スーツベストのボタンマナーを覚えよう
社会人になると、ビジネスあるいは結婚式の冠婚葬祭などでスーツを着る機会は多くあります。しかし、実はそんなスーツを正しく身に着けられている人は少ないかもしれません。あなたはスーツを正しく着こなし、マナーを守れているでしょうか?ここでは、フォーマルな場面でのスーツの着こなしを詳しく解説していきます。
実は、スーツには2種類あります。ツーピーススーツとスリーピーススーツの2つです。まずはこの2つのスーツの違いから紹介していきます。あなたは、この2点の違いがどこにあるか分かるでしょうか。自分の持っているスーツがどちらのタイプか、確かめながら読んでみてください。
スリーピーススーツとは
スリーピーススーツとは、メンズのジャケット・ベスト・パンツがすべて同素材で統一されたセットのスーツのことを指します。近年はスーツの組み合わせも多様化し、インにベストを合わせない着方をする人も多くなっていますが、この中のどれか1つでも欠けるとスリーピーススーツと呼ぶことは出来ません。
近年はスーツの組み合わせも多様化し、インにベストを合わせない着方をする人も多くなっていますが、実はベストも合わせた3つで1セットのスリーピーススーツは、歴史的にも伝統があるスーツです。現在でも最も格式高い正統派のスーツとして認知されています。
結婚式など冠婚葬祭の場でも、ツーピーススーツより更にフォーマルな印象で、且つ全体のバランスの統一感を持たせることが出来るスリーピーススーツは最適なドレスコードであるといえるでしょう。
スリーピーススーツベストのボタンマナー①着こなし方
では、スーツの中でも最もフォーマルで格式高いと言われる、スリーピーススーツの着用マナーを実際に見ていきましょう。ポイントとなるのは、ベストのボタンのとめ方にあります。ベストのボタンについて意識したことがある人は意外と少ないかもしれません。あなたは、正しいマナーで着こなせているでしょうか。
ボタンを全部とめる=正装ではない
あなたはスリーピースのスーツを着る際、ベストの一番下のボタンをどうしたら良いか迷ったことはありませんか。「マナーとして、きちんと見せるために下まで全部とめている」という人もいるかもしれません。
実は、ベストのボタンは必ずしも一番下までとめる必要はありません。また、「ベストのボタンを一番下までとめているから正式な着用スタイル」とも言えないのです。これから、どんな場面で、またはどんなスーツベストの際にボタンをとめるのかとめないのか、それぞれのパターンをご紹介していきます。
ベストの着こなし方による
スーツベストのボタンをすべてとめるかどうかを決める要素は、ベストの着こなしが一番大きな範囲を占めます。具体的には、スーツのデザインやベストのボタンの数に着目する必要があります。スーツによって、ベストのボタンをとめるか外しておくか、適切なマナーが変わってくるのです。
では、実際にどんなシチュエーションでスーツのベストのボタンをとめるかとめないのか、これからパターンごとに紹介していきます。自分の手持ちのスーツがどんなタイプか、確かめながら見てみてください。あなたはスーツのベストを正しく着こなせているでしょうか。スーツベストのマナーを守って着こなしましょう。
スリーピーススーツベストのボタンマナー②ボタンのとめ方
スリーピーススーツのベストのボタンのとめ方をご紹介していきます。ベストのボタンのとめ方にはいくつかマナーがあり、特に結婚式など正装が求められる場面では、失礼のないようスーツを着こなす必要があります。パターンによって変わることのあるベストのボタンのとめ方は、確実にマスターしておきましょう。
一番下のボタンは留めない
スリーピーススーツでは、基本的にはベストの一番下のボタンはとめないことが原則とされています。これは、メンズのスーツを着用する上でアンダーボタンと呼ばれている正式なマナーです。ベストの一番下のボタンをとめることによって、ベストに皺が寄ってしまったりシルエットがきれいに見えなくなってしまったりするためと言われています。
スリーピーススーツの中でも、特に着こなしの肝となるベスト。フォーマルな印象を持たせるために一番下のボタンをとめた方が良いと思いがちですが、着こなしを一層美しく見せるため、一番下のボタンは装飾的な意味合いを担っていると考えましょう。
一番下のボタンを留める場合
前述のとおり、一般的にベストの一番下のボタンは外しておくのがマナーです。ただし、ケースバイケースで、一番下のボタンをとめるのが間違いではないパターンもあります。
ベストのサイズ感や身頃がぴったりと体型に合っている場合など、一番下のボタンをとめることが間違いではない場合もあります。ベストの一番下のボタンをとめた際にも、皺が寄ったりシルエットが損なわれず、綺麗に見える場合がそれに当たります。
あくまでスーツを綺麗に見せるということが最も重要視されますので、ベストの一番下がデザイン性の高い装飾ボタンになっている場合やその他通常の場合は、外しておくのが正解です。
一番上のボタンは?
