ブランケット症候群って知っていますか?
皆さんは「ブランケット症候群」をご存知でしょうか?「ブランケット」という言葉から何となく、どのようなものなのか想像出来る方も多いのではないでしょうか。今回は、近年増加しているという「ブランケット症候群」について、その症状や原因、解決法などをご紹介していきましょう。
ブランケット症候群とは
まずは「ブランケット症候群」とはどのようなものなのか、というところに焦点を当てていきましょう。「ブランケット」という言葉は日本語にすると「毛布」という意味となります。その「毛布」というキーワードで何となく、どのような症状の症候群なのか分かるような感じがしませんか?
ブランケットを常に持ち歩いている
では「ブランケット症候群」について、ご説明していきましょう。「ブランケット症候群」とは、ブランケット症候群とは、お気に入りのブランケットを常に持ち歩いている、常に手元にないと落ち着かない、ストレスを感じるという症状から、そのような名前が付けられました。
ブランケット症候群のブランケットは「毛布」を指しますが、毛布だけではなく、タオル、スカーフ、ハンカチ、ぬいぐるみなどの場合もあります。その対象は主に手触りの良い、決まったアイテムとなっており何処に行くにも、その決まったアイテムを肌身離さず持ち歩きます。
「ライナスの毛布」「安心毛布」とも呼ばれる
「ブランケット症候群」は、またの名を「ライナスの毛布」や「安心毛布」などとも呼ばれています。「ライナスの毛布」のライナスとは「ピーナツ」とは、あの有名なスヌーピーが登場する漫画です。その漫画に出てくる「ライナス」という少年は常に毛布を持ち歩いています。
そしてライナスは、そのいつもの毛布がないと、非常に不安になりストレスを感じ、反対に毛布が手元にあると安心することが出来ます。このエピソードから人間が「何か」に異常なほどに執着することを「ライナスの毛布」や「安心毛布」と呼ばれるようになりました。
ブランケット症候群の症状
「ブランケット症候群」とは人間がある特定のアイテムに対して異常なほどの執着を示すこと、とご説明しましたが「ブランケット症候群」の具体的な症状とはどのようなものなのでしょうか。ここではブランケット症候群の具体的な症状について、ご説明していきましょう。
ブランケットがないと落ち着かない
ブランケット症候群の症状の1つ目は、「毛布などの特定のアイテムを常に持っていないと落ち着かないこと」です。この症状はブランケット症候群の基本的な症状となっていますので、この症状が頻繁に起きるようであれば、ブランケット症候群の疑いがあります。
眠る時はもちろん、お出かけをする時も必ず持って行きますし、テレビを見たり勉強をしたり、のように何かをする時でも特定のアイテムが常にそばにある、または持っている状態になっていないと、とても落ち着かなくなります。
ブランケットがないと眠れない
ブランケット症候群の症状の2つ目は、「毛布など特定のアイテムがないと全く眠れなくなること」です。例えば、もし無理に毛布などの特定のアイテムを洗濯してしまったり、「もうボロボロだから」と全く同じ種類の新しいものに交換してしまったりするとします。
例え洗濯しただけでも、例え前と全く同じものを買ってきたとしても、ブランケット症候群の人にとっては、それはもう自分の大好きだったものとは違うものとなるのです。精神的に不安定になって不眠や鬱などの原因になりかねません。また、怒りのあまり癇癪を起こしてしまうこともあります。
ブランケットを洗濯するのを嫌がる
ブランケット症候群の症状の3つ目は、「どんなに汚れても洗濯するのを嫌がること」です。当たり前ですが洗濯というのは、汚れや臭いをなくすために行う行為です。ですので、洗濯するとブランケットなど特定のアイテムに染みついていた匂いや汚れが無くなってしまいます。
ブランケット症候群の人にとっては、そのアイテムだけでなく、アイテムの臭いや汚れにすら愛着を感じてしまっているので、洗濯するのを嫌がるのです。ブランケット症候群の人は、いつものブランケットなどの特定のアイテムが心を落ち着かせるキーアイテムとなっています。
