「皮肉屋」の意味
あなたの周囲に「皮肉屋」と呼ばれる人はいませんか?この場合、決していい意味では使われていないでしょう。「皮肉屋」という言葉は褒める意味で使われることはあまりありません。ではそもそも「皮肉屋」とはどういう意味なのでしょう?類義語に「嫌味」がありますが、皮肉屋は単に嫌味を言うだけの人なのでしょうか?
相手の弱点など意地悪くそれとなく言う
皮肉屋は会話の最中に、意地悪な物言いをする人という意味です。たいていの場合、冷たい笑みを浮かべ、人を馬鹿にしたような顔をして会話します。皮肉屋が言う言葉の意味が真実であっても、それを言われた側はグサグサと心に刺さるので、いい気持ちはしません。
皮肉屋は、相手の弱いところ、気にしているところを意地悪な言葉で、さりげなく突いてきます。皮肉屋の「皮肉」という言葉は「皮肉骨髄」という仏教用語が語源であるとされています。
骨や髄は、ものごとの本質や要点を理解したことを指す言葉です。いっぽうで皮と肉はものごとの表面であり、表面上は理解しても、本質からずれているととらえられます。
このことから皮肉屋の「皮肉」という言葉は、「『おまえは本質を理解していない』と批評する言葉」として使われています。皮肉屋は一見、的を得た批判をしているように見えます。しかしその批判は皮や肉といった表面的で「本質を理解していない」といった非難する意味ととらえられます。
そのため、皮肉屋は嫌われ者というほどではなくても、周囲の人に煙たがられます。ただ問題なのは、皮肉屋は自分が煙たがられている意味を知らずにいます。誰も積極的に注意をしなければ、皮肉屋の行動は改善されることはありません。
「皮肉屋」の類義語
「皮肉屋」の意味の類義語はさまざまあります。皮肉という言葉は、なんとなく使われていますが、意外と意味をよくわからずに使ってしまっている場合があります。
あなたの使い方によって、本来の皮肉屋の意味とは違ったシチュエーションで使ってしまっている場合があります。皮肉屋の本来の意味はどんなものなのでしょう?皮肉屋の「皮肉」という言葉の類義語を調べてみると、本来の意味がわかってきます。
皮肉屋の英語表現
「皮肉屋」の皮肉という言葉の類義語を見る前に、皮肉の英語表現を見ていきましょう。「satire」は風刺や皮肉を意味します。「irony」はユーモアも含む比較的穏やかな皮肉を意味します。「sarcasm」は皮肉や「当てこすり」を意味します。
「cynicism」は冷笑や皮肉癖などを意味します。これらの英語表現の中には外来語として日本語となり、皮肉の類義語になっている言葉があります。アイロニーやシニシズムなどの外来語を、皮肉の類義語として使う人もいるでしょう。
嫌味
皮肉屋はよく嫌味を言うという印象はありませんか?「皮肉屋」の皮肉の類義語によく挙げられる言葉が「嫌味」でしょう。嫌味は「いやむ」という動詞が時代を経て、「いやみ」に変化していった言葉です。しかし、嫌味イコール皮肉なのでしょうか?皮肉と嫌味には微妙なニュアンスの違いが感じられます。
「皮肉屋」と類義語「嫌味」の語源
皮肉と嫌味がイコールかどうかを考察するため、それぞれの言葉の類義語を見ていきましょう。皮肉の類義語として「風刺」「当てこすり」「アイロニー」「当てつけ」などがあります。
いっぽう嫌味の類義語を見ていくと「意地悪」「罵詈雑言」「毒舌」「誹謗」「風刺」「中傷」「当てこすり」「当てつけ」「アイロニー」が挙げられます。
2つの言葉の類義語で「風刺」「アイロニー」「当てこすり」などが共通にありました。そもそも「皮肉」の類義語が「嫌味」なのですから、同じ類義語が出てくるのは当たり前かもしれません。
ただ「風刺」にしても「アイロニー」にしても、悪意よりは「遠回しに真実を伝える」といった意味になりつつあります。
皮肉屋は嫌味なのか?
