愛されたい症候群とは
男女問わず「愛されたい症候群」に悩まされている人が増えています。愛されたい症候群とは、その名のとおり「誰かに愛されたい」といった感情が抑えきれない症状を指すものです。
しかし、その特徴は多岐にわたり自覚がないまま恋愛中の相手を振り回してしまったり、傷つけてしまうことも少なくありません。
愛されたい症候群から抜け出すには、その心理を十分に理解した上で対策を講じることが大切です。そこで、愛されたい症候群となる理由や特徴、心理などを解説します。
愛されたい欲求が強い症状
愛されたい症候群は常に「愛されたい」といった欲求が強い症状のことです。もちろん「愛されたい」と願う心理は誰にでもあります。しかし、大半の人々は自分の心の中で感情をコントロールできるものです。
これに対して愛されたい症候群の人は、感情をコントロールするどころか被害妄想に陥ったり、周囲に厳しく求めるなど一般的には考えられない行動に出ることも少なくありません。
また、愛されたい症候群は性別に関わらず現れますが、男女間ではその症状が異なります。したがって、自分やパートナーが愛されたい症候群か否かを判断するには、性別でその心理や症状を理解することが大切です。
愛されたい症候群の男性の心理や特徴
愛されたい症候群は女性だけだと思いがちですが、男性にも特徴的な症状が現れます。基本的に男性は「他人から褒められたい」「甘えたい」「寂しい」といった心理が働きやすい傾向にあるものです。
こういった心理は、男性の「本能」ともいえるものですから仕方ありません。ただし「愛されたい症候群」の男性は「愛されたい」という欲求や願望を周囲にゴリ押しする特徴があります。
そのため、周囲の人々をうんざりさせてしまい、やがて距離を置かれるようになるのです。そこで、愛されたい症候群の男性の心理や特徴について解説します。
甘えたい
愛されたい症候群の男性の最大の特徴は「甘えたい」といった欲求や願望が人一倍強いことです。もちろん全ての男性は、女性に対して「甘えたい」といった欲求や願望をもっています。
ただし、大半の男性は女性に「甘える」ことに対して抵抗感があるので隠そうとします。ところが愛されたい症候群の男性は、それとは反対に「甘えさせてくれるのが当然」といった心理が働くのです。
そのため恋愛中の相手が少しでも素っ気ない態度を示すと、途端に怒り出すことも少なくありません。さらにエスカレートすると、相手を束縛し始めてしまうのです。
自分を認めさせたい
自分を認めさせたいといった思いが強いのも、愛されたい症候群の男性の特徴です。大半の男性は他人に認められることで「優越感」を得ることができます。
もちろん賢明な男性であれば、再度、周囲に認めてもらいたいという心理が働きさらに努力を重ねるものです。しかし、愛されたい症候群の男性は「自分が周囲に認めてもらうことは当然」だという心理が強く働きます。
こういった男性は強いコンプレックスを抱えていたり、幼少期の出来事がトラウマになっていたりすることが多く、自分に自信が持てないのです。
そのことを隠すために、周囲に自慢話をして自分のことを認めさせようとします。周りからすると非常に迷惑な話なので、愛されたい症候群の男性は次第に周りから避けられるようになるのです。
寂しい
愛されたい症候群の男性は恋愛中であっても「寂しい」といった感情に苛まれています。もちろん、男女問わず「寂しい」と感じることはあるものです。しかし、多くの男性は「寂しい」といった感情を他人に悟られまいと、何かと理屈を並べたり強がったりしています。
愛されたい症候群の男性の特徴は真逆の感情を示すことです。つまり「寂しい」気持ちを誰かに埋めて欲しいために、周囲の人にアピールしたり、実際に相手を振り回す行動を起こすことも少なくありません。
そのため恋愛中の相手を真夜中に呼び出したり、メールの返信が遅れると怒り出してしまうことは日常茶飯事です。それどころか寂しい気持ちを癒すためであれば、恋愛中であっても別の女性と関係をもつことにも罪悪感を感じません。
征服したい
「征服したい」といった欲求や願望が強いことも、愛されたい症候群の男性の特徴の一つです。もちろん男性であれば、愛する女性を「征服したい」といった欲求や願望を少なからず持っています。
しかし、愛されたい症候群の男性はその度合いが強すぎるのです。そのため恋愛中の相手を身動きとれないくらいに束縛してしまうことも、何ら珍しいことではありません。
いくら女性から「愛してる」と告げられても安心できないのが、愛されたい症候群の男性の特徴なのです。言い換えれば、愛されたい症候群の男性は、恋愛中の相手でさえ「征服」することでしか満足感を得られない心理状態が働いているといえます。
