「短絡的」の意味
日常生活の中で、たまに短絡的という言葉が登場することがあります。短絡的という言葉の響きだけで何となく察して使用している人も多いかと思われます。元々、この短絡的という言葉にはどのような意味が含まれていたり、どこがルーツとされているのでしょうか?
今回は、短絡的という言葉の意味や類語、その特徴などについて詳しくご紹介していきます。実は、短絡的という言葉の意味というのは、意外なところがルーツになっているようです。
物事を深く考えずに原因・結果を結びつけること
短絡的な考えというのは具体的にどういうことなのかをまず知っておくことが基本です。これは短絡的の類語も含めて、何でも先走ってすぐに成果を求めてしまうような状態を指しています。
途中に費やす時間や労力を面倒に思ってしまうことでできるだけ省略しようとする際に、このような短絡的な考え方をしがちになります。
短絡的という言葉のルーツは電気系統の用語
まず、短絡的という言葉の由来は、意外にも電気系統の用語がルーツだとされています。「たんらく」というのは、電気回線上でのアクシデントとして起こるショートのことを表す用語だったそうです。
ショートというのは、電圧の生じるマイナス極とプラス極の間を、部品を介さないでストレートに電気を流してしまうことが原因で起こるトラブルです。そこから、途中経過を何も考えようとせず、原因と結果をいきなり結び付けてしまうようなことを意味するようになりました。
短絡的というのは、ものごとを深く掘り下げようとしないことで、考えが甘くて単純というような意味や、そのような性格の人の特徴などを表わす言葉として定着しています。
「短絡的」の類語
短絡的という言葉には、本来、自分が成すべき仕事やミッションなどを長期的に展望しようとしない負の局面が伺えます。原因から結果へ辿る経路を省略して、上手く丸めこむような行為や言動を表わしています。
それと同じような意味合いを持つ類語は幾つかあります。それらの類語の中でも「浅はか」「安直」「単純」の3つが最も顕著です。以下では、短絡的の類語とされる浅はかと安直の意味などについてご紹介します。短絡的の類語からも、どのような意味合いが共通になっているのかが判別できます。
浅はか
短絡的の類語の一つに「浅はか」という言葉があります。その字面からも分かるように考え方が浅い描写を表わした意味がある類語です。
その特徴としては、自分を取り巻くものごとについて、深く考えようとせずに、原因も結果も含めて、その事実関係を知ろうとはしない態度や言動のことを指しています。単に表面に浮かんでいることだけをすくい上げ、本質を見ない、あるいはあえて気にしないことを意味します。
浅はかという言葉を使った事例としては、「あなたの気持ちを知ろうとしなかった、私が浅はかでした」「その課題の本質を追究しないのは浅はかな証拠だ」などがあります。
安直
「安直(あんちょく)」という言葉も短絡的の類語です。価値があまりなくて安い、お金が掛からないものという意味の他に、短絡的に近い内容して、簡単で手軽なもの・いい加減な様子という意味があります。
言い換えれば、考慮されていないものや思いつき、適当な閃きでこなす仕事や行動のことを指しています。ものごとの中身をしっかり見て判断せず、表面だけで決めつけてしまうような状態です。
この事例としては、「その考えは安直なので、誰も納得しないだろう」「あまりにも安直な言い訳なので、誰も信用しなかった」といった使い方ができます。
単純
短絡的の類語としては他にも「単純」という言葉があります。これは考え方が何か偏き気味になって浅い状態の時や、素直でシンプルなものの捉え方をする場合に指して言います。
単純という言葉を使う事例としては、「彼は最初誰とでも気が遭って仲良く近づくことができるのだが、ちょっとでも嫌な面を見つけてしまうと顔をそむけるような単純なところがある人だ」といった使い方をします。
短絡的な人の性格の特徴
ここまでは、短絡的いう言葉に含まれた意味や類語についてをご紹介してきましたが、ここでは、短絡的な考え方や行動をしてしまいがちな人に見られる主な特徴や性格などについて見ていきます。短絡的というと活発的で明るい面が目立つ印象ですが、実際には必ずしもそれだけではなさそうです。
