失業保険でもらえる金額はいくらか
失業保険というのは、会社を退職した後に国から生活費として給与される保険の一つです。この失業保険は別名で雇用保険とも言われています。
会社で勤務している間は、この失業保険の保険料が毎月の給与から天引きで支払われています。それでは、実際に会社を退社すると、一体どの様な計算で失業保険が計算されるのでしょうか。
ここからは、失業保険を受け取れる要件や、失業保険の金額の計算方法など、一体いくらになるのかについて、ご紹介して行きます。
退職前6ヶ月間の給与の約50~80%の金額を給付
失業保険の給付金額における前提として、一般的には退職前の半年間の給与の概ね50~80%の金額が給付されます。
50%と80%では大きな違いがありますが、これは支給される失業保険の金額によってこのレートが変動します。つまり、在職時の給与の金額が大きい人程低いレートが適用され、給与が低かった人程、高いレートが適用されるためです。
失業保険の金額計算方法
上記のように、退職前の給与の水準によって、失業保険金額の算出式が変わる様な仕組みになっているのです。ここからは、実際に算出される失業保険の金額計算について、ご紹介して行きます。
退職が決定している方はもちろん、近い将来に退職を望んでいる方も、退職後の経済状況に見通しを付けるために知っておいても損はしない事柄なので、しっかりとチェックして行きましょう。
失業保険の金額計算に必要な情報
失業保険の支給金額というのは、ご自身である程度は算出する事が出来ます。この支給額がいくらになるのかを算出する為には、必要となる情報がいくつかあります。先ずその情報を算出するための計算が必要になります。
ここからは、その支給金額がいくらなのかを算出するための計算式に含まれている4つの情報をご紹介して行きます。
計算方法①賃金日額を確認
先ずはじめに、「賃金日額」があります。これは、退職前に6ヶ月間の給与金額から180(日)を割った金額です。ここで言う「給与金額」には、残業代や各種の手当ては含まれますが、いわゆるボーナスである「賞与」は含まれませんので、注意が必要です。
上記の賃金日額の計算式を見ると、単に給料を日割りにしただけに見えますが、その認識で間違いありません。ただ、注意点として、ボーナスは含まれず、残業や手当てなどは含まれる、という事です。
計算方法②年齢を確認
次に、失業保険を受け取る方の年齢が、保険給付金額がいくらになるのかという事に関係してきます。具体的には、「30歳未満」、「30~44歳」、「45~59歳」、「60~64歳」、「65歳以上」の5つに分類されます。
この5つ分類の中で、さらに前述の賃金日額の金額がいくらになるかによって、さらに5段階に分類されるのです。賃金日額が最も低い水準にある人は、退職前給与の81%以上が支給されますし、そこから賃金日額の金額が上がるほど、「80%」、「51%~79%」、「50%」、「49%以下」と、こちらも5段階で支給額の水準が変動して行きます。
計算方法③日額手当を求める
次に必要となる情報は、「日額手当」の金額です。これは、前述の賃金日額と、受給者の年齢の水準によって算出されるのですが、この日額手当が失業保険の給付金額を日割りしたものになります。
実際の計算に際しては、厚生労働省から、日額手当がとのくらいになるのかが一目でわかる早見表が配布されています。ご自身の失業保険の給付額がいったい何%程になるのか、気になる方は一度確認してみることをおすすめします。
計算方法④手当総額を計算
最後に、上記で判明した日額手当の金額に28(日)を掛けた金額が月額手当となります。これは、失業保険の認定日が4週間に1回ごとに訪れるためです。また、この日額手当に給付日数を掛ける事で、手当総額を求めることが出来ます。
それでは、この給付日数というのはいったいどの様に算出されるのでしょうか。これは、退職理由が大きく関係して行きます。ここからは、この給付日数について、退職理由とどの様に関係があるのかを、ご紹介して行きます。
失業保険の所定給付日数の決め方
失業保険の所定給付日数の算出のためには、これも計算式を用います。この計算式で必要な情報とは、「退職理由」、「失業保険(雇用保険)の加入期間」さらに「年齢」の3点が基本的な情報となります。この所定給付日数にも退職者の状況によって様々に変化し、最短の方で90日の給付に留まりますが、最長の方では、360日支給される方もいます。