愛されたい症候群の女性の心理や特徴
愛されたい症候群の女性は男性と同じように、常に誰かに「愛されたい」といった心理状態にあるといえます。言い換えれば、誰かに愛されていないと自分の価値すら見出すことができません。そのため、自暴自棄になることさえあります。
つまり、周囲の人を驚かせる行動に出てしまうのも「愛されたい」という心理が強く作用し過ぎるからなのです。そこで、愛されたい症候群の女性の心理や特徴について解説します。
一人でいるのが嫌
愛されたい症候群の女性は、とにかく一人でいることを嫌がるのが特徴だといえます。一人になることが不安でたまらないといった心理が常に働くのです。
そのため恋愛中は、パートナーの男性と常に行動を共にしようといます。最初のうちは上手くいきますが、慣れてくると男性から鬱陶しいと思われることも少なくありません。
それでも一人でいるのが嫌なので、別の男性と関係を持ってしまうこともあります。もちろん、罪悪感はありますが「一人でいるのが嫌」といった心理の方が勝ってしまうのです。
自分を無価値だと思う
愛されたい症候群の女性は、自分自身に大きなコンプレックスを抱えているため自分に自信がもてません。それどころか、自分は無価値な人間だと非常にネガティブな心理が常に頭の中を支配しているのが特徴です。
そのため、何か事が起こると悪い方向に考えてしまい自暴自棄になることも少なくありません。どうしても自分のことが好きになれないのです。
そのくせ「愛されたい」といった欲求や願望も強いものがあります。それゆえ周りの人は、愛されたい症候群の女性のことを「何を考えているのかわからない」と思ってしまうのです。
他人の目が気になる
愛されたい症候群の女性は自分に自信がもてないだけでなく、他人からどう見られているのかをとても気にするのが特徴です。つまり、心の奥底では常に「認められたい」といった心理が作用しています。
特に恋愛中だとパートナーの男性に対して、自分がどのように映っているのかが気になって仕方がありません。そのため、何かにつけパートナーの男性に「どう思う?」「変じゃない?」などと尋ねたりします。
また、日常生活においては些細なことでも自分に関することが話題になっていると、気になって仕方がありません。その上とても疑り深いので常に「悪口を言われているのでは」と被害妄想にかられるのです。
嫉妬深い
愛されたい症候群の女性は、自分に自信がもてないので、恋愛中は常に不安がつきまといます。彼氏が誰かと話をしているのを見ただけで、嫉妬心が込み上げてくるのです。
ただし、本人に問いただすことはできず、悶々と過ごしてしまいます。そのため、でさらにストレスが溜まりやすくなるのです。
愛されたい症候群になってしまう原因
愛されたい症候群は自分では気づかないうちに、いつの間にか陥ってしまうことが多いのが特徴です。また、自分で愛されたい症候群だと気付いたとしても、どう対処してよいのかわからない人も少なくありません。
愛されたい症候群を克服したいと考えるなら、その原因を突き詰めることから始めましょう。実は愛されたい症候群になる人には、性別に関係なく共通の原因があります。そこで、愛されたい症候群になってしまう原因について解説します。
幼少期に両親から愛されなかった
愛されたい症候群の人の心は不安定で、常に心が充たされない心理状況にあるのが特徴です。つまり、自分一人だけどこかに取り残されるのではないかといった、脅迫観念にかられている状態だといえます。
これは幼少期に両親から愛されなかったことが、トラウマとなって心に残っていることが原因です。もちろん、両親が愛していなかったわけではありません。
しかし、共働きなどの事情で結果的に子供に寂しい思いをさせてしまうことだってあります。そのため幼少期に体験した「寂しい」「孤独感」といったネガティブな感情が頭の中に蘇り「愛されたい」「寂しい気持ちを癒してほしい」といった願望や欲求が強くなってしまうのです。
自分を愛せないこと
自分を愛せないことも、愛されたい症候群に陥る原因の一つだといえます。というのも、愛されたい症候群の人は「両親に愛されなかった」と強く思い込んでいる人が少なくありません。
また、「両親に愛されなかった」と思っている人は、自分自身そ原因があると思っています。つまり、「私が言うことを聞かなかったから」「私がかわいくなかったから」から愛されなかったのだと自分を責めているのです。
その結果、自分自身のことが許せなくなり、自分を愛せなくなっいます。しかし、「寂しさ」や「孤独感」だけは心の中に残ってしまいますから、そこから逃れたいがために愛されたい症候群に陥るのです。
