金持ち喧嘩せずの本当の意味とは?
「金持ち喧嘩せず」とは、「金持ちは利益に敏感であって、喧嘩すると損をするので人との争いごとはしない」という金持ちを例えとした比喩的な表現です。このことわざの中の、「金持ち」とは本当はどのような意味をもっているのでしょうか。金持ちの意味や特徴をつかむことによって、「金持ちが喧嘩せず」の本当の理由があきらかになります。
「損する喧嘩はしない」という意味
金持ちはたくさんお金をもっているから、生活に余裕があると思われています。しかし、本当は意外にも、利益に敏感であって、損をすることはしません。また、自分の立場守るために、無駄な争いごとや冒険はしません。このような本当の金持ちの特徴から、「金持ち喧嘩せず」とは、「損する喧嘩はしない」ということです。
「損する喧嘩はしない」と同様の意味をもつもので、「あぶない橋は渡らない」、「勝ち目のない戦はしない」、「逃げるが勝ち」などがあります。いずれも、自分に利がなかったり、自分の立場が危いことには手を出さないことを意味しています。
お金持ちはリスク管理ができている
リスク管理とは、将来に予想される危機や危険に対して、その対応策を事前に検討することです。事前に対応することで不測の事態に備える。「金持ち喧嘩せず」と同様の「備えあれば憂いなし」、「転ばぬ先の杖」などの言葉は、このリスク管理を表現しています。同じようなニュアンスの言葉の危機管理は、事後対応を意味しています。
では、なぜ、お金持ちはリスク管理ができているのでしょうか。お金持ちは本当に利益に敏感であるため、自分の身にふりかかってくる不測の事態を予測し、その対応を考えています。また、現在の立場を失うような冒険や賭けは極力しないようにしています。
金持ち喧嘩せずの由来
ことわざや四字熟語などには由来や語源があります。由来や語源を紐解くと長い歴史や慣習の中で、言い伝えられたことがことわざとなっています。また、その場面に合わせるように、何気なく使われた言葉が由来や語源となったりしています。今回の「金持ち喧嘩せず」は、勝負事に使われ、それが由来となっています。
語源は「麻雀の格言」
「金持ち喧嘩せず」の語源は「麻雀の格言」です。麻雀の格言には様々ものがあります。代表的なものでは、「単騎は西で待て」(ひとつの牌で当たりを待つ場合は、西という牌で待つこと)、「キル・クールの法則」(場に捨てた牌は再びつもってくること)などがあります。「金持ち喧嘩せず」もこの格言の一つです。
「さっさと降りて場を進める」こと
麻雀における「金持ち喧嘩せず」とは、「さっさと降りて場を進めること」を意味しています。つまり、無理な勝負をすることなく、早くゲームを終了させることです。麻雀は四人のプレーヤーが点数を競う点取りゲームです。四人のプレーヤーには、あらかじめ持ち点が与えられており、その点数を奪い合います。
最後に、一番点数を獲得している者が勝ちとなります。「金持ち喧嘩せず」は、数ある麻雀の格言の中でも、プレーヤーにはよく知られています。「金持ち喧嘩せず」は、麻雀におけるリスクマネジメントとして有名な格言のひとつとなっています。
金持ち喧嘩せずの類語
ことわざや慣用句などには、表現や言い回しを変えるなどして同じような意味をもつ類語があります。「金持ち喧嘩せず」の金持ちの考え方の基本となることは、「常に、自分の利益のことを考え、争いごとや冒険はしない」ということです。「金持ち喧嘩せず」と同じような意味をもつ類語について代表的なものを紹介します。
類語は「金持ち舟に乗らず」
「金持ち喧嘩せず」の類語としては、「金持ち舟に乗らず」ということわざがあります。当然、金持ちはお金がありますので、舟に乗ることは容易です。しかし、「何事にも用心深く、無理な冒険はしない」という考えから、「舟に乗らず」を例えとした「金持ち喧嘩せず」の類語となっています。
「金持ち舟に乗らず」と同様の類語としては、「石橋を叩いて渡る」、「あぶない橋は渡らない」という類語もあります。「石橋を叩いて渡る」は「用心のダメ押し」をすること。「あぶない橋は渡らない」は最初から危険なものは避けることを意味しています。
「お金持ちは沈没を恐れて舟に乗らない」という意味
「金持ち舟に乗らず」とは、「舟の沈没を恐れて舟には乗らない」ということです。舟が沈むことは滅多にありません。しかし、金持ちは100%の保証があっても、用心深く慎重であり、危険があるものなら最初から手を出さないと決めています。「金持ち喧嘩せず」と同様に危機や危険を事前に察知し、危い状況に自分をおかないことを意味しています。
金持ち喧嘩せずの反対語
