手書きの領収書とは
領収書とは、物品やサービスの対価として代金を受取った者が、支払った人に対して金銭を受取ったことを証明するために発行する書類です。
公的機関やスーパーやデパートが発行する場合は印字されている場合がほとんどですが、個人間の取引では手書きで領収書を発行しなければなりません。
特にネットオークションやフリマアプリなどで物品を売った場合、相手から領収書を求められれば手書きで発行する必要があります。手書き領収書の書き方や、領収書の基礎知識などをこれから紹介していきます。
領収書は証明する為の書類
領収書は「領収証」とも書き、字のとおり「領収」したことの「証(あかし」として発行する書類です。しかし買い物をした時などに何気なく受取って捨ててしまうことも多いのではないでしょうか。
代金を支払った時に発行される書類ですから、未払いを疑われた時には支払いを証明できる大切なものです。公共料金や保険料などで何月分を支払ったか分からない場合に、領収書があれば確認ができ二重払いを防ぐことができます。
また確定申告で医療費控除を受ける場合には、病院や薬局の領収書が必要になります。多額の支払いをした領収書や公共料金、保険料、医療費、その他支払いの証明が必要になりそうな領収書は大切に保管するよう心がけましょう。
領収書の発行に関する法律
領収書は支払ったことを証明する大切なものなので、発行に関して法律で決められたルールが色々あります。
その中で個人で手書き領収書を発行する際に特に知っておきたい法律知識は、この後で紹介する民法486条の発行義務に関するルール、書き方に関するルール、再発行に関するルール、印紙税法などです。
印紙税法では、5万円以上の代金を現金で受け取った場合には領収書に印紙を貼ることが義務づけられています。また印紙の税額は、受取った金額により200円〜最高で20万円まであります。収入印紙を貼り忘れると印紙税額の3倍の罰金が課せられるので注意しましょう。
ただし5万円未満や営業に関しないものは非課税となっています。また銀行振込の場合には振込票が領収書の代わりになるので印紙および領収書の発行は不要です。
クレジットカード支払いの場合は、クレジットカード会社が本人の代わりに仮払いをする信用取引で現金取引ではないので印紙および領収書両方とも不要です。つまり金額が5万円以上で、代金を現金で受取った場合のみ印紙が必要と覚えておくと良いでしょう。
民法486条に定められている
民法486条では「弁済したものは、弁済を受領したものに対して受取証書の発行を請求することができる」と定められています。
少し難しい表現ですが、金銭を支払った人は金銭を受け取った人に対して領収書の発行を請求できるという意味です。つまり、たとえ個人同士の取引であっても、相手が領収書を要求した場合には発行することが義務であると民法486条で定めています。
領収書の役割
個人で手書きの領収書が必要になるケースのひとつに、ネットオークションやフリマアプリなどで品物の売買をした時に、買った相手から領収書が欲しいと依頼された場合です。
このような場合には、法律で定められた義務なので手書き領収書を発行しなければなりません。では「発行する人」と「受け取る人」にとって領収書はどのような意味や役割があるのでしょう。
「発行する人」にとっての領収書
「発行する人」とは、品物やサービスの代金を受取った人のことです。その人が会社員の場合でも、給与以外の副収入(所得)が20万円を超えた場合には確定申告をしなければなりません。
その申告の有無を判断するために品物等をいくらで売ったかという記録を残しておく必要があります。また二重発行防止にもなります。
市販の手書き領収書には複写式になっていて控えが残る物があります。その領収書の控えが税務申告が必要かどうかの証明にもなります。このように「発行する人」にとっての領収書には、受取った金額の記録を残す役割があります。
「受け取る人」にとっての領収書
領収書を「受け取る人」とは、代金を支払った人のことです。領収書は代金を支払ったことを証明する書類です。
たまにすでに代金を支払ったのに再請求される場合があります。領収書には二重払いや過払いを防ぎ、再請求した相手に支払ったことを証明して納得してもらう役割があります。また窃盗などのあらぬ疑いをかけられないための役割も持っています。
また会社員の方でも、税金の還付申告などの際には領収書は必ず必要になる書類です。個人事業主やフリーランスの場合には7年間の保管義務があります。税務調査が入った時には経費の根拠として領収書は大切なので、どんなものでも購入した場合は必ず受け取っておきましょう。
領収書はどこに売っている?
