振替払出証書とは?
今回は、振替払出証書について説明をしていきます。そもそも振替払出証書とはどのような書類なのでしょうか。普段の生活ではあまり手にする機会は多くありません。振替払出証書は、ゆうちょ銀行が提供するサービスの一つで、ゆうちょ銀行の口座を利用して特定の人にお金を渡したいときに利用するものです。
利用する企業側としては、ゆうちょ銀行に各種処理を一任することができるなどのメリットもあり、利用されるケースは少なくありません。ただ、受け取る側としてはかなりレアなケースですので、受け取ったときは慌てることなく対処しましょう。
現金受け取りができる証書
振替払出証書を払い出す側は、ゆうちょ銀行との契約に基づき手続きをします。ゆうちょ銀行から、振替払出証書が現金を渡したい相手に対し郵送されます。振替払出証書を受け取った側は、ゆうちょ銀行の窓口に書類を持ち込むことで換金することができます。
振替払出証書の受け取りから換金するまでには一定の期限があったり、受け取り者の本人確認が必要になったりと、手続きとしては面倒な部分も多いですが、振替払出証書を払い出す側としてはお金を渡したい相手の銀行口座などを確認する必要がないなどのメリットもあります。
振替払出証書が送付される場合
振替払出証書が利用されるケースというのはどんなものがあるのでしょうか。企業側で実施するキャッシュバックキャンペーンの際の金銭授受のケースや、申込金を受け取ったものの抽選から漏れた相手に対して返金するケースなどがあります。
振替払出証書を利用する際には、企業側はゆうちょ銀行と契約を行ない、専用のフォーマットで申し込みをします。受け取り人の住所や氏名、メッセージなどをフォームに記載しゆうちょ銀行に依頼します。ゆうちょ銀行は振替払出証書を発行、受け取り人に対し郵送するという手続きの流れになります。
払出振替証書の書き方
振替払出証書を受け取った場合、ゆうちょ銀行の窓口に持ち込んで換金をする必要がありますが、その前に振替払出証書に記載が必要な事項があります。あまり扱うことが多くない書類ですから戸惑う方も多いかもしれませんが、書き方としてはそれほど難しいことはありませんので、間違えないよう気を付けて対応しましょう。
氏名住所の記述と押印
振替払出証書の書き方・記載する内容としては、住所と氏名だけです。振替払出証書の表面の左下あたりにある記載欄に書き方指示のある通り、おところ・おなまえ欄に住所氏名を記載し、右の印の箇所に捺印をするだけです。印鑑は認印で問題ありません。シャチハタは、念のため避けておくことをおすすめします。
振替払出証書への記載および捺印が終われば、本人確認書類を持ってゆうちょ銀行の窓口に行って手続きをすることになります。金額によっては本人確認が不要となるケースもありますが、念のため持っておく方が無難です。
代理人の場合は「委任欄」に記述
振替払出証書は、原則としては受け取り人が手続きをする必要があります。しかしどうしても郵便局の窓口に行けないケースもあります。そんな時には代理人が窓口に行って現金の受け取りをするという方法もあります。
代理受け取りをする場合は、振替払出証書の裏面にある委任欄に記載が必要になります。窓口に行く人の氏名を代理人欄に記載し、実際の受け取り人が委任者欄に記載をして捺印をします。この場合、表面は代理で受け取りをする窓口に行く方の住所氏名を記載しないといけないので注意しましょう。こちらを誤って受け取り人の情報を記載するケースがあります。
収入印紙の貼り付けは不要
振替払出証書の表面の右下に、収入印紙を張り付ける欄があります。収入印紙とは、領収証や有価証券など、定められた書面に貼ることで印紙税を納税するというものですが、振替払出証書については営業目的の書面ではないなど貼付けする要件を満たしていません。こちらは受け取り人側で準備する必要はありません。
もし誤って収入印紙を貼り付けしてしまった場合、最寄りの税務署などで印紙税の還付手続きを受けることができますが、この処理には時間と手間がかかります。収入印紙貼付け欄があるからといって不用意に印紙を張り付けることの無いよう注意しましょう。
振替払出証書の手続き方法
