学資保険とは?
保険には様々な種類があります。保険ごとに目的が異なっていて、加入する場合は、その保険の内容をよく見て判断します。そんな保険の中に、学資保険があります。学資保険は読み下すと、「学ぶ」を「資する」と書きますが、その字の通り、子供が勉強するのを助ける保険です。その学資保険とは、具体的にどんな保険なのか見ていきましょう。
学資保険とは「教育資金を準備する保険」のこと
子供の誕生は親にとってうれしいものですが、生まれてからは、子供をどう育てるかという課題が出てきます。その育て方の課題の一つに教育があります。どんな学校へ行かせ、どのような教育を受けさせるかは、こどもが成長するにつれ、真剣に考えざるを得ない問題となります。
そこで、浮き彫りになってくるのが教育資金です、いい学校へ行かせ、いい教育を受けさせてやりたいという親心を実現させるためには、それなりの教育資金が必要です。その教育資金を準備する保険が学資保険です。
学資保険は全ての人に必要な保険?
子供の教育資金は必ず準備をしなければいけないお金です。仮に公立学校のみで教育を受けさせるにしても、必要なお金はかなりの額に上ります。ということは、学資保険とは、すべての人が加入すべき保険なのかということが疑問点として浮かび上がってきます。周りを見渡した場合、学資保険に加入している人もいればしていない人もいるようです。
全ての人に必要性があるわけではない
実際には加入者もいれば、加入していない人もいる学資保険ですが、すべての人に必要性がある保険というわけではありません。無理に積み立てをしなくても、子供の教育資金くらい貯めてみせるという親御さんもいるでしょう。一生懸命仕事をしているから、その都度必要な教育資金は捻出できるという人もいるでしょう。
学費を貯める方法の1つに過ぎない
学資保険とは、子供の教育資金を準備する保険ということなので、子供の成長に伴って必要となる学費を有効に貯めることができる一つの方法です。しかし、これが唯一の方法ではありません。ほかにも手段は色々あり、どんな方法を用いようが、子供の教育資金を準備できればいいのですから、学資保険が絶対に必要性のある保険というわけではありません。
学資保険の必要性の高い人とは
学資保険とは、すべての人に必要性がある保険ではありませんが、ある人たちにとっては有効な教育資金の収集方法です。ある人たちがどういう人たちを指すのか、これから具体的に解説していきます。該当する人たちにとっては、他の教育資金を貯める方法よりも、学資保険のほうが利用しやすく、便利になっているのです。
自分で貯金ができない人
日々生活に追われ、毎日を過ごすのがやっとで、貯金ができないという人がいます。貯金ができなければ、子供の教育資金を捻出するのはかなり難しいです。学費の必要性が生じた時に借金をするしかなく、かなり生活を圧迫することにもなりかねません。
貯金がなかなかできないという人には、学資保険の必要性が高いです。学資保険なら、毎月一定額が自然に積み立てられていき、気が付いた時には子供のために必要な教育資金が貯まっているからです。
銀行にお金を預けるのに抵抗がある人
銀行にお金を預けたくないという人もいます。銀行の預金金利は非常に低くなっているので、まったくお得感がないという理由の場合もあるし、そもそも銀行を信用していないという場合もあります。ほかにも理由があるかもしれませんが、銀行預金が嫌な人にも学資保険はおすすめです。学資保険の場合、保険料よりも貰える額が大きいところも魅力です。
毎月安定した積み立てをしたい人
貯金して、教育資金を貯めようと思っても、月々の家計の状況により、貯金ができたり、できなかったり、できても額が変わったりと安定しません。一方、学資保険なら、毎月一定額が積み立てられていくので、貯まる金額が不安定になることはありません。安定した金額を積み立てたいと思っている人には、学資保険の必要性は高いです。
学資保険の必要性が低いと思われる人
学資保険の必要性が高い人を見てみましたが、学資保険とはすべての人にとって大事な保険ではないので、必要性の低い人もいます。ほかの方法で子供の教育資金が集められる目途が立っている人は、無理に学資保険に申込む必要性はありません。どんな方法であれ、お金が集まればいいのです。
株やFXなどで資産を増やしたい人
株やFX取引を行って、資産を増やそうという人がいます。それで資産が増える見込みがあれば、やはり学資保険の必要性は低くなります。株やFX取引も行い、学資保険も申し込むというのもありですが、両方を同時に行う余裕がある人のみに向けた選択肢となります。普通は、株やFXで儲けようというのなら、学資保険を利用しなくてもいいでしょう。
将来の学費がすでに確保されている人
学資保険とは、子供の教育資金を準備する保険なので、すでにその教育資金が確保されている人には必要性が低いです。お金があるのなら、ことさら保険を申込むまでもなく、その金をとっておけばいいだけです。ただ、確保されたお金を使う予定があるのなら学資保険の必要性が高まりますが、予定がなければ、特に利用しなくても済みます。
子供の医療保険を中心に考えている人
子供の教育資金は何とかなりそうだから、医療保険を中心に考えたいという親御さんもいるでしょう。学資保険にも医療保険が組み込まれている場合がありますが、学資保険の必要性が低ければ、医療保険のみに加入するという手があります。子供が万一、病気になったり、ケガをしたりしたときのためには、そのほうがいいかもしれません。
学資保険のメリットとは?
