「お気をつけて」の意味とは?
普段何気なく使っている「お気をつけて」ですが、意味を考えたことはあるでしょうか。ビジネスシーンでの敬語として、上司の出張の際などに何気なく声掛けとして使っている人も多いでしょう。
「お気をつけて」は、実は使うシチュエーションやタイミングによっては、適切ではない場合もある言葉です。正しく意味を理解して、使い方を正しく学ぶことで、相手に嫌な気持ちをさせることがなくコミュニケーションを取ることが出来るでしょう。
今回は「道中お気をつけて」の使い方や意味も解説しています。様々なシーンでの使い方を例文を交えて解説しています。
「お気をつけて」の正しい意味
「お気をつけて」は「気をつけて」を丁寧に表した言葉で、丁寧語に当たります。気をつけるというのには複数の意味があり「間違わないように注意する」「障害物に対して用心する」「留意してことにあたる」などの意味があります。
お気をつけてはそんな注意したり用心するような気遣う気持ちに「お」を付けて丁寧に表現したものになります。後で解説しますが「お気をつけて」だけでは敬語表現にはならないので、出張の際に上司にかける言葉は「お気をつけて」では不適切になってしまいます。
なんとなく目上の人に対して「お気をつけて」と声掛けをしていた人は、これを機に控えるようにしましょう。正しい使い方を後ほど例文を交えて解説しています。
「道中お気をつけて」の正しい意味
では「道中お気をつけて」はどのような意味があるのでしょうか。「道中」というのは「旅の途中」とか「行先にて」という意味があります。なので「道中お気をつけて」は、出張や旅行に行く人に対して、旅路の無事を祈る意味で使う言葉になります。
目上の上司に対して出張などで「道中お気をつけていってらっしゃいませ」と声を掛けるのは正しい表現方法になります。ただ「道中」というのが多少古い言い回しになります。なのでより現代らしく適切な言い方は「遠方へのご出張、どうぞ気をつけていってらっしゃいませ」などが良いでしょう。
「お気をつけて」は敬語?
「お気をつけて」は丁寧な言い回しではありますが、果たして敬語にあたるのでしょうか。実は「お気をつけて」だけでは正しい敬語表現にはあたりません。
「お気をつけて」は動詞に対しての形容詞的役割をするものになります。なので文章的に「お気をつけて」だけで完結するのは言葉足らずだと言えます。なので上司に対して「お気をつけて」とだけ声掛けをするのは、正しい敬語の使い方とは言えません。
正しくは「お気をつけて」の後に「いってらっしゃいませ」などを付けて「お気をつけていってらっしゃいませ」と動詞まで言い切る使い方が良いでしょう。
「お気をつけて」の由来
「お気をつけて」の言葉の由来について考えたことがあるでしょうか。正しく「お気をつけて」や「道中お気をつけて」という言葉を使うためにも、その言葉の由来を理解しておく必要があるでしょう。
そんな「お気をつけて」の言葉の由来についてまとめました。「お気をつけて」の言葉の由来について学ぶことで、目上の人に使う際でも言葉に説得力が増してくるでしょう。
言葉を大切にする人は、人を大切にすると言います。ビジネスシーンや日常において、人と友好な関係を築くためにも、言葉の由来はしっかりと理解しておきましょう。
「気をつける」の由来
「お気をつけて」の言葉の由来を理解する前に、まずその元になる言葉である「気をつける」の言葉の由来を学びましょう。「気をつける」という言葉は昔の太平記や狂言記などにも使われており、気づかせたり思い出させるといった意味で使われていました。
また他にも注意力をはたらかせるというという意味でも使われており、火の元に気をつけたり、危ない動きをする家来などに対して使われていました。
「お気をつけて」は「気をつける」の丁寧な表現
「お気をつけて」はそんな「気をつける」に丁寧語の「お」を付けて丁寧に表現したものになります。「気をつける」だけだと動詞なので文章は完結しますが「お気をつけて」は動詞に形容する言葉なので、その後に動詞が続かないと文章が成り立ちません。
気をつけるには注意力をはたらかせたり、気づかせたり思い出させるという意味があります。なのでその敬語表現に当たる「お気をつけて〜」には、気づいてほしいという思いや、気遣いの心を伝える意味があります。
「お気をつけて」の特徴
「お気をつけて」の言葉の意味について色々まとめましたが、「お気をつけて」にどのような特徴があるのか今一度まとめておきましょう。「お気をつけて」を効果的に使うためにも、特徴をしっかり把握しておく必要があります。
「お気をつけて」には敬語表現として使うためのあるルールがあります。また「お気をつけて」には元来からある悪い意味を信じている人もいるので、多用しすぎるのもあまり良いとは言えないでしょう。そういった「お気をつけて」の特徴はしっかり把握しておきましょう。
「お気をつけて」の後に動詞を付ける
「お気をつけて。」と単体で使って、目上の人に注意されてしまった経験はないでしょうか。「お気をつけて」は、それ単体では文章として成立せず、正しい敬語表現にもなりません。
「お気をつけて」の後に動詞を付けることで、初めて敬語表現として文章が成り立つ正しい使い方になります。例文としては「お気をつけてお越しください」や「お気をつけてお帰りください」など、動詞にも丁寧語を使うのが正しい敬語表現になります。これは二重敬語に当たらないので安心です。
「病気を付ける」という悪い意味もある?
