スーツベストとは
現在のビジネスシーンではベストを着ないツーピーススーツが主流ですが、スリーピースとツーピースの明確な違いはスーツベストを着るか着ないかにあります。
スーツベストを着るスリーピーススーツは古くから格式がありツーピースよりワンランク上のフォーマルさがあります。スーツベストを着るだけでよりスーツの魅力を引き立ててくれるアイテムです。
スリーピーススーツは歴史あるスタイルなので着こなしかたにも相応のマナーがあります。しかししっかりマナーを知りスリーピーススーツを着こなせる人はビジネスシーンや結婚式などのフォーマルな場においても一目置かれる存在となれます。そしてスーツベスト知ることこそがスリーピーススーツを着こなすかなめでもあります。
スーツ用のインナーでドレス感の強いもの
ファッション性の高いオッドベストと違いスーツベストはスリーピーススタイルに欠かせない重要なアイテムです。
スーツベストと聞いて頭に浮かぶのは袖がないスーツベストですが、もともと袖があり15世紀から17世紀まで上着として着用されていました。やがてジャケットの下に着る「中衣」として着るスタイルが流行しました。
ビジネスや披露宴や結婚式などのフォーマルな場面ではジャケット・スーツベスト・パンツの三つ揃えともよばれるスリーピーススーツで出席することが一般的なマナーでした。そういった背景からスーツベストはドレス感が強くビジネス向けでツーピーススーツよりフォーマルなものという認識が現代でも残っています。
ジレとの違い
スーツのアイテムとしてはスーツベストとジレはほぼ同じものです。しかしファッションとして考えたときベストはどちらかといえばカジュアルなものと考えられ、ジレはフォーマルな中衣の役割が強く見せない事を想定して作られたものをさす場合が多いです。ファッションとしてはジレのほうが本来のスーツベストに近いです。
スーツベストの選び方で着こなし方が決まる
ジャケットとベストとパンツが正式なスリーピーススーツの形ですので、自分に合ったベストを選ぶ事が大切です。
ジャケットを着るから、あまり見えないからとスーツベストにこだわらないのはもったいないことです。見えないからこそこだわる事でまわりの人とは違う自分をビジネスや結婚式などでもさりげなくアピールすることが出来ます。そしてスーツベストの選び方さえ間違わなければスリーピーススーツのマナーや着こなしは失敗することはありません。
①カラーはネイビー・グレー
スーツに合わせるという事を考えたときにビジネススーツの一般的な色であるネイビーやグレーのベストを選べばまず間違うことはありません。
ネイビーは重厚感があって落ち着いた色ですので誠実さや真面目さをアピールできます。グレーは上品で洗練された都会的な色で相手に優しい印象を与え警戒心を解けますので、ビジネスシーンにふさわしい色となります。
また色違いのジャケットに合わせる場合でもネイビーやグレーのスーツベストは色違いでも合わせやすくあるどんな色でもおしゃれな着こなしができなおかつ使い回しがきく便利な色です。はじめからベストがついたセット三つ揃えやスリーピースのスーツに追加でベストを購入するときはネイビーやグレーをお勧めします。
ひとくくりにグレーやネイビーでも明るいものや暗いものまであります。濃いグレーやネイビーなら色違いの明るいスーツベストを合わせると華やかな印象にジャケット・ネクタイの色に合わせるとスタイリッシュに着こなせます。少しの色違いを活用してコーディネートできるようになるとスリーピーススーツをより引き立ててくれます。
②ジャストなサイズを選ぶ
購入する際に気をつけて頂きたいのは必ず試着をすることです。既製スーツの場合サイズ分けはされていますが、メーカによって微小な違いがあります。普段着ているサイズと同じでも試着して体に合っているかを確認しましょう。
合っていないサイズのスーツベストは見る人にだらしない印象をあたえます。選ぶポイントとしてはスーツベストの着丈が短くない事とサイズがシビアな胴回りが必ず自分のジャストサイズのもの選ぶことが大切になります。
ベストには尾錠と呼ばれるサイズを合わせる調整ベルトがついておりますが、これはあまり役にはたちません。尾錠で調整した場合スーツベストにシワがより見た目もスマートではありませんし着心地が悪くなったりします。なので調整しなくてもいいジャストサイズを選ぶことがスーツベストを着こなすポイントです。