学資保険には、他の教育資金の捻出方法にはないメリットがあります。そのため、学資保険の必要性が高い人には、利用価値が非常に大きくなっています。そのメリットはいくつかありますが、順番に解説しましょう。そのメリットを見ると、私も子供のために申し込みたいという人もたくさん出てくるでしょう。
お金を確実に貯められる
子供の教育資金を確保する方法は色々ありますが、学資保険なら確実に貯められるメリットがあります。これが貯金を教育資金に回そうということになると、子供の成長過程で思わぬ出費があり、貯金を使ってしまうという場合があります。しかし、学資保険の場合は、そのようなことはないので、安定してお金が貯まっていきます。
利息に優れた商品
低金利状態が続く銀行の預金の場合、多額の金を預けても、大した利益は得られません。一方、学資保険の場合は、返戻率が銀行の預金の利息よりもよくなっている場合がほとんどです。最近は、返戻率が下がる傾向にはあるものの。銀行の定期預金にお金を預けておくよりはずっとメリットがあります。
学資保険の返戻率は、子供が加入する時期、払込期間、払込方法などによっても変わってきます。また、保険会社ごとに設定が違います。同じ学資保険を選ぶなら、少しでも返戻率が高い商品にしたいところです。
万が一の時にも保険料が免除される
親に万一のことがあっては困りますが、まったくその恐れがないというわけにはいきません。万一の時とは、死亡する場合を指します。もし親が死んだら、その後の学資保険がどうなるのか気にしている人もいるでしょう。心配ありません。契約者の親が死んだ場合は、その後の保険料の支払いはしなくていいのですが、これは大きなメリットです。
生命保険料控除がある
学資保険の受取人が契約者本人(親の場合)だと、所得税と住民税が課せられます。これは義務なので、必ず納めなければいけませんが、その際、生命保険料控除を受けられます。生命保険料控除とは、申告時に、保険会社に支払った保険料の額により、一定の金額が所得から差し引かれる制度のことを言います。
所得税は最大4万円・住民税は最大2.8万円の控除
学資保険の生命保険料控除の額は、所得税で最大4万円、住民税で最大2.8万円です。これは非常に大きなメリットで、所得からこの金額が差し引かれれば、納める税金が少なくなります。定期預金などと違って、控除があることは学資保険の優れた一面でもあるし、利息面での有利さと合わせると、メリットが非常に大きくなります。
契約者貸付が利用できる
学資保険の保険料を払っている最中に、お金が必要になる場合があります。そのような時は困ってしまうこともありますが、学資保険の契約者貸付という制度を利用できます。これは学資保険を解約しなくても、借り入れができる制度です。借りられる金額は解約返戻金の一定の範囲内で、利率が低い点が最大のメリットです。
契約者貸付という言葉から言って、貸付、つまりお金を借りているというイメージがありますが、実際には解約返戻金の一部を使っていることになるので、正確に言うと貸付ではありません。
契約者貸付で借りたお金の返済時期は、契約期間中です。つまり、契約を解約しない限り、いつ返してもいいということになります。この辺も契約者貸付のメリットで、お金に困ったときは大いに頼りになります。
学資保険のデメリットとは?