手書き用の領収書は、文具店や書店、百円ショップでも販売しているので簡単に手に入れることができます。
発行記録を残したいと思う場合には複写式のものや、綴じシロの方に発行日、金額、渡し先が記入できるようになっていて、本領収書はミシン目から切り取る形のものがあり、わざわざ別に記録を残さなくても済むので便利です。
形や色合いも様々なので用途に合わせて選ぶことができます。また正式な領収書でなくても白紙の紙でも、必要事項さえ記入されていれば法的にも領収書として通用します。
百円ショップでも扱っている
リーズナブルで簡便な手書き用領収書は百円ショップでも扱っています。ただ種類はあまり豊富ではないかも知れません。発行と同時に記録として残せるタイプや、色合いや形を用途に合わせて選びたい場合には文具店や書店の方がおすすめです。
またパソコンで作ることも可能で、テンプレートや作成ソフトがあるので自分の好みにあった領収書が作れ、保存しておけば記録としても使えるので試して見るのも良いでしょう。
領収書を手書きするときの書き方
領収書は、形や大きさ色合いに関しては法律的な決まりはありません。手書きでも印刷されたものでも次の5つの必要事項さえ記入されていれば領収書として法的に通用します。つまり書き方と記入事項もれが無いことが重要です。
領収書として成り立つ必要事項は「金銭を受取った日付」「金銭を支払った人の名前」「支払った金額」「何の代金を支払ったのか(但書き)」「金銭を受取った人の住所と名前」この5点です。それでは領収書を手書きする場合の必要事項の書き方や注意点をを紹介します。
白紙の場合は手書きで「領収書」と書く
市販されている領収書ではなく白紙で作成する場合は、この書類が何であるかを明確にするためにタイトルとしてまず「領収書」を書きます。書き方は「領収書」でも「領収証」でもかまいません。
用紙のサイズはB5でもA4でもメモ用紙でもかまわないのですが、前述の5点の必要事項だけは記入漏れが無いことが最低条件になります。
ただしえんぴつ書きなどは書換えられるので法的に不可です。書換えできないボールペンや万年筆、またはパソコンなどによる印字ならばOKです。ただパソコン印字の場合は、支払った者の氏名や名称は自筆の手書き、または印鑑が押されていれば信用性が高まります。
領収書発行者の氏名・名称
領収書発行者とは、金銭を受取った人です。領収書をもらう人がどのような用途に使用するかは発行者には分かりませんが、支払をしたことを証明する重要な書類であることには違いありません。
ですから領収書に記載する氏名や名称は、正式な形で書かないと相手が後で困ることになりトラブルの原因になります。また同姓同名の人と間違えないために、住所も正確に記入するよう注意しましょう。
金銭を受取った発行者が個人でも会社でも、誤字や書き方に間違いがないように充分注意する必要があります。個人名の場合には漢字の略字や通称をを使わないように、会社の場合は㈱は株式会社と省略せずに正式名称で書くようにしましょう。
代金を領収した日付
領収書に書く日付は代金を領収した日にちで、年号は和暦でも西暦でもかまいませが、2019/○○/○○のような略式表記ではいけません。
和暦なら「令和○年○月○日」西暦なら「20○○年○月○日」と正式に書く必要があります。領収書の日付は、売買の取引が行われた日付を示す大切な証明なので、日付の記載が無い領収書は効力がありません。
会社の場合で決算期前後の取引で金額が大きい場合には、今期に入るか来期になるかでは決算の数字が大きく変わります。個人の場合には12月31日を境にするので、年末年始の取引日付は非常に重要になります。
たまに日付無しの領収書を求められる場合がありますが、基本的には違法ですが日付の重要性を思えばなきにしも非ずと言えます。ただ悪用される場合もあるので、日付空欄の領収書はなるべく控えましょう。つまり領収書の日付はそのくらいに重要だと認識して下さい。
支払い内容
領収書には、何を購入したのか、何のために金銭を払ったのかを明確にするために、但書きとして支払内容を書く必要があります。
一般的に「お品代として」という但書きをよく見かけますが、正式な領収書として認められない場合があるので注意が必要です。例えば「飲食代として」「書籍代として」「手数料として」などと、何に対して支払いを行ったのか具体的に明記するようにしましょう。
金額
領収書の金額表記は、不正利用や改ざんが行われやすい箇所です。例えば「40,000(4万)」という数字の後に「0」を1つ加えれば1桁違って「40万」になってしまいます。このような改ざんを防ぐために金額の書き方には次のような注意が必要です。
