奨学金の返済について徹底解説!
今や大学等に進学する際に奨学金を借りる人は、半数を超えているという説もあります。奨学金と言う勉学のためのお金といっても、お金を借りていることには変わりありません。
「早く奨学金を返済したい」と思う方も多いでしょう。そのときに思い浮かぶのが「一括返済」や「繰り上げ返済」という方法です。これら奨学金の返済の方法について徹底解説します。
そもそも奨学金とは?
そもそも奨学金とは何なのでしょうか。奨学金とは、学校に通う費用を工面するお金として、給付または貸与されるものです。奨学金の多くは貸与型のものです。今や多くの学生が進学する際にお金を得る方法として、奨学金を利用します。
高校卒業後に大学や専門学校等の費用としてに借りられることの多い、日本学生支援機構の貸与型奨学金がポピュラーです。
この記事では、よく利用されている日本学生支援機構の奨学金を取り扱います。日本学生支援機構の奨学金は、貸与がおわる学校卒業の次の月から数えて7か月後から返済が請求されます。日本学生支援機構の奨学金には第一種奨学金と第二種奨学金があります。以下では、日本学生支援機構の第一種奨学金と第二種奨学金についてご紹介します。
第一種奨学金
第一種奨学金は、無利息で借りることができるのが大きな魅力です。しかし、第一種奨学金を借りるには条件があり、その基準は、学力と家計に別れます。成績優秀で経済的に困難な学生が借りることができます。成績優秀でなくても経済的に困難であれば、第一種奨学金を借りれる場合もあるので日本学生支援機構に確認しましょう。
第二種奨学金
第一種奨学金に対して第二種奨学金は利息があります。しかし、他のローンと比べても年間3%を上限とする低利息であり良心的であると言えるでしょう。さらに、在学中は無利子です。第二種奨学金を借りる条件は第一種奨学金を借りる条件より優しいと言え、借りられる可能性が高いです。
奨学金の一括返済・繰り上げ返済はした方が良い?
奨学金を早く返したいという気持ちは誰でも一緒でしょう。早く奨学金を返済する方法として、一括返済・繰り上げ返済があります。一括返済は、その名の通り借りた奨学金を一度に返済する方法です。繰り上げ返済は毎月の返済とはまた別に、借りた奨学金の一部分を返済する方法です。奨学金の一括返済・繰り上げ返済はした方が良いのでしょうか。
貯金次第で一括返済・繰り上げ返済
ベースになる考えとして、貯金次第で一括返済・繰り上げ返済をしようというものがあります。なぜならば、一括返済・繰り上げ返済をしたから貯金が無くなり、生活がカツカツになる可能性もあるといったデメリットがあるからです。もちろん、メリットもあるので、余裕のある貯金があるのならば、一括返済・繰り上げ返済を検討したほうが良いでしょう。
住宅ローンを組む際に影響
もし、奨学金の一括返済・繰り上げ返済を行っていると、住宅ローンを組む際にどのような影響があるでしょうか。
重要なのは、奨学金は借金とほぼ同じであるということです。借金とほぼ同じであるため、奨学金の返済が残っている状態で住宅ローンを組むと、金利が高くなる可能性もあります。
もし、将来の計画の中に住宅を購入することが含まれているのならば、奨学金を返済しておいた方がお得に住宅を購入することができます。
また、繰り上げ返済でも残りの奨学金を返済する金額が少なくなるので、住宅ローンを組みやすくなる可能性があります。早く住宅を購入したいのならば、奨学金を一括返済することをお勧めします。
奨学金の一括返済・繰り上げ返済のメリット
奨学金を早く返済する方法として、一括返済・繰り上げ返済という方法があることを紹介しました。では、奨学金の一括返済・繰り上げ返済のメリットにはなにがあるのでしょうか。
ここでは、メリットを4点「返済期間の短縮」「手数料が掛からない」「利息が無くなる(第二種のみ)」「奨学金に回していたお金を貯金できる」を詳しく解説していきます。
メリット①返済期間の短縮
まず奨学金の一括返済・繰り上げ返済のメリットとして、返済期間の短縮が挙げられます。奨学金の返済年月は人によって異なりますが、だいたい14年~20年になります。
もし、大学を卒業したのが22歳であれば、奨学金の返済は36歳~42歳に渡ります。この年齢の間に結婚や住宅の購入、出産を検討する方も多いでしょう。
奨学金を一括返済・繰り上げ返済しておけば、結婚等の支出が多いときに奨学金の返済請求がないのでお金の心配は減るでしょう。
メリット②手数料が掛からない
