「猛省」はビジネスで使える?
猛省という言葉を、ビジネスの現場で耳にしたり、目にしたりしたことがあるかもしれません。猛省とは、反省と同様の意味を持つ言葉です。実際に、猛省はビジネスで使われる言葉なのでしょうか。猛省という言葉を詳しく知るために、まずはその意味について見ていきましょう。
曖昧でなくはっきりとした意味を知っていれば、猛省という言葉をビジネス上で使うのが正しいのか分かるはずです。
「猛省」の意味は深く反省すること
猛省には、「深く反省する」という意味が込められています。ちょっとした書類ミスというよりは、何かとてつもなく大きな失敗をしてしまった時に使う言葉と言えるでしょう。猛省の「猛」には猛烈といった言葉もあるように、激しさや荒々しさを表す意味があります。
猛省の「省」は反省にも使われるように、自分を顧みるという意味が込められています。そのため、猛省という言葉は、自分を顧みて、何か改善点がなかったかを振り返るという意味もあるのです。
「猛省」を使った例文
猛省の意味が分かったところで、使い方を覚えるために例文をご紹介しましょう。例文を参考にしていただき、猛省という言葉の使い方を知っておきましょう。猛省は、特にビジネス上でよく使われる言葉です。誰かに言われて「?」とならないよう、意味も含めて使い方を覚えておきましょう。
例文
「Aさんの言動はあまりに無責任だったので、猛省を促したいと思います」上司が部下の失態に対して言及するパターンです。取引先や顧客への無礼は、会社として猛省に値する事例だと言えるでしょう。「このような一件が二度と起こらぬよう、猛省いたします」
これは、失敗を犯した本人による使い方です。このように、猛省には、自身で反省の気持ちを感じる場合と、他人から指摘される場合に使われるということが分かります。
四字熟語の「猛省一挙」の意味とは異なる
「猛勢一挙(もうせいいっきょ)」という四字熟語があるのをご存知でしょうか。猛勢一挙とは、勢いよく一気に事を成すことを意味しています。「猛省」とこの熟語に使われる「猛勢」は、共に同じ読みをしています。しかし、意味はまったく違う言葉です。
ネット上でも間違って打ち込まれているのを見かけるほど、紛らわしい漢字と言えるでしょう。意味から考えると分かるはずなので、漢字の間違いには注意が必要です。
ビジネス場面における「猛省」の使い方
先ほど少し触れたように、猛省はビジネスの場面で使われることが多いです。具体的に、どのような使い方をされているのでしょう。こちらでは、猛省が使われる場面をパターン別に設定し、猛省という言葉の使い方をより詳しく見ていきます。
自分が「猛省」している場合の使い方
仕事で深刻なミスをしてしまい、ものすごく反省している時には猛省がぴったり合います。この場合には、「猛省いたしております」や「猛省中でございます」といった使い方が挙げられます。行動の中で猛省するポイントがあったなら、「猛省すべき点がございました」と言うことも出来ます。
相手に「猛省」を求める場合の使い方
部下が顧客に失礼を働いた、あるいは取引先から迷惑を被ったなどの場合には、相手に猛省を求めることもあるでしょう。相手に求める場合にはそのまま、「猛省を求めます」や、「猛省を願います」と表現するといいでしょう。「猛省を促します」という使い方もあります。
ビジネスメールにおける「猛省」の例文
ビジネスメールにおいての、猛省の例文をご紹介しましょう。猛省を必要とするようなミスがたびたびあっては困りますが、いくつかのパターンを覚えておくと便利でいいでしょう。自分が猛省しなければならないパターンと、相手に猛省を求めるパターンを挙げておきましょう。
自分が猛省しなくてはならない場合の例文
「今回の一件に関しまして、猛省すべき点がございました」や「同じ過ちを繰り返さぬよう、深く猛省しております」などの例文が考えられます。他にも、「今回の行いを振り返り、猛省中でございます」といった使い方も考えられます。
相手に猛省してもらいたい場合の例文
「A氏の行動は目に余るものであり、我が社といたしましても猛省を求めます」「今回の件に関しまして今一度お詫びを申し上げると共に、責任者には猛省を促しておきます」といった例文が、ビジネスメールでは相応しいと考えられます。
「猛省」の類語と例文
ひとつの言葉を知る上で外せないのが、類語を知ることです。猛省という言葉は、どんな類語で置き換えることが出来るのでしょうか。猛省する機会は少ないに越したことはありませんが、類語を知っておくのは決してマイナスではありません。社会人なら、語彙は多いに越したことはないのです。
「猛省」の類語と例文①自責
「自責」とは、自分を責めると書きます。自分のした行いを責め、反省するという意味になります。「あの失敗を思い出すと、今でも自責の念に駆られます」という例文が示すように、「自責の念に駆られる」という使い方をします。これが決まりきった使い方だと、覚えておくといいでしょう。
「猛省を促す」という表現がありましたが、自責とセットでは使うことが出来ません。自責には自発的な反省が込められているので、促されるものではないのです。
「猛省」の類語と例文②内省
「内省」にも、自責と同様のニュアンスがあります。内省には、字が表すように「内で省みる」という意味があります。したがって、猛省のように促されたり、願われたりするものではありません。
