「遍歴」の意味と使い方!「変遷」や「経歴」との違いなども詳しく解説!

「遍歴」の意味と使い方!「変遷」や「経歴」との違いなども詳しく解説!

色々なところで耳にする「~遍歴」という言葉。普段の生活で何気なく使用している言葉ですが、この言葉の意味をしっかり理解できている人はどのくらいいるのでしょうか。「遍歴」という言葉の意味や使い方、英語での表現方法を、具体的な例を挙げながら、確認していきましょう。

記事の目次

  1. 1.「遍歴」の意味
  2. 2.「遍歴」の成り立ち
  3. 3.「遍歴」の読み方
  4. 4.「遍歴」の類義語
  5. 5.「遍歴」の使い方
  6. 6.「遍歴」と変遷・経歴の違い
  7. 7.「遍歴」の英語表現
  8. 8.「遍歴」は各地を広く巡り歩くこと

「遍歴」の意味

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「遍歴」という言葉は、さまざまなところで使用されます。「遍歴」という言葉は、元々は「旅の工程」を表す言葉です。「各地を広く巡り歩くこと」の意味で使用されます。そこから、地理的な意味合いだけでなく、仕事や恋愛など、人生においての経験や社会経験についても使われるようになりました。

まずは、この「遍歴」という言葉の意味を理解し、言葉の成り立ちや使い方、類義語や類似表現、英語での表現方法を、例文などを交えながら確認し、「遍歴」という言葉を正しく使用できるようになりましょう。

各地を広く巡り歩くこと

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「広く各地を回って歩くこと」という意味を持つ「遍歴」は、「行脚」と似た意味を持ちますが、違いとしては、「遍歴」には、「様々な経験を重ねること」や「いろんな経験をする」という意味があります。この意味を持つことで、「行脚」とは違った使い方をされる言葉となります。

「遍歴」の成り立ち

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「遍歴」の「遍」という漢字には、「あまねく」「すみずみまで行きわたる」という意味があり、「歴」には「経る」「過ぎた事柄」という意味のほか、「わたる」「めぐる」という意味があり、この二つの漢字の意味を組み合わせたものが、「遍歴」という言葉の意味となります。

「遍歴」の読み方

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「遍歴」は「へんれき」と読みます。「男性遍歴」や「恋愛遍歴」「社会遍歴」「仕事遍歴」「アルバイト遍歴」などで使用されますが、それぞれの読み方は、「だんせいへんれき」「れんあいへんれき」「しゃかいへんれき」「しごとへんれき」「アルバイトへんれき」と、そのままの読み方となります。

例として挙げたもののように、ほかの品詞と結びつけて使われることの多い言葉となります。

読み方・へんれき

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さきほど紹介したように、「遍歴」という言葉は「へんれき」という読み方で、他の言葉と結びついた時にも読み方が変わることはありません。また、「遍歴」は、「へめぐ」と読まれることもあります。「へめぐ」という読み方になると「各地を広く巡り歩くこと」という意味で使われます。

「遍歴」の類義語

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「遍歴」という言葉の理解を深めるために、まず「遍歴」という言葉の類義語について確認していきましょう。「遍歴」には、「経歴」「行脚」「巡行」「巡歴」「巡回」「変遷」など類義語や類似表現がたくさんあります。その中でも、まず「行脚」「巡行」「巡歴」「巡回」この4つの類義語について、意味の違いや使い分けを解説していきます。

①行脚

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「行脚」は読み方は「あんぎゃ」です。「行脚」とはもともとは仏教用語で、「ある目的のためにいろいろな土地を回って歩くこと」という意味があります。これは、「遍歴」という言葉の意味にもある「各地を広く巡り歩くこと」と同じ意味ということです。

違いとしては、前述したように「行脚」には、「様々な経験を重ねること」や「いろんな経験をする」という意味は含まれません。

ちなみに、「行脚」という言葉の仏教用語としての意味は、「僧侶が修行の為に、諸国を歩きまわること」です。ここから今では、「各地を旅すること」という意味に転じて、現在の使われ方となりました。

②巡行

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「巡行」の読み方は「じゅんこう」です。「巡行」の意味は、「ある目的のためにいろいろな土地を回って歩くこと」です。この言葉も「行脚」と同じく、「様々な経験を重ねること」や「いろんな経験をする」という意味が含まれていない事が、「遍歴」との違いとなります。