奨学金の一括返済・繰り上げ返済のメリットの2つ目として、手数料が掛からないことが挙げられます。住宅ローン等の他の借金であれば、一括返済・繰り上げ返済をした際に手数料をとられる可能性があります。しかし、日本学生支援機構の奨学金であれば、一括返済・繰り上げ返済しても手数料は掛かりません。
メリット③利息が無くなる(第二種のみ)
奨学金の一括返済・繰り上げ返済のメリットの3つ目として、利息が無くなることが挙げられます。しかし、日本学生支援機構の第一種奨学金は元々無利息です。第一種奨学金はこのメリットの対象外になるので注意してください。
第二種の利息の値段は最初が一番高く、段々と減っていきます。なので第二種で一括返済・繰り上げ返済を考えているならば、早めにしておいた方がお得だと言えます。
メリット④奨学金に回していたお金を貯金できる
奨学金の一括返済・繰り上げ返済のメリットの4つ目として、奨学金に回していたお金を貯金できることが挙げられます。
奨学金の月々の返済請求額は人によってそれぞれですが、月々1万円ほど返済していたとします。一括返済し、奨学金の返済に充てていたお金を全額貯金すると、1年で12万円も貯金することができます。
最近、金融庁が年金や退職金が減る可能性があるとして、資産運用を呼び掛けています。結婚・出産、住宅の購入、老後の生活などはどうしてもお金がかかります。人生の重大なイベントへの資金準備として、奨学金の一括返済・繰り上げ返済を考慮してみるのも良いでしょう。
奨学金の一括返済・繰り上げ返済のデメリット
先ほど、奨学金の一括返済・繰り上げ返済のメリットをご紹介しましたが、一方で奨学金の一括返済・繰り上げ返済のデメリットがあることも事実です。
ここでは、奨学金の一括返済・繰り上げ返済のデメリット3点「貯金の減少」「奨学金以外を返済した方が良い場合も」「インフレリスク」を解説します。
デメリット①貯金の減少
まず、奨学金の一括返済・繰り上げ返済のデメリットとして、貯金の減少が挙げられます。もし、一括返済・繰り上げ返済を行い貯金が無くなったときに、急な支出や請求があれば金銭的余裕がなくなります。一括返済・繰り上げ返済をしたいのであれば、周到なシュミレーションをお勧めします。
デメリット②奨学金以外を返済した方が良い場合も
奨学金の一括返済・繰り上げ返済のデメリットの2つ目として、奨学金以外を返済した方が良い場合もあるということが挙げられます。
第二種奨学金は他の借金に比べて利息が低く、良心的です。ましてや第一種奨学金は無利息です。もし、奨学金を一括返済・繰り上げ返済を行って、他の借金の請求に喘いでしまえば、本末転倒です。奨学金以外にお金を借りているのであれば、そちらの返済を先にする事をお勧めします。
デメリット③インフレリスク
奨学金の一括返済・繰り上げ返済のデメリットの3つ目として、インフレリスクがあることが挙げられます。そもそもインフレとは、インフレーションの略称で、お金の価値が下降し、物価が上昇することです。
インフレが起これば、借りている奨学金が相対的に少なくなります。そうすると、一括返済・繰り上げ返済をした際に損してしまうことになります。しかし、インフレーションはいつ起こるか分かりません。予測不可能なので、これが正しいと言ったことはありません。
奨学金の一括返済・繰り上げ返済をする前に
奨学金の一括返済・繰り上げ返済のメリットとデメリットを紹介しました。このメリットとデメリットを考慮して、奨学金の一括返済・繰り上げ返済を決意された方もいるでしょう。
しかし、奨学金の一括返済・繰り上げ返済をする前に気を付けなければならないことがあります。以下では奨学金の一括返済・繰り上げ返済をする前に注意することを説明します。
一括返済・繰り上げ返済による資金不足の注意
まず、一括返済・繰り上げ返済による資金不足に注意しましょう。確かに、一括返済・繰り上げ返済をすると、借りているお金が無くなる・減るので、気持ちに余裕が生まれます。しかし、一括返済・繰り上げ返済をすると貯金が無くなる・減ることも事実です。結婚・出産するのに資金がない、と言ったことがないようにしましょう。
計画して返済
貯金が無くなる・減るということで、結婚や出産、また、住宅を購入するときに資金がない、といったことがないように計画して返済することをお勧めします。また、このような予定がないと言っても、慶事・弔事等で急な出費があることもあり得ます。
