パーソナルスペースとは?
近年時折使うようになったパーソナルスペースという言葉があります。このパーソナルスペースという言葉は個人個人が大切にする空間を意味しています。端的に言えば「縄張り」のようなものです。ですがパーソナルスペースは動物の縄張りのように単純なものではありません。
動物は糞尿などの自分の痕跡で縄張りを示せますが、人間にはそんなことはできません。なので知らない間に他人の縄張りパーソナルスペースを侵していることもありますし、逆に自分がパーソナルスペースを侵されていることもあります。
このようにちょっと複雑で、でも人間関係においてパーソナルスペースはとても大切です。そんなパーソナルスペースとは一体どのようなものなのかをご紹介します。
相手との関係で変わる
パーソナルスペースはまず、相手との関係で変わると言えます。相手が家族や兄弟ならゼロ距離でも良いけれど、見ず知らずの他人とはできる限り距離を置きたいといった具合に、知っている人かそうでないかによってかなり違います。また、知っている人でも嫌いな人とは距離を置きたいという場合もあります。
パーソナルスペースを侵されると不快感を覚えるということもありますので、一般的にパーソナルスペースとはどのような距離なのか、遠距離から近距離までご紹介します。
1.公衆距離は3.5m以上
それではパーソナルスペースの距離についてご紹介します。まず、公衆距離の場合は3.5m以上です。公衆距離というのは選挙演説や文化人の講演会など、話す人と聞く人の間に距離を置かなければならない場合の距離のことを指します。話す人が「公的な立場の人」である場合、このぐらいの距離が適切だと言われるのが公衆距離です。
2.社会距離は1.2m~3.5m
パーソナルスペースの距離の二つ目は、社会距離です。社会距離は1.2m~3.5mとされています。社会距離というのは、仕事場での上司との距離や取引先の相手との距離などを指します。上司や取引先の相手とは気軽に触れられる距離ではいけないということで、やや距離を取ります。声は届いても触れられないことが基準になっている距離です。
3.個体距離は45cm~1.2m
パーソナルスペースの距離の三つ目は、個体距離です。個体距離は45cm~1.2mとされています。個体距離というのは、二人の人間がお互いに少し手を伸ばせば届くというぐらいの距離です。かなり近い距離で話ができますので相手の表情なども良くわかります。会社の同僚など仲の良い相手なら許せるという距離が個体距離です。
4.密接距離は0cm~45cm
パーソナルスペースの距離の四つ目は、密接距離です。密接距離は0cm~45cmで、ほぼ間をあけずにぴったりとくっついているような距離です。家族やパートナーなど、抱き合っても大丈夫なほど仲の良い相手や信頼している相手になら許せる距離です。赤の他人とこの距離になると拒絶反応するという人も少なくありません。
パーソナルスペースが広い人の特徴
パーソナルスペースとはどのようなものなのかをご紹介してきましたが、世の中には他人に比べて明らかにパーソナルスペースが広い人もいます。大体の基準となる距離以上の距離を取ろうとする人は、意外に少なくありません。パーソナルスペースが広い人とはどのような人なのか、その特徴をご紹介します。
人見知り
パーソナルスペースが広い人の特徴の一つ目は、人見知りです。人見知りが激しく他人となかなか仲良くなることができない人は、パーソナルスペースが広い場合が多くあります。いつまで経っても公衆距離を保っているようなパーソナルスペースが広い人は、人見知りが原因でパーソナルスペースが広い人である可能性が高いです。
なので人見知りが激しいというのが、パーソナルスペースが広い人の特徴であると言うことができます。
自分に関心が向いている
パーソナルスペースが広い人の特徴の二つ目は、自分に関心が向いているということです。他人にあまり関心がなく、自分の世界に浸っていれば幸せだというタイプの人も、パーソナルスペースが広いと言えます。こういうタイプの人は、他人と関わらなくても自分ひとりの世界で楽しむことができるという特徴を持っています。
他人にあまり関心がなく自分にしか関心が向かないというのも、パーソナルスペースが広い人の特徴のひとつです。
自分に自信がない
パーソナルスペースが広い人の特徴の三つ目は、自分に自信がないということです。自分に自信がなく、他人から好かれていないと思っている人は他人から距離を取ろうとする傾向にあります。自分が他人の近くにいることによって、他人に不快感を与えるのではと不安になるため、他人から距離を取ろうとする人はパーソナルスペースが広いと言えます。