数字を追加できないように数字の頭に「¥」や「金」を書きます。数字の末尾には「ー」や「円」「也」を書き数字を加えられないようにします。また数字と数字の間隔は狭くして書込まれないようにします。
また3桁ごとにカンマを打ち、桁数を変えられないような注意も必要です。4万円が40万円になれば36万円の誤差が出ます。数字の1桁は非常に大きな違いになるので金額の書き方には注意しましょう。また手書きでは改ざん防止のため、数字を「壱(1)」「弐(2)」「参(3)」などの漢数字で表記する場合もあります。
代金を支払った者の氏名・名称
代金を支払った者とは領収書を受取る人のことで、一般的に「宛名」と呼ばれ「○○様」の○○にあたる部分に書く氏名や名称のことです。
宛名が会社名の場合は、(株)や(有)のように省略せずに「株式会社」「有限会社」のように正式な法人名称を書き、会社名が法人名称の後に来るのか前に来るのか、いわゆるマエカブ、アトカブに気をつけて書きましょう。
宛名が個人名の場合は、正しい氏名を確認して書きましょう。特に手書きで間違いが多く注意するのは、旧漢字を略字で書いたり、平仮名の名前をカタカナで書いたりする場合です。また宛名を空欄のまま渡すのも悪用される恐れがあるので止めましょう。
領収書を手書きで書いて間違えた場合
領収書を手書きで書いて間違えた場合には2つのケースが考えられます。1つ目が先方(お客様)に渡す前に書き方等を間違えた場合と、2つ目が先方に渡してしまった後に間違いに気づいた場合です。
1つ目の渡す前で金額を間違えた場合、二重線で消して訂正印を押せばと考える方がいるかも知れませんが、金額を訂正した領収書はその時点で法的に認められません。また金額だけでなく書き方を間違えた手書き領収書は絶対に捨ててはいけません。
何故ならば手書き領収書を発行するのは現金取引の場合です。税務調査が入った時に銀行取引の売上は通帳などにデータが残りますが、現金取引は手書き領収書で帳簿と照らし合せて調査します。
帳簿上の取引より、領収書を多く発行していると領収書の厚みなどで判断されると脱税の疑いをかけられることがあります。書き損じがあり捨てたからと口頭で言っても認めてもらえません。
それを証明するために書き損じの領収書は大きくバツ印をして保存しておきましょう。次は2つ目の渡してしまった後の場合で、金額の間違い、宛名の間違い、印紙の貼り忘れなど色々ありますが、その対処法や注意点を次で紹介します。
再発行する
領収書を先方に渡してしまった後で、宛名の間違いや印紙の貼り忘れに気づいた場合、または先方から間違いを指摘された場合は、当方の非を丁寧に謝り先に発行した領収書を回収して正しい手書き領収書を再発行します。
回収した領収書は前述の方法と同じように大きくバツ印をして保管します。たまに先方が返却の手間を嫌がり回収に応じてくれない場合があります。
無理にお願いするのは失礼にあたるので、その時には間違えた領収書は破棄して頂くようにお願いするとともに、正しい領収書の空欄に「再発行」と記入し控えにもその由を記録しておきましょう。
また金額の間違いの際に、支払った金額より領収書の金額が少ない場合は当然先方が損をするので再発行を要求してきます。しかし支払った金額より多い場合は、先方が徳をするわけですから再発行を要求してこないケースがあります。
また受取った本人が経理精算をして差額を儲けようという意図で、紛失してしまったと回収に応じない場合もあるかも知れません。この場合も悪用を防ぐために正しい領収書に「再発行」と記入して再発行をする注意が必要です。
領収書を手書きでする際の注意点
領収書を手書きで発行する際の注意点や書き方は、前述の部分と重なるところもありますが、おさらいの意味もあるので確認しておきましょう。
手書き領収書が法的に認められるには「金銭を受取った日付」「金銭を支払った人(宛名)」「支払った金額」「何の代金を支払ったのか(但書き)」「金銭を受取った人の住所と名前」以上5点が明記されていることです。これらの書き方の注意点や、その他手書き領収書を発行する時の注意点をおさらいして見ましょう。
領収書は絶対に捨ててはいけない
領収書を手書きした時に、書き方を間違えたり金額を間違えることがあります。その場合、正しい領収書を作り直すのですが、書き損じた領収書を慌てて捨てたりしては絶対にいけません。必ずハッキリ分かるように大きくバツ印をして残しておきましょう。
その理由は前に説明したように、税務調査が入った時に売上をごまかしていない証拠になるからです。また二重線など手書きで訂正した領収書は、見た目が悪いだけでなく相手に対して失礼にあたるので止めましょう。金額を訂正したものは法的に領収書としてそもそも認められないので、これも注意しましょう。
手書きの場合宛名に「上様」は使わない
