オーブンとトースターの違いを知ろう!
この記事のテーマは、「オーブンとトースターの違い」についてです。オーブンもトースターも調理用の家電製品です。どちらも、今は電気を使う家電製品が当たり前ですが、昔、少なくとも昭和20年代までは、オーブンは「天火(てんぴ)」と呼ばれ、その熱源は、ガスもしくは木炭の類でした。
今ではオーブンと電子レンジを組み合わせた機能を持つオーブンレンジや、オーブンとトースターを組み合わせた機能を持つオーブントースターというものが一般に使われています。
しかし、本来、オーブンとトースターと電子レンジには加熱の仕方や使い道に大きな違いがあるのです。その違いについて、これからご説明いたします。
オーブンとトースターの違い
それでは、この章でオーブンとトースターとの違いを徹底解明いたします。先ず、オーブンとは何か、オーブンの歴史、そしてトースターとは何か、トースターの機能や歴史をご説明いたします。
それを踏まえてオーブンとトースターの違いはどこにあるのか、ということをご説明いたします。ついでに電子レンジも取り上げて、トースターと電子レンジの違いについても、ご説明いたします。
オーブンとは
オーブンとは、パン焼き窯や、ピザ窯のように、加熱した空気や壁から出る赤外線を使って、食品その他を焼いたり、乾燥させるための空間を作った器具です。調理用の他に陶芸用の窯もオーブンの仲間です。
さて、オーブンの歴史はまことに古く、調理用のオーブンの元祖は、BC数百年に遡る古代ギリシャで、ギリシャ人がオーブンを使ってパンを焼く技術を開発した時が始まりです。
現代でも、ピザ窯などに、薪や木炭を熱源にしたオーブンも使われていますが、一般家庭で使われるオーブンは、これと違い、電気を熱源にしています。このオーブンの特徴は食品を周囲の熱気で蒸し焼きにすることです。
トースターとは
今度は、トースターとは何かをご説明いたします。トースターはその名の通り食パンを焼いて、トーストを作るための調理器具です。
トースターの歴史は浅く、出発点から熱源は電気です。日本で初めてトースターが発売されたのは、終戦後10年の1955年のことです。その10年後の1965年になると、オーブンとトースターの機能を併せ持つ、オーブントースターが発売されます。
オーブントースターの登場により、このオーブントースターでトーストだけではなく、ピザやグラタンなども調理できるようになりました。しかし、トースターの本来の機能は焦げ目をつけることです。
オーブンとトースターの違いはここ!
上に、「オーブンとは何か・トースターとは何か」について説明しました。これを踏まえて、オーブンとトースターの違いをまとめてみます。
先ず、オーブンとトースターの役割の違いです。オーブンの役割は、閉じた空間の中の熱気で食品を蒸し焼きにすることです。トースターの役割は、食パンの表面に焦げ目をつけることです。
オーブンとトースターの第2の違いは熱源です。オーブンの熱源は19世紀までは薪や木炭でした。20世紀になって、ガスや電気も使われるようになり、現在、家庭用では電気が主流ですが、ピザ窯などでは、今でも薪や木炭が使われています。
オーブンとトースターの第3の違いは温度調節機能です。オーブンではたいへん細かく1℃の幅で温度の設定ができますが、昔のトースターには温度調節機能がなく、最近のトースターでも1℃の幅で温度の指定はできません。
トースターと電子レンジの違いは?
