「主幹」の意味や使い方・職務についても紹介!
「主幹」は基本的には役職の名称として使われます。どちらかといえば民間よりも役所などの公的な機関で多く使われます。その職務内容や権限の範囲は組織によって異なり、共通的な定義が難しい言葉でもあります。
日常的に見聞きすることが多い「主幹」ですが、人によって持つイメージも異なります。今回は「主幹」の語源を探ることにより「主幹」の本来的な意味に迫るとともに、「主幹」の具体的な使い方や「主管」「主任」などのよく似た言葉との違いについても見ていきます。
特に役所との付き合いが多い人は肩書きの上下関係に細心の注意を払う必要があります。上下関係を間違った対応はその後の付き合いに致命傷的な影響を与えることがあるからです。
「主幹」の意味とは
「主幹」は「しゅかん」と読みます。「ある分野の中心になって仕事をする人・役職」の意味になります。係長・課長・部長などと同様に組織内の肩書きの一つとして使われたり、中心となって物事を進めることを表す文章の中の表現として使われます。
「主幹」は中心になるのですから、リーダー的存在であることは間違いありませんが、その組織の規模や性格によって職務範囲や権限が異なります。「主幹」が持つ本来の意味はどのようなものなのでしょうか。また「主幹」と同様な使い方ができる言葉にはどのようなものがあるのでしょうか。
まずは「主幹」の語源や類語から探っていきましょう。語源を見ることによって「主幹」の本質的な意味が見えてきます。
「主幹」の語源
「主幹」の「幹」は樹木の幹(みき)のことです。「主幹」は複数ある樹木の幹の中で、最も太く重要な幹でその樹木の中心的存在をさします。これが一般化して「チームのメンバーの中で、中心となってとりまとめをする人物・役職」を表す意味の言葉として使われるようになりました。
このように考えると、「主幹」が持つ組織の中での位置づけや役割をよりリアルにイメージすることができます。
「主幹」の類語
「主幹」の類語として最も多く見かけるのは「主査」「主任」「主管」です。どの言葉にも「主」がついていますので、中心的というニュアンスは共通しています。「主査」「主任」は「主幹」と同様に役職名として使われます。一方で「主管」が役職名と使われることはまずありません。
「主査」「主任」は組織内の肩書きとして使う場合は「主幹」と区別して使うことが重要ですが、「主幹」と同じ意味で使われる一般的な言葉として「総合職」「幹部」「管理職」「上級職員」などがあり、これらも「主幹」の類語の一つといえます。
「主幹」と「主管」の違い
「主幹」と「主管」は読みが同じで紛らわしい言葉ですが、その違いはどこにあるのでしょうか。ワープロでの変換誤りにも気をつけたい言葉です。本来の意味の違いをしっかり理解しましょう。
「主管」は管理・監督の中心又は中心となる人のことです。「主幹」と「主管」はどちらも物事の中心というニュアンスは同じですが、「主幹」が役職名として使われることが多いのに対して、「主管」が役職名として使われることはまずありません。
「主管」は管理・監督的なニュアンスが強く、「主管官庁」「主管イベント」のように組織や事業を主に担当する意味で修飾する熟語的な使われ方をします。また、「○○を主管する。」といった動詞的な使われ方もします。
「主幹」が主に役所や公的な機関の役職名として使われるのに対して、「主管」は官民を問わず肩書き名以外で使われることが多いことに気をつけたいところです。
「主幹」と「主任」の違いは?
「主幹」と「主任」は使い方に迷う言葉の一つです。何となくイメージの違いはわかってもその違いを説明できる人は少ない言葉です。
「主任」は特定分野のエキスパートをさす役職名です。「主幹」が管理職であることが多いのに対して、「主任」は管理職である必要はありません。クラスとしては「主幹」が課長補佐や課長、「主任」は係長をイメージするとニュアンスをつかみやすくなります。
間違っても「主幹」に対して「主任」を使ってはいけません。「主幹」と「主任」の上下関係に十分気をつけましょう。
「主幹」と「主査」の違いは?
