物故者の意味・読み方・使い方は？偲ぶときのマナーや英語での言い換えも紹介！

「物故者」という言葉を聞いたことがある人や知っている人の数はかなり少ないです。「物故者」という言葉は、そこそこ年を取っている人でも聞いたことがないという人が多い言葉です。なぜなら「物故者」は、普段の日常生活の中でほぼ全くと言っていいほど使われない言葉だからです。

まず「物故者」という言葉はどういう意味を持っているのか、その意味からご紹介しましょう。

「物故者」はあまり耳慣れない言葉ですが、「物故」な「者」という意味です。「物」は「無」で「故」は「事」の意味なので、「物故」は「無い事」という意味を持ちます。分かりやすく言えば「いなくなる」「存在しなくなる」という意味です。それが「者」につくので、「物故者」は「いなくなった人」「存在しなくなった人」という意味になります。

「物故者」という言葉自体ほとんど使われないですが、公的な場などで聞くこともありますので、「物故者」の意味を知っておくことは悪いことではありません。むしろ「物故者」の意味を知っていれば自慢になりますので、是非「物故者」の意味を覚えておきましょう。

「物故者」は「いなくなった人」「存在しなくなった人」という意味だということをご紹介しましたので、「物故者」の意味についてはご理解いただけたでしょう。ですが「物故者の意味はわかったけど読み方がわからない」という人が多いはずですので、「物故者」の読み方についてもご紹介します。

「物故者」の意味を先にご紹介しましたが、まず「物故者」の読み方が分からなければ話になりません。「物故者」の読み方は「ぶっこしゃ」です。読み方がわかっても、聞いたことがないという人の方が圧倒的に多いでしょう。それほどに「物故者」という言葉はあまり使われない言葉です。

あまり使われない言葉ではありますが、「物故者」と書いて「ぶっこしゃ」と読むということを是非覚えておいて下さい。

「物故者」は「いなくなった人」「存在しなくなった人」という意味ですので、「物故者」はそのまま「いなくなった人」「存在しなくなった人」と言い換えることができます。「物故者」はちょっと特殊な言葉なので、類語や言い換えができる言葉は少なそうですが「物故者」には他にも類語や、言い換えることができる言葉がいくつもあります。

そんな「物故者」の類語と言える言葉や、「物故者」の言い換えと言える言葉をいくつかご紹介していきます。

「物故者」の類語や言い換えの一つ目は「不帰の客」です。これも「物故者」と同じく耳慣れない言葉ですが、「物故者」の類語と言うことができます。「不帰の客」の意味はその字が示す通り「帰ってこない」を表しますが、正確な意味は「再びこの世に戻らなくなる人」「死んだ人」ですので「物故者」の類語と言えます。

「物故者」の類語「不帰の客」は「ふきのきゃく」と読み、「幼いころから兄弟のように育った友人が不帰の客となった」「祖父が不帰の客となってしまった」などという使い方をします。

「物故者」の類語や言い換えの二つ目は「亡き者」です。「亡き者」というと時代劇や小説などで「あいつを亡き者にする」などといった使い方をするので、耳にしたことがある人も比較的多いです。「亡き者」は「死者」「死んだ人」という意味なので、「物故者」の類語であると言うことが出来ます。

「物故者」の類語「亡き者」の読み方は「なきもの」です。こちらも「不帰の客」同様「物故者」の類語だということを覚えておきましょう。

「物故者」の類語や言い換えの三つ目は「仏」です。「仏」と言っても仏像のことではありません。亡くなった人のことを「仏様」や「仏」と言うということはご存知の方が多いですが、「物故者」の類語の「仏」はこちらの意味の「仏」です。刑事ドラマや時代劇で亡くなった人のことを「仏」と言うので、意外になじみのある言葉です。

言い方は「仏」でも良いですし、「仏様」でも良いです。「仏」「仏様」は「物故者」の類語であるということを覚えておいてください。

次に「物故者」の敬称を一覧形式でご紹介します。「物故者」というのは亡くなった人のことですので、祖父母でも両親でも夫でも妻でも、亡くなった人のことを「物故者」と言うことができます。「物故者」の敬称は弔電などに良く使われますので、マナーとしてちゃんと知っておくことが大切です。

