生活保護の計算方法や受給条件まとめ！受給するメリットやデメリットも紹介！

今回は生活保護について解説していきます。最近は、生活保護をテーマにしたテレビドラマが放映されるなど、生活保護に対する注目が高まっている傾向にあります。2018年10月末現在、日本で生活を保護を受けている方は約205万人いるという調査結果があります。

生活保護を受ける際の条件や受給額の計算方法、生活保護を受ける際のメリットやデメリット、受給額を自動計算する便利なツールなどについて紹介及び解説をしていきます。

生活保護に関して、自分とは関係のない制度だと考える方も多いかもしれませんが、いつどんな生活上の変化が起こるかわかりません。周囲で生活に苦しんでいる知人がいるかもしれませんので、生活保護について知っておいて損はありません。

そもそも生活保護とはどんな制度でしょうか。生活保護は、厚生労働省が管轄の生活保護法に基づき取り扱われる制度です。諸事情により働くことができない方や極端に収入が少ない方が、最低限の生活を送ることができる支援を行なう制度になっています。

手続きなど担当窓口は、各市区町村の福祉事務所になっています。一世帯につき一人の担当者がついてくれて、自宅訪問を行なって相談を受けます。

最終的には、生活保護を通して自立を促すことを目標にしていますが、実際にはなかなか自立できるケースが多くないのが現状です。

生活保護には、細かく分けて8種類あります。生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8種類です。住宅扶助や出産扶助など生活保護を受ける本人に支給される形式が主流です。

一方で、医療扶助や介護扶助のように、自己負担なしで医療機関などに直接行政から支払いがなされるものもあります。

上記8種類以外に、緊急時などに一時的に扶助がなされることもあります。例えば、自宅が災害に見舞われ破損してしまったときの修繕費や急な入院の為入院費が必要になるケースなどが挙げられます。毎月の保護費に加え、基準の範囲内で支給されます。

また、状況によっては生活保護費に加算がされることがあります。妊婦加算（妊娠が確認された翌月から加算）、産婦加算（出産後最長6カ月支給）などがあります。

他にも、母子加算（ひとり親の場合に支給）、児童養育加算（児童がいる世帯）、障害者加算（障碍者手帳の1～3級の場合）、冬季加算（冬期の暖房代）などです。

加算される金額は、自治体や世帯の内容、障碍者等級により異なります。詳しい支給額などの確認をしたい場合は、管轄の福祉事務所に問い合わせをすることをお勧めします。

生活保護がどんな制度なのか紹介をしましたが、続いては生活保護を受けるための条件に付いて解説をします。生活保護を受けるために必要な条件は、4つあります。基本的には4つすべての条件に該当をしないと、生活保護を受けることはできません。

一世帯に本人以外の家族がいる場合、その家族全員が4つの条件を満たしていないと生活保護を受けることができなくなるので注意しましょう。

また、自治体などによっても細かい仕様が異なることもあるので、詳細は各管轄の福祉事務所にあらかじめ確認をしておくと安心です。

生活保護を受けるための条件の一つ目は、資産を持ち合わせていないことです。ここでいう資産とは、現金や預金などの金銭的な貯蓄に加え、自宅などの不動産及び自家用車などの資産が該当します。

これらを持っている場合は、すべて売却などの処分をして生活費に補てんしたうえで生活が立ち行かないかどうかの判断をします。

生活保護を受けるための条件の二つ目は、生活保護以外の制度を利用できないことが挙げられます。生活の保護をしてくれる制度には、生活保護制度以外にもいくつかあります。

母子寡婦福祉資金や求職者支援などがその代表例ですが、これらを受給できる資格を有している場合は、生活保護を受けることができません。

様々な条件により、受給できる制度があるかもしれません。いろんな生活保護関連の制度を調べて、自分の家庭に該当するものがないかきちんと確認をした上で生活保護の利用を検討しましょう。