「お気をつけて」は、状況によっては悪い印象を与えることもあるので注意が必要です。年代によっては「気をつける」は「病気を付ける」という意味を持ち合わせているということで、あまり良い印象を持たない人もいることは心に留めておきましょう。
また「ケガに気をつける」「病気に気をつける」など「お気をつけて」は悪い言葉を連想させる言葉でもあるので、大変な環境にある人に対してはあまり多用しないほうが良いでしょう。
「お気をつけて」の英語表記
現代におけるビジネスシーンでは、英語を使ったコミュニケーションも必須になってきています。海外の人とメールなどでやり取りをする際に「お気をつけて」をどのように表記すればいいか迷ってしまう人は多いのでは無いでしょうか。
そこで英語での「お気をつけて」の表記をまとめました。しかし「お気をつけて」には日本語でも様々な表記があるので、英語に表すのにもいくつかのパターンが存在します。
ここでは「用心してお越しください」と言う意味での「お気をつけて」と、「お体に気をつけてください」という意味での「お気をつけて」と、「気をつけてお越しください」という意味での「お気をつけて」の3つに分けて解説します。
それぞれの使い分け方を理解し、スマートに言い訳けられるようにしておきましょう。正しくビジネス英語が使えるようになると、思わぬチャンスが舞い込んでくるかもしれません。意味ごとの「お気をつけて」の英語の使い分けを理解しましょう。
「be careful」を使った英語表記
「お気をつけて」の英語表記の中でも「用心してお越しください」という意味での英語表記は「be careful」を使います。メールで打ち合わせをしている際に、海外からこちらへ向かわれる際の声かけとして使うことが出来ます。
「Be careful.」だけだと命令形になってしまい「気をつけなさい」という意味になってしまうので、丁寧に表現するのであれば「Please be careful.」と表現するべきでしょう。
「take care of」を使った英語表記
「お気をつけて」の英語表記の中でも「お体にお気をつけて」という意味での英語表記は「take care of」を使います。メールや電話での文章の締めくくりとして、最後のあいさつに使うことで、相手への気遣いと敬いの心を表すことが出来ます。
「take care of」だけでは文章は成り立たないので、その後に「yourself(あなた自身を)」という単語をくっつけて、「take care of yourself」と付けてあげると「身体に気をつけなさい」という言葉になります。
これもこのままだと命令形になってしまうので、丁寧に表現する例文としては「Please take care of yourself.」が適切でしょう。
「Have a safe」を使った英語表記
「お気をつけて」の英語表記の中でも「気をつけてお越しください」という意味での英語表記は「Have a safe」を使います。飛行機などを使って海外に行く場合や、遠くからこちらに向かって来られる際に使います。
例文としては「Have a safe trip to China.」だと「お気をつけて中国に向かってください」という意味になります。似たような言葉で「Have a nice」だと「楽しんで」という意味になります。フランクに会話できる相手であれば、こういった表現も有効でしょう。
「道中お気をつけて」の英語表記
では「道中お気をつけて」はどういった英語表現をすれば良いでしょうか。堅い言い方でいうと「To be careful along the way.」と言った表現になります。直接的な表現になるので、相手には堅苦しく伝わるかもしれません。
自然に会話として出すのであれば、やはり「Have a safe trip」が良いかもしれません。「To be careful along the way.」だと「気をつけなさい」と言ったニュアンスになりますが、「Have a safe trip」だと安全を祈っている感じがして好印象です。
「お気をつけて」の使い方
