ユーカリの育て方を覚えよう!
ユーカリを鉢植えや庭木として育ててもあんなに大きな木になってしまっては困るという方もいるでしょう。しかし日本で巨木になるのは珍しいこと。日本の環境下だと、真夏の暑さで根がダメージを受けるため、上手く大きくなれないのです。
ユーカリは庭木や鉢植えだけではなく、ドライフラワーを使ったリースなどでも大変人気があり、切り花などで花を引き立てる名わき役です。
では、そんなユーカリを家庭で育てていくにはどうしたら良いのでしょうか。育て方や注意点について見ていく前に、ユーカリそのものを知っていくことから始めましょう。
ユーカリとはどんな植物
ユーカリと一言でいってもその種類は500種類あります。亜種を含めれば1,000種類に近い種類があり、世界各地で移植・栽培されている樹木です。ユーカリで連想されることが多いコアラが食べるのは、その内12種類ほどと、ユーカリならどれでも食べるわけではありません。
ユーカリといえば葉のイメージが強いですが、その葉も細長いものや丸いものなどいろいろな形があり、さまざまな効能や効果、毒性があります。いずれも種類によって異なるため、注意が必要です。
日本で見かけるのは観葉植物として育てられているものが多く、インテリアとしておしゃれなだけでなく、虫よけの効果があります。
フトモモ科ユーカリ属の常緑高木
ユーカリはオーストラリアやタスマニア島、ニュージーランドなどに自生しているフトモモ科ユーカリ属の植物です。100m近い巨木へと成長するものや、5m程から枝分かれが始まるものがあります。
葉から抽出できる精油には、殺菌・抗炎症作用や鎮静・鎮痛作用があります。オーストラリアの先住民のアボリジニは、傷の治療にユーカリの葉を利用していました。日本でもアロマテラピーや医療品などにユーカリの葉の成分が用いられています。
ユーカリの花の特徴と見頃
ユーカリの花は、ユニークな見た目が特徴です。蕾の段階だとぷくっとした、まるで先の尖ったどんぐりのような形をしています。開花が進むとどんぐりでいうところの帽子の部分を残したまま、何本もの細くて色鮮やかな花弁を楽しむことが可能な植物です。
ユーカリの開花は2月頃から始まり、4月頃に見頃を迎えます。花の色は種類によって異なりますが、赤やピンク、白やオレンジなどといった南国をイメージさせるような色合いのものがほとんどです。
ユーカリの名前の由来
ユーカリの正式な和名は「ユーカリの木」といい、「Eucalyptus」という学名の略称です。ラテン語である「Eucalyptus」は、もともとはギリシャ語の「eu(良く、真に、強く)」と「kalyptos(~で覆った」という2つの単語を組み合わせたもので「良い蓋」という意味があります。
根を広く伸ばして水を吸う力を持っているので、砂漠などの乾燥地でもよく育つ特徴があります。乾燥した大地を緑で被うことが可能な樹木であることや、花の特徴などからこの名前が命名されました。
ユーカリの花言葉
ユーカリの花言葉は「新生」「再生」「思い出」です。その他にも「記憶」「慰め」「追憶」など、ユーカリのもつ花言葉はいくつかあります。
ユーカリが自生しているオーストラリアでは山火事が起きやすく、ユーカリが被害に遭うことは少なくありません。ユーカリは別名「復活の木」とも呼ばれており、山火事が起きた跡地であってもユーカリの種をまくと芽を出して、その地に緑を取り戻すことができることからつけられた花言葉です。
ユーカリの木の種類
ユーカリにはたくさんの種類があるとご紹介しましたが、日本で庭木や鉢植えでの生育に適したユーカリや、アロマオイルなどに含まれているユーカリはどんな種類なのか、気になる方も多いのではないでしょうか。
日本でも人気の高いユーカリを4種類ほどご紹介していきましょう。今後ユーカリの生育や、ユーカリオイルの購入を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
ユーカリ・グニー
日本でもっとも多く見かけるのがグニーです。このユーカリの葉は初めは丸みのあるたまご型ですが、成長に伴い葉の先が尖っていきます。
日本の気候とは相性が良いため、枯れにくく育てやすいユーカリの一種です。庭木や鉢植えとして最も多く選ばれているもので、他の観葉植物と同じ管理方法で育てることが可能です。
多くのユーカリは移植を嫌うのに対し、グニーは移植にも耐えられる強さがあるため、庭木として育てるのにとても適しています。
ユーカリ・ポポラス