③巡歴

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「巡歴」の読み方は「じゅんれき」です。こちらも先ほどの「行脚」「巡行」と同じ意味で使われる言葉で、「特定の場所また領域周辺の全ての旅またはルート」という意味、または、「ある目的のためにいろいろな土地を回って歩くこと」という意味で使用される言葉です。

④巡回

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「巡回」は「じゅんかい」という読み方で、さまざまな意味を持つ言葉です。「遍歴」と同じように「特定の場所また領域周辺の全ての旅またはルート」という意味でも使われる他、「安全のために、ある地域を一定の間隔で見まわる行動」「パトロールを行うことにより安全を維持する」などという意味でも使われる言葉です。

この「巡回」という言葉の類義語や類似表現としては、「巡警」「巡視」「廻る」「パトロール」「警邏」などがあります。「巡警」の読み方は「じゅんけい」、「巡視」の読み方は「じゅんし」、「警邏」の読み方は「けいら」です。

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上記で「行脚」「巡行」「巡歴」「巡回」と、4つの類義語を紹介してきましたが、どれも使い方は「遍歴」とは少し違います。次の項目で、「遍歴」の使い方を紹介しますが、違いを理解しやすくするために、まずは、こちらの4つの類義語の使い方と、他の類義語や英語での表現も確認してみましょう。

「行脚」の使い方・類義語

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「次の連休を使って、温泉行脚しよう」「お遍路を行脚する」など、「ある目的のためにいろいろな土地を回って歩くこと」、「特定の目的のために複数の地を訪れる」という意味での使われ方となります。この「行脚」という言葉の英語での表現は、「pilgrimage」や「journey」となります。他の類義語は「漫遊」「周遊」などがあります。

「巡行」の使い方・類義語

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「数年に1度国内を巡行する」など、「行脚」の使い方と似たものとなります。「ある目的のためにいろいろな土地を回って歩くこと」という意味と同じ物となります。この「巡行」という言葉の英語での表現は「cruise」「patrol」となり、他の類義語は「遊行」「巡歴」などがあります。

「巡歴」の使い方・類義語

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「ゆかりの地を巡歴する」など、これも「行脚」の使い方と似たものとなります。「ある目的のためにいろいろな土地を回って歩くこと」「各地を巡り歩くこと」という使い方です。この「巡歴」という言葉の英語での表現は「history」となり、他の類義語は「回遊」「巡遊」などがあります。

「巡回」の使い方・類義語

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共通の意味としては「各地を回り歩くこと」ですが、「巡回」という言葉は他にもいろいろな意味を持ち、様々な使い方があります。「巡回して指導する」「警備員が巡回する」などのように使われます。この「巡回」という言葉の英語での表現は「patrol」「tour」「going around」となり、他の類義語は「巡警」「巡邏」「警邏」などがあります。

「遍歴」の使い方

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これまで延べてきたように、「遍歴」には多くの意味、類義語、類似表現があり、さまざまな使われ方をしています。もともとは、「各地を広く巡り歩くこと」という意味の言葉ですが、近年では、「さまざまな経験を重ねること」という意味で使われることが多くなりました。

経験を重ねることで使用

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前述してきたように「さまざまな経験を重ねること」という意味での使い方をされることが多い「遍歴」という言葉。この、「さまざまな経験を重ねること」という意味で使用するときの使い方を、わかりやすいよう例文を使って、具体的な例をあげながら確認していきましょう。

男性遍歴・女性遍歴・恋愛遍歴

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「男性遍歴」は、その女性が、これまでにどのような男性と付き合ってきたか、何人の男性と関係を持ったかなど、その女性の、いわゆる「男性経験」というものになります。交際に発展した人のみを表すのか、遊び程度の関係も含まれるのかは、人によって違ってきます。

「女性遍歴」は、男性遍歴の逆で、その男性がどのような女性と、何人の女性と関係を持ってきたかなどを表現する言葉です。こちらも「男性遍歴」と同じように、どの程度を表現するかは、その人の見解や考え方によって違います。

また、「恋愛遍歴」という言葉になると、さきほど述べた男性遍歴や女性遍歴といった言葉の総称となります。しかし、男性遍歴や女性遍歴という言葉が、いわゆる下ネタ的な要素を含む関係性での使われ方もするのに対して、「恋愛遍歴」となると、「きちんと恋愛関係に発展した遍歴」という意味でのみ使われます。

会社遍歴

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「会社遍歴」という使い方は、会社が創業してからの、これまでの実績や功績、どのような道のりで業績を伸ばしてきたか、どのような取引を行ってきたかなど、「会社の履歴書」「会社の経歴」というように使われます。一般的にはあまり使う機会のない言葉となります。