さて、今度はトースターと電子レンジの違いについてご説明します。トースターと電子レンジの違いの内で最も大きな違いは、加熱方式の違いです。
電子レンジの加熱方式はマイクロ波という波長の短い電磁波を使います。このマイクロ波が食品の内部にまで浸透して、その中の水の分子を振動させることにより、温度を上げて熱を発生させせます。つまり、食品を表面からではなく、内部の全体から温めるのです。
これに対して、トースターは電流が発生させた熱が輻射熱として食品の表面に届き、表面から温めます。これによって表面に焦げ目をつける役割を果たします。
最近は電子レンジにトースターの機能も持たせたレンジトースターも売り出されています。2種類の熱源を活用することにより、1台が電子レンジの代用品にもなり、かつ、トースターの代用品にもなれるようにしたものです。
オーブンの3つの機能
前の章では、オーブンとトースターと電子レンジの違いについて詳しくご説明しました。この違いが分かれば、オーブンを活用してできること、トースターを活用してできること、電子レンジを活用してできることの区別がつきます。
さて、今度の章では、オーブンの持っている3つの機能についてご説明します。現在、売り出されているオーブンレンジには、オーブン、グリル、レンジの3つの機能が付いていて、1台でオーブンの代用にも、またグリルの代用にも、さらにレンジの代用にもなるのです。
オーブン
オーブンレンジの持つ3つの機能として、最初に取り上げるのはオーブンとしての機能です。つまり、昔のオーブン、すなわち窯としての機能です。
オーブンは密閉した空間を取り囲む壁を高温に加熱することにより、その空間の中の空気を100℃以上の温度に保ち、食品の全体を加熱して、食品を蒸し焼きにする機能を持っています。
グリル
オーブンの持つ3つの機能として第2に取り上げるのは、グリルとしての機能です。オーブンは食品を取り巻く熱い空気によって加熱するので、焦げ目はあまりつきません。
これに対してグリルは肉や魚を直火で焼く時のように、食品を直接加熱して焼き上げるものなので、短時間で焼き上げることができ、バーべキューのように焦げ目が付けられます。
レンジ
オーブンレンジの持つ3つの機能として、第3に取り上げるのは、レンジとしての機能です。今の時代にレンジと言えば、無論、電子レンジのことです。
電子レンジの最も特徴的な機能は、食品を周りから温めるのではなく、食品を言わば内部から温めることです。マイクロ波という電磁波が食品の内部にまで浸透して行き、内部にある水の分子を振動させて、分子そのものの温度を上げるのです。
水分子を加熱するので、温度は水の沸点100℃を超えることはありません。従って、オーブンやグリルと違い、焦げ目がつきません。だから、オーブンやグリルの代用にはなりません。電子レンジを活用する主な場面は、冷凍食品の解凍や、既成の食品を温める時です。
オーブンよりトースターを活用するメリット
オーブンとトースターの違いについては、先にご説明いたしました。今では、オーブンとトースターの機能を兼ね備えたオーブントースターというものが、広く使われています。
この章では、このオーブントースターを活用する時に、オーブン機能よりもトースター機能を選んで活用すると、どんなメリットがあるのか、ということをご説明いたします。
食パンが早く焼ける
オーブンよりもトースターを活用するメリットとして、第1に挙げるのは「食パンが早く焼ける」ことです。オーブンは食品を熱い空気で取り囲んで、内部までじっくり加熱するものです。
一方、トースターは熱を直接、食品の表面に当てて、表面から加熱するものなので、表面に焦げ目をつけることは、早く完了できます。
ピザやグラタンにもおすすめ
オーブンよりトースターを活用するメリットとして第2に挙げるのは「ピザやグラタンにもおすすめ」ということです。
オーブンは密閉した空間内の空気を熱して、その中の食品を加熱するものですから、原則として予熱が必要で、これにかなりの時間が必要になります。
ところが、ピザやグラタンは、それほどじっくり加熱する必要はなく、むしろ表面に少し焦げ目をつけたいものなので、予熱の時間を必要としないトースターを活用する方が早くできます。
トースターのように焼ける代用となるものは?
前の章では、オーブンよりもトースターを活用するメリットは何か、についてご説明しました。この章では、そのトースターがない時、トースターと同じように物が焼ける代用となるものは何か、についてご説明いたします。
ガスコンロのグリル
トースターのように焼ける代用となるものとは、ガスコンロに付いているグリルです。ガスコンロのグリルは、オーブンの機能も、トースターの機能も両方持っていて、重宝なものです。
表面はトースターと同じく直火で上下から焼いてくれるので、適度に焦げ目がつきます。また、内部は、このグリル内の熱でじっくり加熱できるのです。
オーブンとトースターの違いを知って上手に使い分けよう!
この記事はオーブンとトースターの違いをテーマにしています。オーブンとは何か、トースターとは何か、オーブンとトースターの違いはどこにあるのか、ということを先ずご説明いたしました。
更に、オーブンの持つ3つの機能、オーブンよりトースターを活用するメリット、またトースターの代用となるガスコンロのグリルなどについてもご説明いたしました。
この記事が、オーブンとトースターの違いを知ることにより、両者を上手に使い分ける上で、お役に立てれば幸いです。