退職理由で変わる
先ず、この給付日数の変動の要因となる、退職理由についてご紹介して行きます。退職理由には大きく二つに分かれます。これは「自己都合退職」と「会社都合退職」です。
自己都合退職とは、文字通り自己都合での退職の事です。具体的には転職や、ご家族の都合による自身の意思での退職がこれに該当します。
これに対して、会社都合退職では自分の意志に関わらず、退職を余儀なくされた場合になります。懲戒免職などは例外に当たりますが、基本的な解雇は会社都合にあるという事が一般的です。
障がい者・就職困難な人は所定給付日数が増える
この他に、障がい者手帳を持っている、身体障がい者、精神障がい者などの方や、何か社会的な理由から就職する事が著しく困難な方などには、優遇措置として所定給付日数が増やされるようになっています。
上記の要件に入る方には、雇用期間の加入期間が1年未満であっても150日支給され、最長で360日間の給付がなされます。
失業保険をもらえるタイミング
この様な計算で、失業保険の金額、給付日数が算出されますが、それでは、失業保険の給付がスタートする時期というのは一体いつからのスタートになるのでしょうか。
この失業保険というものは、必ずしも退職をした直後から失業保険が支給されるという訳ではありません。これも、退職者の状況に応じて、様々に変化して行きます。ここからは、失業保険が実際に支給されるタイミングについて、深堀りしていきます。
先ず注意点として、失業保険を支給するための手続きは、ハローワークにて申請する必要があります。退職する際には先ずハローワークへ失業保険の申請を行い、その後も定期的にハローワークに行く必要があります。
自己都合退社なら3ヶ月後
先ず、退職理由が自己都合での退職の場合です。失業保険の給付においては、退職理由が自己都合退職である場合は、退職理由が会社都合退職に比べ、支給日数、支給金額、支給がスタートするタイミングにおいて、内容が不利なものとなります。
この不利になる要因のひとつとしては、自己都合退職の場合だと給付のスタートは3ヶ月後と定められている事が挙げられます。この様に、退職日から大きく離れて給付がスタートする事を「給付制限」と言います。
会社都合退職は制限なし
一方、退職理由が会社都合での退職の場合は、給付制限は原則ありません。しかし、どのような場合であっても、ハローワークでの申請の後の7日間は待期期間として、支給されることはありません。
会社を退職すると、は、ハローワークで離職票という用紙が発行されますが、その離職票に退職理由が記載されています。自己都合での退職なのか、会社都合での退職なのかは会社が記載する事ですので、退職者が会社都合での退職を期待していたにも関わらず、自己都合退職と記載されていたり、その逆のケースも非常に多いです。
退職理由によっては、様々な失業保険の給付の条件が変わりますので、ハローワークで離職票が発行されれば必ずチェックするようにしましょう。
ハローワークで紹介された仕事を不当に断る場合
また、失業保険の給付がスタートされると、前述したように、4週間(28日)に1回訪れる認定日に、ハローワークへ行き、可能な限り求職活動を行う事が失業保険が給付される要件となります。この求職活動というのは、ハローワーク内で完結させなければならない訳ではありません。
この求職活動とは、雇用保険受給説明会への参加や、ハローワークや、転職セミナーで行われる各セミナーへの参加、他には資格試験の受験などがあります。
ハローワークでは、求職中の方の就職をサポートするため、ハローワーク内でも様々な職業訓練やセミナー、就職相談が設けられています。せっかくですので、このハローワークのプログラムを便利に活用し、失業保険を貰いながら上手に求職して行きましょう。
失業保険の金額を増やすには
ここまで、失業保険(雇用保険)がいったいいくらになるのかのご説明をしましたが、せっかくなら実際に支給される保険金額は高いことに越したことはありません。それでは、失業保険の金額を増やすためにはどの様にすればよいのでしょうか。また、いくら位増やす事が可能なのかを、ご紹介して行きます。
残業・休日出勤を増やすと失業保険の金額が増える