更に、それらに付いている匂いや汚れすら心を落ち着かせるものとなっているのです。なので洗濯をしてしまうと大好きな匂いや汚れが無くなってしまうこととなり、ブランケット症候群の人にとっては「安心出来る状態」を奪われた、と感じてしまうわけなのです。
ブランケット症候群になる原因【乳幼児・子供の場合】
それでは、一体なぜ、どのような原因でブランケット症候群になってしまうのでしょうか。実は「乳幼児・子供」のブランケット症候群の原因と「大人」のブランケット症候群の原因では、その内容が異なってきます。
ここではブランケット症候群になってしまう原因について、「乳幼児・子供」の場合と「大人」の場合に分けて、ご説明していきましょう。まず最初に「乳幼児・子供」のブランケット症候群の原因から見ていきましょう。
自立心の芽生え
乳幼児・子供がブランケット症候群になってしまう原因の1つ目は「自立心の芽ばえ」です。ブランケットなどの特定のアイテムを「母親」に見立てているのです。このような説明をしてしまうと「お母さんの愛情が足りないのでは?」と感じる方も多いのではないでしょうか。
ですが、それは違うのです。子供は自然に「自立しよう」と感じているのです。子供にとっての自立の第一歩は「母親から離れる」ということです。ですが、やはり子供にとって「母親から離れる」というのは、とても不安になることなのです。
その不安を和らげるために一時的に「母親の代わり」が必要となってきます。その「母親の代わり」となるのが、ブランケットなどの特定のアイテムとなるのです。こうしてブランケット症候群になってしまうと言われています。
お母さんがそばにいるような安心感を得たい
乳幼児・子供がブランケット症候群になってしまう原因の2つ目は、「常にお母さんがそばにいるような安心感を得たいという気持ちの現れ」です。乳幼児や子供にとって「お母さん」という存在は絶対的に安心できる、唯一の存在です。
ですが、そんなお母さんから離れざるを得ない事もあります。例えば保育園や幼稚園などに通うようになったり、自分の弟や妹が産まれきて、お母さんが弟や妹のお世話で忙しくなり、今までのように自分を構ってくれなくなったなどといったことです。
そのような環境の変化は乳幼児や子供にとって大きな不安となります。となると、その乳幼児や子供の不安を少しでも取り除いてくれるものが必要になってきます。そうすると「いつも使っている」ブランケットや特定のアイテムに強い執着が生まれてきます。それが原因とも言われています。
病気・発達障害などではない
ブランケット症候群のような症状が出てしまうと「発達障害」や「何かしらの病気」を疑ってしまって心配になる方も多いことでしょう。しかしブランケット症候群は子供の成長過程で表れる現象であって、決して「病気」や「発達障害」ではないのです。
ブランケット症候群というのは、子供の成長過程で表れる一時的な現象なのです。みっともないから、不潔だからといって無理矢理その行為を止めさせると、子供は心のよりどころをなくして混乱してしまったり、強いストレスを感じてしまいますので、そのような行為は逆効果なのです。
ブランケット症候群になる原因【大人の場合】
次に大人がブランケット症候群になってしまう原因について、ご説明していきましょう。ブランケット症候群はそのイメージから「乳幼児や子供だけがなる」と思う方も多いのではないでしょうか。ですが広く知られていないだけで、大人でもブランケット症候群の人は少なくないのです。
子供の場合は、自立心の芽ばえや環境の変化によるストレスなどがブランケット症候群の原因となっていましたが、大人の場合はどのような事柄がブランケット症候群の原因となっているのでしょうか。ここでは大人のブランケット症候群の原因をご紹介していきます。
ストレスによるもの
大人のブランケット症候群の原因は、「ストレス」です。そのほとんどがストレスによるものであると考えられています。大人になると日々の生活の中で、子供の頃とは比較にならない過度のストレスを感じるようになります。
そして、そのストレスが心の負担となって、「何かに頼りたい」と強く感じてきます。ですが、もう大人ですので誰かに頼るというのは簡単に出来る事ではありません。なのでブランケットやぬいぐるみを代表とする、特定のアイテムを必要としてしまうのです。
