介護保険で住宅改修する方法!手すりなど対象になる物や流れも解説!

介護保険で住宅改修する方法!手すりなど対象になる物や流れも解説!

高齢になっても自宅に住みたい方のためには、バリアフリー化のための住宅改修が必要になることも多いです。住宅改修にはお金がかかります。しかし、実は住宅改修には介護保険が適用できるのです。こちらの記事では、住宅改修に介護保険を適用する方法や流れをまとめていきます。

記事の目次

  1. 1.介護保険で住宅改修できる
  2. 2.介護保険で住宅改修のリフォーム例
  3. 3.介護保険で住宅改修の対象者
  4. 4.介護保険で住宅改修する際の流れ
  5. 5.介護保険で住宅改修の申請方法
  6. 6.介護保険で住宅改修の注意点
  7. 7.介護保険以外にも住宅改修には助成があることも!
  8. 8.介護保険で住宅改修する際には手続きが必要

介護保険で住宅改修できる

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高齢になり体が動かしにくくなってくると、どうしても今まで住んでいた家だと生活がしにくくなることがあります。こうした問題の解決のために手すりを付けたりトイレを使いやすくしたりといった住宅改修が必要になってきます。

そしてこの住宅改修の費用には介護保険が使えるのです。ここでは、住宅改修の際の介護保険の申請方法から適用対象まで紹介します。

住宅改修でできること

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まずは、介護保険を使って一体どんな住宅改修ができるのか、見ていきます。介護保険が適用できるのは、手すりの取り付け、段差の解消、フローリングなどの材質加工、扉の取り換え、便器の取り換えです。

このほかにも、トイレの便器を取り換えるのに伴う水回りの工事費用や、床の取り換え工事費用も、介護保険の適用対象になります。

介護保険で住宅改修のリフォーム例

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先ほど挙げた5項目は本当に大まかな区分ですので、ここでは実際に、介護保険が適用できる5項目のうち、トイレ、手すり、段差の解消、滑りやすさの解消などについて、介護保険を適用して実際にどのような改修を行い、どのように暮らしが便利になっているのか、具体的な例を紹介していきます。

手すり

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足腰が弱くなってきたり、さらには車いすで生活することになると、どうしても手すりが必要になってきます。介護保険を使った住宅改修では、廊下に手すりを設置したり、トイレや浴槽に手すりを設置したりすることで、生活のあらゆる場面で足腰への負担を抑え、車いすでの移動もしやすく出来ます。

ここで注意が必要なのは、トイレの便器に手すりを付けたり、浴槽に手すりを付けたりといった工事の必要がない箇所に手すりを付ける場合は、介護保険の適用対象にならないということです。

トイレ

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現在ではあまり見かけなくなってきましたが、やはりまだ古い家だと、家のトイレが和式トイレというところがあります。和式トイレはやはりかなり足腰に負担もかかります。生活には欠かせない要素ですから、改修の急がれるポイントです。

そんなトイレの便器の取り換えも、大掛かりな改修ですが、介護保険が適用できてしまうのです。きれいでな洋式トイレに改修することで、生活が大いに楽になります。

段差の解消

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些細なことに思えるかもしれませんが、意外にスムーズな生活の妨げとなるのが家の中にある段差です。健康な体ではなんとも思わないような段差も、車いすで生活することを考えると、かなりの生活の妨げになってしまいます。

介護保険を使った住宅改修によって、例えば浴室やトイレの入り口や、部屋と部屋の間、玄関など住宅のあらゆる個所の段差を解消し、車いすでもスムーズに移動でき、足が弱っていても躓きにくい家を実現できます。

具体的には、段差のある個所にスロープを設置したり、段差自体をなくしてしまったりという工事が可能です。

すべりやすさの解消

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段差は障害になりますが、滑りやすいのも問題です。車いすのコントロールがしづらかったり、転倒する危険性もあります。

そんな危険を防ぐために、手すりを付けるだけではなく、床の素材を滑りにくいものに変えるというのも介護保険を使った住宅改修の対象になります。

その他

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その他にも、扉を開き戸から引き戸に変えるといった取り換えも、介護保険の適用できる住宅改修の対象です。開き戸は車いすに当たってしまうこともあるので、引き戸の方が生活に便利です。