生活保護を受けるための条件の三つ目は、諸事情により働きたくても働くことができないことです。病気やケガ、先天的な疾患などの要因で働くことができない人が該当します。

働きたくても働けないといっても、他に十分な収入がある方はこの条件をクリアしたことにはなりません。例えば高齢者が十分な年金を受給しているケースなどが挙げられます。

働けないと言っても収入が十分にあると見なされ、生活保護の支給要件を満たさないことになります。

生活保護を受けるための条件の四つ目は、家族や親族などからの支援を受けることができない場合です。本人に収入や資産がなくても、近親者で資産を持っていたり十分な収入を得ていることが確認できる場合は、生活保護を受けることができません。

以上の4つの条件をすべて満たしたうえで、本人の収入金額と厚生労働省が定める「最低生活費」を比較し、収入が最低生活費を下回っていた場合に限り生活保護を受給することができます。生活保護受給を検討する方はあらかじめ諸条件をチェックしておきましょう。

生活保護を受けるための4つの条件に付いて解説をしました。続いては、生活保護を受けられるケースを事情別に解説していきます。上記4つの条件を満たしていなくても、各状況を勘案して生活保護を受けられるケースも存在します。

上記4条件を満たしていないからと言って最初からあきらめるのではなく、疑問や不安がある場合は一度個別に福祉事務所に問い合わせをしてみることをお勧めします。場合によっては生活保護を受給することができるかもしれません。

生活保護を受給するための条件の一つに、資産を持っていないというものがありますが、自宅用の不動産を持っていても生活保護が受給できるケースもあり得ます。

生活スタイルに見合わないほど価値の高い住まいを保有している場合は売却をするよう促されますが、それほど価値が高くない住まいの場合は例外があり得ます。

別のアパートなどに引っ越して家賃扶助を受給するよりも現状の住まいで生活したほうが費用が安上がりの場合は、持ち家のままで生活保護を受給することができるケースがあります。自家用車保有のケースでも、マイカー保有のまま生活保護を受けられるケースがあり得ます。

生活保護受給の条件の一つに、他の制度から扶助を受けている場合は生活保護が受けられないというものがありますが、例外的に年金を受け取っていても生活保護が受けられることもあります。年金額が非常に少ないケースの場合です。

年金収入が最低生活費を下回る場合、その差額が生活保護として支給されます。具体的な計算方法は以下です。年金額が5万円と想定しています。

最低生活費13万ー年金額5万＝生活保護8万円となります。ただ、これは高齢者のみに該当し、働ける状態の方はまずは就業を勧められます。

母子家庭あるいは父子家庭の場合は、生活保護の前に母子寡婦福祉資金の申請を勧められます。母子寡婦福祉資金とは、母子家庭の方が無利息あるいは低利息で生活資金を借りることができる制度の事です。

子供の大学進学に要する費用としても活用でき、返済もそれほど厳しくないというメリットがあります。実際、生活保護を受けている世帯のうち、母子家庭の割合はおよそ5%程度しかありません。

現実的には、母子家庭の方は母子寡婦福祉資金を利用しているケースが多いという結果を表しています。

身体的な疾患や病気だけではなく、精神障害者の方も生活保護を受けることができます。精神障害者とは、うつ病やパニック障害になってしまった人のことです。生活保護のうち、障害者加算も受けることができ、受給額を増やすことができます。

精神障害者の方は、見た目では判断が難しい面もあるので、医師の診断書で状態の確認をします。精神障碍者の方で生活保護の受給申請をする際には、医師の診断書を受領しておくことをお勧めします。

生活保護の受給につきケースごとに紹介をしました。続いては、生活保護を受けるメリットについて解説します。生活保護を受けることに抵抗を感じている方も多く、デメリットの方を心配する方も多いですが、メリットもたくさんあるので総合的に判断するべきです。

生活保護で受けられる受給額のシミュレーションを最近は簡単に専門ツールで行なうこともできます。保護受給の検討をしている方は、あらかじめ専門ツールを使ってシミュレーションをしてみることをお勧めします。

生活保護を受給するメリットの一つ目は、必要最低限の生活費が受け取れる点です。前述のように、八項目の扶助項目があり、それぞれに該当すると認定された場合、受給額を受け取ることができます。