学資保険のメリットを見ると、申し込んでみたいという気持ちに傾くかもしれません。しかし、その前にデメリットについても考えておく必要があります。メリットとデメリットの両面をよく比較したうえで、最終的な決断をしなければいけません。そして、デメリットを見ても申し込みたいというのなら、問題はないでしょう。
お金の拘束期間が長い
学資保険は、長期にわたって保険料を支払わなければ、受け取れる金額も受け取れなくなってしまいます。中途解約では、元本割れの恐れが大きく、損をしてしまいます。少なくとも10年以上は保険料支払っていく覚悟が必要ですが、その間はお金が拘束され、資金を動かせません。契約者貸付制度はあるものの、それ以外には制約が多いのがデメリットです。
契約期間は利回りが固定されてしまう
学資保険の利回りは、契約期間中まったく変わりません。固定金利が適用され、世の中の経済情勢の影響は受けないのです。したがって、受け取れる保険金は、景気動静がどうであれ同じままです。これはデメリットになる場合があります。世の中がインフレになり、教育資金として必要な額が増えても保険金が変わらないので、資金不足に陥る恐れがあるのです。
保険会社が倒産するとデメリットが大きい
学資保険を提供している保険会社が倒産しても、受けとれる保険金の大部分は保障されます。これは、保険会社が「生命保険契約者保護機構」という組織に加入しているためですが、その保障額は責任準備金の9割だとされています。しかし、これは絶対的な数字ではありません。
保険会社の倒産時に保障される額は、倒産の状況や受け継ぐ保険会社の事情により変動します。場合によったら、9割という数字よりも低くなることもあり、かなりデメリットが大きいです。
銀行預金の場合は、銀行倒産時1000万円まで保障されますが、学資保険の場合は満額保障というわけにはいきません。したがって、そのデメリットをよく考えたうえで、申し込む必要があります。
これもデメリット!契約年齢に制限がある
学資保険は、その性質上、契約年齢に制限があります。契約者・被保険者ともに、制限以上の年齢では加入できません。また、加入年齢が遅くなると、保険料が高くなるデメリットもあります。つまり、同じ学資保険に加入するなら、早ければ早いほど有利になるというわけです。したがって、親が若く、子供が小さいうちに学資保険に加入するのが一番です。
受取人が子供の場合には贈与税がかかる
学資保険の受取人が契約者の親の場合は、所得税と住民税がかかってきます。一方、子供が受取人の場合は、贈与税が課されます。納税は国民の義務なので、デメリットというわけではありませんが、一定額を受け取る保険金から差し引かれるのはうれしいことではありません。ただ、受け取る額によっては、贈与税が課せられない場合もあります。
学資保険に加入するタイミングはいつからがベスト?
学資保険の加入時期について年齢制限があるというお話をしました。また、早く加入すればするほど有利だとも書きました。それでは、いつから加入すればいいのかと疑問に思う人もいるでしょう。学資保険にいつから加入すべきかについては、生まれてからいつでも構いません。特に早い分にはいつからという決まりはありません。
なるべく早いほうが良い
人によっては、返戻金の利率をよく見てからとか、子供の成長具合を確かめてから学資保険に加入してもいいのではと思う場合もあるでしょう。それも悪いことではありませんが、実際には、加入時期が早ければ早いほど親の負担は軽くなります。同じ保険料を払うのなら、少しでも負担が軽いほうがいいでしょうから、早く決断をすべきです。
満期までが長くなり保険料を抑えられる
学資保険の保険金は、子供が進学する時期や大学の在学中に受けとれますが、それまでは長い保険料の支払期間があります。毎月の支払い額は、いつから学資保険に加入したかによって変わってきます。早い時期に加入すれば、満期までの支払期間が長くなり、保険料が低くなります。したがって、いつからと聞かれれば、やはり早い時期というのが正解です。
親の年齢が低い方が保険料が安くなる
契約者の親が死亡した場合は、その後の学資保険の保険料は免除されます。しかし、もしそのようなことがあった場合、保険会社は損をすることになります。したがって、年齢が高い親ほど死亡リスクも高いということになり、それだけ損をする率が増すわけです。その危険性に比例して、保険料も高くなるようになっています。
逆に言えば、親の年齢が低いほど、死亡などのリスクは減り、保険会社の安心感も増します。それに応じて、保険料も安くなるというわけです。
したがって、いつから学資保険に加入すべきかを考えると、親子ともども早い時期にするのがベストであり、損をする率が減ります。
妊娠中でも加入できる学資保険
いつから学資保険に入るべきかという問題で、早ければ早いほどいいと書きましたが、それは生まれてからのタイミングとは限りません。学資保険のプランによっては、妊娠中でも加入できるものがあります。出産の140日前からという条件を満たせばいいのです。したがって、いつからということになると、子供が生まれる前からが答えとなります。
学資保険の返戻率とは?