一人でいるのを好む
パーソナルスペースが広い人の特徴の四つ目は、一人でいるのを好むということです。先に「自分に関心が向いている」という特徴をご紹介しましたが、「一人でいるのを好む」というのもこれに似た特徴です。一人でいるのを好む心理の人は他人から干渉されることを嫌うので、自然とパーソナルスペースが広い人になります。
パーソナルスペースが広い人の心理
パーソナルスペースが広い人の特徴をご紹介しましたが、次はパーソナルスペースが広い人の心理をご紹介します。パーソナルスペースが広い人の特徴を知れば、その心理も何となくわかるでしょう。やたらに人と距離を取りたがる、パーソナルスペースが広い人の心理をご紹介しましょう。
自分のペースを守りたい
パーソナルスペースが広い人の心理の一つ目は、自分のペースを守りたいという心理です。パーソナルスペースが広い人の中には一人でいるのが好きだという人もいますが、そういうタイプの人は人に合わせて行動するのが苦手なため、一人でいたいという心理の人が多いです。
そういう心理の人は自分のペースを守りたいと思っているため他人と必要以上に距離を置き、「パーソナルスペースが広い人」と言われる傾向にあります。
他人と距離をとってつきあいたい
パーソナルスペースが広い人の心理の二つ目は、他人と距離をとってつきあいたいという心理です。こちらも、一人でいるのが好きだという人に多い心理です。人生において様々なことを経験して来て、あまり人に関わりたくないと思うようになった人の中には、他人と距離をとりたいと考える人もいます。
そういう心理の人は自然に人との距離を置きますので、「パーソナルスペースが広い人」と言われるようになります。
何ごとも慎重
パーソナルスペースが広い人の心理の三つ目は、何ごとも慎重だという心理です。何ごとも慎重なタイプの人は人付き合いに関してもとても慎重なので、無駄にパーソナルスペースを狭めるのは危険だということを知っています。そのため他人と距離を置き、傍から眺めるようにしっかりと人を見ます。
人と距離を置けば無駄な面倒事に巻き込まれることもありませんので、何ごとも慎重な人は「パーソナルスペースが広い人」と言われるほど、他人と距離を置くことがあります。
パーソナルスペースが広い人の悩み
パーソナルスペースが広い人の中には、好きでパーソナルスペースが広いわけではないという人もいます。パーソナルスペースが広くなった原因などにより、パーソナルスペースを狭くすることができないために悩みを抱えているという人もいます。パーソナルスペースが広いことは決して悪いことではありませんが、それでも悩みを持っている人も存在します。
パーソナルスペースが広い人がどんな悩みを抱いているのか、パーソナルスペースが広い人の悩みをご紹介していきます。
積極的になれない
パーソナルスペースが広い人の悩みの一つ目は、積極的になれないということです。パーソナルスペースが広い人の特徴として、自分に自信がないということが挙げられますが、そのため積極的になれないという悩みを抱いている人もいます。「自分に自信があれば他人に対して積極的になれるのに」と悩み苦しんでいるという人もかなり存在します。
人見知りしてしまう
パーソナルスペースが広い人の悩みの二つ目は、人見知りしてしまうということです。元々人見知りしやすい人は、パーソナルスペースが広くなりがちですが、それは本人の望むところではありません。本当は人見知りなどしたくないのに、性格的にどうしても人見知りしてしまうのが、パーソナルスペースが広い人の悩みと言えます。
会話をするのが苦手
パーソナルスペースが広い人の悩みの三つ目は、会話をするのが苦手だということです。パーソナルスペースが広い人には人見知りをする人や人付き合いが下手な人も多いため、会話をするのが苦手で悩みだと言う人も少なくありません。会話が苦手で悩みの種だという人はかなりの確率でパーソナルスペースが広い人になります。
この悩みも、積極的になれない悩みや人見知りをしてしまう悩みと同じく、本人が好きでそうなっているわけではないのに自然とパーソナルスペースが広くなってしまう傾向にあります。そのためより一層悩みを抱えてしまう結果になってしまいます。
度が過ぎると病気の可能性も