「皮肉」も「嫌味」もマイナスのイメージが大きい言葉です。では、皮肉屋は嫌味なのでしょうか?それは一概には言えません。皮肉屋は対象を批判する時、直接的にではなく間接的な言葉を使います。
わざわざ反対の意味の言葉を使って、本質を指摘します。確かに皮肉は相手を非難する言葉を吐くことを指しますが、相手が不快にはなるものの、周囲は逆に感心したり、納得したりする時もあるのです。
嫌味の意味は、相手を直接的に非難します。悪意の自覚がなくても、相手は必ず不愉快になります。皮肉と嫌味は相手のマイナス面をどう表現するかで違ってきます。つまり皮肉屋は必ずしも嫌味を言うわけではありません。
毒舌
いっぽう、同じ類義語で「毒舌」があります。毒舌というとテレビやラジオで活躍するタレントを思い浮かべる人も多いでしょう。毒舌は、相手を非難しているようで、裏に確かな愛情が感じられます。
毒舌を吐かれても、気分が悪くならない時もあるのではないでしょうか?そういった意味では、「毒舌」より「皮肉」、「皮肉」より「嫌味」のほうが悪意を感じられる傾向にあります。
アイロニー
「皮肉」の英訳の項目に出てきた「アイロニー」も、「皮肉」の類義語ととらえて間違いないでしょう。アイロニーを和訳する場合、だいたい「皮肉」か「反語」と英和辞典には記されています。
「反語」は疑問形にすることで、その言葉を断定する時に用います。「皮肉」と「反語」はそれほど意味に差はありません。その他に、「ソクラテスの問答法」という意味もあります。
しかし哲学に対して強い興味がある人以外は、あまりこの意味で使用することはないでしょう。「アイロニー」は「皮肉」の同義語であると言っていいでしょう。
皮肉屋は頭が良い?
皮肉屋はさまざまな言葉を使って、相手を非難します。直接的な言葉を使わないところが、皮肉屋の特徴です。つまり遠回しな言葉がぽんぽんと出てくるので、頭の回転が早いと思われがちです。
皮肉屋が言った言葉を理解できる人は頭がいいと言えます。人間は皮肉を側頭葉と海場傍回で理解します。このため認知能力が高いと言えます。
皮肉を理解できる人は頭の回転が早いというなら、皮肉を言う皮肉屋も頭の回転が早いということになります。さらにブラックジョークがうまい人は頭の回転が早いことに加え、ジョークを言うことで脳が鍛えられます。
日本人にはブラックジョークはなかなか理解されませんが、このような悪趣味な笑いを好む人は、頭がいい傾向にあるようです。批判的なものの考え方ができる人は、危険回避能力にも優れ、詐欺などに引っ掛かりにくいと言われています。
皮肉屋の特徴【性格】
皮肉屋の人は、自分が皮肉屋であるという意識が低いです。これが皮肉屋の性格の大きな特徴です。さらに言うなら、意識して皮肉を言っている皮肉屋は少ないです。皮肉屋は自覚がないのが特徴とも言えます。本当のことを話しているのになぜ不快な顔をされるのかわかっていません。その他にも以下のような性格の特徴があります。
一言多い
一言多い性格というのが、皮肉屋の特徴と言えます。ついつい余計なことを言ってしまうのです。たとえば、ある人の学歴を皆で褒めているとします。
その人が学歴がいいだけでなく、スポーツが得意と聞いて、皆が感心しているところで「これでイケメンだったら言うことないのに」と余計な一言を吐くのです。
皮肉屋は、他人の良さを素直に認めたがらない性格上の特徴があります。嫉妬したり、悪意を持ったりして、一言多くなってしまうのです。周囲は対処の仕方に困ります。
会話で嫌な気分にさせる
皮肉屋の人は話をすると、相手を嫌な気分にさせてしまう特徴があります。皮肉屋は夢とか希望とか、人が前向きになる話題が嫌いな性格です。ついつい後ろ向きな言葉を、しかも皮肉という形で言ってしまいます。
せっかく前向きな楽しい話をしているのに、ネガティブな皮肉でチクチクと責められ、話をした後、大いに後悔します。こうした皮肉屋の皮肉に対処するには、あまり近づかないことです。
シニカル
皮肉屋は、何事に対しても熱中している人に、ついつい皮肉を言ってしまう性格という特徴があります。それは皮肉屋がシニカルで何事においても冷めている性格だという事情があります。
何かに熱中するという性格ではありません。冷めた性格の自分が正しいと思いたいので、熱い人に皮肉を言って、冷水を浴びせかけるのです。
皮肉屋は皮肉を言うことで、熱中できないで冷めている自分を正当化したいだけです。こんな目に遭う前に、皮肉屋の前では前向きな話をしないなどの対処をしていきましょう。
空気を読まない
皮肉屋の性格としてには空気を読まない特徴があります。皮肉は相手を傷つける言葉です。ずけずけと皮肉を言う人というのは実は強靭なメンタルの持ち主です。普通の人なら、相手を傷つけるとわかっていて皮肉を言う神経になれません。
皮肉屋は場の空気を読まない性格です。相手の気持ちも考えません。鋼の心臓の持ち主と感じる人もいるかもしれません。
斜に構えている
皮肉屋にもいろいろありますが、自分に過剰に自信を持っている皮肉屋は、常に斜に構えているという特徴があります。
「俺は言いにくいことも、ずばっと言うんだ」とカッコつけをしているのですが、そうした皮肉屋は、心底から他人を思ってずばずば言う性格なわけではありません。
正義感も熱意もない、単なる見せかけの自信なのです。このような性格の特徴を持つ皮肉屋とは距離を置く対処方法がいいでしょう。
噂話・粗探しが好き
皮肉屋の特徴のひとつに、噂話や粗探しが好きな性格だという点が挙げられます。皮肉屋は噂話や陰口となる会話には非常に敏感に反応します。基本、何事も否定的に考える性格ですから、他人の良い部分を見ずに、悪い部分の粗探しばかりしています。
皮肉屋はその場にいない人の噂話で、その人をけなすことが大好きな性格です。誹謗中傷に当たる会話をすることで高揚感を得るのです。
皮肉屋の特徴【心理】
皮肉屋は常に一言多く、シニカルで空気を読むこともなく、人の粗探しをしています。そうした皮肉屋の心理とはどういったものなのでしょうか?