「気をつける」自体に様々な意味があるので「お気をつけて」にも様々な使い方があります。また何度も書いているとおり「お気をつけて」にはその後に動詞を付けないといけない決まりがあるので、その後に続く言葉によっても使い方が変わってきます。
そこで「お気をつけて」の使い方を、例文を交えて紹介します。様々な使い分けをできるようにして、ビジネスシーンでも正しく使えるようにしておけば、相手に失礼な思いをさせなくて済むでしょう。例文を活用して、スムーズに日常会話で使えるようにしておきましょう。
例文①
「お気をつけて」の例文の1つ目は「お体にお気をつけてお過ごしください」を活用した例文です。ご年配の方や入院中の方など、体の具合を気遣う際に使いたい例文です。すでに重い病気にかかってしまっている方や、状況が良くない人には嫌味に聞こえる場合もあるので、多用は禁物です。
相手の体の具合を気遣う際には「最近温度変化の激しい日々が続いていますが、お体にお気をつけてお過ごしください」という表現が良いでしょう。こういった気遣いの一文が添えられるか添えられないかでも、随分と印象が違います。
例文②
「お気をつけて」の例文の2つ目は「どうぞお気をつけてお越しください」を活用した例文です。先方にこちらに来ていただく際に気配りの言葉として添えておきたい一言になります。似たような言葉でいうと「くれぐれも」「どうか」などの言葉があります。
気配りの言葉として添える際には「それでは3月20日の18時に弊社にてお待ちしております。どうぞ気をつけてお越しください」と使うようにしましょう。「くれぐれも」だと同じ言葉が使われており、少し念押し気味の強い表現になります。控えめに言うのであれば「どうぞ」が適切でしょう。
例文③
「お気をつけて」の例文の3つ目は「お足元にお気をつけてください」を活用した例文です。足元が悪い場合や、相手を気遣う際に一言添えておきたい言葉になります。相手がハイヒールを履いていたりと歩きにくい場合などにこういった気遣いの言葉が一つあると印象が良いでしょう。
その際は「このあたりは段差が多くございます。どうかお足元にお気をつけてください」などと使うようにしましょう。あまり多用しすぎると良い印象は受けないかもしれませんので、ここぞというタイミングで使うようにしましょう。
例文④
「お気をつけて」の例文の4つ目は「お間違えの無いようにお気をつけください」を活用した例文です。出張の際の期間の変更など、何かを間違わないように注意してもらう際の「お気をつけて」の使い方になります。
その際には「出張期間が金曜日までから土曜日までに変更になりましたので、お間違えの無いようにお気をつけください。」と使うようにしましょう。「お間違え」と「お気をつけください」に2回丁寧な表現が来ますが、これは二重敬語には当たらないのでご安心ください。
「道中お気をつけて」の使い方
「お気をつけて」だけでも様々な使い方がありますが「道中お気をつけて」も適切に使えるようにしておきましょう。上司が出張の際などに一言適切に添えることができれば、ビジネスマンとしてワンランクアップする印象を与えることでしょう。
そこで「道中お気をつけて」の使い方を、どんなシチュエーションで使ったら良いかなどを交えつつ紹介します。また「道中お気をつけて」の代わりになる言葉も紹介しておきます。出張などの際に添える言葉のバリエーションとして持っておくと良いでしょう。
「道中お気をつけて」の例文①
まずは「道中お気をつけていってらっしゃいませ」を活用した例文を紹介します。会社の上司の出張や旅行の際に添える一言として便利な言葉になります。同様に出張先や旅行先などから帰ってくる際にも「道中お気をつけてお帰りなさいませ」などと応用することが出来ます。
上司が出張先や旅行先に行かれる際には「飛行機長旅になることかと思いますので、道中お気をつけていってらっしゃいませ」というのが正しい表現になります。旅路や出張の移動の気配りが出来るという事を嫌味なく伝えることが出来ます。
「道中お気をつけて」の例文②
