浴衣を可愛く&楽にする人気の兵児帯
せっかくだから花火大会や夏のお祭りには浴衣が着たいと思う方は多いでしょう。しかし、自宅などで誰かに着付けを手伝ってもらってしか浴衣を着ることができないといった場合、外出先で浴衣の帯が解けたり着崩れした時に、一人で浴衣の着付け直しをするというのは容易なことではありません。
一人での浴衣や帯の着付けが困難な場合などこそ、簡単に結ぶことのできる兵児帯がおすすめです。では、兵児帯とはどんな帯のことを差すのでしょうか。
そもそも「兵児帯」とは?
兵児帯は三尺帯とも呼ばれており、15~25歳の若者を差す薩摩地方の方言である兵児(へご)が主に使っていたことから、その名前が付けられました。
今でこそ、多くの大人の女性から浴衣を着用する際に注目されている兵児帯ですが、かつての兵児帯に対するイメージは今とは違うものでした。兵児帯の素材や、昔のイメージを一緒に見ていきましょう。
柔らかく軽い素材でできた帯
兵児帯は主にちりめんや、メリノ羊の毛を平織りしたメリンス、また、メリンスの代用で使われることも多い新モスという素材を使うことで、ふんわりと柔らかい仕上がりになっています。
大人の女性が浴衣を着た際に身につけた場合であっても、兵児帯は結び方によってはその生地の軽やかさを感じさせず、落ち着いた大人のかわいさを演出することが可能です。
もともとは男性や子どもの帯
兵児帯はかつては男性用の浴衣、または子ども用の浴衣の帯として使われていました。子どもの頃に浴衣を着る際、柔らかい帯で結んでもらった記憶はありませんか?もしそういった記憶があるならば、それはきっと兵児帯だった可能性があります。
簡単に結ぶことができる兵児帯は、どんな服装であっても動きが激しくなりがちな子どもに対して結ぶことで、着崩れした際にも簡単に直すことができました。
近年大人の女性にも人気に
浴衣といえば清楚な女性のイメージがありましたが、最近では浴衣や着物をカジュアルに着こなすために兵児帯が用いられることも少なくありません。
先ほどもご紹介したとおり、兵児帯は柔らかい素材で出来ているため、結び目に出来るくしゅくしゅとした見た目や、ふんわり感がかわいいのが特徴で人気です。
浴衣の兵児帯の魅力
浴衣の兵児帯が何故人気なのか、気になりませんか。兵児帯には他の帯とは違う、いくつもの魅力があります。先ほどご紹介したくしゅくしゅ感やふんわり感の他に、どんな点が兵児帯の魅力として挙げられるのかを確認していきましょう。
付け心地が楽
兵児帯は柔らかい素材で出来ているとご紹介しましたが、浴衣を着用した場合に他の帯に比べて締めつけ感がないという特徴があります。そのため、長時間浴衣を着ていても窮屈に感じにくい魅力があります。
兵児帯の締め方にもよりますが、浴衣姿でしゃがんだり前かがみになったりする際も他の帯と比べて食い込んだりすることがないため、動いても浴衣が着崩れしにくいというのは大きな魅力です。
自分で着付けが可能
半幅帯などは浴衣を着る際に自分の力だけで結べないという人も少なくありません。せっかく浴衣の帯を綺麗に結んでもらったのに、人混みの中を移動中に人とすれ違うため体を捻った時に帯だけ擦れてしまい、形が崩れたりしてしまうと大変な思いをすることも。
しかし、兵児帯は一人でも簡単に結ぶことが可能なためその心配がありません。ちょうちょ結びを行うことができれば、それだけで浴衣全体をかわいい仕上がりにすることができます。
いつもの浴衣の雰囲気を変えられる
浴衣が一着しかないけれど、何度か同じ友達と花火大会に行く予定がある場合、浴衣を買い足すのは思わぬ出費にもなりかねません。どちらかといえば費用を抑えて、花火大会自体を楽しみたいという方も多いでしょう。
そんな時は浴衣に兵児帯を合わせるのがおすすめです。兵児帯は半幅帯などに比べても価格が比較的安く、出費を抑えながらいつもの浴衣にアレンジを加えることが可能です。また、結び方にもバリエーションがあるので、自分なりのかわいいコーデを作り上げることができます。
浴衣の兵児帯の結び方
浴衣を着る際に、兵児帯を結びたい。でも、どうしたら子どもっぽくない、そして浴衣に似合う大人かわいいコーデが完成するのでしょうか。ここからは、大人の女性でもかわいい浴衣の着こなしができる上に、簡単な兵児帯の結び方についてご紹介します。
結び方に決まりはなし
実は、兵児帯にはこれといって決まった結び方はありません。浴衣の柄や雰囲気に合わせた兵児帯を選ぶことで、さまざまな雰囲気を作り出すことも可能です。メインの浴衣に合わせた色々な柄を合わせてみることで、しっくりくる組み合わせを見つけ出しましょう。
簡単なちょうちょ結び1回