③背面の素材が切り替わっているもの
背面が切り替わっていないものはカジュアルなものが多く、ジャケットを着用せず完結する着こなしとして作られているものもあります。ビジネスには不向きです。
反対に背面の素材が切り替わっているデザインのベストはジャケットを脱いだときでもシャツを隠してくれるのでフォーマルさを保ってくれます。そしてキュプラなどの生地で切り替わっているベストは吸湿性があり蒸れにくく見た目も光沢感がありツヤツヤとしてデザイン的にも優れています。
④シャツは見えないようにする
スーツの歴史的な背景からシャツは下着と同じようなものという考えがありますので、シャツが見えないベストを選びましょう。
スーツベストを着こなすときに大切なのはスツーベストとパンツの隙間からシャツが見えないようにすることです。シャツが見えるのはマナー違反となります。そしてベルトが見えることも良くありません。ですので必ずシャツとベルトが隠れるちょうどいい着丈でジャストサイズのスーツベストを選ぶ事が大切です。
⑤ダブルとシングル
ベストといえば襟なしのシングルタイプが一般的ですが、ベストにはジャケット同様にダブルタイプや襟付きもありますきく分けるとシングルタイプとダブルタイプ、さらにそれぞれ襟なしと襟付きの4種類あります。
ダブルタイプかシングルタイプを選ぶかはあくまで好みの問題であり、ベストのフォーマルさには関係ありません。
合わせるシャツやスーツによってふさわしいものを選び着こなしましょう。シングルタイプはスタイリッシュですのでビジネスシーンに向いています。ダブルタイプで襟付きのベストは威厳がありクラシカルな大人の雰囲気を演出することができ、フォーマルさがありますので結婚式にも向いています。
⑥スーツベストの生地
スーツベストは正面に良い生地を使い背面はあまり良くない生地や色違いの生地で作られることもあり、この場合は必ずジャケットを着用しましょう。スリーピーススーツはジャケット・ベスト・パンツが同じ生地で揃えられてスリーピーススーツなのです。
既製品ではなくオーダースーツで仕立てたときオリジナリティを出して派手な生地や色違いの生地を選んでしまう事があります。ジャケットの裏地とベストの背面は同じ生地を使う事が基本となりますので、なるべく色違いにはならないように生地を統一することが大切です。ベストの背面だけ違う趣向を凝らした生地だと見た目も良くありません。
スーツベストのメリット
ツーピースが主流になったいまでもスリーピースを着ている人がいます。その人たちがあえてスリーピーススーツを選ぶのにはちゃんとした理由があり多くのメリットを知っているからです。本項ではスーツベストを着用するスリーピーススーツのメリットをいくつかご紹介します。
①ビジネスシーンでスタイリッシュに見える
ベストを着こなすスリーピーススーツはスタイリッシュにみえ、相手にいい印象をいだかせることができてビジネスシーンでも有利になります。
ベストを着るだけでツーピーススーツよりスタイリッシュで格式高いフォーマルな装いとなりますので、大事な場面でも失礼になることがありません。ベストを着る事でしっかりビジネスマナーを守る事ができます。
スーツベストを着用するスリーピーススーツはビジネスシーンにおいても格式高い装いでベストを着るだけで全く違う印象になります。ツーピーススーツが主流になった現在ではまわりのビジネスパーソンと大きく差をつける事ができ、なによりもスタイリッシュに体のラインを引き立ててくれます。
②ジャケットを脱いでもきちんと見える
ジャケットを脱いでもベストを着ていればシャツを隠し、なにより立体感がでて体格がよく見えます。
ベストは歴史を辿ればジャケットの一種でした。その歴史的な背景からジャケットを脱いでシャツだけになってもスーツベストを着ていればマナーを守っている事になります。しかし基本はジャケットを着用することが正しいスリーピーススーツのマナーです。
スーツスタイルにおけるシャツは下着と同じで本来ジャケットは脱がないことがマナーとなっております。しかし日本の気候は外国と違い高温多湿のためどうしてもスーツを脱ぐ場面があります。しかしスーツベストを着ていれば脱いだときでも最低限のマナーを守ることが出来て、なおかつきちんと見えスタイリッシュになります。
③防寒性があり寒い日も暖かい