ここまで、振替払出証書の紙面への書き方について紹介してきました。一般的な書き方と代理人に委託する際の書き方も説明しました。ここでは、ゆうちょ銀行窓口で換金する手続きの方法などについて、細かく解説していきます。窓口で提出を求められる可能性のある資料や、換金することのできる時間帯等について詳細を説明していきます。
換金時に必要な物
まず、振替払出証書を換金するために必要となる書類としては、本人確認書類が挙げられます。これは、運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなどが該当します。訪れる窓口によって認められる書類が異なることもありますので、窓口に行く前に事前に確認をしておくことをおすすめします。
金額など諸条件によっては本人確認の手続きが必要でないこともあり得ます。もちろん念のため該当資料は持っておくに越したことはありませんが、窓口によっても扱いが異なるので事前に確認をしておきましょう。
現金受取は郵貯銀行の「貯金窓口」
振替払出証書の換金手続きができる場所は、ゆうちょ銀行の「貯金窓口」になります。郵便局は、郵便関係の窓口と貯金関係の窓口の二種類に分かれていることが多いですが、そのうちの貯金窓口で振替払出証書を換金することができます。ゆうちょ銀行を訪れたときによくわからなければ、行員の方に聞くと安心です。
貯金窓口で手続き可能な時間帯
振替払出証書の換金をすることができる時間帯は、ゆうちょ窓口によって異なることもありますが、午前9時から午後4時までという設定をしているところが多いです。首都圏の大型窓口だと、午後6時まで受付してくれるところも例外的にあります。訪れる窓口に問い合わせをして、換金可能時間をあらかじめ確認しておきましょう。
なお、基本的に貯金窓口は平日しか営業していません。平日に時間がとりにくいからといって、土日祝日に窓口を訪れても、対応してもらえないことが大半ですので気を付けましょう。どうしても平日に行くことが難しい方は、代理受領を検討してみてください。
代理人の手続き方法
振替払出証書は、ゆうちょ銀行の窓口に平日の決まった時間に行く必要があるので、忙しいなどの理由で行くことが難しい方は、代理人による受け取りを検討しましょう。代理人には、親類でなければいけないなどの要件はなく、だれでもなることができます。
前述のように、振替払出証書の裏面に、書き方にそって必要事項を記入し、表面に代理人の方が署名捺印をするだけです。あとは、代理人の方が窓口に行くことで換金することが可能です。通常代理人を擁立する際は委任状などが必要になることが多いですが、振替払出証書の換金についてはその必要はありません。
住所変更した場合の対処方法
ここまで、振替払出証書の換金手続き方法について、その基本的な流れを紹介してきました。ここではイレギュラーなケースですが、引っ越しなどで住所が変更となっている場合などの対処方法について紹介します。振替払出証書は受け取りから6カ月以内に換金するというルールがあるので、振替払出証書を受け取ってから引っ越しをするケースはあり得ます。
本人確認書類と振替払出証書の住所が違うケース
ゆうちょ銀行窓口で換金手続きをする際に、振替払出証書の送付先住所と本人確認書類の住所が異なる場合があります。振替払出証書を受け取ってから引っ越しをした場合などが該当します。この場合には換金ができないかと言えばそうではありません。
窓口によっては、住所確認を明確にしないことも多いので、本人の確認が取れれば換金できる場合も少なくありません。ただ、旧住所に居住していたことが分かる書類を用意しておいた方が無難です。振替払出証書の書き方自体は通常通りで問題ありません。
住所が異なることで振替払出証書が届かないケース
振替払出証書を受け取る前に引っ越しをした場合など、振替払出証書が自宅に届かない場合はどうすればいいでしょうか。この場合は、郵便局ではなく、発行依頼元の企業などに問い合わせをすることが必要です。
発行依頼元の企業などに連絡をして、住所が変更となったことを伝えれば、再度新住所へ送付してもらうこともできます。振替払出証書の存在を忘れてしまい、6ヶ月の期限を超過してしまうことも考えられるので気を付けましょう。
振替払出証書の期限が切れた場合は?