「主幹」と「主任」は管理・監督的な役割の有無でニュアンスの違いがつかめますが、「主幹」と「主査」はどちらも管理やチェック機能を持つ役職名で、使い分けが一層難しい言葉です。
「主幹」と「主査」は機能的には同じでも、クラスの違いによってその違いを理解することが一般的です。「主査」<「主幹」と「主幹」の方が「主査」よりクラスが上の役職と考えるとニュアンスがつかみやすくなります。
こちらも上限関係に十分注意して使い方に気をつけましょう。「主査」は係長クラス、「主幹」は課長補佐から課長クラスと理解しておきます。
「主幹」の使い方・例文
「主幹」の基本的な意味が理解できたところで、具体的な使い方を見ていきましょう。最も代表的な使い方としては役職名としての「主幹」です。「○○主幹」といった名前に肩書きとしての「主幹」をつけた使い方をします。
次に一般的なのが「中心となって」の意味で使われれる「主幹となって」です。こちらの使い方は仕事の中心的な存在を明らかにする文脈の中で用いられます。
どちらの使い方も特に難しいことはありません。日常のシーンで普通に使えます。以下で両者の例文を見てみましょう。
例文①
「○○市役所の△△主幹の了解を得られなければこのプロジェクトは前に進められないよ。事前に必ず△△主幹に話を通しておいてください。」
例文では市役所のそれなりの監督権限を持つ役職の肩書きとして「主幹」が使われています。○○課長、△△部長と呼ぶのと同様に「○○主幹」といった使い方をします。
相手に対して「○○主幹」と呼びかける使い方をしても失礼にはあたりません。単に「○○さん」と呼ぶよりも立場を明確に意識した表現になります。
例文②
「この事業では君が主幹となってチーム全体を引っ張ってもらいたい。君に主幹となってもらうことにしたのは、君のこれまでの実績を高く評価した上でのことだということを忘れないように。」
例文ではある特定のプロジェクト全体を中心になってとりまとめるポジションに抜擢することを伝えるために「主幹となって」といった使い方をしています。このように、ある仕事の中心人物となって仕事を進めるようなときに「主幹となって」を使います。
単に「中心となって」というよりも、立場をより明確にし自覚を促す効果が期待できる使い方ですので、積極的に使っていきましょう。
主幹の職務・役割
組織は人で成り立っています。人は組織の中で能力や適性によってそれぞれ職務や役割が与えられ、それぞれがその職務・役割を全うすることによって全体として組織は機能します。
「主幹」は「職場で中心になって仕事を進め・とりまとめる人」ですが、もう少しその具体的な職務や役割を見てみましょう。
筆お湯な職務や役割を果たすために、「主幹」にはどのような能力が求められるのでしょうか。また、「主幹」の具体的な職務や組織の中での上下関係は他の肩書きとどのような関係にあるのでしょうか。
主幹に求められること
「主幹」は「チームの中心になって仕事を進める人」ですから、その仕事全体をとりまとめる職務・役割を担っています。このため成果としての結果責任を問われます。
平職員であれば「頑張りました。」ですむかもれませんが、「主幹」ともなればそれでは不十分です。結果として何が達成でき、組織に成果として何がもたらされたのかが重要になってきます。
「主幹」は単なるプレーヤーではありませんので、個別の業務を的確にこなす能力よりも、チームをうまくマネージしてチーム力を発揮できるように仕向ける職務・役割があり、マネジメント能力が必要になってきます。
また「主幹」は部下としてのチームを率いるとともに、上司である課長や部長、場合によっては役員に仕える必要があります。したがって「主幹」には上司である課長や部長が持つ組織全体の方向性を理解し、それを具体的に業務として遂行する職務・役割が求められます。
さらに「主幹」には中長期的な視点で人を育てる職務・役割も求められることあります。「主幹」は組織の中で業務遂行の中心人物となるとともに、いわゆる中間管理職として上と下の調整役も担う職務・役割が求められる非常に重要なポジションであるといえます。
主幹の役職は?
