スリーピースのスーツを着こなしたい!
ジャケット、ベスト、スラックスの素材、色、デザインが統一されているのがスリーピーススーツですが、着こなし方には注意が必要です。着こなしがうまくできないと、失礼になったり、場にふさわしくなくなったりしますから、スリーピーススーツの正しい着こなし方を紹介します。
スリーピーススーツとは
スリーピーススーツのかっこいい着こなし方を解説する前に、そもそもスリーピーススーツとはどのようなものなのかから確認しておきましょう。最近は、ベストはおしゃれのためだけに着るという人も多いですが、スリーピーススーツにはどのような意味があるのでしょうか。
英国紳士のたしなみ
スーツ姿の本来の在り方はスリーピーススーツです。その原型になっていたのはラウンジスーツと呼ばれるもので、19世紀後半に生まれました。これは、ジャケット、ベスト、スラックスがすべて同じ生地で作られていたスーツです。当時の英国紳士はみなこういう姿でした。
したがって、スリーピーススーツを着るということは、本来のスーツ姿に倣うということであり、英国紳士のたしなみをそのまま引き継ぐということになります。
きっちりして見える
ジャケット、ベスト、スラックスが統一されているスリーピース姿のビジネスマンはきっちりとしています。また、フォーマルな装いであるために、落ち着いた大人の雰囲気を漂わせることもできます。さらにベストには体型補正効果もあり、引き締まって見えます。
上着なしでもOK
暑い時のスーツ姿は煩わしく感じることもあるでしょう、そのために、ジャケット(上着)を脱ぐ人もいます。クールビズなどの場合は、それでも通りますが、時と場合によっては失礼になることがあります。たとえば、結婚式などの場合です。
また、欧米などではシャツ1枚でビジネスシーンに参加するのも良くないとされています。ワイシャツ姿だと下着をさらけ出しているように受け止められるのです。その点、スリーピーススーツ姿だと、上着を脱いでもベストがあるので、少し印象が和らぎます。
ノータイでも大丈夫?
スリーピーススーツ姿だと、ノータイでも結構様になります。ワイシャツにノータイという姿だと、カジュアルすぎて、着こなし方としては今一つ決まりません。ところが、スリーピーススーツだと、ベストがあるので、ノータイでもある程度カジュアルさが抑えられます。
そのため、夏のパーティーや会食の場でも、フォーマルな感じとくだけた感じがバランス良く組み合わされ、かっこいいです。ただ、フォーマルシーンやお堅いビジネスシーンでは、ネクタイを着けましょう。
派手なシャツやネクタイを着こなしやすくなる
派手なシャツやネクタイを買っても、身に着けにくいものです。あまり周囲の目を引き付けすぎては、活動もしにくくなるでしょう。ところが、スリーピーススーツなら、その派手なシャツやネクタイを上手に着こなしできます。
というのも、スリーピーススーツのベストによって、Vゾーンが狭くなり、派手なシャツやネクタイが目立ちにくくなるからです。そのため、主張も控えめとなり、それほど気にならなくなります。
寒暖の調整がしやすい
スリーピーススーツには大きなメリットがあります。それは、寒暖の調整がしやすいことです。寒い時期はベストによって、ツーピーススーツよりも暖かくなります。暑い時期は、上着を脱ぐことで、涼むことができます。
上着を脱いでもベストがあるので、くだけすぎた感じにはなりません。したがって、夏でも冬でも快適な着こなしができます。
ベストを着なくてもいい場合も
ジャケット、ベスト、スラックスが組み合わさっているのがスリーピーススーツですが、時にはベストだけ着ないで済むこともあります。そのために、ベストを着る着ないの2種類の着こなしを楽しめます。
ビジネスシーンや結婚式などのフォーマルシーンではベストを身に着け、その他のインフォーマルな場面ではベストを脱いでおくこともできます。いろいろなかっこいい着こなし方ができるのもスリーピーススーツの魅力です。
アレンジができる
スリーピーススーツの基本は、ジャケット、ベスト、スラックスの素材、色、デザインを統一させることです。ところが、あえて別々にするセパレート方式もなかなかかっこいいです。おしゃれ度もアップし、人気も高まるかもしれません。
一度セパレート方式のスリーピーススーツ着用を覚えると、幾通りものアレンジ方法が思いつき、楽しくなっていくでしょう。自分でもお気に入りのスリーピーススーツ姿を見つけることができるはずです。
スリーピーススーツのセット内容
スリーピーススーツは、ジャケット、ベスト、スラックスの組み合わせで構成されていますが、そのセット内容をどうしたらいいのかを考えてみましょう。いろいろなセット内容がありますが、個人個人にふさわしい着こなし方があります。
ジャケット