楽観的
短絡的な考え方をいつもしてしまいがちな人の特徴や性格の一つとして、いつでも楽観的な思考をするということです。 楽観的思考は必ずしも悪いわけではなく、とてもいい側面も伺えます。仕事の上での困難や苦労を乗り越えるために欠かせない発想です。
ただし楽観的な人というのは、間違えると短絡的思考に少し近くなりそこに陥ってしまうというデメリットがあります。 もし想定外なトラブルに見舞われてしまうと考えることを放棄しだします。
最初からしっかり考えて行動しなかった結果、自ら引き起こしているケースも多々あるからです。条件や環境から変化していくものは結構あるのです。ところが短絡的なタイプの人は、ものごとへ向き合っていないことが多くミスを誘発してしまうのです。
突拍子に行動
短絡的な考え方をいつもしている人の特徴や性格の二つ目として、突拍子な行動をしがちな面が目立ちます。短絡的であることから回り道や考える時間が面倒になり、思いついたらすぐに実行に移します。
それも一見良さ気な性格なのですが、突拍子がないことで早合点に行動することのほうが多くなります。仕事を中心にものごとというのは、筋道や順序だった計画を作るものです。
それらを少しずつ達成するから成功すると言っていいでしょう。ところが短絡的な人は複眼思考をすることが苦手です。急に行動してしまうだけに視野が狭くなってしまいます。短絡的な人ほどミスも多くなったり、なによりもものごとが続きません。
仕事等で人の意見を聞かない
短絡的な考え方をしてしまいがちな人には、周りの意見に耳を貸さないという特徴や性格があげられます。短絡的な人ほど意固地でわがままです。意外と自分の考えに固執して常に正しいと思いあがっています。思考パターンを変えるための訓練や学習をしない人が目立ちます。
行動が敏速な割に周りの意見を取り入れることについては消極的な側面を見せるのが特徴です。 その結果、ものごとへの視野が狭くなっている人が多いとされています。
他人からの意見やアドバイスを活用しないので、情報量や知識が偏っていることが原因でトラブルに陥ります。そのため想定外のハプニングに対応する能力が低いとされています。
面倒なことを嫌う
短絡的な人というのは、途中経過を考慮することが苦手で、結果に至る過程にあまり時間を掛けたがらないという特徴があります。そのため複雑な経過を辿る課題や必ず克服しなくてはならない段階を、自分ではなかなかやろうとせず、途中放棄しやすい性格の人が目立ちます。
自分の力では手に負えないと知れば、他人の協力を得ることもありますが、短絡的な性格の人はそれを毎回相手に求めるので、実際にはとても厄介な存在とされています。
ものごとを複雑にするのは面倒だという考えは確かにその通りです。しかし必ず通らなければならない過程もあることを知らないと、人間として成長できません。
短絡的な思考を持つ原因
短絡的な考え方というのは、深く物事を捉えようとせず、自分の考え方や経験上だけに固執している依存した言動を起こしやすいとされています。思考が常に偏りがちだと言えます。
短絡的な思考になってしまうような場合には、その人の背景にいくつかの原因が顕著になっていると言えます。ここでは、短絡的な考え方を持つ原因についてご紹介します。
甘やかされて育った
短絡的な思考や性格になる原因として多いとされる理由は、あまり苦労を知らないまま育ってそのまま大人になっている場合があります。これは両親や周辺などに甘やかされて育っていることが背景にあります。
いつも自分の決めたことについて周りのフォローがあってそれが常になっていました。そのため苦労をして何かを成し遂げることに免疫ができていないからです。誰かが何とかしてくれるという気持ちが根底にあって、自分で何かを背負う自覚がないことによります。
今までの人生では、ものごとはそんなに深く考えなくてもどうにななってきたことで、その生活基盤が当たり前だと思い込んでいます。短絡的な自分にさえ気づいていない人も多いとされています。
心に余裕がない