「金持ち喧嘩せず」の反対語のキーワードとなるものは、「金持ち」という語と相反する語「貧乏」や「貧しい」です。富める者と貧する者は、経済的な格差があるのはあきらかですが、おかれた環境などによって価値観や考え方も変わってきます。
では、「貧乏」や「貧しい」などは、どのようなことを意味しているのでしょうか。「貧乏」や「貧しい」というキーワードを使った「金持ち喧嘩せず」の反対語を紹介します。
反対語は「貧すれば鈍する」
「金持ち喧嘩せず」の反対語は、「貧すれば鈍する」です。「貧乏」や「貧しい」というキーワードを使ったことわざです。この他の反対語としては、「慌てる乞食は貰いが少ない」、「窮鼠猫を嚙む(きゅうそねこをかむ)」などがあります。いずれも、金持ちの特徴である余裕や慎重などと反対の意味を持つことわざです。
それぞれに意味を紹介します。「慌てる乞食は貰いが少ない」は、「慌てて欲をかくと、かえって失敗したり、損をする」。「窮鼠猫を嚙む」は、「絶体絶命に追い込まれれば、弱い者が強い者に逆襲する」という意味です。
「人は貧乏になると利口な人でも愚かになる」という意味
「貧すれば鈍する」とは、「貧乏な環境におかれると、たとえ利口な人であっても愚かになる。または、愚かになってくる。」という意味です。このことわざの中の「鈍する」という言葉があります。どういう意味なのでしょうか。
金持ちであっても貧乏になってしまうとその日暮らしに追われ、クレバーであった者まで鈍感になってしまうということです。まさに、貧乏などの環境は人間を変えてしまいます。
「金持ち喧嘩せず」は環境が影響する?
人は、おかれた環境により、価値観や考え方が変わってしまいます。富める環境と貧しい環境では、その経済格差により利口な人でも愚かになります。これは、先ほどの反対語「貧すれば鈍する」の中で、紹介したとおりです。
金持ちが備えている「慎重」、「用心深さ」、「リスク管理」などは生まれ育った環境が影響しています。「金持ち喧嘩せず」に環境が影響する要素とはなにか。紹介しましょう。
環境が影響する要素
環境は人の性格や考え方に影響を及ぼします。人の性格、考え方や思考などは、生まれ育った環境とその人を取り巻くビジネス環境が影響を及ぼす要因となります。「金持ち喧嘩せず」に影響する要素として、生まれ育った環境やビジネス環境がどのように人の性格や、考え方や思考に影響を及ぼすか紹介しましょう。
恵まれた家庭環境が理由で穏やかな性格
人の性格は家庭環境が大きく影響を及ぼします。豊かで恵まれた家庭環境で生まれ育った人は、経済的な心配もなく、伸び伸びと生活することができます。そのため、性格も必然的に穏やかになります。
一方、貧しい家庭環境で生まれ育った人は、日々の生活に追われるため、余裕がなくなり穏やかな性格になりにくい状況にあります。このように、性格の形成には、家庭環境が大きく影響を及ぼしています。
ビジネス環境による合理主義・利益追求主義
金持ちは家庭環境だけではなく、ビジネス環境もその考え方や価値観に影響を及ぼしています。「金持ち喧嘩せず」の金持ちが基本としていることは、「利益に敏感であって、人と争うなどの損をすることはしない。」ということです。
そのため、ビジネス面においても、このことが基本となっているのです。これは、代々親から引き継がれたことであって、それが、合理主義や利益追求主義を踏襲しているのです。
金持ち喧嘩せずの良い点と悪い点
金持ち喧嘩せずは、良い点ばかりではなく悪い点もあります。金持ちは生活に余裕があって、人とは争わないとされています。しかし、一方では、「傲慢」、「強欲」、「威張っている」というイメージがあります。そしてよく言われることが「金に物をいわせる」など全てがお金で解決するものと思われています。
冷静、沈着、リスク管理など見習うべき点はありますが、悪いイメージがあることも事実です。では、金持ちがやらないことをやってみることは価値があるのでしょうか。次で紹介します。
挑戦することも必要では
「金持ち喧嘩せず」の金持ちは、「常に、自分の利益のことを考え、争いごとや冒険はしないこと」を信条としています。冒険や挑戦は敬遠しがちで、どちらかというと守りの姿勢が多いのです。
しかし、石橋を叩いてばかりいると石橋が壊れて渡れなくなってしまいます。慎重で冷静なことも良いのですが、金持ちが敬遠しがちなことに挑戦することも必要なのではないでしょうか。
金持ち喧嘩せずを実践するのは難しい!
金持ち喧嘩せずについて本当の意味や由来、類語、反対語など様々な角度から検証してきました。すべての人が、このことわざ通りに実践することは難しいことです。しかし、リスク管理や無謀な争いごとはしないなど参考にすべきところもあります。金持ち喧嘩せずの本当の意味を理解して、良い点には少しでも近づきたいものです。