家族の有無、子供の年齢などにより認定される扶助項目が変わってきて、受給額も変動します。注意するべきは、申請しないと扶助を受けられないことです。まずは福祉事務所に問い合わせましょう。また、専門ツールで受給額の試算をしておくと安心です。

生活保護を受給するメリットの二つ目は、生活保護受給中は各種支払いが免除される点です。免除される項目は多岐にわたります。

国民年金保険料や国民健康保険料などの社会保険料金、所得税及び住民税、固定資産税などの税金、医療費や介護サービス利用料、NHK受信料、水道料金の基本料などが該当します。

ここで注意するべきこととしては、各項目ごとに申請が必要になるケースがあることです。生活保護が認定されたら自動的に支払いがストップするわけではないと考えておくべきです。詳しくは自治体ごとに取り組みが異なるので個別に相談することをお勧めします。

生活保護を受けるメリットについて紹介しましたが、もちろん反対にデメリットもあります。メリットとデメリットの両方を確認して、総合的に判断して生活保護の申請をするかどうかを検討してみましょう。

いろんなケースが考えられるので、個別に自分のケースを試算してみることをお勧めします。簡単に自動計算できる専門ツールなどを活用してあらかじめどれくらいの受給額を得られるのか把握しておきましょう。

生活保護を受けると発生するデメリットの一つ目は、自動車などの所有に制限がかかることです。一般的にぜいたく品と判断されるものは所有することができなくなります。自動車や宝飾品、不動産などがこれに該当します。また、生命保険の契約にも制限がかかります。

ぜいたく品かどうかの判断は、自治体によって異なることも多いので、生活保護を受け始めてから買い物をする際にはあらかじめ福祉事務所に確認をしておく方が無難です。

生活保護を受けると発生するデメリットの二つ目は、各種ローンが組めなくなることです。住宅ローンはもちろんの事、消費者金融やキャッシングなどのカードローンなどの借り入れも受けることができなくなります。

同時に、クレジットカードの所有も不可能になってしまうケースもあります。ローンだけでなくクレジット払いも利用することができなくなるケースが起こるので、生活上で大きな不便だと感じる方も多いかもしれません。

ばれなければ大丈夫だと、カードの利用を無断ですることは絶対にやめましょう。発覚した際には、生活保護受給額の返還を求められることもあり、その後の生活保護の申請ができなくなるケースもあります。

生活保護を受けると発生するデメリットの三つ目は、定期的に担当者が自宅に訪問して面談をしなければならない点です。自治体によってその頻度は異なりますが、一般的には年に3～4回のケースが多いとされています。

面談の内容は、収入の状況報告や求職活動の状況をヒアリングされます。また、資産の状況確認として、通帳を見せるよう求められます。面談前には日程調整で事前に連絡をくれるケースが多いですが中には抜き打ちで自宅を訪ねてくるケースもあります。

生活保護を受けるデメリットの解説をしましたが、続いては具体的な生活保護の計算方法について解説します。生活保護の受給額の計算は、扶助の種類も多く家庭ごとのケースがまちまちですので、いろんな計算結果が考えられます。

生活保護の申請をする前にどれくらいの受給額になるのか確認しておきたい場合は専門のツールなどが用意されているので確認しましょう。また、福祉事務所に問い合わせると相談に応じてくれます。

生活保護の基本的な計算の仕方としては、まず各家庭の状況を勘案して最低生活費を算出し、そこから認定される収入額を差し引くことで受給額が決定します。最低生活費は、自治体ごとに基準が異なりますし、扶助項目の有無により各家庭で異なります。

いろんなケースが考えられるので、自分で確実な計算結果を得るのは難しくなります。事前に福祉事務所などに問い合わせをして確認しておくことをお勧めします。

生活保護の受給額を計算するうえで結果に影響を与える項目はたくさんありますが、住んでいる地域や世帯の人数も大きな要素となります。いずれも厚生労働省が基準を策定しています。

まず地域による分類は、日本全国を6つに分類してそれぞれ基準額を取り決めています。地域ごとの物価や生活様式などを勘案して定められています。

世帯の人数については、もちろん人数が増えるほど生活保護受給額も増えることになりますが、生活費が人数に比例するということはありません。逓減率が設けられ人数が増えることで保護費が課題に膨れることを防ぐ規定があります。

