いずれも・いづれもの意味
「いずれも」と「いづれも」は、どちらの表記が正しいのか違いを理解していない人が多いです。「いずれも」と「いづれも」は、どちらも同じ読み方です。そのため、違いを理解していなくても、会話の中で使う分には問題ありません。
しかし「いずれも」と「いづれも」の違いを理解していないと、ビジネスシーンなどメールや書類などで文章に表記する時に困ります。「いずれも」と「いづれも」の違いを理解するために、まずはそれぞれの意味や使い方を見ていきましょう。ここからは「いずれも」と「いづれも」の意味を紹介します。
意味は同じだが使い方が違う
「いずれも」と「いづれも」はどちらも同じ読み方と紹介しましたが、意味も同じです。「いずれも」と「いづれも」は「いずれ」+「も」と「いづれ」+「も」に分けることが出来る慣用句です。「いずれ」と「いづれ」は代名詞として使う場合と副詞として使う場合があり、3つの意味が含まれています。
「いずれも」と「いづれも」の使い方の違いを理解するために、「いずれ」と「いづれ」の代名詞と副詞で使われる場合の意味をそれぞれ見ていきましょう。ここからは「いずれ」と「いづれ」の意味を紹介します。
どれ・どちら・どこ
「いずれ」と「いづれ」の1つ目の意味は「どれ・どちら・どこ」です。「どれ・どちら・どこ」は「いずれ」と「いづれ」を代名詞として使う場合の意味になります。2つ以上の時や場所、物などの中から1つを選択する場合に「どれ・どちら・どこ」という意味で「いずれ」と「いづれ」を使います。
「いずれ」と「いづれ」を代名詞として使う場合は「どれ・どちら・どこ」の他に「どっち・どれか・どなた・みんな」といった意味もあります。
どちらにしても・どっちにしても・そのうち
「いずれ」と「いづれ」の2つ目の意味は「どちらにしても・どっちにしても・そのうち」です。「どちらにしても・どっちにしても・そのうち」は「いずれ」と「いづれ」を副詞として使う場合の意味になります。あまり遠くない、近い将来のことについて「どちらにしても・どっちにしても・そのうち」という意味で「いずれ」と「いづれ」を使います。
結局
「いずれ」と「いづれ」の3つ目の意味は「結局」です。「結局」も「どちらにしても・どっちにしても・そのうち」と同じく「いずれ」と「いづれ」を副詞として使う場合の意味になります。さまざまな経過を経た最終的な結論を表現する場合に「結局」という意味で「いずれ」と「いづれ」を使います。
いずれも・いづれもの違いと使い方の注意点
「いずれも」と「いづれも」は、見てわかる通り「ず」と「づ」の部分が違います。読み方と意味が同じ2つの表現「いずれも」と「いづれも」が存在し使用されている理由は、定められた仮名遣いに関係しています。
公的な文章の仮名遣いには決まりがあり「いずれも」と「いづれも」の正しい使い方は、ビジネスなど使うシーンの違いで判断することができます。「いずれも」と「いづれも」の違いと使い方の注意点を学び、正しく使えるようにしましょう。ここからは「いずれも」と「いづれも」の違いと使い方の注意点について紹介します。
いずれもは現代仮名遣いでビジネスなど向け
「いずれも」という表現の仮名遣いは、現代仮名遣いに当てはまります。現代仮名遣いとは、1986年(明治61年)以降公的な文章に使用するよう定められた仮名遣いです。ビジネスシーンなどさまざまな日常生活で使う場合の注意点は「いずれも」という表現を使うことです。つぎに「いづれも」という表現を見ていきましょう。
いづれもは歴史的仮名遣いで俳句など向け
「いづれも」という表現の仮名遣いは、歴史的仮名遣いに当てはまります。歴史的仮名遣いとは、明治から第2次世界大戦終結直後まで公的な文章に使用するよう定められていた仮名遣いです。
現代仮名遣いが定められる前までは公的な文章の仮名遣いとして歴史的仮名遣いが使用されていたため、現在でも「いづれも」という表記を使い続けているご年配の方もいます。「いづれも」という表記の注意点は、俳句や短歌、川柳などのシーンで現代でも使うことがあるということです。
使うシーンで適切な方を選ぶ
「いずれも」と「いづれも」の違いは、現代仮名遣いと歴史的仮名遣いです。「いずれも」と「いづれも」使い方の注意点は、使うシーンで適切な方を選ぶということです。「いずれも」と「いづれも」はどちらも正しい表記ですが、ビジネスシーンや普段の生活など現代で使う場合は「いづれも」ではなく「いずれも」が正しい表記です。
