「通じて」と「通して」の意味とは?
「通じて」という言葉と「通して」という言葉は同じ漢字を使っていますが、実は意味が違うため使い方も違います。ですが「通じて」と「通して」の意味の違いが分からず間違った使い方をする人も少なくなりません。
「通じて」と「通して」を同じ意味だと勘違いしているために間違って使ってしまい、「なんだそれは」と思われる人も結構多いです。
「通じて」と「通して」はそれぞれどのような意味を持っているのか、まずは「通じて」と「通して」の意味についてご紹介しましょう。
「通じて」の意味は「媒体を利用する」という意味
「通じて」と「通して」の意味の一つ目は、「通じて」の意味です。「通じて」の意味は「媒体を利用する」という意味で、「マスコミを通じて」「テレビを通じて」などという使い方をします。
また「知り合いを通じて」などという使い方をすることもあり、媒体だけではなく誰か人を経由するといった場合にも使われます。
「通じて」は敬語表現ではなく、敬語表現する際には「通じて」以外の敬語表現をプラスする必要があります。「通じて」は決して失礼な言い方ではありませんので、前後に敬語表現を入れればそれでOKです。
「通して」の意味はその状態を続けるという意味
「通じて」と「通して」の意味の二つ目は、「通して」の意味です。「通して」の意味は「その状態を続ける」という意味で、「年間を通して」「一生を通して」などという使い方をします。
他には「弁護士を通して」といった言い方で「通して」を使うこともあり、「通じて」と同じく「通して」も色々な使い方ができると言えます。
「通して」は意味や使い方によっては敬語表現することもあり、「通して」を敬語表現する際には「お通しして」などというように形が変わります。
「通じて」と「通して」の類語
「通じて」と「通して」の意味についてご紹介しましたので、次は「通じて」と「通して」の類語についてご紹介します。
「通じて」の意味は「媒体を利用する」で「通して」は「その状態を続ける」という意味なので、それぞれの意味に似た言葉が類語になります。
「通じて」と「通して」に似た意味を持つ類語にはいったいどのような言葉があるのか、「通じて」と「通して」の類語についてご紹介しましょう。
「通じて」の類語
まずは「通じて」の類語についてご紹介します。「通じて」の意味は「媒介を利用する」というちょっと難しい意味なので、「通じて」の類語はほとんどありません。
ですが「通じて」の類語を探してみると「通じて」とは全く意味の違う意外な言葉が「通じて」の類語として挙げられています。
「通じて」という言葉に似た意味を持つ類語にはいったいどのような言葉があるのか、「通じて」の類語についてご紹介しましょう。
至るまで
「通じて」の類語の一つ目は、「至るまで」です。「至るまで」の意味は「終点や範囲まで」という意味で、「通じて」とは全く違う意味のようですが「通じて」の類語の一つとして挙げられます。
「通じて」という言葉は「あらゆる」とセットで使われることも多く、「あらゆる国を通じて」などという言い方をすると「至るまで」という意味に近い意味になります。
このため「至るまで」は「通じて」の類語の一つとして挙げられますが、「通じて」の一般的な使い方においては言い換えには使えません。
総じて
「通じて」の類語の二つ目は、「総じて」です。「総じて」の意味は「全体的に」「全般的に」という意味で、「通じて」とは意味が違うようですが、こちらもやはり「通じて」の類語の一つになります。
「通じて」は実は「全体的に」という意味で使われることもあり、そういった使い方をする際には「総じて」は「通じて」の類語だと言えます。
ですが「通じて」と全く同じ意味を持つ類語はなく、「通じて」の使い方によっては似た意味になるという言葉が類語になります。
「通して」の類語
「通じて」の類語についてご紹介しましたので、次は「通して」の類語についてご紹介します。「通して」の意味は「その状態を続ける」という意味ですが、「弁護士を通して」などというように誰かを仲介に使う際にも使われます。
「通して」は「通じて」と同じような使い方をすることもできますが、「通して」の方が似た意味を持つ類語が多いです。
「通して」と似た意味を持つ類語にはいったいどのような言葉があるのか、「通して」の類語についてもご紹介しましょう。