人を不快にさせる発言の裏に隠された心理というものがあります。皮肉屋がなぜ他人に皮肉を言ってみたくなるのか、皮肉屋の多くが抱えている心理について見ていきましょう。
承認欲求が強い
皮肉屋が皮肉を言う心理の1つに、自分を認めて欲しいというものがあります。皮肉屋は承認欲求を満たすために皮肉を言うという心理です。
噂話や粗探しを過激なまでに話す心理の裏には、自分はおもしろいんだと認証されることこそ価値あることという思考があります。この心理が生んだ「おもしろい」は、人の尊厳をずたずたにしたり、プライドを傷つけたりするのです。
ネタにされたほうはたまったものではありません。何も対処しなければ、その人の心の傷は深くなるばかりです。
注目を集めたい
皮肉屋が皮肉を言う心理として、注目を集めたいというものがあります。皮肉を言うことで、自分のおもしろさや他人との違いをアピールしたいのです。それでも自分が注目されなかったときは、皮肉を言ってそれを正当化します。
正当化のためには他人を非難することも平気です。自分を認めてもらえるまで皮肉を言い続けて、正当化のために相手を批判したりします。バッシングを受けてでも、注目を集めたいという心理が皮肉屋には働きがちです。
嫉妬心が強い
皮肉屋には自分と他人をすぐに比較する心理があります。自分のやっていることと他人がやっていることを比較して、自分が劣っていると感じたら激しい嫉妬心を表します。
そういった心理にいたるのは、いつも自分と他人を比較することに理由がありそうです。粗探しして自分のほうが上だと感じると、人の心は安定します。
皮肉屋は他人が成功したり、幸せになったりするのを見ると不快になるという心理があります。何かと皮肉を言って、高揚している気持ちに水をさしたり、邪魔したくなったりします。
コンプレックスがある
皮肉屋が皮肉を言う心理の底に、大きなコンプレックスがあります。このコンプレックスを隠したいという心理から、先手を打って皮肉を言います。自分のコンプレックスが話題になるのが嫌で、皮肉を言って、相手に皮肉や嫌味を言わせないようにします。
皮肉屋は学歴やルックスなど、これからの人生でもずっと抱えていくであろうコンプレックスを持っている場合があります。
構ってほしい
皮肉屋が皮肉を言う心理のひとつに、「構ってちゃん」であるというものがあります。その場で自分が中心にいないとわかると、皮肉を言って注目を自分に集めたい心理が働きます。
また、自分に関係のない話題が展開されていても、自分に注目を集めたい心理から、何かと皮肉を交えて話に加わり、自分の存在感を高めようとします。皮肉屋は他人がどう考えるかより、他人を馬鹿にしてでも構ってもらいたいのです。
自分より優れた人を認めたくない
皮肉屋が皮肉を言う心理に、自分より優れた人を認めたくないというものがあります。皮肉屋が自分を常に他者と比較しているという特徴は先にも述べました。
他人と自分を比較して、比較した相手が自分より有能だったり、社会的立場が上だったりすると、非常に不愉快になってしまいます。
また、皮肉屋は相手の粗探しを常にすることで、心を安定させています。粗探しもできないほど、相手が優れている場合、認めたくないという心理に陥ります。
皮肉屋な性格を改善する方法
自分は皮肉屋だと感じ、他の人たちともっとうまく交流していきたいと考えるなら、どうしたらいいでしょう?自分で治したいと考えるなら、対処法はいろいろあります。努力は必要ですが、以下に示す対処法で、皮肉屋の自分を変えることができます。皮肉屋はもう卒業したいと考えているのなら、ぜひ試してみてください。
楽観主義者になる
「自分は今、皮肉を言っているだろうか?」とか「今言った言葉は皮肉にあたるだろうか?」とか考えるのは良い対処法です。しかし、考えてみても皮肉を言っているように思えなかったら、楽観主義になって、「ま、いいや」と深く考えるのをやめましょう。
そもそも人間の評価というのは、受け取る人によって全く違ってきます。ある人にとっては、思いやりあふれる優しい相手であっても、別の人にとっては単なるおせっかいで優柔不断なだけという場合もあります。