ジャケットを選ぶ場合は、着丈がとても重要です。裾が短すぎるとかっこ悪いし、長すぎるとバランスが崩れます。ではどのくらいの着丈がいいかですが、裾がお尻の中間くらいに来るのがかっこいいです。
ジャケットの肩幅があまりフィットしていないと、だらしがない感じがしますから、購入時に試着して、確かめてください。目安はつまんで1cmくらいの余裕があるくらいです。
ウエスト部分もフィット感が大事ですが、ボタンを絞めてしわなどが寄らないくらいがちょうどいいです。痩せている人や背の低い人は、袖の長さも良くチェックしましょう。袖が長くなりすぎると、余計に体が小さく見えます。
パンツ
パンツ(スラックス)の裾はシングルでもダブルでも大丈夫です。あえて違いを取り上げると、シングルでは脚がスラリと長く見えます。一方、ダブルではおしゃれ度がアップします。好みに応じて、選ぶといいでしょう。
腿やお尻周りのサイズは、あまり緩すぎないものを選んでください。その方かっこいいです。パンツの長さですが、裾を長くして足元にたるませるのは最近の流行に合っていません。靴に軽く掛かるくらいがおすすめです。
ベスト
ベストは、その人の体型がもろに現れる部分ですから、着こなし方によって大きく外見が変わってきます。そのベストを選ぶ場合は、ジャストフィットのものがおすすめで、とてもかっこいいです。着丈はシャツとベルトが見えないものを選びましょう。
Vゾーンについては体の線の太さで選ぶといいです。線の細い人は浅めの襟付きベストが似合い、線の太い人は深めの襟なしが良さそうです。
ベストのデザインについては決まりはありませんが、ビジネスシーンや結婚式などの場面では派手目は避け、パーティーなどのくだけた場面では、個性的なデザインのものを身に着けても面白いです。
スリーピーススーツの着こなし方【ビジネス編】
ここからは、場面ごとのスリーピーススーツの着こなし方を見ていきましょう。まずはビジネスシーン編からです。スリーピーススーツを上手に着こなしているビジネスマンはかっこいいし、紳士的で、仕事もできそうですが、そのような着こなしになる方法を紹介します。
初対面の人と会う場合は避ける
かっこいいスリーピーススーツ姿ですが、時と場合により偉そうに見える場合があります。というのも、スリーピーススーツを着る人がかなり高い立場にある人であるというイメージがあるからです。必ずしもそうと決まっているわけではありませんが、イメージがあることは確かです。
そのため、ビジネスシーンで初対面の取引先の人に会う場合や目上の人と対する場合などは、スリーピーススーツの着用を避けた方がいいケースがあります。無難ということですが、相手に好印象を与えるためでもあります。
ビジネスシーンのスリーピーススーツ姿でやってはいけないのが、オフィシャルな場でのベストスタイルです。ジャケットを脱いだベストスタイルは、マナー違反となりやすいです。
ジャケットを脱いでもスッと見せるコツ
オフィシャルな場ではなく、デスクワーク時などにはスリーピーススーツのジャケットを脱いでベスト姿になるのはありですが、その場合もすっと見せるコツがあります。それはベストの着こなし術によるもので、上手に着こなしができると、とてもかっこいいです。
ベストはぴったりサイズをチョイス
ビジネスシーンでのベストの着こなしにはいくつかのポイントがあります。まず袖周りですが、わきの下が窮屈だと、気持ちよく作業ができません。かといって、緩すぎてもスタイリッシュではありません。目安はワイシャツの袖の周りと同じくらいのサイズで、これだとかっこいいです。
ビジネスシーンではベストの見た目は非常に重要なので、身幅には気を使いましょう。ボタンを留めた時にジャストフィットとなるのが理想的な身幅です。それよりもゆとりがあると、うまく決まりません。かといって、小さすぎるサイズだと、動きにくくなります。
ベストの一番下のボタンは留めないようにします。理由は定かではありませんが、これがマナーにかなっているとされています。一番下のボタンは飾りという意味合いがあるからだとも言われていますが、ビジネスマンとして基本的なマナーは守りましょう。
ベストとパンツの間に注意
スリーピーススーツのベストとパンツの間に少し隙間ができて、シャツが覗いていると、とてもかっこ悪いです。これではできる男を演出できず、女性からももてません。特に気丈が短いスーツが好きな人はそうなりやすいので、気を付けてください。
シャツとともにネクタイもベストとパンツの間に見えないようにしましょう。ネクタイの場合は、長すぎるものを着用しないことで、これを防げます。ビジネスシーンでのかっこいいベストの着こなしは、同僚からも高評価を得られるでしょう。
サスペンダーを使ってみる