よって
「通して」の類語の一つ目は、「よって」です。「よって」の意味は「そのために」「そういうわけで」という意味で、「通して」とは意味が異なりますが「よって」は「通して」の類語です。
「通して」を「何かを通して」といった使い方をする際には「何かによって」と言い換えることができますので、「よって」は「通して」の類語になります。
ですが「通して」を「弁護士を通して」といった使い方をする際には「弁護士によって」などと言い換えることはできませんのでその点では少し違います。
もって
「通して」の類語の二つ目は、「もって」です。「もって」の意味は「使って」という意味ですので、こちらも一見すると「通して」とは全く違う意味のようですが、「もって」も「通して」の類語です。
「通して」という言葉には色々な使い方があり、「使って」という意味で使われることもあるため、「使って」という意味のある「もって」も類語になります。
ですがやはりこちらも、「通して」をそれ以外の使い方で使う場合には言い換えには使えませんので、その点では少し違うと言えます。
かけて
「通して」の類語の三つ目は、「かけて」です。「かけて」の意味は「わたって」という意味で、期間を表しますので「通して」の意味「その状態を続ける」に近い意味を持つ類語です。
「通して」は「一年を通して」などという使い方をされることが多いですが、そういった場合には「かけて」を「通して」の言い換えに使うことも可能です。
「通して」の類語も「通じて」の類語同様少ない上に、完全に意味や使い方が一致するものはほぼないと言えます。
「通じて」と「通して」の使い方・例文
「通じて」と「通して」の類語についてご紹介しましたので、次は「通じて」と「通して」の使い方・例文についてご紹介します。
「通じて」の意味は「媒体を利用する」で「通して」の意味は「その状態を続ける」なので、これらのことを表現したい場合に「通じて」と「通して」を使うことができます。
「通じて」と「通して」という言葉はいったいどのような使い方をすれば良いのか、「通じて」と「通して」の使い方の例文についてご紹介しましょう。
例文①
「通じて」と「通して」の使い方の例文の一つ目は、「テレビを通じて事態を説明いたしましたが、案の定非難と抗議が殺到しました」という例文です。
「通じて」は敬語表現ではありませんので、誰かに対して敬語表現で何かを伝えたい場合には「通じて」以外を敬語表現にする必要があります。
この例文では「いたしました」「しました」といった敬語表現を使っていますので、「通じて」自体は敬語ではありませんが敬語文になっています。
例文②
「通じて」と「通して」の使い方の例文の二つ目は、「仲介人を通じて文書で嘆願したが、聞き入れてもらえなかった」という例文です。
「通じて」には「媒体を利用する」という意味がありますが、「通じて」はテレビやマスコミなどだけではなく人に対して使うこともあります。
「通じて」の使い方は「テレビを通じて謝罪会見を行った」「マスコミを通じて事情説明した」などというような使い方が一般的だと言えます。
例文③
「通じて」と「通して」の使い方の例文の三つ目は、「彼女は愛していた人を亡くしたため、一生を通して独身でいると決めている」という例文です。
「通して」という言葉は「一年を通して」「一生を通して」などという期間を表す使い方も結構多く、この例文では期間を表す使い方をしています。
「通して」には「その状態を続ける」といった意味がありますが、この例文でも「独身でいる」という状態を続けるという意味で「通して」が使われています。
例文④
「通じて」と「通して」の使い方の例文の四つ目は、「このプロジェクトは年間を通して継続されている」という例文です。
「通して」は期間を表す使い方をすることが多いですが、この例文でも「年間」という期間を表す使い方をしています。
「通じて」も「通して」も似たような使い方ができますが、実は大きな違いがありますので、それに関しては次の「通じて」と「通して」の違いのところでご紹介します。
「通じて」と「通して」の違い
「通じて」と「通して」の使い方の例文についてご紹介しましたので、次は「通じて」と「通して」の違いについてご紹介します。