「いずれも」と「いづれも」の表記は、使い方の注意点に気を付け、ビジネスや俳句など使うシーンで適切な方を選びましょう。
いずれも・いづれもの例文
「いずれも」と「いづれも」には、代名詞として使う場合と副詞として使う場合があり、3つの意味を紹介しました。「いずれも」と「いづれも」は現代仮名遣いと歴史的仮名遣いという違いがあります。現代では日常生活で「いづれも」を使う機会はほぼないため「いづれも」の例文は省きます。
「いずれも」の使い方の注意点を踏まえ3つの意味それぞれの例文を見ていきましょう。ここからは「いずれも」の例文を紹介します。ビジネスシーンでも使える例文もあるので、参考にして下さい。
どれ・どちら・どこの例文
代名詞「どれ」という意味の例文を紹介します。「今回発表された作品は、いずれも素晴らしい出来です。」「プランはたくさんあるが、いずれもおすすめです。」
代名詞「どちら」という意味の例文を紹介します。「AとBいずれも素晴らしい企画書ですが、Cが一番今回のプロジェクトに適しているでしょう。」「いずれも採用させていただきます。」どちらもビジネスシーンで使える表現です。
代名詞「どこ」という意味の例文を紹介します。「東京行の新幹線は、いずれも予約で満席です。」「すべてチェックしましたが、いずれも問題ありません。」こちらの例文もビジネスシーンで耳にすることがあるでしょう。
どちらにしても・どっちにしても・そのうちの例文
副詞「どちらにしても・どっちにしても」という意味の例文を紹介します。「いずれにしても、上司の指示を待とう。」「いずれにしても、手術は受けなければならない。」「いずれにしても、彼女を傷つけたことに変わりはない。」
副詞「そのうち」という意味の例文を紹介します。「いずれお伺いします。」「努力した結果は、いずれ出るでしょう。」
結局の例文
副詞「結局」という意味の例文を紹介します。「いずれにしても、結果は出るでしょう。」「嫌なことを後回しにしても、いずれやらなければならない。」「良い行いも悪い行いも、いずれ自分に返ってくる。」「今は理解できなくても、いずれ分かるときがくるでしょう。」
いずれもを使った表現
「いずれも」は「いずれ」に「も」を結び付けた慣用句です。「いずれ」を使った表現・慣用句は「いずれも」のほかに「いずれか」「いずれにしても」「いずれとも無し」「いずれ劣らぬ」「いずれもさま」「何れ菖蒲か杜若」があります。「いずれ」を使った表現・慣用句は「いずれ」とは違った意味になり、ビジネスシーンでも良く使われます。
ここからは「いずれ」を使った表現・慣用句「いずれも」「いずれか」「いずれにしても」「いずれとも無し」「いずれ劣らぬ」「いずれもさま」「何れ菖蒲か杜若」それぞれの意味と使い方などを紹介します。
いずれか
「いずれ」を使った表現・慣用句、1つ目は「いずれか」です。「いずれか」の意味は「どれが~か」「どちらが~か」です。英語で表現すると「or」です。2つ以上の時や場所、物などの中から1つを選択する場合に使用します。
「いずれか」には「どれもこれも」「どちらも」といった意味もあり、英語で表現すると「and」になります。現代ではあまり使われない表現です。
「いずれか」を使った例文を紹介します。「社員旅行のプランを多数決で決めたいと思います。候補A・B・Cのいずれかからお選びください。」「お好きなケーキをいずれか1個持ち帰ることができます。」
いずれも
「いずれ」を使った表現・慣用句、2つ目は「いずれも」です。「いずれも」の意味は「どれも」「だれも」「どなたも」「みんな」「みなさん」などです。2つ以上の人や物などの中からどれを選択しても同じなので、すべてをまとめて表す言葉です。英語で表現すると「all」「any」「both」「either」「and」などです。
「いずれも」を使った例文を紹介します。「いずれも素敵な衣装です。」「こちらにはいずれも当てはまります。」「今日の社員旅行は、いずれも楽しみにしています。」
いずれにしても
「いずれ」を使った表現・慣用句、3つ目は「いずれにしても」です。「いずれにしても」は「複数の選択肢の内、どれを選んでも結果は同じ」という意味のほか「どのみち」「どうなっても」「どうあがいても」などです。英語で表現すると「anyhow」「either way」「anyway」です。