「物故者」の敬称はかなり多く、一覧形式にするとわかりやすいですので、「物故者」の敬称を見やすい一覧形式でご紹介していきましょう。

「物故者」の敬称一覧、一つ目は父親の敬称です。友人などの父親が亡くなった場合、弔電などで使う父親の敬称は「御尊父様（ごそんぷさま）」です。「御尊父様」ではちょっと堅苦しいイメージですので、もう少しソフトなイメージの「お父様」という敬称を使っても構いません。

仲の良い友人の父親が亡くなったりした場合、「お父さん」と使いたくなる人も多いですが、弔電では「御尊父様」や「お父様」という言葉を使って下さい。

「物故者」の敬称一覧、二つ目は母親の敬称です。友人知人の母親が亡くなった場合の弔電などでは「御母堂様（ごぼどうさま）」という敬称を使います。こちらも「御尊父様」と同じくちょっと堅苦しいイメージの表現ですので、もう少しソフトな「お母様」という敬称を使っても構いません。

「物故者」の敬称一覧、三つ目は夫の父親の敬称です。結婚して旦那さんの両親と離れて暮らしているといった場合、旦那さんの父親が亡くなった時の弔電では「御舅様（おしゅうとさま）」という敬称を使います。「御舅様」という表現はやや堅苦しいだけでなく他人行儀ですので「お父上様」や「お父様」という敬称を使っても良いです。

「物故者」の敬称一覧、四つ目は夫の母親の敬称です。こちらも、離れて暮らしていてお葬式に参列できない場合弔電を送りますが、弔電で使う敬称は「御姑様（おしゅうとめさま）」です。「御姑様」という敬称も「御舅様」と同じく少々他人行儀で堅いイメージですので、「お母上様」「お母様」という敬称を使っても構いません。

「物故者」の敬称一覧、五つ目は妻の父親の敬称です。夫から見た妻の父親も舅（しゅうと）だと思っている人が多いですが、実は夫から見た妻の父親の敬称は「御舅様」ではありません。妻の父親の敬称は「御岳父様」と、ちょっと聞き慣れない言葉で、他に「御外父様（ごがいふさま）」「お父様」と言い換えることができます。

普段奥さんの父親のことを人に言う時に「舅」と言っている人は、間違って奥さんの父親に対して「御舅様」という敬称を使わないよう、注意が必要です。

「物故者」の敬称一覧、六つ目は妻の母親の敬称です。妻の母親の敬称はたくさんあります。「御岳父様」に対応する「御岳母様（ごがくぼさま）」という敬称の他に「御外父様」に当たる「御外母様（ごがいぼさま）」という敬称や、「御丈母様（ごじょうぼさま）」、そして「お母様」といった敬称があります。

こちらも舅と同じように、普段奥さんの母親のことを「姑」と言っている人は間違えて「御姑様」という敬称を使わないよう気をつけてください。

「物故者」の敬称一覧、七つ目は夫の敬称です。友人や知人の夫が亡くなった場合の弔電に使う敬称は「ご主人様」や「旦那様」です。父親や母親と違って、夫の敬称は普段から使われている敬称なので覚えやすく使いやすいと言えます。「御尊父様」や「御母堂様」のような特別な敬称がないため、あまり難しく考える必要はありません。

奥さん同士で話をする際には「おたくの旦那さん」「おたくのご主人」などと言うことが多いので、「さん」を「様」に変えるだけのこの敬称は使いやすく覚えやすいです。

「物故者」の敬称一覧、八つ目は妻の敬称です。友人知人などの妻が亡くなった場合に弔電に使う敬称には、夫が亡くなった場合より難しい敬称があります。妻が亡くなった場合、「御令室様（ごれいしつさま）」「御令閨様（ごれいけいさま）」と、令嬢に使うのと同じ「令」がついた敬称が使われます。

「御令室様」の「令」の字は「令嬢」や「令息」にも使われている文字で、相手にかかわりのある人を尊敬して言う言葉です。時代劇などで「正室」「側室」という言葉が使われますが、「令室」の「室」は妻を表します。

「御令室様」という敬称を覚えて使うのも良いですが、基本的には「奥様」で構いませんので、使い慣れた「奥様」という敬称を使うことをおすすめします。

「物故者」の敬称一覧、九個目は祖父の敬称です。誰かの祖父が亡くなった場合に弔電に使う敬称は、良く使う言葉をあまり使わない使い方をする敬称で「御祖父様（ごそふさま）」といいます。「祖父」という言葉は良く使われますが、「御祖父様」はあまり使われません。「おじい様」という敬称が良く使われますので、こちらを使っても問題ありません。

