活かすためにはエクセルでどんなことが出来るのか?どの場所のセルに、どんな風に設定すれば便利な効果が出せるのか?関数や数式の作り方などを、エクセルにあまり慣れていない人にも分かりやすく説明します。
計算式を挿入する
エクセルの最も大きなメリットは計算が出来ること、計算式(関数)を入れることによりアッという間に正確に間違いなく答えを出してくれることです。関数といっても難しく考えることはありません。家計簿で使う計算式は簡単な足し算と引き算です。それでは「毎月の家計簿」を例にして計算式の作り方、挿入の仕方を説明します。
家計簿で使う計算式の入力
小計(例B10)は1週間分の支出の合計、つまり上7行の数字を足し算した答えを記入するセルです。数式バーに「=SUM(B3:B9)」と入力してエンターを押せば、B3〜B9の集計がB10に表示されます。これをエクセルの集計機能「SUM」といいます。
1ヶ月の合計欄(例B43)は5週分の小計の合計です。B43の数式バーに=に続けて小計No+小計Noを5回くり返す「=B10+B18+B26+B34+B42」を入力、エンターでOKです。つまり足し算の入力式は「=セルNo+セルNo」引き算は「=セルNo−セルNo」です。この機能を利用して家計簿に計算式を挿入して下さい。
表示形式を設定
家計簿の数字が4桁以上になった場合、数字にカンマが入っていないと桁を読み違えてしまいます。また小計や合計を太字にしたり、¥マークを付けるとより見やすい家計簿になります。エクセルではこのように表示形式を設定できます。
ツールバーの中のカンマのマークをクリックすれば、選択した範囲内の数字に三桁ごとにカンマが入ります。¥を付けたいときには、ツールバーのコインアイテムの右側をクリックして通貨メニューから「¥日本語(Japan)」を選択すればOKです。
セル幅を調整
エクセルでは文字数が多いと、セルをはみ出し文字の一部が切れて表示されないことが良くおこります。そんな場合にはセルの幅を変えることが出来るのもエクセルの特徴です。
はみ出たセルの上にある、アルファベット部分の右側にポイントを合わせると矢印のようなマークが出ます。これをダブルクリックすると自動で文字の収まる幅に調整してくれます。
また列幅をそろえたい場合は、アルファベットの部分を必要な所までドラッグして、その中の一つの幅を変えるだけで、全ての列の幅が同じになります。家計簿全体がヨコに広がりすぎて見にくい場合には、はみ出た文字のセルだけフォントを小さくして収まるようにする方法もあります。いろいろと試してみて下さい。
エクセルの家計簿を実際に使う場合は?
エクセルの家計簿を実際に使うのはあなた自身です。「毎月の家計簿」などの作り方を参考にして、あなたのライフスタイルに合った内容にしましょう。また将来のライフプランにそのデータが活かせるような設定にしておくことも大切です。そんなことをふまえた上で、実際にエクセルの家計簿を使う場合の、基本的なポイントを紹介します。
ファイルの保存
エクセルの家計簿は、ノートや帳面に書くのとは違い、記入しただけでは記録として残りません。必ずファイルの保存という行程をしないと、せっかく書き入れたデータが消えてしまいます。
また作業の途中で停電やブレーカーが落ちて電源が止まってしまうと、骨折り損のくたびれ儲けになってしまうので、こまめにファイルの保存をしましょう。
最初に保存するときには「名前をつけて保存」を選択して「○○ちゃんの家計簿」のようにファイルに名前をつけます。保存場所はディスクトップにしておくのが、探しやすいのでおすすめです。次回からは保存だけでOKです。
日付を入力
家計簿は毎日の記録で日付は重要なデータです。年間のデータを分析や出費の比較するときに日付がないとこまります。
たとえば電気料の時期による違いや、その金額を比較して節約目標を立てるにも日付が役立ちます。また節約の効果も去年のデータと比べることにより実感できます。家計簿はただ記録するだけでは意味がありません。データを分析して家計の計画をたてるアイテムです。
エクセルで日付けの表示形式を変えるには、セルを右クリックしてメニューを出します。メニューから「セルの書式設定」つぎに「日付」を選択すると色んな日付パターンがでてきます。またそのセルの書式をコピーして、ほかのセルに貼付ければ、全部が統一された日付け表示になります。
便利なショートカットキー
だれでも時間と手間は無駄にしたくありません。エクセルで家計簿を作るときも同じです。
項目や計算式をコピーして貼付ける作業、ファイルを保存する作業、その作業をスピーディにし手間を省くのがショートカットキーです。キーボードとツールバーを行ったり来たりする作業を、キーボードだけで行い時間と手間を節約します。
ショートカットを日本語に翻訳すると「近道」、この近道をエクセル家計簿を作る際にも応用することをおすすめします。主なショートカットキーをWindowsとMacに分けて下の表で紹介します。この表以外にも沢山あるので興味のある方は調べてみて下さい。
作業の内容 | Windows | Mac |
ファイルを上書き保存する | 「Ctrl」+「S」 | 「Command」+「S」 |
選択されたセルの切り取る | 「Ctrl」+「X」 | 「Command」+「X」 |
選択されたセルのコピーする | 「Ctrl」+「C」 | 「Command」+「C」 |
コピーされた内容を貼付ける | 「Ctrl」+「V」 | 「Command」+「V」 |
エクセルの代わりになる無料アプリ
PCにエクセルがインストールされてないけどOfficeを購入するには高すぎる、エクセルで家計簿を作るのをあきらめかけた人に、なんと無料のアプリがあるんです。無料なのにエクセルとほとんど変わらない機能を持ったアプリをいくつか紹介します。
そのひとつは「LibreOffice」で、使い勝手がエクセルに非常に近いアプリです。無料ダウンロードでインストールすることが出来ます。デスクトップアプリでネットワークに繋がっていなくても使えるので安心感があります。
また無料アプリに「Numbers」がありますが、OSがMacに限られるためWindowsでは機能しない欠点があります。Macユーザーにおすすめのアプリです。
これらの他にもクラウドサービスを使った「Googleスプレッドシート」などエクセルの代わりになる無料アプリがあるので探してみて下さい。
エクセルが苦手な人は無料アプリがおすすめ!
パソコンやエクセルが苦手な人におすすめの無料家計簿アプリがあります。キーボードで入力するのはちょっと苦手だけど、スマホならおまかせ!という方も多いと思います。スマホでサクサクッと家計簿が作れるアプリが、しかも無料でダウンロードできるんです。そんな夢のような無料アプリをこれからご紹介します。
家計簿Zaim
おすすめの無料アプリ「家計簿Zaim」はエクセルやキーボード入力が苦手な人におすすめのスマホアプリです。しかも細かくしっかりと収入支出を記録します。
銀行やクレジットカードの入出金を自動入力、買い物したレシートを撮影するだけでデータが入力できます。画面が見やすいので、あまり説明がなくても、どうやって入力するかがなんとなくわかります。とにかく面倒なく家計簿が作りたい人におすすめのアプリです。
エクセルで家計簿をつけて効率よくお金を管理しよう
ここまでエクセルの家計簿の簡単な作り方や、無料のアプリなども紹介してきました。エクセルそのもののイメージやエクセルを使うことで家計簿のイメージが変わった方も多いのではないでしょうか。ここまで解説してきたことを参考にして、エクセルの家計簿で効率よくお金を管理し、将来のライフプランに役立てて下さい。