「いずれにしても」を使った例文を紹介します。「いずれにしても気にしません。」「いずれにしても、今度の土曜日に帰省します。」「いずれにしても、壊れたものは元に戻りません。」
いずれとも無し
「いずれ」を使った表現・慣用句、4つ目は「いずれとも無し」です。「いずれとも無し」の意味は「いずれとなし」「取り立てて優劣はない」「比較してどちらが優れているとは判断できない」「どれもこれも同様であること」です。「いずれとも無し」は「いずれとなし」と表現されることもあります。
「いずれとも無し」を使った例文を紹介します。「新作を見に行ったが、いずれとも無し洋服ばかりだった。」「おすすめのレストランに行ったが、いずれとも無し味だった。」
いずれ劣らぬ
「いずれ」を使った表現・慣用句、5つ目は「いずれ劣らぬ」です。「いずれ劣らぬ」の意味は「どれも優れているため優劣をつけることが難しい」「どれも優れていて見劣りしない」「どれもすぐれていて互いに引けを取らない」です。どのようなものと比較をしても劣っている部分がない誉め言葉です。英語で表現すると「equally competent」です。
「いずれ劣らぬ」を使った例文を紹介します。「いずれ劣らぬ強豪が揃い、どのチームが決勝に進むか想像できない。」「このバラ園は、いずれ劣らぬ優秀な品種が揃っている。」
いずれもさま
「いずれ」を使った表現・慣用句、6つ目は「いずれもさま」です。「いずれもさま」の意味は「みなさま」その場にいるふたり以上の複数の人数全体を表します。
「いずれもさま」を使った例文を紹介します。歌舞伎の世界では「いずれもさまに置きましても恐悦至極に存じ上げ奉ります。」とあいさつに使われます。
何れ菖蒲か杜若
「いずれ」を使った表現・慣用句、7つ目は「何れ菖蒲か杜若」です。「何れ菖蒲か杜若」は「いずれあやめかかきつばた」と読みます。菖蒲(あやめ)と杜若(かきつばた)はそれぞれ花の種類です。双方が似すぎて見分けがつきにくいことから「何れ菖蒲か杜若」の意味は「どれも優れているため優劣をつけることが難しい」です。
いずれも・いづれもの漢字表現
「いずれも」と「いづれも」は漢字で表現することができます。「いずれも」と「いづれも」は2つの漢字表現があります。2つの漢字表現はどちらも同じ意味になりますが、使い方が違います。ここからは、「いずれも」と「いづれも」の漢字表現について注意点を踏まえて紹介します。
何れも
「いずれも」と「いづれも」を漢字で表現する場合、「何」という漢字を使い「何れも」と表現します。日本の古い文書では「何処(いづこ=どこ)」や「何方(いづかた=どこへ)」など「いづ」を「何」と表現しています。このことから「いずれも」と「いづれも」は「何れも」と漢字表現するようです。
「何れも」の読み方は「いずれも」と「いづれも」の他に「どれも」と読むことができます。「どれも」の「どれ」は「いずれ」と「いづれ」の意味の中の1つとして紹介した単語です。ビジネスシーンなど現代では「何れも」の読み仮名は「いずれも」が正しいです。
孰れも
「いずれも」と「いづれも」を漢字で表現する場合、「孰」という漢字を使い「孰れも」と表現します。「孰れも」は漢文で使用されている漢字です。漢文とは、古い中国の人が書いた文章で、漢字のみで表現されています。このことから「いずれも」と「いづれも」は「孰れも」と漢字表現することがありますが、現代ではほとんど使われることはありません。
「いずれも」と「いづれも」の漢字表現「何れも」と「孰れも」はどちらも同じ意味です。「いずれも」と「いづれも」の漢字表記「何れも」と「孰れも」は現代ではあまり使われることはなく、一般的には「いづれも」ではなく「いずれも」と平仮名表現が正しいです。
いずれも・いづれもは用途によって使い分けるのが正しい
「いずれも」と「いづれも」は読み方も意味も同じですが、代名詞と副詞としての使い方の違いがあります。「いずれも」と「いづれも」の注意点は、ビジネスシーンでは「いずれも」、俳句では「いづれも」と用途によって使い分けることです。
その他のシーンでも意外と使うことが多い表現なので、「いずれも」と「いづれも」の違いと使い方の注意点を参考にし、正しく使い分けましょう。