一つ一つの葉が細い枝で繋がっているため、風が吹くとゆらゆらと揺れるのが可愛らしいポポラス。丸みのある葉は先端が中央に向けてすぼんでおり、ハート型に見えるのが特徴です。
冬の寒さにもある程度の耐性があるため、日本での生育にも適していますが、夏場の水切れには注意が必要です。
ユーカリ・グロブルス
ユーカリオイルというと代表的なのがグロブルスからとれる精油で、刺激的で清涼感を感じる香りが特徴的です。その香りが脳を刺激し意識をはっきりとさせることから、集中力が高まる効果があります。しかし、人によっては刺激が強すぎると感じてしまうことが注意点として挙げられます。
生育には日照が不可欠なユーカリで、水を好みます。大きなもので70mを超えるほどに成長する品種です。根の張りが盛んで家屋の基礎を揺るがしてしまうことがあるため、庭木としては育てられないという注意点があります。
庭木としては育てられないグロブルスですが、鉢植えとして育てるのはとても簡単で、上手に育てることができれば1年を待たず人の背丈を超える大きさに成長します。
ユーカリ・ラディアータ
細長く尖った葉がくるんと外側に沿っているのがラディアータの特徴です。他のユーカリ精油に比べて刺激が少なく、優しく清涼感がある香りがします。
抗菌作用があるので、空気洗浄や消臭の効果が期待できます。グロブルスと同様に、集中力を高める働きがあり、リラックス効果をもつ成分も含まれているので、グロブルスの刺激が強いと感じる方はラディアータを試してみてはいかがでしょうか。
日本の気候で生育するのは難しい種類ですが、ラディアータの葉からとれる精油は低刺激という点から、子供や高齢の方でも使えるため人気があります。
ユーカリの育て方①用土・水やり・場所
日本の気候で育てられるユーカリは限られています。家庭でユーカリを育てていくにあたり、具体的にはどういった育て方をしていけば良いのでしょうか。ここからユーカリを育てるのに適した用土や水やりの仕方、最適な置き場所などをご紹介していきます。
ユーカリの用土
ユーカリの自生地であるオーストラリアの気候は、真冬の時期でも最低気温が5より下がることがなく、雨が少ないことから暖かく乾燥気味です。そのためユーカリが好むのは乾燥に近い環境です。庭木として育てる際は水はけの良い土壌が適しています。
育て方として鉢植えを選択する際は、ハーブ用培養土または観葉植物用培養土を使えば問題なく育てることができます。
ユーカリの水やりの仕方
ユーカリに水やりを行う際、日課として決まった時間に毎日やるということは避けましょう。乾燥気味の状態を好むので、常に水気が保たれた状態はユーカリの育て方としてよくありません。
土の表面を確認した時に乾いているようであれば、その都度たっぷりと水を与えてください。土の表面が乾燥するまでは、水を与える必要がないのです。
夏の水やりには特に注意しましょう。日中の気温が高くなる時間は、土中の水温が高くなってしまうため、夏に水やりを行う際は日の高くなる時間は避けてください。早朝、もしくは気温が下がり始めた夕方以降に行うことで、生育の失敗を防ぐことができます。
ユーカリの置き場所
もともとが暖かく乾燥気味な地域の植物なため、ユーカリの置き場所は風通しが良くて、日当たりの良い場所を選びましょう。
冬の寒さに耐性があるポポラスをご紹介しましたが、ユーカリの中には寒さに弱いものがあります。そのため、育てているユーカリの品種や育て方を理解し、特性に合わせて冬は室内に入れるようにしましょう。室内の置き場も、日当たりのいい場所を選ぶと冬の間の生育に効果的です。
ユーカリの育て方②剪定
ユーカリは成長がとても早いのが特徴です。正しい育て方を行い、順調な生育が進めば進むほど、葉の量が増えて、枝も伸びていきます。
そこで必要なのが、伸びすぎた枝を切り落とす剪定という作業です。せっかく伸びてきたのになぜ、剪定しなければいけないのでしょうか。剪定を行う理由や適した時期、注意点などポイントごとにご紹介していきます。
剪定の必要性
葉が増えて密集することで、蒸れが発生します。ユーカリは必要以上の水分を嫌うので、剪定を行わなければその後の生育に悪影響を及ぼすため注意が必要です。また、日当たりにバラつきが出るのを抑えるためにも、剪定を行う必要があります。
虫除け効果をもつユーカリは他の観葉植物に比べて害虫の被害が少ない植物です。しかし、葉や枝が蒸れることにより、それが病気や害虫の発生に繋がります。以上のことから、ユーカリの剪定はとても大切な作業であることがわかります。
剪定に適した時期