寒い季節になるとスーツにニットなどを合わせたくなりますが、ニットはカジュアルなアイテムなのでビジネスシーンには不向きです。そこでスーツベストを着用しましょう。ベストは腹部が冷える事を防ぎ体感温度も上がりそしてスマートでビジネスにおいてもマナーを守る事ができます。
外は寒くてもオフィスは暖房が効き熱い時がありますが、ベストを脱げば簡単に体温調節ができるメリットがあります。
④体をたくましく見せる
華奢な方はスタイルよく体の大きい方は貫禄が出せます。自分の体形に合ったスーツベストは体をよりたくましくみせる事ができる魔法のアイテムなのです。
ジャケットとネクタイの間にスーツベストを挟むことによりVゾーンが立体的に見えて奥行がうまれます。奥行がうまれたことによって体が立体的に見え、自分の体をよりたくましく見せる効果があります。
人それぞれ体形は違いますが大まかな選び方としては、華奢な方の場合Vゾーンが浅いものを選びましょう。浅い分ベストの面積が広くなるので胸板が厚く見えたくましく見える効果が得られます。体の大きい方はVゾーンが深いものを選ぶと縦のラインが強調されてスマートに見えます。
スーツベストのマナー
スーツベストは歴史あるスリーピーススーツの「中衣」として発展したためしっかりとしたマナーがあります。スーツベストをただ着るのではなくマナーを守りしっかりと着こなすことでより自分の体の魅力を引き出し、ビジネスシーンでも結婚式などのフォーマルなシーンにおいても活躍できます。
①スーツベストの一番下のボタンは開ける
スーツのマナーでジャケットを着る時にジャケットの一番下のボタンを開ける「アンボタンマナー」はよく知られていますが、このマナーはスーツベストでも同じです。ジャケット同様にボタンの一番下を開けるのがマナーとなっています。またボタンの個数に関係なく一番下のボタンは開けるように注意しましょう。
ダブルタイプのベストはボタンが7~8個ついているものがあります。その場合いは内側に並んだボタンを留めましょう。そしてダブルタイプのベストも一番下のボタンは開けましょう。
②ジャケット無しで着るのは避ける
ジャケットとベストとパンツが正式なスリーピーススーツの形です。ジャケットを脱ぐのは社内や近場などの外出程度が許容範囲と考えましょう。
スーツベストはシャツを隠す「中衣」の役割が強く本来見せるものではありませんがシャツだけの格好よりは恥ずかしくない格好です。人によりスーツベストだけで過ごす事に不快感を示す人もいます。特にスーツにこだわりがある上司などがいる場合は気を付けましょう。
スーツベストはジャケットを脱ぐ事を想定せずに作られたものがあります。それはスリーピーススーツがジャケット・スーツベスト・パンツの3つが揃ってこそのスリーピーススーツだからです。もし社内などで脱ぐ機会が多いときは脱ぐことを想定した恥ずかしくないスーツベストを選びましょう。
③結婚式では着こなしに注意
いつものビジネス用のスーツでもベストを組み合わせるとフォーマルな装いとなりますので結婚式でも問題なく出席できます。しかし派手すぎるデザインやジャケットと色違いのベストを合わせるのは注意が必要です。結婚式の主役はあくまで新郎新婦ですのでカジュアルすぎる着こなしは配慮しましょう。
スーツベストを結婚式でクールにキメる
結婚式はフォーマルな場であるため相応のマナーが存在します。特に服装には一番気をつける事が大切です。
決められたマナーの中でいかにスタイリッシュにみせるかはセンスを問われるので結局無難な服装になりがちです。だからこそ決められたマナーの中で、クールにきまったスーツベストがチラッと見えるスリーピーススーツを着こなせば華やかな結婚式でも悪目立ちせずクールに、なおかつ主役である新郎新婦に花を添える事が出来ます。
ベストを着る事でフォーマル感アップ
結婚しきでは必ずベストを着用する必要はありませんが、スーツにベストを合わせればフォーマル感が格段とあがります。
ベストを着るスリーピースーツは格式あるスタイルですのでツーピーススーツよりワンランク上のフォーマルさがあります。シャツとジャケットの間にたった一着スーツベストがあるのとないのとでは印象も大きく違ってきます。結婚式のようにいつものスーツより、フォーマルさが求められるシーンではベストが活躍します。
濃い色を選ぶと綺麗にまとまる
ジャケットと色違いのコーディネートにする場合濃い色のベストを選びましょう。濃い色のベストはシルエットが綺麗にまとまり、奥行が出て体を引き締めて見える効果もあります。色違いの濃い色こそがスーツに華やかさを与えます。結婚式のフォーマルな場にふさわしい装いとなりなおかつスマートな着こなしが出来ます。