「道中お気をつけて」という言葉は、敬語的には合っていますが実はやや古い表現なので、違った言い回しをするのもおすすめです。言葉に敏感な人にとっては、道中という言葉を不自然に思う人もいるので、無理をして使っているという風に捉えられかねないでしょう。
上司の出張や旅行の際には「飛行機で長距離の移動になるかとは思いますが、旅路の安全をお祈りしています。」などと丁寧に表現すると良いでしょう。どういう言い回しであれ、丁寧に気持ちを伝えたいということを言葉に込めることが大切です。
「お気をつけて」を使う際の注意点
「お気をつけて」を会話やメールで使う際の注意点をまとめておきます。この注意点を理解していないまま「お気をつけて」を多用してしまうと、思いがけず相手に不快な思いをさせてしまうことがあります。ビジネスシーンでのそういった失敗はなるべく無くしておきたいものです。
「お気をつけて」は使い方を理解しておくことで、相手とのコミュニケーションをより円滑なものに出来るでしょう。上司の出張時などにサラッと正しく使えれば、上司の評価もアップすることでしょう。そんな「お気をつけて」の注意点をまとめておきます。
「道中お気をつけて」だけでは正しい敬語表現にならない
「道中お気をつけて」の注意点として一番大きいのは「お気をつけて」という言葉だけでは正しい敬語表現にはならないことです。「お気をつけて」は動詞の前に形容詞として付ける言葉なので、動詞となる言葉をくっつける必要があります。
なので正しい敬語表現としては「道中お気をつけていってらっしゃいませ」や「お気をつけてお帰りくださいませ」などが適切でしょう。面倒がって「道中お気をつけて」だけで済ませてしまうと、正しい日本語では無いので厳しい人に対しては叱られてしまう可能性もあります。
「道中お気をつけてください」もNG
「お気をつけて」の注意点としては「お気をつけてください」という表現も正しくないという事が挙げられます。「お気をつけて」の後は動詞が来なければいけないので「ください」だけでは意味が完結しません。
「お気をつけて〇〇してください」であれば問題ありません。出張先の上司に「お気をつけて引き続きお過ごしください」などと伝えるのは全く問題ないでしょう。お気をつけてくださいだと、何か物乞いをしているような表現になってしまいます。
「行ってらっしゃい」もNG
お気をつけての注意点としては「お気をつけて行ってらっしゃい」もNGということが挙げられます。「行ってらっしゃい」は丁寧な表現とは言えません。「行ってらっしゃい」にも「ませ」と丁寧な言葉を付け「お気をつけて行ってらっしゃいませ」と表現するようにしましょう。
これと同じニュアンスで「お帰りなさい」も適切な表現とは言えません。「お帰りなさい」ではなく「長旅お疲れ様でした」などと表記するほうが良いでしょう。
同じような形で「ご苦労さまでした」というのも、上司に対して使う言葉としては正しい表現ではありません。「ご苦労」は上司から部下へねぎらいの言葉を掛ける際に使う言葉です。上司に対して使ってしまうと失礼に値するので気をつけましょう。
この場合も「長旅ご苦労さまでした」ではなく「長旅お疲れ様でした」と表現するようにしましょう。適切な言葉遣いはビジネスシーンにおいて重要です。
「お気をつけて」は相手を気遣うという意味
「お気をつけて」や「道中お気をつけて」の意味や由来、正しく使う例文や英語での表現方法についてまとめました。「お気をつけて」は間違ったまま使っている人も多く、気づきがあることも多いのではないでしょうか。「お気をつけて」は正しく意味を理解して使うことが大切です。
「お気をつけて」には相手を気遣う意味が含まれます。にもかかわらず適当に使ってしまえば、相手に失礼に値することもあるので注意が必要です。正しい敬語表現を理解しておかないと、逆に上司や関係先の評価を下げることにも繋がりかねません。
言葉の意味をわかった上で発言するのと、なんとなくで発言するのとでは、言葉の説得力がまるで違います。相手としっかり信頼関係を結ぶためにも「お気をつけて」は正しく使うようにしましょう。