続いてユーカリを剪定する時期についてご紹介します。ユーカリの剪定に適しているのは春と秋。具体的には3、4、5月頃と9、10月頃です。鉢植えも、庭木も同様に行いましょう。
夏と冬を迎える前に剪定することで、上手に暑さや寒さを乗り越えられる環境を作ります。また、庭木として育てている場合はユーカリが大きくなりがちですが、この時期に、好みの大きさや形に整えていくのが良いでしょう。
剪定の注意点
ユーカリを剪定する時の1つ目の注意点は、少し大胆なくらいバッサリと付け根から切り落とすことです。内側に向かって伸びている枝や、絡まっている部分を中心に切り落とすことで、密度を下げることができます。
もう一つの注意点としては、枝の真ん中を切ってしまうのはよくないため気を付けてください。剪定を行うときは、葉の付け根の節や、中心となっている幹の付け根から切り落としましょう。
ユーカリを小さめに育てたい方は、剪定後に水分や肥料をあまり与えず、枯れない程度の過酷な環境下に置くことで、成長するスピードを抑えることが可能です。
剪定したユーカリは飾って楽しもう
鉢植えや庭木の剪定で切り落としたユーカリはお部屋に飾って楽しみましょう。もともと、ユーカリは切り花としても販売されているもの。花瓶や細長い容器に水を入れれば、見た目も香りも楽しめるインテリアとして飾ることができます。水を与えずドライフラワーとして楽しむのもおすすめです。
ユーカリの育て方③摘心
ユーカリの育て方として、摘芯は欠かせない作業です。特に庭木として育てている場合、葉がスカスカだと見た目もよくありません。せっかくユーカリを育てているのに思ったように葉がつかないという時は、摘芯という作業を行うことで、問題を解決できます。
では、その摘芯とはどういった作業なのでしょうか。摘芯を行うことで得られるメリットについてご紹介していきます。
摘心とは
植物というのは、枝の一番先にある芽を優先的に成長させる性質があります。摘芯という作業は、枝先についた新芽を根本から切ることで、脇芽の成長を促す効果があるのです。摘芯を行える場所は枝先だけでなく、節を切ってもその部分から脇芽が生えてきます。
摘心のメリット
摘芯は葉や花を増やすのにとても効果的です。1本だったものが2本として成長していくことで、葉や花が増えていくのです。摘芯を定期的に行うことで、育てている植物にボリューム感を出すことができます。
好きな位置を選択して摘芯をしていけば、独自の形を作り上げることも可能です。育てているユーカリの未来の姿を想像しながら、摘芯を楽しみましょう。
ユーカリの育て方④支柱
風の強い一日が過ぎた後に、育てているユーカリを確認したら倒れていた!という声は少なくありません。
庭木として育てていて、ある程度成長が進んだ段階で倒木が起きてしまうと、立て直すのは一苦労です。ユーカリは根が浅い植物なので、風などで簡単に倒れやすい特徴があります。しかし、支柱を立ててあげることで、ユーカリが倒れるのを防ぐことができます。
では、支柱はどのように立てたらいいのでしょうか。また、支柱を立てることによるメリットなども一緒に見ていきましょう。
支柱の立て方
室内で小さく剪定を行っているユーカリは、風に煽られる心配がないため支柱がなくても育てることが可能です。しかし、庭木や外に出している鉢植えのユーカリは風の影響を直接受けてしまいます。
支柱を立てる時の注意点は、差し込む際に根を傷つけないようにすることが一番に挙げられます。ユーカリの中心となっている幹の部分に添わせて支柱を立てたら、何箇所かを紐で結ぶことで、ユーカリの転倒を防ぐことができます。
2つ目の注意点は、成長の早い植物なので、支柱とユーカリを結ぶ紐は、麻ひもなどの幹を傷つけない素材を選びましょう。
支柱を立てるメリット
注意点に気をつけて、もともと太さに不安のある幹に安定感が増すことで、ユーカリが風に煽られた時に倒れたり、折れてしまったりという心配をする必要がなくなります。また、葉や枝に十分に日の光が当たるようになるため、光合成を促進する効果が期待できます。
鉢植えや庭木のユーカリを正しい育て方で楽しもう!
鉢植えや庭木として人気が高いユーカリについて、種類ごとの特徴や、育て方の注意点をご紹介してきました。ご紹介した通り、ユーカリは乾燥気味を好みますが、乾燥のしすぎは枯れてしまう原因になるので注意してください。
どのユーカリも見た目や香りに特徴があり、切り落とした葉にもインテリアとしての使いみちがあったりと無駄のない植物です。種類が多く選択肢の幅も広いため、好みの見た目や香りを持つユーカリを見つけて、育ててみてはいかがでしょうか。