トイレの便器を取り換えたり浴室に手すりを付けたりといった場合には水回りの工事も必要になりますが、こうした改修に付随する工事も適用対象です。

このように、介護保険による住宅改修の対象は、大掛かりな改修から細かな取り換えまで、幅広くカバーしています。

ただし、浴槽の取り換えなど、工事費用が高額になるものは対象でない場合が多いので、注意が必要です。

介護保険で住宅改修の対象者

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介護保険の対象者、つまり住宅改修に介護保険が利用できるのは、65歳以上で、住んでいる地域の自治体から「要介護」「要支援」の認定を受けた人です。介護保険というのは医療保険と同じなので、住宅改修費の全額が支給されるわけではなく、その費用の何割かは改修サービスを受ける本人が支払わなければなりません。

ここでは、単身世帯の場合と2人以上の世帯の場合に分けて、どのぐらいの収入があればどのぐらいの費用の補助を受けることができるかを紹介します。

単身世帯

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まずは単身世帯の場合は、介護サービスを受けられる65歳以上の所得が年160万円以上で、「年金収入+その他の合計所得金額」が280万円以上の場合は改修工事費用の8割を介護保険から支払ってもらうことができます。

所得が220万円以上あり、「年金収入+その他の合計所得金額」が340万円以上の場合は、少し給付額が少なく、7割を介護保険から支払ってもらえることになっています。

2人以上の世帯

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2人以上の場合は、世帯のうちの65歳以上の人の「年金収入+その他の合計所得金額」の合計が346万円以上の場合は改修費用の8割が介護保険から給付してもらえ、463万円以上の場合は改修費用の7割を介護保険から支払ってもらえます。本人の所得に関する条件は単独世帯と同様です。

ここで紹介している具体的な金額はあくまでも2019年6月現在のものです。介護保険制度は頻繁に改正が行われるため、その時々に応じて具体的な対象条件を確認する必要があります。

介護保険で住宅改修する際の流れ

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介護保険を利用して住宅改修をしてもらうには、所定の手続きが必要です。ケアマネジャーや、役所、そして工事の施工事業者といった様々な人とやり取りをしながら進めていく必要がありますので、ここではその大まかな流れを解説していきます。

この流れで手続きをせずに勝手にリフォーム業者と話を付けてしまうと、後から「実は介護保険が適用されなかった」となってしまう可能性もありますので、気を付けましょう。

相談

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予定している住宅改修が介護保険の適用範囲なのか知りたい場合は、もしいつもお世話になっているケアマネジャーがいればその人に、いなければ地域包括支援センターの窓口で相談します。そして、本人の身体状況などに合わせて具体的に改修の理由を示した「理由書」を作成してもらいます。

改修する場所の下見

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具体的な計画が決まったら、改修業者の人に実際に下見に来てもらいます。実際の部屋の寸法を測ったり、改修個所の写真を撮ったりしてもらいます。このときに、普段の生活状況などを踏まえて、具体的にどう改修してほしいか要望を伝えることで、この後の話し合いや実際の工事までの流れがスムーズにいきます。

のちの申請の流れで詳しく説明しますが、介護保険の給付を受けるにあたって提出する書類の中に「改修前の写真」も含まれていますので、この下見の時に撮ってもらうのが重要です。

業者との相談・契約

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下見が終わったら、具体的な相談を進めていきます。具体的に改修個所を決定して、業者に改修費用の見積もりを出してもらいます。改修内容と見積もりに納得がいけば、契約成立です。

契約の際には、改修内容が介護保険の適用範囲なのか、それから保険適用の限度額を超えていないかどうかしっかり確認しましょう。実際に、介護保険が適用されると思って契約したのに、実は適用外だったという事例も発生しています。

後ほどまた説明しますが、実際に契約する前に、ケアマネジャーなどに相談して作成してもらった理由書、業者による見積書その他の書類を自治体に「事前申請」することで、上記のようなトラブルが防げます。

改修完了

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問題なく契約が完了したら、実際に改修工事を施工してもらいます。施工が完了したら、再び改修工事の完了を伝える書類などを自治体窓口に提出する必要があります。この提出が完了し、めでたく介護保険の支払い申請が通れば、実際に改修費の一部が介護保険から支払われます。

介護保険の支払い申請の際には改修後の写真が必要ですので、完了後に写真を撮影するのを忘れないように気を付けましょう。

介護保険で住宅改修の申請方法

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流れを説明する際にも何度か話が出てきましたが、ここでは介護保険を使って住宅改修を行うために必要な申請手続きについて説明します。提出書類がいくつもあり煩雑ですが、この手続きを怠ると、せっかく給付を受けられるはずが受けられなくなり、無駄な出費が増えてしまうことにもなりかねませんので、手続きはしっかり行わなくてはなりません。