手書き領収書の宛名に書かれる名前や名称は、お金を払ってくれた人、つまりお客様です。お客様の名前を間違えることは非常に失礼にあたります。
宛名に株式会社を(株)などと略称を使ったりせずに、漢字も旧漢字なのか略字を使うのかをよく確認をして正式名称を書くように注意しましょう。
また宛名に「上様」を書く場合がよく見受けられますが、この表記では税務調査で経費として認められずお客様に迷惑を掛けてしまいます。また二重支払請求を防止できないので、宛名に手書きで「上様」は使わないよう注意しましょう。
二重発行に注意
先方より領収書発行を依頼された時に、うっかりすると二重発行をしてしまうことがあります。手書き領収書は複写式で控えが残るようなタイプを使用している場合がほとんどです。
依頼された領収書の二重発行を防ぐためには、発行済の手書き領収書控えを確認するのですが、控えの宛名や日付、但書きが不明瞭で依頼された金額と同額のものがあれば判別不可能になってしまいます。
ですから手書き領収書の宛名や日付は、空欄にしたり宛名を「上様」にしないで正しく正式名称で発行するように注意することが二重発行を防ぐことになります。
クレジットカード支払いは非課税
クレジットカードでの支払いの場合は、手書き領収書に金額が5万円以上でも収入印紙を貼る必要はありません。何故ならば、厳密にいうとお客様本人から支払をまだ頂いていないからです。
支払をしたのはクレジットカード会社であって、実際の金銭精算取引はクレジットカード会社とお客様との間に委ねられているからです。
クレジットカード支払いの場合はカード利用控えが領収書と見なされるので、手書き領収書の発行は必要ないのですが、お客様には領収書発行を請求する権利が認められているので、依頼があれば発行しなければなりません。
しかし書き方で注意しなければならないのは、通常どおり手書きで発行すればカード利用控えと領収書の二重発行になってしまいます。
二重発行でないことを明らかにするために、手書き領収書の但書きに「クレジットカードにてお支払い」と明記しておく書き方が必要です。こう明記することで手書き領収書が正式な領収書ではないことになり、印紙税も非課税になります。
手書きの際は丁寧な字で書く
「手書きの際は丁寧な字で書く」のは当たり前のことなのですが、忙しい時にはつい乱暴な字で書いてしまうことがあります。
しかし宛名などが判別できないような、くずし字やなぐり書きの字では領収書として認められない場合があってお客様に迷惑がかかってしまいます。どんなに忙しくても、手書き領収書を書く場合の文字の書き方は丁寧にする習慣を付けるようにしましょう。
手紙(メール)と領収書の宛名の違い
手紙やメールの宛名は、特に法律で規定されていないので愛称でも略称でも何でもかまいません。住所やメールアドレスさえ間違わなければ宛名はどのような表現でもOKです。
しかし領収書の宛名は、金銭を受取った人を特定するためのもので税務や経理の法律上非常に大切な意味を持ちます。そのために領収書の宛名は、略称などを使わずに誤字をしないよう正式な名称を書く必要があります。
つまり同じ宛名ですが、手紙やメールの場合はどのような表現でも自由ですが、領収書の宛名には正式名称を使わなければならないということです。
手書きで領収書を書くとき収入印紙は必要?
印紙税法では、課税文書には収入印紙を貼ることが義務づけられています。課税文書とは印紙税法で定められた文書で、不動産売買契約書や金銭消費貸借契約書など20種類ありその中に領収書も含まれます。
つまり手書きで領収書を書くとき5万円以上ならば収入印紙が必要になります。ただし営業に関しない個人間の取引の場合に発行する領収書は非課税になると規定されています。この「営業に関しない」の解釈は少し判断に苦しむ部分があるので、この後でまた詳しく解説します。
収入印紙とは
収入印紙は、切手と同じようにミシン目の入った形をして金額も多種あり、郵便局やコンビニで購入できます。切手と違うのは領収書などの課税文書に貼って使用することで、印紙税という税金を納めた証になることです。
領収書の場合の印紙の税額は、領収金額が5万円以上100万円以下の場合は200円で、金額が大きくなるに従って最大で20万円まで決められています。この収入印紙を貼り忘れると、後で印紙税額の3倍の課税を追徴されてしまうので注意しましょう。
領収書には必ず収入印紙を貼るのか
領収書の金額が5万円未満であれば、非課税ですから印紙を貼る必要はありません。ただし印紙税法では原則として消費税抜きの金額を基準にしています。
例えば領収書の金額が¥53,460の場合一見すると課税対象に見えますが、実際は¥53,460には消費税が含まれていて消費税が¥3,960(税率8%の場合)、税抜き金額が¥49,500なので非課税となり印紙は不要です。
