奨学金の利子(利率)はいくら?計算方法や固定・見直しの違いも解説

奨学金の利子(利率)はいくら?計算方法や固定・見直しの違いも解説

主に日本学生支援機構奨学金の利子・利率について説明している。日本学生支援機構奨学金には第一種奨学金と第二種奨学金の2種類がある。利子・利率がつくのは第二種奨学金の方である。また、この利子・利率の算定方法も2種類あり、固定方式と見直し方式とがある。

記事の目次

  1. 1.奨学金の利子(利率)とは
  2. 2.奨学金の固定方式と見直し方式の違い
  3. 3.奨学金の利子(利率)の計算方法
  4. 4.奨学金の実際の返還額はいくらか
  5. 5.奨学金の利子(利率)の計算方法の変更方法
  6. 6.奨学金における優秀学生のメリット
  7. 7.奨学金の利子は固定方式と見直し方式の二通り

奨学金の利子(利率)とは

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利子とは返還額に利率をかけた金額。つまり、利子付きの奨学金は借りた金よりも返還額の方が高くなる。もちろん利率が高ければ、その分利子も、つまり返還額も高くなる。利率は一番高くても3%にしかならない。つまり、借りる金額の大きさに着目して、奨学金を借りるかどうかを考えるのが重要だ。

ただ「借りればいい」という楽観的な考えはお勧めしない。もし返還を延滞した場合は、個人信用情報機関のブラックリストに登録され、当面の間、クレジットカードが作れなくなったり、ローンを組めなくなったりする。

現代キャッシュレス化が進む中でクレジットカードが作れなくなるのは普通の生活にかなり不便を強いられるだろう。その点も考慮したうえで、本記事記載の奨学金の利息について読んでいってほしい。

奨学金の利子(利率)の有無

奨学金には利子有り、利子無し、返済無し(つまり貰うだけ)の3種類が存在する。また、利子とは別に、奨学金は日本学生支援機構奨学金、大学が独自で運営している奨学金、その他財団法人の奨学金に分類わけできる。日本学生支援機構奨学金には利子有り、利子無しの2種類が存在する。

日本学生支援機構奨学金第一種は利子無し、日本学生支援機構奨学金第二種は利子有りである。この奨学金は、大学進学者がほぼ全員借りることになる奨学金である。その理由は大学進学前、つまり高校生の時点から申請することができる。

そのため、本奨学金を借りれば入学初めでバイトもしてない一人暮らしの大学生になっても困らない。また、一番有名な奨学金でもある。大学進学者はほぼ必ず、高校で本奨学金の説明会を設けられる。

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大学が独自で運営している奨学金には利子があるかどうかは大学による。これは自分が進学する大学で事前に調べる必要がある。特に広報もされていない。しかし、利子無しの場合もあるので、利子付きの日本学生支援機構奨学金第二種を借りるよりも得する場合がある。

もちろん奨学金が異なれば、月に借りれる金額、返済の仕方(年1回でまとめて何十万払う場合や月に何万かずつ払う場合)も異なる。その他財団法人の奨学金については、大学独自の奨学金と同様、様々なものがあるので調べる必要がある。

これについても利子の有無は奨学金による。1つご紹介できる奨学金は大阪造船所奨学金というものがある。これは返済無しの奨学金、つまり奨学金を頂くだけというシンプルな奨学金である。

利子(利率)の上限は決まっている

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日本学生支援機構奨学金についての利子には、利率の上限が設けられており、その上限利率は3%である(その他の奨学金は独自に様々な形態があるので、ここでは説明しない)。では、実際の金額はいくらになるか計算すると、200万円の返還額であれば、上限利率3%なので、上限利息6万円、元本(200万円)と合わせて上限返還額206万円となる。

このように利息有り無しでは、支払う金額に差が出てくる。もちろん第一種の方が、利子が無いのでお得だが、欠点もある。実は第二種の方が月々に借りれる金額が多いのである。第一種の月々の借り入れ金の最大は6万円であるのに対し、第二種は12万円である。

だからといって、月々12万借り入れしてしまっては、12万×12か月×大学4年間=576万円の返還額となる。利率が上限の3%であった場合、利息が17万2800円までにも膨れ上がる可能性がある。

奨学金の固定方式と見直し方式の違い

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日本学生支援機構奨学金の利率の計算方法には、利率固定方式と利率見直し方式の2種類がある。この方式は貸与終了時点まで、つまり奨学金を借りている途中であれば変更が可能となっている。そのため、市場金利を見ながら、在学中に利率の算定方法を見直すのもよいだろう。