ここまで紹介した内容の中で、「最低生活費」という言葉を何度か使ってきましたが、これはどんな内容のものでしょうか。言葉通り、最低限度の生活を送るために必要な金額の事です。

この金額の計算をするためには家庭の人数や住まいの場所などを考慮して、全てを総合的に見る必要があります。

生活保護の主要な部分としては、生活扶助が挙げられます。これに、各家庭の条件に応じて加算支給がなされていきます。学童年齢の子供がいる場合は教育扶助が加算されるなどといった扱いになります。

生活保護の基本となる生活扶助の受給額の計算の順序を紹介します。生活扶助は大きく分けて二つに分類できます。第一類が飲食費や被服費など個人の出費にあたる部分、第二類が光熱費など家族で共通の部分となります。

まず第一類を計算します。これは、住んでいる地域によって規定されます。これに家族の人数に応じた逓減率を乗じます。算出された金額に第二類の金額を加算したものが生活扶助の金額となります。

生活扶助の規準を決める際には、住んでいる地域がキーとなります。日本全国を6つに分類して、分類ごとの規準を設けています。物価や生活水準の差を生活保護基準に反映させることが目的となっています。

分類の名称は、1級地から3級地の3分類と、それぞれ1と2に分類され、合計6分類となります。1級地の1は、東京都や大阪府などの首都圏や主要都市の地域が該当します。

生活保護の計算方法を紹介してきましたが、最後に具体的な家族構成や生活圏における生活保護金額の事例を紹介します。受給額を計算するのは結構難しいので、専門のツールを使ってシミュレーションしてみるのも有効な手段です。

生活保護の計算例の一つ目は、単身世帯で東京23区内に住む人の場合を紹介します。収入はアルバイトの7万円とします。東京都23区は1級地の1で、この地域の単身での逓減率は1.0となっています。

この例の場合、生活扶助と住宅扶助が支給対象となります。生活扶助の第一類が38,430円、第二類が40,800円、住宅扶助が53,700円となり、合計が132,930円となります。ここからアルバイト収入の7万円を差引いた62,930円が生活保護給付額となります。

生活保護の計算例の二つ目は、3人世帯で北海道函館市に住む人の紹介です。夫婦と2歳の子供の家庭を想定します。体質的に長時間労働が不可能で、毎月の収入は10万円とします。

函館市は2級地-1で、3人世帯の逓減率は0.8350%になります。これをもとに生活保護の金額を計算します。生活扶助、住宅扶助に加え、児童養育加算を受給できます。これらの合計額は189,120円で、10万円の収入を差し引き、89,120円が受給額となります。

生活保護の計算例の三つ目は、単身高齢者で愛知県犬山市に住む人の事例です。年金など、収入は全くないものとします。犬山市は3級地-1となり、単身の逓減率は1.0％です。

こちらの場合は、生活扶助と住宅扶助が対象になります。合計で103,860円となり、収入はありませんのでこの金額がそのまま保護受給額となります。

上記のような計算例を見てもわかるように、十分に制度の仕組みを理解していないと簡単に受給額を計算することはできません。知識がなくてもある程度の受給額を知りたい場合は、専門のツールを利用すると便利です。

いろんなツールが用意されていますが、インターネットで無料で利用できる計算ツールもあります。こちらのツールでは、住んでいる地域や世帯の人数など所定の項目を入力するだけで自動的に受給額を計算してくれる便利なツールです。

こちらのツールを利用すると、基本の扶助だけでなく個別の加算内容にも対応してくれるので、ある程度ツールを利用して正確な保護金額を算出することができます。

以上、生活保護について紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。生活保護の制度の説明、受給の条件、受給した際のメリットとデメリット、計算例と計算の際に便利なツールなどについて解説してきました。

制度のメリットとデメリットを十分に理解し、最も経済的な選択ができるよう、事前に制度の内容を理解しましょう。自分の家族にとって一番メリットの大きな制度を選べるようにしましょう。