前述の通り、失業保険の給付金額は、退職前の6ヶ月以内の給料と退職者の年齢によって算出されます。したがって、退職前の6ヶ月の間に残業や手当ての支給といったかたちで、退職前の給与額を一時的にでも可能な限り増やすことが出来れば、必然的に失業保険の給付金額も増やす事が出来るのです。
失業保険の金額の上限は離職時の年齢で決まる
上記のように、退職前の段階で出来るだけ失業保険を高く受け取ろうとし、残業をし続け、各種手当てを適用させ給与が増えた分だけ、青天井で失業保険も増えるのかというと、残念ながらそうではありません。
失業保険の給付には年齢別に分けられ、失業保険の支給額の上限が設定されているのです。ここからは、その年齢別に失業保険での給付額の最高がいくらになるのかを、ご紹介して行きます。
失業保険いくら①離職時が30歳未満
先ず、退職時の年齢が30歳未満に該当する場合はいくらになるのでしょうか。これは、30歳未満と65歳以上で同じ金額となり、日額手当が6,710円が上限となります。モーレツに残業を繰り返し退職前の給料にブーストを掛けても、この年齢要件に該当する方は最高金額を超えない様注意しましょう。
失業保険いくら②離職時が30~44歳
次に退職時の年齢が30歳~44歳の場合はいくらになるのかを見ていきましょう。30歳~44歳の方が会社を退職する場合、30歳未満の方に比べて転職は容易では無いのが一般的です。また求職して行く上で必要になる生活費も30歳未満の方に比べて費用が大きくなる傾向にあるため、少し上限が引き上げられ7,455円が上限に設定されています。
失業保険いくら③離職時が45~59歳
続いて、退職時の年齢が45歳~49歳の場合はいくらになるのでしょうか。こちらも先ほどの同じように、45歳未満の方に比べて求職活動はより不利になる上、費用として掛かる生活費も増える事が一般的に考えられるため、支給額の上限はより引き上げられ、8,205円が上限の金額となります。
失業保険いくら④離職時が60~64歳
最後に60~64歳の時点で退職された方は、失業保険の上限金額はいくらに変化するのでしょうか。この年齢要件に当てはまる方は、先ほどとは一変して上限金額は引き下げられます。これも一般的な60歳~64歳が日々生活する上での費用から算出されていますが、40代、50代の方に比べて安く上がる事が要因として挙げられます。
60歳を超えてからは、年金の一部が支給されたりと、失業保険以外の社会保障での支給を上手に活用する事が大切となります。
自己都合と会社都合のメリットとデメリット
失業保険に給付について言えば、自己都合での退職か、会社都合での退職かを選択できる立場にあるのであれば、会社都合での退職選択した方が有利な点が多いことに気付きます。
例えば、会社都合で退職を行った場合には、給付制限がなく、最短で7日間の後に給付が開始されますし、それだけでなく、給付日数も会社都合での退職の方が最大の給付日数に関して言えば、2倍近い違いがみられるのです。
上記を踏まえると、会社都合の退職にはメリットしかないように感じますが、転職を希望する方にとっては、デメリットも同時に存在します。それは、転職先の会社選びの際に、相手企業にとって確認事項が増えてしまう事にあります。
会社都合退職のデメリット
転職先の会社を選ぶ際に、選考に際して提出する履歴書には、会社都合での退職を明記する必要があります。会社都合での退職というと先行する企業からすると、なぜ前職の会社を退職になったのかは、ほとんど場合で確認されると覚悟しておいた方が賢明です。
会社都合での解雇というと、前の会社の業績不振による人員整理ももちろんありますが、同時に前の会社で何か問題を引き起こした可能性も存在します。会社都合の退職で求職活動を行う場合は、なぜ会社都合での退職を余儀なくされたのかの答えを、事前に用意しておきましょう。
失業保険をいくらもらえるかは勤務年数や年齢で変わる
この様に失業保険の給付の金額がいくらになるのかという計算は、退職直前の給与水準や退職者の年齢をはじめ、退職理由や退職者の社会的な地位などを鑑みて、総合的に算出されています。せっかく給付されるされるお金ですので、出来る限り自分の都合の良い額となるよう、退職前からある程度どの様に行動すべきかを考えておく事が大切となります。