返済終了まで一定の利率固定方式

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奨学金を借り終えた時点に決定した利率が返還終了時まで適用される方式である。借り終えた時点で、利子の算定方式は変更できない。つまり、利率見直し方式には変更できないので、利率を変更することはできない。利率が高いままでずっと固定される可能性もあるので、少々リスクがある。

5年目安で利率を見直す利率見直し方式

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奨学金を借り終えた時点に決定した利率を返還期間中、おおむね5年ごとに見直しする方式である。つまり、5年ごとに市場金利の動きに左右されて利率が変更される。場合によっては、利率が小さくなる可能性があるので、利率固定よりも利率見直し方式にする人が多い。ただ5年間で返還してしまう人にとっては関係ない話となる。

奨学金の利子(利率)の計算方法

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利子は利率と返還額で決まる。計算式は、「返還額×利率=利息」となる。ここで、返還額というのは、毎月返還方式であれば、その月ごとに払う返還額のことである。例えば、200万円の返還額で、利率3%であった場合は、いくらか計算すると、200万×0.03=6万円となる。

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もう1つ増額貸与を受けた場合の利率の算定方法というものがある。この算定方法に当てはまる学生の条件は3つある。私立大学の医学・歯学・薬学・獣医学を履修する課程に在学する学生の場合、法科大学院に在学する学生の場合、基本月額に加えて増額月額の貸与または入学時特別増額貸与奨学金を受けた学生の場合の3パターンである。

この増額貸与を受けた学生の奨学金の利率は、基本月額の利率と増額貸与の利率を加重平均することで決定される。基本月額の利率は通常の利率算定方法と同様、利率固定方式と利率見直し方式のどちらかが適用される。

増額貸与の利率は、原則、基本月額の利率+0.2%と計算される。つまり、基本月額の利率が3%であれば、増額貸与の利率は3.2%となる。

利率固定方式の利子(利率)

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利率は、貸与終了時点に決定した利率で固定される。利率は固定であるため、利息も固定の額を払い続けることになる。もし貸与終了時点で、市場金利が下降していれば、低い利率のまま固定となり、利率見直し方式よりも得するかもしれない。しかし、市場金利が上昇していれば、高い利率のまま固定となり、利率見直し方式よりも損するかもしれない。

利率見直し方式の利子(利率)

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利率の計算方法は市場金利に左右される。市場金利が上昇した場合、高い利率が適用される。市場金利が下降した場合、低い利率が適用される。ここで、市場金利とは、金融市場における金利のことであり、金利≒利息と捉えてもらえばいい。ただし、利率が上がったところで、上限は3%であるという決まりは変わらない。

奨学金の実際の返還額はいくらか

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奨学金には、返還する必要のある貸与型奨学金と、返還する必要のない給付型奨学金というものがある。つまり、貸与型奨学金にはちゃんと返還額の決まりがあるが、給付型奨学金は返還額=0円となる。また、日本学生支援機構奨学金の利息発生は、実際には支払い初めの月からではない。

基本的に月賦返還(毎月返還)の初回返還日は10月27日、半年賦返還(半年毎返還)の初回返還日は1月27日であり、これにより利息発生期間は変わってくる。

日本の年度変わりは4月1日なので、貸与終了月は基本的に3月となる。この期間中に発生する利息を措置期間利息と呼んでいる。

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月賦返還の場合、返還終了翌月1日~初回返還日の前月の27日までの措置期間利息がつく。例えば、返還終了が2020年3月で初回返還日が2020年10月27日の場合、措置期間は2020年4月1日~2020年9月27日となる。

ここで、借りた金額200万円、利率3%だった場合の発生する措置期間利息がいくらか計算してみよう。利息=借りた金額×利率×措置期間日数/365日 なので、200万円×0.03×(30+31+30+31+31+27)/365となり、29589円の利息がつく。

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半年賦返還の場合、返還終了翌月1日~初回返還日の6か月前の月の27日までの措置期間利息がつく。例えば、返還終了が2020年3月で初回返還日が2021年1月27日の場合、措置期間は2020年4月1日~2020年7月27日となる。

ここで、借りた金額200万円、利率3%だった場合の措置期間利息がいくらか計算してみよう。利息=借りた金額×利率×措置期間日数/365日 なので、200万円×0.03×(30+31+30+27)/365 となり、19397円の利息がつく。

この通り、月々で返還するよりも、半月毎の返還の方が利息は少なく済む。しかし、半月毎の方が月々の返還額よりも大きくなるのは確かだ。半月毎にまとまったお金を用意できる自信がないのであれば、月賦返還をお勧めする。