両親に甘やかされた
両親から甘やかされた人も、愛されたい症候群となる理由の一つです。幼少期に叱られることもなく、欲しいものは全て買い与えられていると、それが当然だと思ってしまいます。
そのため、大人になってパートナーからいくら愛情を注がれても満足することはありません。この場合、自分自身で甘やかされてきたことを自覚するしか克服する方法はないのです。
愛されたい症候群の克服方法
愛されたい症候群は誰でも克服することができます。しかし、闇雲に「克服しよう」と思うだけでは、返って自分自身を追い込む結果になりかねません。まずは自分が愛されたい症候群となった原因を具体的かつ冷静に分析することが出発点になります。
その上で自分が愛されたい症候群を克服するには、どういった方法が有効なのかを考えることが重要だといえるのです。そこで、愛されたい症候群の克服方法について紹介します。
自分を精一杯愛する
自分を精一杯愛することは、愛されたい症候群を克服する上でとても大切なことです。愛されたい症候群の人は「愛されたい」「寂しい」といった心理は強く働くものの、どうしても自分を愛することができません。
しかし、自分自身が愛せないものを他人に強要するのは、とても不条理なことです。まずは、自分のことを認めて精一杯愛することを心がけてみましょう。
最初から精一杯愛せなくても構いません。鏡を見ながら「今日は昨日より笑顔が素敵だな」と思うことが愛されたい症候群の克服につながります。日々、積み重ねることで自分を精一杯愛せる心理状態に導くのです。
相手を尊重
相手を尊重することも愛されたい症候群を克服するには良い方法です。愛されたい症候群の人は、他人に「愛して欲しい」「寂しい気持ちを和らげて欲しい」といった欲求や願望を押し付けています。
つまり自分では気づかなくとも「自分本位」な人になっているのです。しかし相手を尊重できない人が、人から愛されることは絶対にありません。
他力本願ではなく自ら相手を尊重することで、必ず報われる時がきます。人は相手から尊重されると、相手を尊重しようといった心理が働くものです。愛されたいなら、まずは相手を尊重することから心がけましょう。
見返りを求めない
愛されたい症候群の人は、人間関係においても損得勘定で行動する特徴があります。「してあげた」のだから「してもらって当然」といった、見返りを求める心理が常に働いているのです。
見返りを求めようとすれば、誰からも愛されなくなるのは間違いありません。愛されたい症候群を克服するには、見返りを求めず行動することを心がけましょう。
恋愛などで相手の喜ぶことをする
恋愛において、相手の喜ぶことをすれば、自ずと愛されたい症候群から抜け出すことができます。愛されたい症候群の人の恋愛は、相手に「求めること」ばかり考えているのが特徴です。
つまり常に「愛されたい」「優しくされたい」「寂しい心を癒してほしい」といった自分の欲求や願望ばかりを押し付けているので、相手の喜ぶことをするといった心理が全く働きません。
これでは相手から愛されることはありません。まずは少し立ち止まって、恋愛中の自分の姿を振り返ってみましょう。そして、少しでも相手が喜ぶことをするよう心がければ、必然的に相手から愛されるようになるものです。
バランス感覚を大切にする
愛されたい症候群の人は、常に相手に何かを求めています。これでは、相手がいくら寛大な人でも疲れ果ててしまうでしょう。
恋愛を長続きさせる秘訣は、男女間のバランスを常に一定に保つことです。このバランスが崩れると「何で私だけ苦労しているの」「何で寂しい気持ちをわかってくれないの」といったマイナスの心理だけが作用するようになります。
相手に求めるだけでなく、相手に与えることも考えてみましょう。何事においてもバランス感覚を大切にすることが愛されたい症候群の克服につながるのです。
悩み・苦しみを一緒に分かち合う
恋愛において相手と悩み・苦しみを一緒に分かち合うことは、非常に大切なことです。もちろん、愛されたい症候群を克服する上でも非常に有効な方法になります。
恋愛を長続きさせる秘訣は、男女間のバランスを常に一定に保つことです。このバランスが崩れると「何で私だけ苦労しているの」「何で寂しい気持ちをわかってくれないの」といったマイナスの心理だけが作用するようになります。
恋愛を続けていけば、必ず悩んだり苦しむことがあります。しかし、苦しい時こそパートナーと一緒に分かち合うことを心がけましょう。そうすれば、二人の絆は確実に強まりますし、相手からもより愛されることになるのです。
愛されたい症候群の診断