パーソナルスペースが広い人の悩みの四つ目は、度が過ぎると病気の可能性もあるということです。パーソナルスペースが広いのは、自分がすべて悪いのではないかと思う人は「自分は病気ではないか」と思い込んでしまいます。実際、潔癖症も度を越すと病気の一つになりますので、人付き合いが下手なのは精神の病気ではないかと思い込む人もいます。
確かに何事も度が過ぎると病気の可能性があると考えられますが、そう重く考える必要もないのについつい重く考えてしまうのも、パーソナルスペースが広い人の悩みであると言えます。
パーソナルスペースが広い人は病気なのか
先に、パーソナルスペースが広い人の悩みの所で少し触れましたが、パーソナルスペースが広いという人は病気が原因である場合もあります。実際に、病気が原因でパーソナルスペースが極端に広い人や極端に狭い人も存在しています。パーソナルスペースが広い人に考えられる病気についてご紹介します。
パーソナルスペースが広い人に考えられる病気
パーソナルスペースが広い人や狭い人の中には、病気のためそうなってしまう人もいます。それは「アスペルガー症候群」という病気です。アスペルガー症候群の人の中には、自分の体が自分のものであるという感覚が乏しいという症状を持った人もいます。そのため、パーソナルスペースが極端に広くなったり狭くなったりという症状が出ることもあります。
アスペルガー症候群の人は自分の世界をとても大切にしているのに、自分と他人との境目が曖昧なため、パーソナルスペースが上手く取れない傾向にある人もいます。パーソナルスペースが上手く取れないのは病気が原因の可能性もあると覚えておきましょう。
パーソナルスペースが広い原因
パーソナルスペースが広い人の特徴や心理をご紹介しましたが、パーソナルスペースが広い人がなぜそういう特徴を持つのか、なぞそういう心理状態なのかを不思議に思う人もいるでしょう。パーソナルスペースが広い人には、パーソナルスペースが広くなってしまった原因があります。
人がなぜ、やたらと他人と距離を取る「パーソナルスペースが広い人」になってしまうのか、その原因もご紹介しましょう。
人との密接な関係が苦手
パーソナルスペースが広い原因の一つ目は、人との密接な関係が苦手だということが挙げられます。元々性格的に人とあまりかかわりたくないので、人との密接な関係が苦手だという人もいますが、過去に他人との密接な関係の中で傷つけられたことが原因であるという場合もあります。こういった原因がトラウマとなってパーソナルスペースが広い人もいます。
こういった原因があってパーソナルスペースが広い人は、なかなか過去の傷を払拭することができず、パーソナルスペースを狭くすることができません。
自己否定された経験がある
パーソナルスペースが広い原因の二つ目は、自己否定された経験があるということです。先に挙げた「人との密接な関係が苦手」という原因に近く、過去の精神的な苦痛が原因となっているため、なかなか払拭することができません。子供の頃から実の親に自己否定され続けたことが原因で、パーソナルスペースが広い人になることもあります。
パーソナルスペースが広い人になる原因は、幼いころの心の傷である場合もあるということですので、パーソナルスペースの広さは意外に根の深い問題であると言えます。
潔癖症
パーソナルスペースが広い原因の三つ目は、潔癖症です。潔癖症の人は他人と触れ合うことを極端に嫌うため、自然とパーソナルスペースが広い人になっていきます。友達であっても他人の触った物は消毒しなければ使えないという重度の潔癖症の人もいますので、こういう人はパーソナルスペースが広い人になりがちです。
潔癖症はある種病気だと言うこともできますので、パーソナルスペースが広い人になる原因は病気にあると言うこともできます。心の傷ばかりではなく、病気が原因でパーソナルスペースが広くなることもあるということを覚えておきましょう。
パーソナルスペースが狭い人の特徴
ここまでパーソナルスペースが広い人の特徴や心理、そうなる原因についてご紹介してきましたが、パーソナルスペースが広い人とは正反対の「パーソナルスペースが狭い人」というのも存在します。パーソナルスペースが広い人から見ればうらやましい「パーソナルスペースが狭い人」にはいくつか特徴があります。
パーソナルスペースが広い人とは真逆の、パーソナルスペースが狭い人にはどのような特徴があるのかをご紹介します。
社交的