ただし領収書の内訳欄に「税抜金額¥49,500」「消費税額¥3,960(8%)」と明記することが必要です。この内訳の記入がない場合には金額が¥50,000でも200円の印紙を貼らなければなりません。金額が5万円前後の場合には注意が必要です。
また印紙税の課税対象になるのは売上金額です。売上とは営業で得た収入のことなので、個人事業者やフリーランスが発行する領収書は印紙税の対象になります。
個人でいらなくなったブランド品などを知合いやネットオークションで売った場合には、5万円以上でも非課税となり印紙は不要です。しかし個人でも副業として売買をしている場合は「営業に関する売上」とみなされる場合があるので要注意です。
収入印紙には必ず割り印を押す
収入印紙を貼った領収書で、忘れがちなのが割り印です。「割り印」または「消印」といいますが、印紙と領収書の用紙の両方にかかるように押印します。
印鑑は認め印でかまいませんが、印鑑がない場合はサインでも良いとされています。印鑑またはサインは作成者、代理人、使用人、従業員の自筆または認め印であればどのようなものでも差し支えありません。
この「割り印」は印紙の二重使用を防ぐためなので誰のものでも良いのですが、二重線や斜線を引いただけでは「割り印」と認められません。また「割り印」を忘れた場合は、過怠税といわれる罰金を課せられてしまうので注意して下さい。
領収書に関するQ&A
ここまでの解説で、手書き領収書の書き方や発行する際の注意点など、おおよそは理解できたとは思いますが、実際の場面では新たな疑問が起きる場合があります。これから領収書に関わる、よくある質問と答をQ&A形式で紹介します。これまでの内容とダブるところもありますが参考にして下さい。
Q.間違った領収書をお客様に渡した場合
Q「領収書をお客様に渡してしまった後で、間違いに気がついたのですが、どうしたら良いでしょうか?」
A「間違えたのは自分のミスなので、まず丁寧にお詫びをして間違えた領収書を回収した後に、正しい領収書を発行してお渡しします。ただし回収した領収書は捨てずに必ずバツ印をして保管しましょう。これは税務調査が入った時に脱税の疑いをかけられないための大切な資料になります」
Q.領収書に印鑑は必要?
Q「印鑑を押してない領収書を貰ってしまったのですが、会社の経理に出して精算できるのでしょうか?」
A「押印していない領収書でも法律的には通用します。しかしあなたの会社の経理ルールで印鑑のない領収書を認めない場合は、法律を盾に議論してもらちがあきません。会社のルールに従うのがベストです」
Q.領収書の控えは必要?
Q「パソコンを友達に1万円で売ったら、領収書をくれと言われたので取りあえずメモ用紙に書いて渡したました。控えはないけれど必要なんですか?」
A「領収書の控えは法的には規定がありません。今回のケースのように個人の間で小額の場合には問題ありませんが、車やブランド品などを高額で売却した場合には、雑所得となり税務申告をしなければならない場合があります。控えがないと金額の証明のしようがないので、個人間取引でも高額の場合は控えを残すようにしましょう」
Q.宛名空欄っていいの?
Q「お客様から宛名は空欄のままで領収書を書いてくれと頼まれました。このまま渡していいのでしょうか?」
A「この場合のお客様の意図が分かりませんが、小額の場合は問題ないかも知れません。しかし高額の場合は悪用されることも考えられるので、当社の規定で宛名無しの発行は禁止されていますと言って断ることも可能です。ただ相手が顧客の場合断りきれないのも事実なので難しい判断です。宛名空欄の領収書を発行しても罰せられることはありません」
Q.再発行してと言われたら?
Q「お客様に領収書をなくしたので再発行してくれと頼まれました。再発行しても良いのでしょうか?」
A「領収書は受取った方に保管の義務があるので、法律的には再発行は拒否できます。しかし営業上お客様の依頼を無下に断ることができないのが事実です。その場合は新たに発行する領収書の空欄に「再発行」と明記することで、二重発行と悪用を防ぐことができます」
領収書は基本を押さえて発行しよう!
普通の会社員で経理の仕事でもしていない限り、領収書を書くことはほとんど無いでしょう。しかし正しい領収書の書き方や法律的知識を持っていれば、将来独立してフリーランスになる時や転職する場合には有利に働くかも知れません。
領収書の発行は基本的知識さえあれば、そんなに難しいことではありません。正しい領収書を書けることは信頼度が高まることでもあるので、これまで紹介した内容を参考に基本を押さえて領収書を発行してみましょう。