普通はスリーピーススーツにベルトという組み合わせとなりますが、サスペンダーに変えてみることで、かっこいいスタイルになることができます。その理由ですが、まずウエストの位置を保ちやすいです。ベルトだとずれる恐れがあり、それを人前で直すのはかっこ悪いです。
それに対して、サスペンダーでパンツを吊るしておけば、ずり落ちにくくなり、ベストとパンツの間の隙間も現れにくくなります。次にベルトのバックルでベストが膨らむのを防ぐことができ、よりスタイリッシュになります。膨らんだベストというのも見栄えが悪いです。
それから、スリーピーススーツ姿のクラシカルな魅力を引き出すのにもサスペンダーが役に立ちます。伝統的なスリーピーススーツとサスペンダーの相性は非常にいいです。
ジャケットのボタンは留めない
スリーピーススーツ姿では、ジャケットのボタンは留めない方がいいです。留めてはいけないというルールがあるわけではありませんが、ボタンを留めるとせっかくのかっこいいベストが隠れてしまいます。ベストにはおしゃれの意味合いもあるので、見える方がいいでしょう。
また、スリーピーススーツのジャケットのボタンを留めると、堅苦しい印象になる場合もありますから、やはり留めない方がおすすめです。なお、ジャケットのボタンを留めるにしても、ベストのボタン同様一番下のボタンを留めないのがマナーです。
春夏のビジネスシーン用のスリーピーススーツ
同じスリーピーススーツでも、季節によって着こなし方を変えることができます。春夏のビジネスシーンの場合は、ブルーを基調にすると、涼しさを演出できます。本人もそのようなスリーピーススーツなら快適だし、周りで見ている人も爽快な気分を味わえます。
ブルーを基調にして、エクリュ(黄色がかった白い色)を加えると、おしゃれにもなります。また、シャツやネクタイをメッシュにすることでも、季節感が感じられるでしょう。
秋冬のビジネスシーン用のスリーピーススーツ
秋冬におすすめのスリーピーススーツの色はブラウンです。ブラウンのスリーピーススーツを上手に着こなせば、季節感にも合い、移ろいゆく自然にも融合できます。そのブラウンにもいろいろな種類がありますが、定番はダークブラウンとキャメルです。
少し工夫して、赤みがかったブラウンのスリーピーススーツを着用すると、華やかになり、若さを感じられます。その上に、エクリュやベージュのシャツを加えると、一段とおしゃれになります。
シャツの襟先はベストの内側に
よくある間違いですが、シャツの襟先はベストの外側に出ないようにしましょう。もしそうなっていると、品位に欠け、だらしない感じになります。せっかくスリーピーススーツを着るのですから、上品に格好良く着こなしたいでしょうから、これは守ってください。
なお、シャツの襟先をベストの内側に隠すためには、襟の長いものや開きの大きいものを選ぶとうまく行きます。それ以外のものだと、うまく隠れない場合があります。
ビジネスシーンでは黒は避ける
ビジネスシーンでは、黒のスリーピーススーツは避けましょう、これはスリーピーススーツだけに当てはまることではありませんが、黒を着ていいのは結婚式などの冠婚葬祭、ホスト、特殊な業界の人などだけです。
アクセントを付けたい時は小物を使う
ビジネスシーンでスリーピーススーツそのものにアクセントを付けてしまうと、目立ちすぎ、場にふさわしくなくなることがあります。では、どうすればいいかですが、小物にアクセントを付けるという方法があります。
ポケットチーフでもネクタイでもベルトでもカフスでも腕時計でもいいので、少しデザインに趣向を凝らして、おしゃれに決めてみてもいいでしょう。これくらいのアクセントなら、ビジネスシーンにも違和感はありません。
筋トレをしてみる
スリーピーススーツではベストの着こなしが非常に大切ですが、ベストスタイルを良く見せるために、筋トレをしてみてはいかがでしょうか、たるんだおなかにベストだと、あまり見た目が良くありません。ベストによって膨らんだおなかが目立ってしまいます。
筋トレを毎日少しずつやるだけでも、お腹はへこんでいきます。そうなれば、スリーピーススーツのベストも似合うようになり、とても格好良くなります。
ビジネスの場ではスタンダードなベストがおすすめ
ビジネスの場では、タキシードのようなU字型のベストはふさわしくありません。また、ダブルのベストも少し場違いな部分があるので、スタンダードなシングルベストを身に着けるのがおすすめです。シンプルに決めた方が評価も上がります。
シャツは無地がいい
スリーピーススーツをビジネスシーンで着用する場合は、シャツは無地が一番いいでしょう。スリーピーススーツはフォーマルな装いですから、それに合わせるようなシャツを選ぶ必要があります。ボタンダウンシャツはやめておきましょう。
スリーピーススーツの着こなし方【就活編】