「内省する」「内省を行う」といった使い方をします。また、「あの一件に付きましては、内省を行いたいと思います」といった例文を挙げることが出来ます。
「猛省」の類語と例文③自省
「自省」の意味もまた、その言葉を見ればよく分かります。自省とは、自己反省することです。反省とほぼ同じ意味として使えますし、猛省ほど深い反省ではないと言えるでしょう。ただし、自省という言葉には自発性がありません。そのため、猛省と同じように「自省を促す」とも言えます。
「彼女の失敗は、自省を求められても仕方がない」や「日々の行いについて、今一度、自省いたしたいと思います」のように使うことが出来ます。
「猛省」の類語と例文④悔悟
「悔悟」という言葉は、悔やむと悟るが合わさって出来た言葉です。意味も同様で、自分の行いを後悔し、悟るということです。反省や猛省に近い意味ではありますが、悔悟には「悔やむ」という漢字が入っているのがポイントです。自分を省みるだけでなく、そこには後悔が存在しているのです。
「なぜあんなことをしてしまったのかと、今さら悔悟しても遅い」という例文が表すように、単に申し訳なく思う以上に、悔やむ気持ちが前面に押し出されていると言えるでしょう。
「猛省」と「反省」の意味の違い
「猛省」も「反省」も、共に反省していることを示す言葉です。その違いは、一体どこにあるのでしょう。大まかな意味は同じでも、猛省と反省にはちゃんとした意味の違いが存在しています。日頃、どちらも同じ意味だとして、安易に使っていませんか。
猛省も反省も、シチュエーションに合った使い方をするのがスマートだと言えるでしょう。こちらでは、そんな猛省と反省の微妙な違いについてご紹介しましょう。
後悔する気持ちの深さが違う
猛省と反省の違いは、どれだけ後悔しているか、つまり、後悔の深さにあります。そして、猛省の方が、後悔の度合いは大きいと言えます。ある一件に関してどう感じるかは、個人の感じ方によるものではあります。しかし、一般的に見て、猛省すべき件と反省すべき件というのはあるわけです。
自分では猛省レベルだと感じても反省でいいこともあれば、その逆もまた然りです。自分の行いをよく顧みて、どちらがより適切なのかを考えましょう。
「猛省」と「反省」の例文
「この度の失態には、猛省しております」と、自分のミスを恥じ、ひたすら謝りたい気持ちになることもあるでしょう。しかしそれは、本当にそこまでのものでしょうか。些細な失敗で猛省を使ってしまうと、逆に軽々しく聞こえてしまう恐れもあります。
「浅はかな行動に、反省しております」のように、反省を使ってこそしっかりと伝わる場合もあります。自分のミスの度合いを見極めるのも、上手い反省の仕方と言えるのではないでしょうか。
「猛省」の英語表現
国際化の進む今の時代、外国の取引先と英語でメールを交わす機会もあるでしょう。何か大きな失敗をして猛省しているということを伝えたいとき、英語ではどのように表現するのでしょう。ミスはないのがいいですが、万が一ということもあります。猛省の英語表現を知っておきましょう。
「猛省」の英語表現は「reflect on ~ seriously」
猛省を英語で表現すると、reflect on ~ seriouslyとなります。前部のreflect onに反省の意味があり、seriouslyがその度合いを深めている単語です。「~を振り返ってよく考える」というのが、直訳になります。onの後ろに猛省すべき事例が入り、「~のことで猛省している」という表現になります。
「reflect on ~ seriously」を使った例文
猛省をどう英語で表現するかを知っていても、例文を見る方がより実用的になるはずです。You should reflect on your fault seriously.で、「あなたはあなたの欠点を猛省すべきだ」という意味になります。相手の持つ欠点が、何か深刻な失態を引き起こしたときに使える表現です。
「猛省」の英語表現は「take a hard look at ~」も使える
同じような英語表現に、take a hard look at ~というものがあります。~の部分には日本語で言う「~自身」、英語で言うoneselfが入ることが多いとされています。直訳すると「~を厳しく見る」という意味になり、これが転じて、猛省と同じ意味になるのです。
「take a hard look at ~」を使った例文
take a hard look atを使った例文は、以下のようなものが挙げられます。She takes a hard look at herself for her behavior.で、「彼女は自身の態度について猛省している」という意味になります。このように、sheならherself、heならhimselfというように、変化させることを忘れてはいけません。
「猛省」と「反省」の意味を区別してビジネスに活かそう
「猛省」と「反省」には区別があり、使い分けることが鍵になるということが分かっていただけたのではないでしょうか。ビジネスの世界では、そういう細かな使い分けが評価に響く場合もあります。一人の社会人として、猛省と反省は正しく使いこなしましょう。