スーツベストのボタンをとめるかとめないかの問題は、一番下のボタンが鍵を握っているとお分かりいただけたでしょうか。実は、一番下のボタンだけでなく、まれにベストの一番上のボタンを外すという場合もあるのです。
スーツベストの一番上のボタンを外すと、とめている時よりもカジュアルな印象になります。そのため、スーツを着るシチュエーションで、ボタンの開け閉めを使い分けるということが非常に重要になってきます。
ビジネスシーンなど、相手に抜け目なくきちんとした印象を持たせたい場合、一番上のボタンはとめる方が適切です。一方、結婚式などラグジュアリーな場面では、一番上のボタンを開けることによって華やかで垢抜けた印象を持たせることが出来ます。全体のバランスを見て、開放的なイメージをプラスしたい時に、一番上のボタンを開けるのも時に効果的です。
スリーピーススーツベストのボタンマナー③ボタンの数
これまで、スリーピーススーツベストの一番下のボタンは、とめないことが基本的なマナーであることをご紹介してきました。しかし、スーツベストのボタンの数によっても、ボタンをとめる場合とそうでない場合が変わってくることがあります。同じベストでも、ボタンの数が違うと印象が変わって見えてきます。
それでは、パターン別にボタンマナーをご紹介していきます。お手持ちのベストのボタンの数をいま一度確認して、正しいボタンのとめ方で着こなしてみましょう。
ベストのボタンが4つの場合
スーツにはシングルとダブルがありますが、ベストのボタンにもシングルとダブルがあります。シングルタイプはセンターに縦にボタンが並んでいるタイプで、ダブルは中央・横にもボタンがついているタイプです。
ベストのボタンが4つの場合、センターに2つ、サイドに2つボタンがついたダブルのタイプも多いです。
シングルタイプとダブルタイプで、ボタンのとめ方も変わってきます。4つボタンのシングルタイプは、アンボタンマナーに則り一番下のボタンはとめません。しかし、ダブルの場合は一番下のボタンをとめることもマナー違反にはなりません。スーツとのバランスや、ベストのデザインなどを考慮して決めましょう。
ベストのボタンが5つの場合
スーツベストの5つボタンのタイプは、Vゾーンが狭くなり4つボタンに比べ、更に格式高い印象になります。4つボタンはややカジュアルな印象となりややフォーマルさに欠けるところがありますが、5つボタンのベストなら結婚式などの場でも問題ないでしょう。
ベストの5つボタンは、ボタンが奇数個となるためダブルはなくシングルタイプのみです。従来のアンボタンマナーに則り、一番下のボタンはとめません。
ベストのボタンが6つの場合
スーツベストのボタンが6つの場合、Vゾーンがこれまでで一番狭まっていることから、より重厚感があり、かつフォーマルな印象を与えることが出来ます。結婚式など華やかな冠婚葬祭の場や、ビジネスの商談など改まった場でも重宝するでしょう。
スーツベストの6つボタンは4つボタンと同様、シングルタイプとダブルタイプがあります。シングルタイプは、これまでどおり一番下のボタンは外します。ダブルでは、6つボタンの場合一番下のボタンもとめるのが正式とされています。正しい着こなしが決まっていれば、粋な印象を持たせることが出来るでしょう。
スリーピーススーツベストのボタンマナー④結婚式
普段仕事ではスーツを着ない人も、結婚式ではスーツを着用しますよ。結婚式の際のスーツ着用では、通常の場合と違う注意点があるのでしょうか。
結婚式でゲストとして参列する場合は、よりスーツの着こなしやドレスコードについて気配りや配慮する必要があります。男性のスーツの場合、結婚式のお祝いの席であっても冠婚葬祭には基本的には黒が好ましいとされています。
ただ、華美になりすぎることがなければ、ネイビーやグレーの控え目な色目や、細いストライプが入っているものを着用しても問題ありません。白のスーツや黒のシャツなど、新郎の特権であるカラーやお祝いではタブーとされているカラーなどは避けましょう。