仕事遍歴・アルバイト遍歴

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「仕事遍歴」というと、その人の仕事の経歴や実績のことを表現します。いわゆる「履歴書」や「経歴書」とおなじように使われます。「アルバイト遍歴」も同じように、どのような業種でのアルバイト経験があるかなど、「仕事遍歴」と同じく、履歴書や経歴書のように使われます。

趣味遍歴

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「趣味遍歴」というと、主に、多趣味で今までにいろいろな趣味をもっていた人が、今までにはまっていた趣味を、時系列に沿って開示した履歴や経歴、というように使います。かなり深くはまっていた人から、広く浅くいろいろな物事を試す人まで、幅広い人に使える言葉になります。

また、「推し遍歴」という言葉もあり、この言葉はアニメなどのキャラクターや、アイドルグループの中での、誰のファンだったかという遍歴を表す言葉です。

「遍歴」と変遷・経歴の違い

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「遍歴」と似た意味で使われる言葉に、「変遷」と、「経歴」という言葉があります。この「変遷」「経歴」という言葉はそれぞれ、似ているものの、違う意味を表す言葉です。この言葉と「遍歴」という言葉との違いを、まずそれぞれの言葉の意味から、わかりやすいように確認していきましょう。

変遷は時の流れと共に移り変わること

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「変遷」という言葉の意味は、「時の流れと共に移り変わること」です。「時間の経過に沿って物事や状態などが移り行くこと」を表す言葉で、似た意味の言葉に「推移」などもあります。「推移」の方は、より数字的な面での移り変わりを表現する時に使用される言葉となります。「変遷」をそれぞれ分解して意味を解釈していきましょう。

「変」

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「変遷」の、「変」という漢字には、「以前までと違う状態に変わること」を意味する言葉です。「変」にはそれ以外にも「突然発生する、異常な事態」や「普通ではないこと」「異常であること」という意味を持ちます。「変遷」以外の言葉では、「変更」「変化」「変革」などで使われる漢字です。

「遷」

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「変遷」の「遷」という漢字には、「物事や状態などが、時間の経過とともに移り変わってゆくこと」という意味があります。「遷」は他にも、「元にいた場所や地位などから離れて、別の場所に移る」という意味もあり、「変遷」以外にも「左遷」「遷都」という言葉にも使われる漢字です。

経歴は今まで経験した仕事や学業

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「経歴」という言葉は、「今まで経験してきた仕事・身分・地位・学業などの事柄や履歴」という意味を持ちます。また、「実際に、見聞きしたり、体験したりすること」という意味で、「経験」という言葉にも言い換えられますが、この意味は、「遍歴」の持つ言葉の意味と、とても近い意味となります。

また、「経歴」という言葉と似た意味を持つ言葉に、「履歴」があります。どちらも同じような意味ですが、使い方が少し違っています。

Photo byTeroVesalainen

「経歴」という言葉は、主に「その人が経てきた学業や職業、今まで経験してきた仕事・身分・地位・学業などの事柄」を表現することに対し、「履歴」は主に、「コンピューターなどで、データや内容の送受信などの記録のこと」を表現します。身近な使い方としては「着信履歴」などのように使われます。

「遍歴」の英語表現

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いろんな言葉での言い換えや表現が可能な、「遍歴」という言葉ですが、英語での表現はどのようなものになるでしょう。「遍歴」を表現する英語として一番適切なものになるのは、「itinerant」です。「itinerant」とは、直訳すると「遍歴する」という意味のほか、「巡回する」という意味もある英語です。

巡回する意味で表現

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先ほども述べたように、「巡回する」という意味での英語でも「itinerant」が使われます。「itinerant」は形容詞です。「an itinerant trader」となると、「旅商人」や「行商人」という意味。「an itinerant judge」となると、「巡回裁判官」というように使われる英語表現です。

「遍歴」は各地を広く巡り歩くこと

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日常でよく使う「遍歴」という言葉について、その意味や成り立ちから、類義語、英語での表現などを、掘り下げて紹介してきました。似た意味を持つ類義語がたくさんありますが、微妙な意味の違いや、使い方の違いなども理解することが大事です。

これまで述べてきたように、「遍歴」にはさまざまな意味があり、使い方にもたくさん種類があります。自分自身の「遍歴」を振り返ることで、これまでの自分の仕事や恋愛の履歴を見直すことができ、客観的に自分を見つめなおすことができるので、今後の過ごし方を考え直すことに役立つでしょう。

森山
ライター

森山

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