兵児帯は簡単に結ぶことができるため、初心者でもかわいい仕上がりを目指せます。兵児帯はプリーツが入っているもので、幅も広めなもを選びましょう。好きな幅に折ることで様々なアレンジが可能です。
浴衣を着る際に帯結びをしたことがないという方でもちょうちょ結びさえできれば、あとは結んだ先の部分を広げたり調整を行うことで十分に見栄えの浴衣姿に仕上がりになります。
ふわふわかわいいちょうちょ結び2回
ちょうちょ結びを行う際、帯を長く残して2回結ぶことでボリューム感のあるちょうちょ結びを行うことができます。結んで余った部分を結び目の下から上に通すことで、簡単でふわふわとかわいいアレンジを施した帯結びが可能です。
肌に沿うことで比較的スレンダーな見た目になりやすい浴衣にボリュームポイントをつけることで、可愛さアップが狙えます。
浴衣の兵児帯のおしゃれなアレンジ
浴衣の兵児帯には結び方に決まりはないとご紹介しましたが、自由に結ぶことで、独自のアレンジをすることも可能です。ただちょうちょ結びをするだけでもかわいいですが、さまざまな結び方にチャレンジして、あなただけの大人かわいい浴衣コーデを完成させましょう。
大人なリボン結び
女性らしさを演出したい場合、ちょうちょ結びを行う際に大きなリボンを意識して結ぶことで兵児帯をおしゃれに結ぶことができます。少し大胆すぎるくらい大きいリボンにすることで、浴衣姿がまとまって綺麗に仕上がります。
花結び
背中に大きな花を背負ったような華やかな兵児帯の結び方です。ボリューム感があって、ゴージャスさも醸し出す見た目は、見る人の視線を釘付けにすること間違いなし。
しわ状の兵児帯を腰に当て、長さを揃えたら左が上になるようにお腹の前で一度リボン状に結びます。その際リボンの輪は小さく作ることが仕上がりが綺麗になるポイントです。
帯の余っている部分を輪の内側から上に引っ張って輪を作ります。次に余った帯を今度は輪の内側かた引っ張り下に輪を作ります。
これを繰り返し、飛び出た先を輪ゴムなどで縛り、花びらになる部分をきれいに伸ばしていきましょう。両手で一纏めにしてから手を離すことで花びらが綺麗に広がります。中心を掴んで背中に花を回せば完成です。難しいと感じる方は浴衣に合う作り帯も売っているのでそちらを使うといいでしょう。
お太鼓風
古風で奥ゆかしさが魅力の兵児帯の結び方です。手先を50cm程度とり、胴に2回巻きます。たれ側を上にして結んだら、そのまま蝶結びをし、輪を好みのサイズに広げましょう。結び目の後ろ側にたれを半分からお好みの幅にし、上から通してください。
たれの長さを確認しながら長さを調整し、長くなるようであればもうひと巻きしてください。これで太鼓風兵児帯結びが完成です。一見地味ですが、帯飾りを追加することで華やかさがアップします。
浴衣の兵児帯の選び方
浴衣の兵児帯の中には、それ一本で帯として使用可能なものから、半幅帯などの上飾りとして使用する短めのものがあります。実際に目で見て兵児帯を選べるようならそうするのが1番いいですが、作りたい形にするために必要な長さや、一般的におすすめとされている兵児帯の幅などを見ていきましょう。
長さ・幅があるもの
浴衣の兵児帯は、長いものを選ぶのがいいでしょう。さまざまな結び方に挑戦する予定の方は4メートル前後のものを選ぶことで、いろんな形を作ることができます。
幅は少し広いと感じるかもしれませんが、35cm前後のものだと1枚巻きも可能で、折って使用することもできるためおすすめです。
生地に張りがあるもの
浴衣の兵児帯は様々な形状のものがあります。ボリュームを出したい場合は張りのある記事がおすすめです。素材は綿やポリエステルを選ぶことで、結んだ時のボリューム感も出しやすくなります。
また、サテンレースやチュール素材といった透けるタイプのものはふわふわ感が強く、一般的には子どもや10代の方が使用している印象が強い素材です。しかし、大人の女性でも半幅帯の上に飾りとして巻く場合や、バラ結びにおいてボリュームを出したい時に選ぶことが多いでしょう。
兵児帯をアレンジして浴衣をもっと楽しもう!
浴衣で使用する兵児帯についてご紹介してきました。兵児帯は昔こそ男性や子どもが使うイメージの強いものでしたが、自由に結ぶことができ、更にアレンジも加えられることで大人の女性にも人気の帯となっています。
同じ浴衣でも兵児帯の結び方でアレンジを加えれば、また違った雰囲気を作り出すことも可能なため、一年で複数の花火大会やお祭りに行く予定の方におすすめとなっています。
子ども用の浴衣に用いる兵児帯も比較的安価なため、子どもにかわいいアレンジをしてあげるのも一つの楽しみ方です。浴衣は着たいけど半幅帯などの硬い素材の帯は締めつけ感が強くて苦手という方も、ぜひ兵児帯を試してみてはいかがでしょうか。