老害の意味
「あの人は老害だ」と聞いて、皆さんはどのような人をイメージしますか。誰にでも偉そうな人、頑固な人、何となく扱いにくい人。老害とひと口に言っても、イメージする人物像はさまざまです。
老害のそもそもの意味を把握することで、日本語のボキャブラリーが広がりますし、うかつな使い方で人を傷つけることもなくなります。老害の日本語としての意味を詳しく見ていきましょう。
老害の類語と意味
老害の直接的な類義語としては「タヌキ親父」があります。こちらは、タヌキのように何を考えているかわからない人、という意味を持っており、周囲からは何となく遠ざけられています。
会社などの組織内で老害と言われる人は大きな権力を握っている場合が多く、部下に対して実権を振りかざすことで逆らえなくする、という行動を取ることも少なくありません。
その意味では、既得権益なども老害の類義語として挙げることができ、他にも、他人の意見や進言を聞き入れない特徴から頑固、頑迷といった言葉も使い方としては類語に含めることができます。
老害の対義語と意味
老害の直接的な意味での対義語は、辞書で引いても見つけることができません。ただ、「誰からも慕われている人」という意味から考えれば、功労者や人格者が対義語として挙げられるかもしれません。
また、一部では老害の対義語として老益や若利などの言葉が挙げられているようですが、辞書にはこのような言葉は載せられておらず、正式な使い方としても認められていないため注意しましょう。
老害の由来
老害の由来について、具体的な情報はありません。ただ、老害という言葉自体は昭和の時代から広まっており、政界の天下りなどを「老害天下取り」と揶揄していた時代もありました。
また、老害のよりやわらかい表現としては「長老支配」があります。こちらは読んで字のごとく、組織の中で年長者ばかりが実権を握っている、という意味で、老害と同じくあまり良くない使い方とされています。
今では、PCやスマートフォンの使い方がわからないなど、新しい技術や価値観についていけない年長者のことを老害と表す風潮があるようです。
老害の使い方・例文
あまりポジティブな意味ではなく、日常生活でもあまり使いたくない老害という言葉。ドラマでもよく耳にしますが、曖昧な記憶のまま使っている方も多いのではないでしょうか。上司や先輩をむやみに傷つけないためにも、老害の正しい使い方を例文とともに見ていきましょう。
例文①
「あの部長がいるかぎり若手の意見は通らないし、社内の新陳代謝もいっこうに進まない。あの人こそ老害の典型だよ、まったく」。
実際の会社でも、この例文のような会話が日常的に交わされているのではないでしょうか。これでは老害に支配される若い世代も活き活きと働けませんし、老害と言われた本人も結局は損をしてしまいます。
例文②
「PCやスマートフォンの使い方を勉強し、若い世代の意見にも耳を傾けるように努力をしてきたのに、気がつけば私自身が老害と言われる年代になってしまったようだ」。
老害になりたくてなっている人はいません。老害は決して年齢だけで決まるものではなく、年長者であっても努力次第では老害と言われることを防ぐことができます。
ただ、「老兵は去り行くのみ」という言葉もあるように、実績やキャリアにかかわらず、ある年代を過ぎたら潔く身を引くのもひとつのスタンスかもしれません。
老害と呼ばれる人の行動・言動の特徴
老害と言われるような人には、どのような心理があるのでしょうか。主な心理的特徴や行動パターンを把握することで適切な対処法がわかり、老害と言われる人とうまく付き合えるかもしれません。
また、あなた自身が老害と言われないようにするためにも、老害と言われてしまう心理的特徴と行動パターンを具体的におさえておきましょう。
価値観を押し付ける
老害と言われてしまう人は、心理的にも「自分が絶対に正しい」と思い込んでいます。そのうえ、価値観が古いままアップデートされていないため、若い世代としてはついつい言い返したくなり、トラブルが起きやすくなります。
仕事やプライベートなど、とにかくどんな場面でも自分の価値観を押しつけ、反論を認めないため、周囲のほうは心理的に反発し、「この人には何を言っても無駄だ」とあきらめムードになってしまいます。
怒りっぽい
すぐに怒りっぽいのも、老害と言われてしまう人の心理的特徴のひとつです。自分の存在や価値観を否定されたり、間違いを訂正されたりしただけでも激怒するので、それが原因となって扱いにくい人になってしまいます。
その結果、怒られたくないがためにイエスマンばかりがまわりに集まり、ますます老害として遠ざけられてしまう、という悪循環が生まれます。
自分は正しいと思い込む
人間誰しも、自分の考えは正しいと思っているものですが、老害と言われてしまう人の思考回路には「自分が間違っているかもしれない」という考えがありません。
その結果として、間違いを軽く訂正されただけで烈火のごとく怒ったり、相手の人格まで否定したり、という対処法に出るのも、老害と言われてしまう人の大きな特徴です。
屁理屈を言う
老害と言われてしまう人はとにかく、どんな場面でも自分の間違いを認めたくないため、仮に間違いを指摘されたとしても屁理屈でごまかし、相手を言い負かそうとします。
あるいは、組織などで重要な地位にある人の場合、「人事異動で飛ばすぞ」などと実権を振りかざして脅すのもこのタイプの人の特徴で、老害と言われてしまう人ほど立場的に偉い、というのもひとつの真実です。
話がくどく長い