ベストとネクタイの組み合わせ
ネクタイを締めるタイドアップスタイルになれたら、蝶ネクタイを取り入れてみるのもひとつの着こなしです。蝶ネクタイはタイドアップスタイルより格式高いので結婚式にもふさわしい装いとなります。しかしベストを着用せず蝶ネクタイだけだと首元から下に大きなスペースが空き寂しい印象に見える事があります。そんな時こそベストを着用しましょう。
結婚式にふさわしいスーツベスト
結婚式に着るベストの形には特にマナーはありませんので、スーツや自分の体形に合わせたスーツベストを選びましょう。
しかし派手すぎる柄や色必要以上に目立ちますは避けましょう結婚式の主役は新郎新婦です。ジャケットと同じまたは似た生地や同じ色のスーツベストは見た目もよくコーディネートしやすいのでおススメです。
色はグレーが最も合わせやすく結婚式でも無難な色です。グレーのベストはネイビーやブラックのスーツにも合いなおかつ暗すぎない結婚式向けのコーディネートになります。ブラックのベストとブラックのスーツを合わせる場合は暗くなりやすいので、ネクタイやシャツに明るめの色を使う事で引き締まり華やかな印象を作り出せます。
スーツベストのカラーの合わせ方
スーツベストの着こなしの基本としてスーツと同じ同系色でまとめる着こなしが基本となります。同系色でまとめられたスリーピーススーツは洗礼されとてもスマートです。しかし周りのビジネスパーソンと違う自分をアピールするならあえてスーツとは色違いのスーツベストを合わせ着こなすことで存在感を出しスタイリッシュさを作り出せます。
アクセントとして色違いを入れる
同系色でまとめる着こなしになれたら、あえて色違いのベストを合わせてみるのも着こなしのひとつです。ジャケットと色違いのベストはアクセントとなります。
試しにスーツの定番カラーであるネイビーのスーツにブラウンのスーツベストを合わせてみましょう。いつものネイビースーツでも色違いのブラウンのベストを合わせるとこなれた感じがでて大人の風格が漂うコーディネートとなります。ネイビー×ブラウンの色使いはスーツの本場でもあるイタリアでも定番の間違いのない組み合わせです。
基本は同系色でまとめる
フォーマルシーンでのベストを着用するスリーピーススーツの装いは、モノトーンの同系色でまとめる色使いが基本となります。ベストもスーツと同じ色でまとめるのが無難ですが、カジュアルな結婚式なら色違いのベストを合わせてみるのも着こなしのひとつです。スーツと色違いのベストはアクセントとなり華やかな印象となります。
シャツとベストで印象がかわる
シャツとスーツベストの組み合わせで印象を簡単に変えることができます。そしてシャツにもこだわることがスリーピーススーツを着こなす近道でもあります。
タブカラーシャツと呼ばれる小さな紐がついた特徴的なシャツは、ネクタイを浮かび上がらせ首元に立体感を出す効果がありスーツベストと合わせた時によりフォーマルで男らしさを演出する事ができます。その際ネクタイも同系色ではなく色違いのネクタイを合わせるとより効果が得られます。結婚式でも華やかさが出せるのでおススメのシャツです。
シャツ襟にもこだわる
シャツ襟の形にもこだわる事で、よりベストの存在感をだせてスマートな着こなしができるようになります。
ベストの下に着るシャツは襟がベストに収まる形がもっともバランスがよくみえます。襟がはみ出てしまわないように少し広めに襟が開き、襟足もやや高めなワイドカラーのシャツが合わせやすいです。ワイドカラーシャツはスーツの本場の英国調のスーツの着こなしかたですので、スリーピーススーツにも相性がいい組み合わせです。
カッタウェイカラーシャツは襟が大きく開いており華やかな印象がでるのでベストとの組み合わせも抜群です。華やかな印象になるのでお葬式などの席には向きませんが、結婚式・二次会などのお祝いの席でしたらおススメの着こなしです。
スーツベストの着こなしポイントは選び方
スーツベストの選び方着こなしかたを知ればスリーピースーツをより魅力的にしてくれます。日常シーンでもビジネスシーンでもスーツベストを着用することによって様々なメリットをえられます。着るだけでスタイリッシュになるスーツベストを、クールな着こなしでまわりと差をつけて自分をアピールしていきましょう。