支払い

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住宅改修してもらう場合、介護保険からの支払方法には、「償還払い」と「受領委任払い」の2種類があります。

「償還払い」とは、住宅改修をしてもらう介護保険サービスの利用者が、施工業者に工事にかかった費用をすべて払ってから、後で地方自治体から介護保険の適用分の払い戻しを受けるというものです。

「受領委任払い」というのは、介護保険サービスの利用者が、改修業者に介護保険適用分を差し引いた金額のみを支払い、後で地方自治体が介護保険適用分を改修業者に支払うという仕組みです。この仕組みを利用するには、あらかじめ改修業者が地方自治体に登録をしている必要があるので、注意が必要です。

介護保険窓口への申請

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どちらの支払方法でも、地方自治体の介護保険窓口へ提出する書類はほぼ同じです。ただし自治体によっては受領委託払いの場合特別な書類が必要な場合がありますので注意が必要です。

基本的には、改修工事を実際に施工してもらう前に、「介護保険居宅介護(予防)住宅改修費支給申請書」、業者による見積書、改修前の写真、家の平面図、相談時に作成してもらった理由書、そして住居の所有者が同世帯に住んでいない場合は所有者の承諾書の窓口への提出が必要になります。

住宅改修費の支給

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償還払いの場合も受領委任払いの場合も、施工完了後に再び書類を提出する必要があります。完了後に提出する書類は、基本的には住宅改修が完了したことを示す完了届、工事にかかった費用の領収証、改修後の写真、確認結果通知書です。受領委任払いの場合は自治体によっては「請求額証明書」のような特別な書類が必要になる場合もあります。

介護保険で住宅改修の注意点

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ここまでで大体介護保険を使って住宅改修する際の流れはつかめたかと思います。しかし、介護保険を使った住宅改修を申請するにあたっては、注意しておかなければならない点がいくつかあります。ここでは代表的な注意点を2点紹介します。認識を誤ったせいでいざというときにお金が足りない、ということにならないために気を付けておきたいポイントです。

限度額がある

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まず気を付けておきたいのは、住宅改修に介護保険が適用できるのは、費用20万円までの工事のみです。それ以上の費用が掛かった場合、介護保険は適用されなくなってしまいます。

工事をしてもらう前に相談や申請をしなかったことで、「介護保険が使える」と業者にささやかれて50万円で工事を頼んでしまい、給付を受けられなかったという事例が発生しています。こうした悪徳業者に引っかからないためにも、限度額については知っておいた方が身のためです。

償還制・受領委任払いを選べる

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前述したように、住宅改修における介護保険の給付には、「償還払い」と「受領委任払い」の2種類があり、どちらかを選ぶことができます。受領委任払いができるのは自治体に登録済みの一部の業者が施工した場合のみなので、知らずに登録していない業者を選んでしまって「いきなり全額支払いはできない」となってしまっても後戻りできません。

介護保険以外にも住宅改修には助成があることも!

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自治体によっては、介護保険のサービスを受ける対象ではない人に対しての住宅改修費用の助成や、限度額を超えるような改修工事を行った際も税額を削減してくれるような助成制度を用意してくれているところもあります。

条件が合わず介護保険が適用できない場合には、こういったオプションを使うのも手です。自分の住んでいる自治体の制度をチェックしてみるといいでしょう。

自治体によって、助成の種類は様々

Photo bygeralt

「要介護」や「要支援」の認定を受けていない介護保険適用対象外の人を対象にした助成制度や、浴槽の設置など、介護保険の適用範囲ではない工事内容に対する費用助成、昇降用エレベーターの設置など高額な工事費用に対する助成など、さまざまあります。

制度名や制度を利用する申請手続きの流れも自治体ごとに違うので、こうした自治体独自の制度を利用するには自治体の情報を参考に流れを確認する必要があります。

介護保険で住宅改修する際には手続きが必要

Photo byTeroVesalainen

この記事を読んで、介護保険で住宅改修をする流れや申請の手続きについてのあらましが、お分かりいただけたことでしょう。申請の細かい手続きや提出書類については自治体によって細かいところが違うことが多いので、自治体の情報をチェックしましょう。高齢になると、何かとお金がかかります。利用できる制度は、賢く利用していきましょう。

ちょみ
ライター

ちょみ

キャリアについて勉強しながら、ライターの仕事を勉強中です!文章を書いたり読んだりするのが好きで、翻訳の仕事もしています。音楽などに関する趣味のブログも地味に更新中。

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