返戻率の「返戻」という言葉の意味を辞書で調べてみると、「返し戻すこと」または「受け取ったものや金を相手に返すこと」と出ています。つまり、保険会社が受け取った保険料を契約者に返すという意味です。この返戻の率が高いか低いかで、保険の質やお得度を測ることができますが、どうせなら返戻率が高い保険を選びたいものです。
返戻率とは「支払い総額に対しての受け取れるお金の割合」
返戻とは、保険会社が受け取った保険料を契約者に返すことだと説明しましたが、逆の立場から言うと、支払った保険料に対して、契約者が受け取れる保険金という意味です。その割合が返戻率ですが、その計算式は、受け取れる金額を支払った保険料で割り、100をかけます。つまり、パーセントで表示されます。
早く支払いが終わると返戻率が高くなる
同じ学資保険の保険料を支払うにしても、早い時期に支払いが完了すると、保険料の額が抑えられ、返戻率が高くなります。受け取れる保険金は変わりませんが、保険料が安くなるためにお得感が出てきます。例を挙げると、子供が0歳の時に加入して、18歳まで保険料を支払っていくよりも、10歳になるまでに保険料を払い終えたほうがいいのです。
学資保険に関する注意点
学資保険にはいくつものメリットがあり、子供の教育資金を貯める方法として非常に有効な手段です。場合によったら、預金をするよりもお得になることもあります、しかし、いくつか注意点があります。その注意点を見逃すと、せっかく申し込んだ学資保険を十分に生かすことができない場合もあるので、しっかりと頭に入れておきましょう。
中途解約をすると受け取れる金額が払った額を下回ることが多い
いったん学資保険を申し込み、契約をしたら、いつから加入したにせよ、最後まで保険料を支払っていきたいものです。しかし、家庭の事情によっては、それができないことがあります。そのような場合は中途解約をするのですが、注意点として、中途解約の場合は返戻金が支払った保険料よりも下がるケースが多いです。これは大きなデメリットです。
配当金タイプの保険料は高くなりがち
保険会社が学資保険の保険料を受取って運用した場合、その結果がいいと、契約者は配当金を貰えます。いわゆる配当付学資保険ですが、配当金が貰えるのならさぞかしお得だろうと思う人も多いでしょう。しかし、配当金を分配する場合があるということから、保険会社は配当付学資保険の保険料を高くしています。つまり、メリットとデメリットがあるのです。
学資保険の支払いについて
いつから学資保険に加入したにせよ、支払い方法には、毎月払いと半年払い、1年払い、まとめ払いなどがあります。どの支払い方法を選ぶのも自由とはいっても、契約者にとって最も都合がいいものにしなければいけません、中途解約のデメリットについてはすでにお伝えしましたが、そのような事態をなるべく防ぐ支払い方法にする必要があります。
満期を迎えるまで払い込む必要がある
いつから学資保険に加入したかに関係なく、学資保険の保険料は満期を迎えるまで払い込む必要があります。いつからという問題については、すでにお伝えしていますが、その時期は払い込み完了時期に影響がありません。ただ、まとめ払いなら、満期を待つことなく支払いが終わるので、後の保険料を考える必要はありません。
無理のない金額を設定するとよい
月払い、半年払い、1年払い、まとめ払いと色々な支払い方法がある学資保険ですが、大事なのは、無理な金額を設定しないことです。いずれの支払い方法でも、受け取れる保険金と支払額を天秤にかけ、これくらいの支払額なら払い続けることができるというプランにする必要があります。
どの商品を選ぶべきか?
学資保険として提供されている商品はたくさんあります。それぞれ独自のメリットがあり、どれを選ぶべきか迷ってしまいます。そんな中で、一つの基準は返戻率です。返戻率の高い商品ほうがお得感があります。ただし、返戻率が低めの商品でも、育英資金がついていたり、医療保障が付帯されたりしているので、選択肢からは外せません。
学資保険を賢く利用して将来の心配を軽減しよう
ここまで、学資保険の必要性、メリット・デメリット、いつから加入すべきかなどについてお伝えしました。子供の教育資金を貯める方法としておすすめできる学資保険ですが、いつから加入するか、どう利用するかによって、結果が違ってきます。したがって、同じ学資保険を利用するなら、賢く上手に使い、少しでも将来の不安を軽減させるようにしましょう。