新卒や転職における就職活動でスリーピーススーツを着用してもいいものなのでしょうか。スリーピーススーツはフォーマルな装いですから、良さそうにも思えるでしょうが、実際のところはどうでしょうか。迷っている人もいるでしょうから、適切なアドバイスをお送りします。
就活では避ける方が無難
就活でスリーピーススーツを身に着けてはいけないという決まりがあるわけではありません。ただ、偉そうに見えるという問題があるので、やめておいた方が無難です。就活という場は、服装の格好良さを見せつける場ではありません。
あくまでも就職する意思ややる気を見せるのが就活の目的ですから、見せる部分が大きいスリーピーススーツは避けた方がいいでしょう。特に新卒の就活生にとっては、スリーピーススーツでは大げさな感じがします。
就活の面接でも、スリーピーススーツを着る人はあまりいません。スーツショップの店員さんに相談しても、スリーピーススーツを提案する人はまずいません。面接では服装の印象が非常に大事ですが、スリーピーススーツを身に着けても、印象が良くなることはないです。
どうしても着たい場合
どうしても就活で購入したスリーピーススーツを着たいという場合は、ベストだけ脱いでいくといいでしょう。ベストがないと、相手もそれがスリーピーススーツなのかツーピーススーツなのかは分かりませんから、問題になるようなことはないでしょう。
ファッション業界ではOKの場合も
基本的に就活ではスリーピーススーツは着用しない方がいいのですが、一部の業界ではOKの場合があります。それは、ファッション・アパレル業界ですが、必ずOKという保証があるわけではありませんから、注意して臨みましょう。
就職後もしばらく着用しない方がいい
就活でスリーピーススーツを着用するのがNGというのなら、就職後ならいいのではと思っている人もいるでしょう。しかし、これもやめておいた方が無難です。一般に、スリーピーススーツは、ベテランの上司や役員が着るものだと見られています。
そのため、入社後間もない社員がスリーピーススーツを着ていることに違和感を覚える人もいます。何を偉そうなとか、生意気だと見る人もいて、好印象は得にくいです。
したがって、ある程度社内で時間を掛けながら、自他ともに認められる存在になってからスリーピーススーツを着用した方が良さそうです。それまでは、スリーピーススーツではなく、普通のスーツで通しましょう。
スリーピーススーツの着こなし方【冠婚葬祭編】
結婚式や葬式などの冠婚葬祭におけるスリーピーススーツの着こなしについて考えてみましょう。結婚式と葬式では事情は違いますが、それぞれどのようにスリーピーススーツを着ればいいのか、詳しく解説します。
葬式では注意が必要
葬式でスリーピーススーツを着用する場合は、注意が必要です。というのも、スリーピーススーツの喪服は非常に格式が高く、喪主よりも上の立場の人のように見えてしまうからです。そういう意味では、喪主以外の人は着用しない方が良さそうです。
結婚式にはぴったり
結婚式の場合、スーツの格式が云々されることないので、スリーピーススーツで参加しても問題はありません。問題がないどころか、結婚式にピッタリだとも言えます。その理由ですが、結婚式用にわざわざベストをあつらえてきたのと、評価してもらえるからです。
結婚式にスリーピーススーツを着ていく場合、黒が一番いいです。黒で、控えめな柄なら、紳士的で上品な印象になります。結婚式の当事者以上に目立ってはいけませんから、派手な色のスリーピーススーツは避けましょう。
スリーピーススーツの着こなし例
最後にスリーピーススーツの着こなし例をいくつか紹介しておきましょう。スリーピーススーツのかっこいい着こなしを考えている人にも参考になる例です。このように着こなせれば、職場でも結婚式でも評価されるでしょう。
襟無しベストですっきりと
ベストには、袖ありと袖なしがありますが、袖なしはすっきりとした印象があります。シャープさも加わって、ひときわ存在感があります。ボタンの数でも雰囲気が変わりますが、多いものはややフォーマルな感じがします。
襟有りベストで格式高く
袖ありベストを着用すると、格式が高くなったように見え、より英国紳士風になります。大人っぽい男の魅力を出したい人には袖ありベストがおすすめです。また、ダブルの袖ありベストなら、重厚感も出てきます。
ブラウンスーツは英国風でかっこいい
秋冬におすすめのスリーピーススーツの色としてブラウンを取り上げましたが、ブラウンという色は英国風でとてもかっこいいです。落ち着きもあり、周囲の環境との相性も悪くありません。ブラウンのスリーピーススーツを身に着けておけば、間違いはないでしょう。
スリーピーススーツをおしゃれに着こなそう
ここまで、スリーピーススーツの着こなし方をビジネスシーンや結婚式などの場面別に紹介しました。スリーピーススーツはフォーマルな装いですが、おしゃれで、とてもかっこいいですから、上手に着こなしてください。