ここまで、引っ越しなどで住所が変わった時のトラブルでの対処方法について解説してきました。ここでは振替払出証書の有効期限が過ぎてしまった場合の対処方法について解説します。振替払出証書には期限があり、期限内に換金することが必要です。
ただ、平日の決められた時間内にゆうちょ銀行へ行かなければならず、期限までに手続き出来ないという方も結構います。期限が過ぎてしまったからとあきらめる前に、やれることをやってみましょう。
振替払出証書の手続きは「6カ月以内」
振替払出証書の有効期限は、一般的に6カ月となっています。この期限内にゆうちょ銀行の窓口に行って換金手続きを取る必要があります。ただ、忙しい方などで後回しにしていていつの間にか期限が切れてしまったということも多いようです。
そんな時には、郵便局の貯金窓口で再発行の依頼をすることができます。この手続きを取ることで、6ヶ月という有効期限が過ぎていても換金することが可能になります。
発行日から5年が経過した場合
上記のように、6ヶ月の有効期限が過ぎても、再発行手続きを窓口で行なえば問題なく換金できるのですが、振替払出証書発行から5年を過ぎるとこの再発行手続きができなくなり、完全に証書は失効となってしまいます。
金額が大きい振替払出証書だと、失効となってしまった場合の損失はとても大きいので、何とか時間を見つけて、あるいは代理人を見つけて、5年以内に換金するように心がけるようにしましょう。
振替払出証書を紛失した際の対処方法
ここまで、振替払出証書の有効期限が過ぎたケースについて紹介してきました。ここでは、せっかく受け取った振替払出証書の紛失時の対処方法について解説をします。紛失時には、もうあきらめないといけないかと言えばそうではありません。
振替払出証書は大事な書類ですので、紛失時のことを想定する前に早めに換金することをおすすめしますが、忙しいなどの理由で換金できずに放置した結果、紛失時のことを考えなければならないこともあり得ます。
紛失時は発行した会社に問い合わせる
振替払出証書の紛失時は、ひとまず振替払出証書の発行元の企業などに問い合わせをすることが必要になります。貯金事務センターに企業など発行元が問い合わせをしてくれて、いまだ換金されていないことが確認できたことを条件に、再発行を受けることが可能です。
紛失時の無くしたほうの証書は、その時点で失効となり、新しく再発行された振替払出証書の方のみが利用できる状態になります。紛失時は、慌てずに取り急ぎ発行元に連絡を取って指示を仰ぐようにしましょう。
返金目的の場合、金額は支払額と同額か?
振替払出証書は、紛失時でもなんとか対処できることを紹介してきました。ここでは、振替払出証書の利用目的のうち、返金目的で利用される場合の金額について解説します。各種支払いをした後、受け取り団体側から返金を受ける際、振替払出証書が利用されるケースが多いですが、この金額は、支払った全額で設定されるのでしょうか。
手数料相当額が差し引かれていることが多い
これは一概に言うことは難しいですが、一般的には手数料相当額が差し引かれることが多いです。手数料は411円一律で、郵送する際には別途郵送代がかかります。振替払出証書の額面代金には、この手数料相当額が元支払額から差し引かれている書き方が大半です。全額返ってこないということを理解しておきましょう。
手数料は一律定額で設定
振替払出証書の取扱い手数料は、一律411円で設定されています。少額の返金に対しても同様に411円がかかってしまいますので、返金額が相当目減りしてしまっていると感じるかもしれませんが、規定上の事ですのであきらめるしかありません。
どうしても支払った全額を返金してもらいたい場合は、支払先の企業などに直接問い合わせをして交渉するしかありませんが、現実的には難しいところです。
振替払出証書の有効期限や紛失時は注意しておこう
今回は、振替払出証書について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。振替払出証書を利用するケースの例、振替払出証書を受け取ったときの紙面上の書き方、代理人対応の場合の書き方、紛失時の対処方法、紛失時の再発行には期限があることなどについて解説してきました。
振替払出証書を取り扱う機会は少ないですが、大事なお金ですので、間違いなく手続きをして換金しましょう。平日しか対応できないなど制限が多く、忘れがちになってしまいますが、代理人制度など便利な対応方法も用意されているので、もれなく換金しましょう。