老害と言われる人が嫌われてしまう原因は、話が長くてくどいからです。このタイプの人は自分の成功談や武勇伝を周囲に語りたがる特徴があり、同じ話を事あるごとに繰り返すため、部下や後輩は内心ではうんざりしてしまいます。
せっかちで図々しい
老害と言われる人は社会的地位があるため、基本的に、「自分の意見や要望は何でも通る」と思い込んでいます。そのため、客観的に見れば理不尽な要求でも図々しく押し通す、という行動がよく見られます。
老害と言われてしまう人のまわりにはイエスマンが多いため、結果として図々しさがいつまでも放置されてしまう、というパターンが考えられます。
文句や小言が多い
老害と言われる人は、周囲に絶えず小言や文句を言うことで自分を正当化しています。社会的地位があればたとえ老害であっても聞き入れるしかないため、本人にとっては小言を言うことで誰かを指導した、言うことを聞かせた、という満足感だけが残ります。
都合が悪くなると老人になる
老害と言われる人は、普段は老害扱いされると怒りますが、反面、いざ都合が悪くなると「年寄りだから」などと言い、何もわからないフリをするなどの行動に出ます。
このタイプの人は、状況が変わって形勢が逆転するとまた強い態度を取るようになるので、周囲からは扱いにくい人として見られてしまいます。
老害となる心理・原因
老害と言われる人の特徴や困った行動パターンは、どのような原因によって形成されるのでしょうか。老害と言われる人に共通する心理的特徴や背景から行動パターンの秘密を読み取り、対処法を考える参考にしましょう。老害にならないための対処法にもなるかもしれません。
話し相手がいなくて寂しい
老害と言われてしまう人も、本音では寂しいのかもしれません。組織での地位が高くなるほど生身のコミュニケーションが減り、腹を割った会話が難しくなります。
部下や後輩とコミュニケーションを取りたいけれど、コミュニケーション能力の低さが原因でかえって孤立してしまうケースも少なくないようです。
年齢が上の者が偉いと思っている
古い価値観に縛られやすいのも、老害と言われてしまう人の大きな特徴であり、嫌われる原因です。年功序列も今や古い価値観となりつつありますが、その価値観にこだわるあまりついつい上から目線になってしまう、というのもひとつの行動パターンのようです。
プライドが高い
プライドの高さは、たとえ老害でなくても嫌われる原因になります。プライドが高いからこそ、間違いを軽く指摘されただけで不機嫌になったり、自分の価値を否定されたような気分になってしまうのです。地位が高いからこそ、時にはイジられる余裕を持つのもひとつの対処法なのではないでしょうか。
やることがなく暇
すでに仕事をリタイアしている人の中にも、老害と言われてしまう人は少なくありません。家族とも疎遠になり、社会的な肩書を失うと退屈さが不安につながり、自分より下の立場を攻撃することで満足感を得る、という行動に出てしまいます。
時代に取り残された
老害と言われてしまう人の価値観は時代に合わないものが多く、なおかつ、自分ではこの価値観のほうが正しいのだ、と思い込んでいます。男尊女卑や年功序列など、今の日本でも時代遅れになりつつある価値観にしがみつくことで自分のプライドを守っている、という側面があるのかもしれません。
近くに老害の人がいる場合の対処法
何かとトラブルメーカーな一面がある老害と言われてしまう人。できるだけ付き合いたくないのが本音ですが、仕事や親戚付き合いなど、交流がさけられないタイミングはどうしても出てきます。行動や特徴から、対処方法についてシミュレーションしておきましょう。
なるべく近寄らない
触らぬ神に祟りなし、とはよく言ったもので、老害と言われる人であっても、自分から近づかなければトラブルに巻き込まれることもありません。
同じ会社だったとしても、直属の上司でないかぎりはほどよい距離感を保つことができますので、コミュニケーションの取り方を工夫してみましょう。
否定的なことは言わない
あえてイエスマンに徹するというのも、老害と言われる人に対する適切な行動のひとつです。このタイプの人は、自分を否定されないかぎりは機嫌がよく、相手のこともそれなりに尊重しますので、ほどよい距離感で付き合うことができるでしょう。
子供と同じように接する
屁理屈、不機嫌、すぐ怒り出す。老害と言われる人の特徴は、ある意味で子供と同じです。子供も自分の要求が通れば機嫌がよくなるように、このタイプの人も否定さえされなければ上機嫌で付き合ってくれます。子供を褒めるように肯定してあげるのも適切な行動です。
周りの人に相談する
もしも、あなた自身が老害と言われる人との関係に悩み、振りまわされているのなら一度、まわりに相談してみましょう。客観的な立場から意見を聞くことでほどよい距離感が見つかり、関係が改善に向かうかもしれません。
意味不明な要求は拒否する
理不尽な要望や意味のわからない要求はきっぱり断るというのも、老害と言われる人への対処法のひとつです。イエスマンばかりだからこそ自分が正しいと思い込み、ますます孤立してしまう、ということも起こり得ますので、時にはノーと言ってみることも大切です。
老害の意味や特徴を理解し上手に付き合おう!
老害とは、「時代錯誤な行動や価値観を押し通し、それが原因で周囲から孤立してしまう人」のことで、組織全体を表す言葉でもあります。
老害と言われる人でも、距離感や態度、言葉の使い方を工夫することによって良好な状態で付き合える場合もありますので、まずは特徴と行動パターンを把握し、それぞれに合ったかかわり方を見きわめましょう。