貸与型奨学金の返還額

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無利子の貸与型奨学金の場合は、実際の返還額=借りた金となる。有利子の貸与型奨学金の場合は、実際の返還額=返還日に支払う額+(返還日に支払う額×利率=利息)という計算になる。つまり、有利子であれば、奨学金で借りたお金よりも多くのお金を支払うことになる。

利率見直し方式の返還額

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利率が下方に見直しされれば、いくらか利息も減り、その分の返還額も減る。利率が上方に見直しされれば、いくらか利息も増え、その分の返還額も増える。そうは言っても利率が上がったところで、上限は3%である。また見直し期間も5年ごとであるので、頻繁に利率が上がったり下がったりするわけではない。

そのため、利率固定方式よりも、まだ利率が下がる可能性のある利率見直し方式を選ぶ人が多いのだろう。

奨学金の利子(利率)の計算方法の変更方法

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利率の算定方法は貸与終了までに変更することができる。場合によっては、貸与期間であっても、利率の算定方式を変更ができないことがある。普通に学生生活を送っていれば、適用されるものではない。しかし、利息が少しでも小さくなれば、返還額も小さくなり、後々楽になるので、どのパターンでは変更できないのか、注意しておく必要がある。

一定期間までは変更可能

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算定方法を変更するには、貸与終了までに次の手順で手続きを行う必要がある。まず、学校担当者に連絡し、第二種奨学金「利率の算定方法」変更届を受け取る。その後、必要事項を記入し、学校へ提出する。学校には、奨学金の手続きや説明を全般に係する事務部門がある。

学校担当者とは、その事務員のことである。提出の際も、おそらくその事務部門への提出となるだろう。もちろん、第一種奨学金には利子が発生しないので、利率の算定方式も存在しないし、「利率の算定方法」変更届もない。

変更できない場合

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次のケースに当てはまる場合、利率の算定方法は変更できない。「振込の保留、休止、停止中」、「保証方式の変更中」、「貸与期間終了後」、「第一種奨学金と入学時特別増額貸与奨学金の貸与を受けた入学時特別増額貸与奨学金」の4パターンである。特に「貸与期間終了後」に当てはまる方が多いだろう。

奨学金における優秀学生のメリット

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もちろん借りるのであれば、無利子の奨学金である第一種を借りたいところである。しかし、これは優秀な成績をおさめた学生かつ経済的に困難な学生に、借りる権利を与えられる。ここでいう「優秀」とは、もちろん学問で良い成績をおさめるという意味である。

貸与開始時に第一種を借りれなかったとしても在学中に変更は可能である。1年に1度奨学金を申請する機会があり、在学中に良い成績をおさめれば、そこで申請が通ることがある。つまり、どの種類の奨学金をいくら借りるかは在学中にも変更は可能となっている。

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この日本学生支援機構奨学金には大学院生バージョンも存在する。大学院生の日本学生支援機構奨学金にも第一種、第二種があり、利率の仕組みも普通の日本学生支援機構奨学金と同等である。違う点としては、大学院に進むほとんどの学生が第一種に推薦される。

よほどの悪い成績を取らなければ、まず第一種の借りる権利を失うことはない。しかも大学院でも良い成績をおさめれば、いくら借りていたとしても、奨学金の返還を全額免除にしてくれる。

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日本学生支援機構奨学金の他にも、優秀な成績をおさめれば、推薦方式でもらえる奨学金も存在する。その中には、大学内独自のものや様々な財団の奨学金がある。これらは基本的に給付型奨学金である(例えば大阪造船所奨学金など)。もちろん「給付型」なので、「いくら借りるか」ではなく「いくらもらえるか」であり、返す必要のない奨学金である。

奨学金の利子は固定方式と見直し方式の二通り

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日本学生支援機構奨学金には第一種、第二種の2種類がある。利子が発生するのは第二種の方であり、利子の算定方法は、固定方式と見直し方式の2種類である。固定方式とは、利率は貸与終了時に決められた値でずっと固定される方式、見直し方式とは市場金利によって5年ごとに見直しされる方式である。

どの方式にせよ、利率の上限は3%である。しかも見直し期間が5年間もあり、人によっては5年以内に返還し終える人もいるだろう。そのため、特にこだわりのある、利率が上がるのは絶対いやな人以外は、利率見直し方式にしておけばいいだろう。

木村 有佑
ライター

木村 有佑

同志社大学大学院卒業後、情報系の企業に入社し、2年目の社会人となります。大学院では、火力発電機の高効率化について研究していました。現在はクラウド基盤を構築するソフトウェアのトラブルシューティングに従事しています。Qiitaというサイトに、YusukeKimuraというユーザー名で、記事も投稿しております。

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