スマホが手放せない人も同じ
大人になっても「スマホが手放せない」「スマホが常に手元にないと不安になる、落ち着かない」という人も多いのではないでしょうか。とにかく一日中、スマホを手放さないという症状もブランケット症候群のひとつとされています。
よく「スマホ依存症」などと呼ばれています。ストレスなどが原因でスマホが手放せない、スマホを持っていることによって、常に誰かと繋がっているような気持になれて不安が払拭されるといった症状は、明らかに大人のブランケット症候群といえるでしょう。
ブランケット症候群の解決方法
ブランケット症候群について、その症状や原因などを一通りご紹介してきました。ここからはブランケット症候群の解決方法をご紹介していきましょう。ブランケット症候群だけに限らず、何かに異常なほど依存するというのは精神衛生上、良いことではありません。焦らずに解決していきましょう。
無理矢理やめさせず見守る
ブランケット症候群の解決方法の1つ目は「無理矢理やめさせずに見守ること」です。とはいえ我が子がブランケット症候群になってしまったら、親としては非常に心配になります。ブランケットなどの特定のアイテムに異常なほど執着している我が子を見るには非常に辛いことでしょう。
更に子供の成長に害があるのではないか、と非常に不安を感じて「早くにやめさせなければ!」と考える方がほとんどなのではないでしょうか。しかし、「無理矢理やめさせる」という行為は子供にとっては心のよりどころを失ってしまう事なのです。
確かに子供が執着しているアイテムを取り上げることで、その時はブランケット症候群の症状が落ち着いたように感じます。ですが、そのような行為は解決どころか、子供の「トラウマ」となって一生苦しめられてしまう結果となりかねないのです。
対象となる物を徐々に小さくしていく
ブランケット症候群の解決方法の2つ目は「対象となるものを徐々に小さくしていく」ということです。いくらブランケット症候群は仕方のない事だといっても、外出時に持ち歩かれたり、保育園や幼稚園にブランケットなどの大きなものを持ち出されるのは非常に困ってしまいます。
そのような場合にはブランケットなどの特定のアイテムなどを小さくしていくという解決方法が有効とされています。もちろん、トラウマになってしまわないように子供本人の理解を得たうえでブランケットを少し小さくしてみたり、ぬいぐるみを小さくリメイクしてみる、と良いでしょう。
他に興味を持てるものを探す
ブランケット症候群の解決方法の3つ目は「他に何か没頭できる趣味などを作る」ことです。趣味を見つけるという事は考えているより難しいものです。一体、何が自分に合うのか分からない方も多いのではないでしょうか。
特にいわゆる「スマホ依存症」との呼ばれる、スマホを手にしていないと落ち着かないという方は、他人のことは気にしないようにすることが大事です。他人の目を気にし始めると、それが落ち着かなくてストレスの原因のひとつになっていまいます。
今まで経験してきたことをもう一度やってみる、または未知の分野に挑戦してみるなど色々なことをやってみて、自分にぴったりの没頭できる趣味を見つけてみましょう。没頭できる趣味を見つけるとストレス解消になりますし、自然とスマホを持っている時間が減っていくでしょう。
ブランケット症候群を理解して焦らず解決していこう!
今回はブランケット症候群について、その症状や原因、解決法などをご紹介してきました。いかがでしたでしょうか。皆さんの身近にブランケット症候群のような症状を持った方はいらっしゃらないでしょうか。もし、そのような方がいらっしゃったら焦らずに対処してあげましょう。
遊びに誘ってみたり、話を聞いてあげたりするだけでも効果はあります。ブランケット症候群は辞めたいのにどうしても辞められない、といったアルコールやギャンブル、薬物などの「依存症」とは違います。このような依存症の場合は専門家のもとで適切な治療を受けなければいけません。
ですがブランケット症候群の場合は、その人がなぜブランケット症候群になってしまったのか、を理解して見守るのが一番とされています。無理に止めさせることは避け、焦らず向き合って、根本的な原因を解消する努力を一緒にするのが効果的です。