このようなことを考えると、貯金をある程度残しておいた方が賢明でしょう。奨学金を一括返済・繰り上げ返済する際には、未来をしっかり見通し、計画を綿密に練ってするようにしましょう。
他のローンを組むと利息が高い
奨学金を一括返済・繰り上げ返済する際に頭に入れて置くと良いのが、他のローンを組むと利息が高いと言う事です。奨学金を一括返済・繰り上げ返済したいから、と言って他のローンを組むと奨学金より利息が高い可能性があります。極力、他のローンは借りないようにしましょう。
金利の低い奨学金を上手く利用
他のローンを組むと利息が高いことをお伝えしましたが、一括返済・繰り上げ返済に回せる貯金があるのならば、FXやなにかチャレンジしたいことに投資することもお勧めします。特に第一種奨学金を借りている方は無利子なので、他のローンを借りるより、金利の低い奨学金を上手く利用すると良いでしょう。
奨学金の滞納は一括返還が請求される
奨学金の滞納は一括返還が請求されます。まず、奨学金を3か月滞納するとブラックリストに入ってしまいます。
ブラックリストに入ってしまうということは、新たに借金やローンをすることが難しくなります。また、クレジットカードの支払いが不可能になってしまいます。
そもそも、奨学金を借りている人の権利として、分割返済が可能であることが挙げられます。しかし、返済をしていないと、期間利益の喪失となり、二種奨学金の人は、利息も含めて一括返済が請求されます。もちろんこれは第一種奨学金も一緒で、一括返済を請求されます。このようなことがないように、計画的に返済計画を立てましょう。
返済が出来ない時の返済方法
奨学金の返済ができない時の返済方法として、どのようなものがあるでしょうか。滞納前であれば、他の消費者金融機関等からお金を借りる、つまり借金をして返すことができます。しかし、ほとんどの場合奨学金より利息が高いので推奨できません。借金に借金を重ねてしまうといっても過言ではなく、将来を考えると危険であると言えます。
奨学金の返済の滞納後であれば、ブラックリストに入ってしまっているので、他の消費者金融機関等からお金を借りることさえできません。ですので、一括請求されても払えないというジレンマに陥ってしまいます。
しっかりと奨学金返済のお金を準備しておくのは大前提ですが、奨学金を滞納してしまい、一括請求されても返済できないときの方法はあるのでしょうか。
減額や免除を利用
減額や免除を利用する方法があります。日本学生支援機構が提示する条件に当てはまれば、減額や免除または返済の猶予を許可してもらえる可能性があります。
減額の条件としては、月々払う額を減額すれば、奨学金の全額返済が可能である人であることが挙げられます。また、経済的に返済が難しいことも条件に含まれます。気を付けなければならないのは、ここで言う減額とは、奨学金の返済額が減額される訳ではないことです。きちんと全額請求されます。月々の払う額が減額されるということに注意しましょう。
そして、減額や免除、返済の猶予が適用されるのは、返済が滞っていない場合に限ります。返済を滞らせると利用できない可能性があるので注意してください。もし返済が難しい場合は、返済を滞らせたり、他のローンを組んだりする前に、減額や免除が利用できないか日本学生支援機構に問い合わせ、確認してみましょう。
債務整理を利用
返済を延滞してしまい、一括請求されても払えない場合もあるでしょう。そんな時の最終手段として、債務整理を利用する方法があります。
奨学金は、借金と同じように債務整理が可能です。債務整理は法的措置になり、国が認めている措置となります。メリットは、奨学金を返済する義務からは外されることです。デメリットは新たにローンや借金が出来なくなる可能性があることです。あくまで最終手段として頭に入れておきましょう。
奨学金の一括返済・繰り上げ返済は計画的にしよう!
これまで、奨学金の一括返済・繰り上げ返済についてご紹介しました。一括返済・繰り上げ返済のメリットとして、返済期間の短縮できる、手数料が掛からない、第二種奨学金だと利息が無くなる、奨学金に回していたお金を貯金できる等のメリットがあります。
しかし、貯金が減る、奨学金以外を返済した方が良い場合がある、インフレリスクがある等、デメリットもあることも事実です。
メリットとデメリットを考えて、奨学金を一括返済または繰り上げ返済するか決めましょう。奨学金を一括返済・繰り上げ返済する際は、自分自身の人生計画等を綿密に考え行うようにしましょう。