民間企業の場合、役職としての上下関係の序列は一般的に「係長<課長<部長<役員」といった形です。では「主幹」はこの序列の中ではどのような位置づけになるのでしょうか。
組織においては組織の規模や性格によってそれぞれの役職に求められる機能や権限が異なってきますし、通常民間企業の場合「主幹」という役職を置くことはまれです。
それでも敢えて「主幹」を役職の序列の中に位置づけるとすれば、係長と課長の中間から課長辺りになります。課長補佐や課長代理というポジションがあればそれに近い役職と考えて構いません。
役所や公的な機関においては、「主幹」という役職を置くことがあります。近年役所や公的な団体では係を廃して担当制を敷くケースが増えていますので、「主幹」は課長や部長の下で各担当を統括する役割を担うことになります。
主幹の上下関係
組織の中で上下関係を表す序列体系はその組織の規模や性格によって様々です。最もオーソドックスな「係長・課長・部長・役員」という体系は誰しもなじみがあります。「主幹」という肩書きをこの上下関係の体系の中に組み込めば、係長と課長の中間ないし課長位の位置づけになります。
一方で、「係長・課長・部長・役員」という体系とは異なる「主事・主任・主査・主幹・主務」といった上下関係の序列体系を敷く組織もありますし、これらをハイブリッド化した組織も見られます。
この頭に「主」がつく肩書きの上下関係は「主事<主任<主査<主幹<主務」となります。「主幹」は「主務」に次いで高い位置づけです。
組織の中での上下関係はビジネスマンにとって非常に重要です。上下関係を間違った対応は後を引きます。特に「主事・主任・主査・主幹・主務」の上下関係は間違いやすいので気をつけましょう。以下で「主幹」以外の「主」がつく肩書きがどのような立場になるのか見てみましょう。
主事とは?
「主事」は平職員です。主に役所や公的な団体等で使われます。「主事」は平職員ですから、特に肩書きとして位置づける必要性はあまりないともいえますが、正規の職員であることを表すために古くから使われてきました。
法的な位置づけとして、特定の業務を司る平の正規職員に「○○主事」といった呼称がつけられることもあります。
主任とは?
「主任」は役所関係だけでなく民間企業でも使われます。序列的には係長クラスといえますが、管理・監督的な立場ではなく、どちらかといえば特定分野のエキスパート的存在です。
ある特定の専門家郡の中で特に中心となる人を明確にしたい場合に、頭に「主任」をつけて「主任○○官」といった使い方をすることがあります。この場合は通常の序列の中での「主任」とは異なる使い方になります。
主査とは?
「主査」も「主任」と同様に官民両方で使われます。ポジションとしては係長クラスです。組織の規模や性格によっては、係長より下に位置づけられたり、場合によっては課長補佐に位置づけられることもあります。
「主査」と「主幹」は上下関係が明確です。「主幹」は「主査」よりもクラスが上であることをしっかり理解しておきましょう。
主務とは?
「主務」は肩書きとしては珍しい部類に属し、自治体や団体でもあまり使われていないのが現状です。組織の中でそれなりの権限を持つスタッフ的な存在です。「主務」は「主幹」よりも上に位置づけられる場合が多く、ポジションとしては部長クラス以上です。
「主幹」は課長や課長補佐の立場になる
「主幹」は「組織の一定の領域で、中心になって業務を推進・とりまとめる立場の人もしくはその役職」の意味を表す言葉です。最も一般的な上下関係の序列でいえば、課長補佐から課長クラスの立場です。
部下であるチームを率いるとともに、上司である課長・部長や役員に仕えるいわゆる中間管理職的な位置づけともいえます。求められるのは組織に成果をもたらすことで、そのような責務を自覚することが必要になります。
その組織の中での上下関係を意識した使い方が必要で、ビジネスマンは特に上下関係に敏感ですから間違った使い方に気をつけましょう。「主幹」と聞いただけでその立場が直ぐイメージできるようになればビジネスマンとしてワンランクアップです。