「家事都合」の意味と理由としての使い方を解説！「私事都合」との違いも！

「家事都合」というと炊事や掃除などの家事をイメージしてしまう人がいるようですが、「家事都合」の家事はそういった意味ではありません。「家事都合」とは家庭や親族などの身内の事情による都合という意味です。都合とは理由、わけという意味となります。

具体的には家族の看病や介護などが「家事都合」ということになります。勤務先で有給休暇を取る理由としては「家事都合」が最も使いやすいもので、実際使っている方も多いことでしょう。

子供が熱を出したという時や、急な家の用事のために職場を休まなければならなくなった時に「家事都合」とすればいちいち家庭内の事情を細かく上司に報告することもなく、便利に使える言葉でもあります。

一方、同じような言葉に「私事都合」というのがあります。読み方は「しじつごう」と読み、「わたくしごと」とは読みません。この場合は読んで字の如く自分の用事という意味となります。

例えば1人で旅行へ行く場合などに「旅行へ行くから休ませてください」とは上司になかなか言い出しにくいものです。そんな場合に「私事都合」で有給休暇を取りたいと申し出れば特に理由を言わなくてもそれで済んでしまいます。

「私事都合」と「家事都合」の違いは、「私事都合」とは自分だけの都合、用事という意味に対して、「家事都合」は家族や親族に起こった事情、用事という意味となります。ただし、ビジネスにおいては「私事都合」に自分だけではなく家族も含むこともあります。

実際、出席するつもりだった説明会を急に欠席すなければならなくなったり、会社を休まなければならない事態が生じる場合があります。また、子供がいる方は子供の都合でも急に休まなければならない時もあります。

そんな時に使う「家事都合」をシーン別に例文を使ってご紹介しましょう。誰にでも起きるであろうシーンを想定して例文を作成しました。是非参考にしてください。

会社の何かしらのイベントや説明会がある日に、家にいなければならない時があるかもしれません。自分の都合でなくても、家庭を持っていれば何かの事情が出てきます。また、独立して1人で部屋を借りていても、いろいろな用事があるものです。

例えばガスや電気の保安点検で○月×日は家にいて欲しいと家主から言われた場合などです。他に家人がいない時は自分の都合でなくても説明会を休まなければならない事態が生じます。そんな時には「家事都合」を使って欠席します。

「誠に申し訳ありませんが、○月×日は家事都合のため〇〇説明会を欠席させていただきます」と会社に伝えましょう。ガスの点検がどうの、というよりはスマートに伝えられます。

子供が熱を出したというときは急に病院へ行かなければならないことがあります。また、それほど急を要したものでなくても、子供を持てばいろいろな用事が出てきます。運動会や授業参観、お遊戯会など学校や幼稚園の行事に参加することもあるでしょう。

そんな時の「家事都合」の使い方の例文を示しておきます。学校行事に参加するために休む場合は前もって日にちがわかっているわけですから、早めに有給休暇を取っておきましょう。「家事都合のため○月×日、休ませていただきます」と有給休暇の申請をすることで休むことができます。

「子供のお遊戯会があるので休みます」とは上司や同僚の手前言いにくても「家事都合」なら口に出せます。子供が急に熱を出して急いで病院へ行く場合は「家事都合のため、本日休ませていただきます」としますが「子供の体調不良のため本日休ませていただきます」とするほうが良い時もあります。

つい、うっかり寝過ごしてしまったということもあるのではないでしょうか。また、特別な理由はなくても、「今日は休みたいな」という時もあるでしょう。そんな時でも「家事都合」が使えます。「うっかり寝坊しました」では格好がつきません。

厳しい会社では3日遅刻するとペナルティがある会社もあります。そんな時には嘘も方便で「本日、家事都合のため1時間ほど遅刻いたします」「家事都合のため、本日午後より出社いたします」とすることで寝坊したとは思われずに済みます。