「物故者」の敬称一覧、十個目は祖母の敬称です。祖母が亡くなった場合の弔電に使う敬称にも、「御祖父様」と同じように「御祖母様（ごそぼさま）」という敬称があります。こちらも一般的に良く使われる「おばあ様」と言い換えることができますので、「御祖母様」が堅苦しく使いにくい場合「おばあ様」という敬称を使いましょう。

「物故者」の意味は「亡くなった人」や「存在しなくなった人」ですが、そのような「物故者」と呼ばれる人を偲ぶときのマナーというものがあります。マナーと言ってもそれほど堅苦しいものではありませんが、身の回りの人が亡くなった時のためにも一般常識として知っておくべきです。

亡くなった人や存在しなくなった人である「物故者」を偲ぶ際に大切なマナーをいくつかご紹介していきます。

「物故者」を偲ぶ時のマナーの一つ目は、黙祷を捧げることです。「黙祷」という漢字が読めない人も「もくとう」と聞くとすぐにわかるでしょう。原爆の日や終戦記念日、大きな災害が起こった時などにたくさんの人が「黙祷」という言葉を合図に一斉に祈るというのはニュースなどでよく見かける光景です。

「黙祷」の「黙」はその字のとおり「黙る」で、「祷」は「祈る」という意味です。つまり「黙祷」とは「黙って祈る」という意味になります。「黙祷を捧げる」は「黙って祈りを捧げる」という意味ですので、「物故者」を偲ぶ時は黙って祈りを捧げましょう。

「物故者」を偲ぶ時のマナーの二つ目は、黙祷のタイミングです。原爆の日のセレモニーなどを見たことがあるという人は多いので、どのようなタイミングで黙祷を捧げるのかは大体わかるはずですが、改めてご紹介します。「物故者」を偲ぶ時に黙祷を捧げるのは、偲ぶ会の開会の言葉の後が一般的です。

同窓会などで「物故者」を偲ぶというケースもありますが、この場合も開会の言葉の直後に黙祷を捧げます。同窓会などは大体において飲み会になりますが、お酒を飲む前に黙祷を捧げるのがマナーです。

「物故者」を偲ぶ時のマナーの三つ目は、黙祷をするときの挨拶です。普通の人が終戦記念日などに人前で挨拶をすることは滅多にありませんが、同窓会の幹事などをすると、黙祷をするときに挨拶が必要になる場合もあります。そういった場合にはまず「残念ながらご出席いただけなかった方の中にはお亡くなりになった方もいらっしゃいます」と切り出します。

そして「哀悼の意を込めて黙祷を捧げたいと思いますので、ご起立をお願いいたします」と黙祷をする旨を告げ、「お名前を読み上げさせて頂きます」と言って名前を読み上げ、「御冥福をお祈りして黙祷を捧げたいと思います」と黙祷の挨拶とします。

「物故者」を偲ぶ時のマナーの四つ目は、黙祷の時間です。黙祷の時間は、絶対にこのぐらい続けなければならないという決まりはありません。終戦記念日などは大体1分間黙祷を捧げますが、同窓会での黙祷の場合は30秒程度でも構いません。黙祷の時間は大体30秒から1分間だということをマナーとして覚えておくと良いです。

「物故者」の読み方や意味が分かっても、全く聞いたことがないので使い方が分からないという人も多いでしょう。「物故」は必ずしも「物故者」という使い方をする言葉ではありません。「物故」と「者」は別の意味を持つ言葉がくっついて「物故者」という使い方がされているだけです。

「物故」を他の言葉にくっつけた使い方をする場合もあります。「物故者」以外の「物故」の使い方についてご紹介していきましょう。

「物故者」に使われる「物故」の使い方の一つ目は「物故棋士」です。「棋士」というのは、将棋や囲碁やチェスなど盤面を使った競技をする人のことを言います。「プロ棋士」「アマチュア棋士」という言い方もありますので、プロでなくても「棋士」になりますが、亡くなったプロ棋士を「物故棋士」と呼ぶことがあります。