仕事をしていると分かることですが、やり始めてすぐに結果が出る場合もあれば、そうは簡単に行かなくて時間を掛けて取り組むからこそ結果に繋がる場合もあります。
ところが短絡的で深く物事を考えようとしない人にとっては、結論が先に出てこない事柄についてはついイライラしてしまいがちです。途中の大事な経過をすっ飛ばして短絡的な思考に陥りやすくなります。
結果をすぐに知りたいがために、しっかり考えようという余裕がなく、周りの人の意見を聞こうともせず独断で行動をし始めて、結局できた問題もできないまま途中で放棄してしまうという残念なことになってしまいます。
短絡的な思考を直す方法
短絡的な発想は、思い切りがよくて気持ちいという反面、独善的で後先のことへの準備ができていない危険性をはらみます。そのために仕事や人間関係といった様々な場所でデメリットになってしまいます。
もし周囲からの信頼を勝ち取って、しかも自分自身を成長させたいと思うのならば、短絡的思考や特徴を省みて、直すべき性格を直す必要があります。短絡的な特徴や性格を直すためにおすすめの改善方法をご紹介していきます。
行動する前に複数の選択肢を考える
短絡的な思考では、ついつい結果を先延ばしにしたくないという性格が働いてしまい、考えて行動すよりも先に手が出てしまいがちです。とにかく動いてみれば何とかなるというワンパターンでしかものごとを捉えていません。
選択肢を最初から自分で無くしていると言ったほうがよいでしょう。そうではなく、時には一旦冷静に落ち着いて考える余裕を持たなくてはなりません。分析をせず行動が先走ってしまうと説得力がありません。
とにかく視点を変えてみて、選択肢をいくつも作りだすような習慣を持ちましょう。A案、B案、C案というように、あらかじめ行動する前に幾つもの選択肢をプラン化しておくことです。複数の方法を考える癖を持って、それに準じて行動を思い切りすることが大切です。
自己責任を意識する
短絡的な考え方を直すためには、自分の発言や行動について覚悟や責任を持つような心構えをしなくてはなりません。仕事やものごとがうまくいかない時にこそ他人に頼らず、原則としては自分で解決できるところまで自己責任を果たすということです。
自分が責任を持って仕事へ取り組むようになれば、自然と慎重に考えながら行動するようになります。他人に依存したり甘えの構図が徐々に減っていきます。もちろんどうしようもない時には誰かに相談することも大切です。
しかし、そのためにもできる限り自分がやれる段階まで絞りあげておかなくてはなりません。他人に丸投げしたり甘えると、必要な時に誰も助けてくれなくなります。自分のことは自分でやるというのは基本です。
人の話を聞く
短絡的な考え方を持っている人というのは、真っ先にこうしようと決めた通りにすぐ行動するという癖があります。それが功を奏する場合もありますが、当然ミスが多くなってしまうケースもあり、確率的には半々だと言えば良いでしょう。
問題を指摘してその原因を掘り下げるという行為が後回しになってしまうので、かえって問題を大きくしてしまいがちです。特に仕事の現場などでは、自分一人だけの問題ではないこともたくさんあります。必ず周囲の人のアドバイスや話をしっかりと聞いた上で行動するか否かを判断しましょう。
短絡的思考の人に欠けているのは客観的視点です。すぐに結果を出そうとするあまり見切り発車するのが癖になっています。本当に良い結果を出したいのであれば、先ずは焦らずに周囲の人々の意見も参考にするということです。
「短絡的」はすぐに原因と結果を結びつけること
仕事や日常生活の中では、深くものごとを追求せずつつい思い立ったその時に矢継ぎ早に言動を仕掛けてしまうタイプの人もいます。そのような人の性格や特徴も併せながら、短絡的という言葉の意味を探ってきました。
とにかく焦らず一旦落ち着いて一呼吸することが大切です。何でも行動が早くて成果が出ればそれに越したことはありません。しかし必ずしもそれで済む問題ではないこともたくさんあります。やみくもに行動をしても成果を逃すことになっては、身も蓋もないということです。
仕事やプライベートで本当の結果を出したいのであれば、短絡的な部分ともちゃんと向き合ってから計画的に行うことも大切です。