ここまで「通じて」と「通して」の意味や使い方などについてご紹介してきましたが、実はこの二つの言葉には決定的な違いがあります。
「通じて」と「通して」という言葉にはいったいどのような違いがあるのか、「通じて」と「通して」の違いについてご紹介しましょう。
「通して」は話し言葉という意味
「通じて」と「通して」の違いは、「通して」は話し言葉だということです。「通じて」と「通して」は基本的な意味は違いますが、使い方という点ではかなり酷似していて、同じような使い方をすることができます。
ですが「通じて」は書き言葉で「通して」は話し言葉なので、メールや文書などの文面で使う場合と口頭で使う場合とでは使い方が異なってきます。
「通じて」は書き言葉で「通して」は話し言葉だというのが「通じて」と「通して」の最も大きな違いですので、覚えておきましょう。
「通じて」と「通して」を使う際の注意点
「通じて」と「通して」の違いについてご紹介しましたので、次は「通じて」と「通して」を使う際の注意点についてご紹介します。
先にご紹介したように「通じて」と「通して」には違いがありますので、「通じて」と「通して」を使う際には気をつけなければならないことがあります。
「通じて」と「通して」を使う際にはいったいどのような点に注意しなければならないのか、「通じて」と「通して」を使う際の注意点についてご紹介しましょう。
「通して」はメールなどでは使えない
「通じて」と「通して」を使う際の注意点は、「通して」はメールなどでは使えないということです。先にご紹介したように「通じて」は書き言葉で「通して」は話し言葉です。
なのでメールや文書において「通して」という言葉を使うことはできず、メールなどでは「通じて」を使わなくてはいけません。
メールや文書で「通して」ということを言いたい場合には、「通して」ではなく「通じて」の方を使うように気をつけましょう。
「通じて」と「通して」の由来
「通じて」と「通して」を使う際の注意点についてご紹介しましたので、次は「通じて」と「通して」の由来についてご紹介します。
「通じて」という言葉も「通して」という言葉も同じ漢字を使っていますので、どちらも同じ言葉に由来があると言えます。
「通じて」という言葉と「通して」という言葉にはいったいどのような由来があるのか、「通じて」と「通して」の由来についてご紹介しましょう。
突き抜けるという意味の言葉が由来
「通じて」と「通して」の由来は、「突き抜ける」という意味の「通」という言葉にあります。「通」には他に「途中で止まらず終わりまで続ける」という意味もあり、「通して」の意味につながる意味があると言えます。
「通じて」は「通して」とは違い「通ずる」に由来があり、「通ずる」の意味は「筋道をつける」「届かせる」で、「通じて」の意味「媒体を利用する」というにつながります。
「通じて」と「通して」の英語表記
「通じて」と「通して」の由来についてご紹介しましたので、次は「通じて」と「通して」の英語表記についてご紹介します。実は「通じて」も「通して」も英語訳がしやすく、ほぼ直訳ができます。
「通じて」と「通して」を英語表記するにはどのような英語を使えば良いのか、「通じて」と「通して」の英語表記についてもご紹介しましょう。
「通じて」は「through」
「通じて」と「通して」の英語表記の一つ目は、「通じて」の英語は「through」だということです。「通じて」は「テレビを通じて」などという使い方が多いですが、この文章を英語訳する際には「through」が使われます。
「通して」は「throughout」
「通じて」と「通して」の英語表記の二つ目は、「通して」の英語は「throughout」だということです。「通して」は「年間を通して」などという使い方が多いですが、こういった文章を英語訳する時には「throughout」が使われます。
「通じて」は媒体を利用するという意味
「通じて」と「通して」の意味の違いや使い方などについて色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。
「通じて」は「媒体を利用する」という意味の書き言葉で「通して」は「その状態を続ける」という意味の話し言葉なので、正しい意味を理解して正しく使いましょう。