「棋士」は引退してしまうと「棋士」とは呼ばれなくなりますが、現役の「棋士」が病気などで亡くなった場合は「物故棋士」という呼び名で「棋士であること」が継続していることを表します。

「物故者」に使われる「物故」の使い方の二つ目は、「物故祭」です。これは宮城県気仙沼市に伝わる伝統行事で、翌年に厄年を迎える男女（男性41歳女性32歳）と翌年に還暦を迎える人々が夏に、同じ年齢の亡くなった人「物故者」を偲ぶ法要です。出身中学校ごとに行われるので、同窓会のようなものであるとも言えます。

気仙沼市と言えば東日本大震災で甚大な被害が出た地域ですので、そういった意味でも気仙沼市の「物故祭」はとても重要な意味を持つ行事であると言うことができます。

「物故者」に使われる「物故」の使い方の三つ目は「物故作家」です。「物故」が「亡くなった」や「存在しなくなった」という意味なので、「物故作家」という使い方は「亡くなった作家」という意味になります。先にご紹介した「物故棋士」のように、人の肩書に「物故」をつける使い方です。

「物故作家」は小説家だけではなく、芸術家と呼ばれる人全般を指します。「物故作家の本は売れなくなる」などという使い方で、記事などに使われることがありますので、気になる人は確認してみて下さい。

「物故者」に使われる「物故」の使い方の四つ目は「物故者黙祷」です。これは「物故者」を偲んで捧げる黙祷のことを意味します。亡くなった人のことを考え、今の自分のことを報告したりしながら祈りを捧げることを「物故者黙祷」と言います。個人的に黙祷を捧げても集団で黙祷を捧げても、同じ「物故者黙祷」です。

「物故者」を偲ぶ集会などで黙祷を捧げても、毎日お仏壇の前などで「物故者」を偲んで黙祷を捧げても「物故者黙祷」になります。

「物故者」は日本の古い美しい言葉で、少々堅苦しいイメージがあるため、英語での言い換えが難しいイメージがあります。「物故者」の意味は「亡くなった人」や「存在しなくなった人」という意味ですので、それなら対応する英語はあります。なので直訳の英語でも一向に構いませんが、もう少し詩的な英語で「物故者」を表現することもできます。

「亡くなった人」を英語に直訳すると「Deceased person」になりますが、「物故者」の英語表現には、もっとふさわしい英語もあります。「物故者」を詩的な美しい表現で言い換えられる英語をご紹介しましょう。

それでは「物故者」の英語表現をご紹介します。人が亡くなることを「帰らぬ人となる」という遠回しな表現で表すことがありますが、「物故者」という古風な言葉にふさわしい「帰らぬ人となる」という表現を英語にすると「to pass away」となります。「to pass away」は「She passed away when she was 18」といった使い方をします。

この英語を日本語に訳すると「彼女は18歳で帰らぬ人となった」という意味になります。「物故者」に対応する英語は他にもありますが、「帰らぬ人となる」を意味する「to pass away」は「物故者」の英語としてふさわしい英語だと言えます。

ここまで色々とご紹介してきましたので、「物故者」については意味や使い方、英語に至るまでご理解いただけたでしょう。ですが「物故者」の対義語となるとわからなくなる人が多いでしょう。「物故者」の意味は「亡くなった人」「存在しなくなった人」なので、「生きている人」「存在する人」を対義語と言ってもおかしくありません。

ですが「物故者」という漢字三文字での表現の対義語と言われると思いつかない人が多いでしょう。「物故者」の漢字三文字の対義語をご紹介します。

「物故者」と同じく漢字三文字でできた言葉で、「物故者」の対義語に当たるのは「存命者」です。「物故」というのはとても特殊な表現なので、「物故」に完全に対応する対義語というのはないと言えます。反対の意味を持っている漢字三文字の言葉という条件で、「物故者」の対義語として挙げられるのが「存命者」です。

「物故者」は「亡くなった人」などの意味で、「存命者」は「生きている人」という意味ですので、「物故者」の対義語は「存命者」だと言うことができます。

「物故者」の読み方や意味などに加えて「物故者」に使われる敬称の一覧などをご紹介してきましたが如何でしたか？「物故者」とは「亡くなった人」「存在しなくなった人」という意味だということをしっかり覚えておけば、どのような場合に使うのかも理解できます。「物故者」は「存在しなくなった人」という意味だと覚えておきましょう。