1日休みたい場合でも「家事都合のため、本日休ませていただきます」とすれば何かの用事ができたのだろうと上司は勝手に思ってくれます。まさか、体がだるいから休んだとは思われません。「家事都合」は、はっきりとしたとした理由を言わずに済ませることができるのです。

「家事都合」での有給休暇の取り方にはどんなことが想定されるのしょう。逆にいえばどんな場合に「家事都合」で有給休暇を取れるのでしょうか。

次にあげる3つの場合を見ていきましょう。「家事都合」か「私事都合」か、判断に迷うところですが、その違いをはっきりわかっていれば使い方がわかるはずです。

実家の葬儀や法事の場合は、そのまま「葬儀・法事」と言ったほうが良いのです。血筋の近しい順に忌引きや冠婚葬祭のための特別休暇を設けている会社もあるからです。

しかし、遠い親戚や友人宅などで行われる葬儀や法事の場合は「家事都合」として有給休暇をとっても大丈夫です。また、葬儀や法事を理由に有給休暇を取りにくい事情がある場合も「家事都合」で有給休暇をとっても良いでしょう。

親の介護や家族の看護でも「家事都合」による有給休暇が取れる理由となります。仕事も大切ですが、自分の親の介護や家族の看護も大切な仕事です。親が定期的に病院通いをしている時には予約の日に病院へ連れて行かなければいけません。

また、家族が具合が悪くて苦しんでいる時に、それを放って出勤するわけにもいきません。どんなに繁忙期であっても、そんな時には「家事都合」による有給休暇を取っても上司も「ダメ」とは言わないでしょう。

役所での手続きも会社を休まなければできません。住民票交付など、一部の手続きは駅の行政コーナーでもできるものがありますが、ほとんどの手続きは平日でなければできません。

住所変更や戸籍謄本を交付してもらうなど、役所の手続きも家族にとっても大切なものばかりです。「家事都合」を使って有給休暇を取って役所にいきましょう。

自己都合でも「家事都合」を使って有給休暇を取って良いのでしょうか。例えば、友達と旅行に行く、好きなアーティストのコンサートに行くなどです。もっといえば体がだるいから今日は会社を休みたいといった場合です。

それは私事都合ではないの？と言われそうですが、こんな場合でも「家事都合」を使えるのでしょうか。実はそんな場合でも「家事都合」を使っても良いのです。

会社を休みたいが、どうも本当の理由を言いにくいという場合は「家事都合」として有給休暇をとっても良いのです。有給休暇を取るのに理由はいりません。

正直に「私事都合」といったり、本当の理由を言って上司や周りの心象を悪くしてもいけません。「家事都合」と「私事都合」の明確な違いはないと言っても良いでしょう。

「家事都合」での有給休暇の取得が認められない場合もあります。「どうして？有給休暇は労働者の権利じゃないの？」と気色ばむ必要はありません。以下の時に有給休暇に変わって手当てが出るからなのです。

「家事都合」で有給休暇が使えないのは、産前産後と育児の場合です。産前産後や育児のための休暇はいわゆる産休と呼ばれるもので、有給休暇は適用されないのです。

当然、その期間は無給となりますが、その間の生活費には健康保険から出産手当金が出ます。そのため、産休には有給休暇は認められないのです。

会社を休みたい時、休まなければならない時があるはずです。そんな時に「家事都合」を使って有給休暇を取ってみましょう。有給休暇は働く人の権利です。日本の社会ではせっかく年次休暇があるのに取りにくいという風潮があります。

しかし、「家事都合」として羽を伸ばすのもたまには良いでしょう。「私事都合」を使って有給休暇を取るのも良いのですが、周りの心象を害することもあります。「家事都合」の使い方を覚えて置くと便利な時もあるのです。

「私事都合」と「家事都合」は明確な違いを上司から指摘されることはありません。「家事都合」とは使い勝手の良い便利な言葉なのです。