結婚式でスーツにベストの場合
結婚式において、ゲストとして参列する場合はドレスコードが失礼にあたらないよう、細心の注意を払う必要があります。また、お祝いの席でもあるので、ジャケットとパンツのツーピーススーツよりは、ベストを含むスリーピーススーツの方が華やかで統一感もあり、場にふさわしいと言えるでしょう。
また、結婚式に着ていくスーツを選ぶ際にも、柄物などは要注意です。特に、結婚式では年配の方が多く集まることもあり、柄物や華美なスーツは悪目立ちしてしまったり、場をわきまえていないとみなされてしまう可能性があります。
スーツのベストのボタンに関しては、これまでご紹介してきたマナーと同じく、基本的にはシングルタイプのベストの一番下のボタンははずし、ダブルのボタンに関してはボタンの数やバランスで開け閉めを調整しましょう。
スーツベストの粋な着こなし
男性のファッションの中でも、ベストを合わせたスリーピーススーツは、男性らしさをことさら際立たせることが出来る服装だといえるでしょう。スタイル良く綺麗に見せるためには、やはりベストの着こなしが肝になります。ジャケットの前を開けるスタイルではベストもしっかり見えるため、侮らず正しく着こなしましょう。
ベストはシングル?ダブル?
シングルとダブル、タイプの違いでもベストの印象は変わります。シングルタイプはオーソドックスでシンプル、ビジネスの場面に最適でしょう。シングルのベストを着こなしていれば、誠実なデキる男性に見せてくれること請け合いです。気合いの入るプレゼンや商談の日は、ベストを着こなしに取り入れたスリーピーススーツで挑みましょう。
一方のダブルタイプは、フォーマルでドレッシーな印象を与えます。特に華やかな場で活躍の幅を広げてくれます。ドレスコードがスーツと決まっているけれど、一辺倒にならず周りと差をつけたい。そんな時は、ダブルボタンのベストがおすすめです。
ジャストサイズのベスト選びが重要
ベストとパンツの間からシャツが見えていると、もたついた印象になってしまいます。シャツが大きすぎないか、パンツの腰回りが緩すぎないかは確かめましょう。また、ベストの丈感や着用感も意外と重要で、着席した際にややきつさを感じながらも、皺が出ないサイズ感がベストです。購入時は、着席した際のイメージも念頭に置いておきましょう。
ベストを着用することによって、胴回りの気になる体型をカバーして全体のスタイルを引き締めることができ、スタイリッシュな印象を持たせることが出来ます。また、温度調整のためにジャケットを脱いでも様になるのも嬉しいポイントです。
ベストのもたらす効果を十分に発揮させるためにも、きちんと印象を持たせることの出来る、自分の体型やタイプに合ったベストを選ぶことを心がけましょう。
スリーピーススーツならではのベストと小物合わせ
スリーピーススーツの特徴といえば、やはりベストで個性を出せるところではないでしょうか。結婚式のような形式が大切な場以外では、ネクタイやインのシャツ、小物で遊び心を表現することも出来るのです。
スーツを黒でシックにしネクタイとハンカチーフだけ挿し色を加える、シャツで柔らかな色味を取り入れる、ベストを襟付きのものにして表情を出す、など。スーツはパーツで遊べる範囲が決まっていると思いがちですが、実はそれぞれのチョイスでかなり自分らしさを演出することが出来るのです。
アンボタンマナーなど基本ルールを守りながら、自分らしい色合わせや小物合わせを含めたベストの着こなしを探求してみてはいかがでしょうか。
スーツベストの着用マナーを知ってかっこいい着こなしをしよう!
スーツ着用の際の注意やボタンの留め方をご紹介してきましたが、普段何気なく着ているスーツやベストにも、実は様々なマナーがあることがお分かりいただけたでしょうか。自分の持っているスーツや着用シーンによってボタンマナーを使い分けられると、一目置かれる存在になれるかもしれません。どんな場面でも、自信を持ってスーツを着こなしましょう。