愛されたい症候群であることを自覚している人はごく僅かです。そのため、悪気はなくとも愛されたい症候群であることに気づかないまま、周囲の人を振り回していることが大半なのです。
そうすると、いつの間にか自分の周りから人が去ってしまい、本当の意味での「寂しい」や「孤独感」を感じざるを得ない状況に陥ります。そこで、愛されたい症候群であるか否かを簡単に診断できる方法を紹介します。
してあげたことばかり覚えている
してあげたことばかり覚えている人は、愛されたい症候群の人に多い心理状態だと考えられるでしょう。というのも何事に対しても「してあげた」と考える人の行動は、報われることを前提とした行動であったといえます。
つまり「してあげた」のだから、何かを「してほしい」といった心理が作用どしているのです。しかし「してあげた」ことが、必ずしも相手にとって有益なことだったとはいいきれません。単なる「おせっかい」だった可能性もあります。
「してあげた」ではなく「させてもらった」と謙虚な気もつがほしいものです。したがって、何事に対しても「してあげた」といった心理が作用しているようであれば、愛されたい症候群の可能性があるといえるでしょう。
自分が損をしていると思ってしまう
何かと自分が損していると感じるのも、愛されたい症候群の人の特徴だといえます。特に人間関係において損得勘定で行動する人は、周囲から信頼を得ることができません。
「してあげた」にも共通していますが、恋愛関係に損得勘定を持ち込むと、必然的に「愛されたい」「寂しい気持ちを癒されたい」といった願望や欲求が強くなります。そのため、相手がいくら態度や言葉で愛情を示しても満足できなくなるのです。
何事も損得勘定を考えていては、心が満足することはありません。したがって「損をしてるな」といった心理が働いていると感じるなら、愛されたい症候群にハマりかけているサインだといえるでしょう。
相手が他の人を好きにならないか不安
恋愛中の相手が他の人を好きにならないか不安で仕方ない人は、愛されたい症候群の可能性が極めて高いといえます。もちろん、相手に明らかに不審な言動がある場合は別です。
不審な言動がないにも関わらず、相手に対して常に不安が付きまとうようであればその原因を突き詰めてみまょう。その結果、具体的な理由が見い出せたなら、心の持ち方を変える努力も必要です。
人は誰でも心変わりをします。しかし、そのことを不安に思ってばかりいると、人生はとてもつまらないものになるでしょう。相手が他の人を好きにならないか不安に思う前に、自分自身の内面をしっかりと磨くことが大切なのです。
必要とされたくて何でもしてしまう
愛されたい症候群の人は、常に他人から必要とされたいと考えています。そのため自分の本位でないことまで引き受けててしまう人は、愛されたい症候群だと自覚すべきです。もちろん、人がやりたがらない役割を自ら買って出るのとは異なるものです。
愛されたい症候群の人は大きなコンプレックスを抱えていますから、自分のことを無価値だと考えています。しかし、心の奥底では「必要とされたい」といった心理が強く作用しています。
そのため、告白されると好きでもない人とお付き合いすることさえあるのです。自己犠牲の精神ではなく、相手に愛されたいために何でもしてしまうようであれば、愛されたい症候群だと言わざるをえません。
人からの目が気になって仕方がない
訳もなく人からの目が気になって仕方ない人は、愛されたい症候群に陥っているといえます。人目を気にすることは良くないと感じる人も少なくありませんが、決して悪いことではありません。むしろ良いことだといえます。
人目を気にすることで身だしなみを整えたり、生活スタイルを見直すなど良い方向に作用する例はいくらでもあります。問題なのは、常に人目が気になって集中力がなくなってしまう心理状態になることなのです。
知らず知らずのうちに人目を気にして自分らしさが失われているようだと、愛されたい症候群に陥っていると考えた方が良いでしょう。
愛されたい症候群は自分の力で克服していこう!
人は誰でも「愛されたい」という欲求や願望を持っています。そのこと自体は決して悪いことではありません。問題は「愛されたい」といった欲求や願望に対して、どういった心理が働くかなのです。
愛されたい症候群の人の場合、「愛されたい」「寂しい」と思うのは周囲が「愛してくれないから」だという心理が作用します。その結果、必然的に相手に求めるものが大きくなってしまうのです。
しかし、他力本願では物事は解決しません。愛されたい症候群を克服するには、そのことを自覚するとともに、自分の力で「克服する」といった決意を持つことが非常に大切なのです。