もしあなたを「皮肉屋」」と非難した人が多数ではなければ、「そう言う人は少数派なんだ」と気にしないようにしましょう。
言葉を発する前に一息入れる
何かといえば皮肉ばかりと指摘されるものの、自分では自覚がない人もいます。そのような皮肉屋は、人に対して何か言葉を発する前に、一呼吸入れるという対処法を試してみましょう。
いざ口に出して言う前に、頭の中で反芻してみると、思っていたより厳しい言葉だったり、皮肉っぽく聞こえてしまったりすることがあります。この対処法を試すと、皮肉屋のように思われてしまう一言を言わずに済みます。
思ったことをすぐに口にしてしまうから、ついつい皮肉や嫌味を言ってしまうのです。考えてから発言するように気を付ければ、皮肉屋の性格を改善することができるでしょう。
他人と自分を比べない
皮肉屋だと言われて悩んでいる人は、周りの人間と自分を比べるのをやめるという対処法を取ってみましょう。皮肉屋が他人を侮辱するような言葉を発してしまう理由に、他人と比べてしまうということが挙げられます。
他人と自分を比べて、劣等感を感じると、そんな感情から逃れたくて、つい皮肉を言ってしまいます。これは深刻な悪循環です。この悪循環を断ち切り、皮肉屋から卒業しましょう。
そのために大事なことは、自分は自分という割り切りです。人と比べて、あなたが前向きな気持ちになれるのなら、その作業に何の問題もありません。
皮肉屋の人の対処法
あなたの周囲に皮肉屋はいませんか?もし近くに皮肉屋がいて、その人の皮肉に悩まされている場合、何らかの対処方法を取る必要があります。皮肉屋にありがちの特徴や性格については理解してきました。
コンプレックスから来る皮肉、構って欲しいから放つ皮肉など、皮肉屋はさまざまな場面で皮肉を言います。皮肉を言われた時、どう対処していけばいいか見ていきましょう。
皮肉をスルー
皮肉屋に皮肉を言われた時の対処法としてまず挙げられるのは、皮肉をスルーすることです。皮肉屋の発言をいちいち真に受けていたら、気持ちが暗くなったり、ストレスがたまったりします。
皮肉屋が皮肉を言うのはいつものこと、大したことではないと割り切るのです。皮肉屋があなたを誹謗中傷しても、その皮肉に共感してはいけません。「ふーん」と関心がないふりをして、放っておきましょう。
皮肉屋も手ごたえがないと、自分の話は聞いてくれないんだと理解し、誹謗中傷などのマイナスな話をしなくなります。
皮肉を否定
皮肉屋とのやり取りは憂鬱なものです。できれば相手にしたくないでしょう。しかし仕事の関係者だったり、あなたの毎日に影響を与える人だった場合、無視することもできません。
そういう時は、言われた皮肉をすべて否定しましょう。皮肉屋が誰かを嘲笑したり、中傷したりしても、それに乗ってはいけません。「私はそうは思わない」と、皮肉屋が放つ皮肉をきっぱり否定しましょう。
皮肉屋は自分を認めて欲しいという願いが非常に強く、意地悪な考え方をします。皮肉を無視するあなたについての陰口をどこかで言うかもしれません。そんなことは気にしないようにしましょう。
少なくとも、あなたに対しては何を言っても否定されるからと、誹謗中傷をあなたの前でする回数は減っていくでしょう。
皮肉ですかと問い質す
皮肉屋は想像以上に、精神面がもろい傾向にあります。自分が放った皮肉に反論されると、たじろぎます。そのような性格を考えて対処しましょう。皮肉屋に皮肉を言われたら、「それは皮肉ですか?」と問い質してみましょう。
言われた皮肉を、本当に皮肉なのか聞き返すという手法です。これに懲りて、皮肉屋もあなたの前では陰口や皮肉を言わなくなっていきます。
皮肉屋とは距離をおいて上手くつき合おう
皮肉屋と話をして、嫌な思いをしたことが誰にもあるでしょう。皮肉屋は付き合っていくにはなかなか厄介な特徴を持っています。そんな皮肉屋ですが、その心理を知ることで、どう接していけばいいか対策を立てることができます。
また、自分が皮肉屋だと悩んでいる人も、心理や特徴を知ることで、自分を抑える術を見つけることができます。皮肉屋とは適度に距離を置き、ストレスの少ない付き合い方をしていきましょう。