パーソナルスペースが狭い人の特徴の一つ目は、社交的だということです。パーソナルスペースが狭い人は、他人との付き合い方が上手でとても社交的です。そのため、他人の体がかなり近くなっても不快感を覚えることがなく、適度な距離感を保ちつつ仲良く付き合うことができます。
好奇心旺盛
パーソナルスペースが狭い人の特徴の二つ目は、好奇心旺盛だということです。パーソナルスペースが狭い人は、初めて会った人に対しても好奇心を抱いてどんどん話しかけていくことができます。相手がどんなものを好きなのかなど、相手に対する好奇心を隠し切れずあれこれ質問をしたりします。
好奇心旺盛な人は「ぐいぐい来る人」などと言われるほどで、自然とパーソナルスペースも狭くなります。
自分に自信がある
パーソナルスペースが狭い人の特徴の三つ目は、自分に自信があるということです。自分に自信がある人は、他人が自分のことを嫌っているかもなどという心配はしません。そのため、他人に対して堂々とふるまうことができ、結果的にパーソナルスペースは狭くなります。
自分に自信がないためパーソナルスペースが広い人とは正反対で、自分に自信がある人は他人のパーソナルスペースに平気で入っていき、自分の狭いパーソナルスペースに他人が入ってきても平気です。
相手との距離感が読める
パーソナルスペースが狭い人の特徴の四つ目は、相手との距離感が読めるということです。パーソナルスペースが狭い人は、決して無遠慮で無神経なわけではありません。自分のパーソナルスペースが狭いことを自覚しつつも、相手のパーソナルスペースのこともちゃんと気にすることができます。
相手のパーソナルスペースが広いと感じたら、無理やりそこに押し入るようなことはしません。パーソナルスペースが狭い人は、他人との距離感を読むことができる人が多いと言えます。
人と深くつき合いたい
パーソナルスペースが狭い人の特徴の五つ目は、人と深くつき合いたいということです。パーソナルスペースが狭い人は、他人が近づいてくることを拒みません。それは出来る限り、人と深くつき合いたいという心理が働いているためです。ですがパーソナルスペースが狭い人は、必ずしも過去に辛い思いをしたことがない人ばかりではありません。
過去に人間関係で辛い思いをしたことがあっても立ち直り、次の新たな人間関係に期待して、人と深くつき合うことを望んでいるたくましい人もいます。
パーソナルスペースが広い人と狭い人どちらが好かれるか
パーソナルスペースが広い人の特徴や心理や原因についてご紹介してきましたが、パーソナルスペースが広い人は人付き合いがうまくできないなどの悩みを抱えているため、自分は好かれていないと思っている人も少なくありません。ですが実際のところパーソナルスペースが広い人は好かれていないというわけではありません。
パーソナルスペースが広い人と、パーソナルスペースが狭い人ではどちらが人から好かれるかについてご紹介しましょう。
パーソナルスペースが広い人は意外に嫌われない
まず、パーソナルスペースが広い人は意外に嫌われることが少ないです。その理由として、パーソナルスペースに他人が入ってくることを嫌う人は結構多いのだということが挙げられます。パーソナルスペースが広い人は他人と距離を取るため、近寄りがたい人だと思われることもありますが、概ね嫌われることはありません。
人付き合いが苦手なためパーソナルスペースが広いという人も多いですが、妙にぐいぐいと他人のパーソナルスペースに押し入る人よりは嫌われません。
パーソナルスペースが狭い人は嫌われることもある
次に、パーソナルスペースが狭い人についてですが、こちらは社交的で人づきあいが上手い人が多いため嫌われることが少ない傾向にあります。ですが、他人のパーソナルスペースに踏み込んでしまうことも良くあるため、嫌われることもあります。パーソナルスペースが狭い人すべてが、他人との距離感を上手く保てる人ばかりではないからです。
パーソナルスペースが狭いの中には、他人のことをあまり考えず、ずけずけと他人のパーソナルスペースに踏み込む人もいますので、そういったタイプの人は「無遠慮な人」と他人から嫌われることもあります。
パーソナルスペースを理解して人と付き合おう!
パーソナルスペースの広い人の特徴や心理や原因、パーソナルスペースの狭い人の特徴などをご紹介してきましたが如何でしたか?パーソナルスペースは人間関係においてとても重要なものです。距離を取りたい人に無理やり近づくと嫌われることもありますので、パーソナルスペースの重要性をきちんと理解して人と付き合いましょう。