浴衣の洗い方ってどうすればいいの?
夏といえば、花火大会に夏祭りなど、浴衣を着て出かけたいイベントがたくさんあります。しかし、浴衣を着た後のお手入れはどうしていますか?「浴衣の洗い方が分からないから、いつもクリーニングに出している」という方もいるでしょう。
もちろん浴衣は汗ばむ夏に着るアイテムですから、着るたびにお手入れをする必要がありますし、毎回クリーニングに出すというお手入れ方法も間違いではありません。しかし、浴衣は洗い方のポイントさえしっかりと抑えておけば、家庭の洗濯機で洗うことが可能です。
さっそく浴衣を洗濯機やコインランドリーで洗うときの正しい洗い方や、干し方についてご紹介します。
浴衣の家庭での洗濯・洗い方①準備
浴衣を家庭の洗濯機で洗うことが可能であっても、普段着ている服と作りや生地が異なるため、洗濯表示の確認や汚れのチェックなど、洗う前のチェックが必要になります。見落としがないように一つずつリストアップしていますので、順番に確認していきましょう。
まず洗濯表示を確認
初めに確認しておきたいことが、浴衣の洗濯表示です。普段着と同じように、浴衣にも洗濯表示のタグが付いていますので、まずは浴衣の水洗いが可能かどうかをチェックしましょう。もしタグがついていなかった場合は、浴衣を仕立てたお店に直接確認します。
現在の洗濯表示は旧式と新式の両方がありますが、洗濯桶のマークや洗濯機のマーク、手洗いのマークがついていればご家庭で浴衣を洗濯することが可能です。
ただし、洗濯桶にバツ印のある場合は水洗い不可の表示となります。水洗い不可の浴衣は残念ながら家庭の洗濯機利用はおすすめできませんので、素直にクリーニング店に任せましょう。また、水洗いが可能であっても、洗濯するときの温度設定や注意事項などを忘れずにチェックします。
色落ちしないかを確認
次の事前準備は、洗濯をして浴衣が色落ちしないかの確認です。特に色の濃い浴衣や柄のある浴衣は、必ず色落ちチェックをしましょう。色落ちチェックの方法は、白い布に洗剤をつけて、浴衣の目立たない部分にこすりつけてチェックします。
生地裏の縫い合わさって重なっている部分などは目立たないため、色落ちチェックに最適です。この時に布に浴衣の色が付いてしまった場合は、色落ちしてしまう可能性が高いため、クリーニング店へ依頼しましょう。
シミや汚れは洗濯前に落とす
洗濯可能のタグ確認と、色落ちチェックが完了したら、浴衣についてしまった汚れやしみを予め綺麗にします。汚れやしみの原因によってしみ抜きに使う道具や、やり方が異なるため、ケース別にご紹介していきます。
ただし、しっかりとしみ抜きをする前に、しみ抜きに使う道具で浴衣の色落ちがしないか、改めてチェックする必要があります。
食べこぼしによるシミの落とし方
まずは、お子さんに多い、食べこぼしによるしみの落とし方です。食べこぼしの場合は中性洗剤を直接汚れた部分につけます。そして、歯ブラシで同じ方向にやさしくこすって汚れを落とし、水ですすいで完了です。
日焼け止め・ファンデーションの落とし方
2つめは女性に多い、UV対策の日焼け止めやファンデなどの化粧品アイテムによるしみの落とし方です。浴衣に日焼け止めやファンデがついてしみになってしまった場合は、クレンジングオイルを直接汚れた部分につけます。その後歯ブラシで同じ方向に優しくこすって水ですすぎます。
泥汚れの落とし方
3つめは泥汚れの落とし方です。まずは泥汚れがついてしまった部分を、ドライヤーでよく乾かします。乾いたら、歯ブラシで泥汚れをある程度落とします。その後、しっかりと泡立てた固形石鹸を汚れた部分につけて、歯ブラシで優しくこすり落とします。
汗や皮脂による汚れの落とし方
4つめは、浴衣が汗や皮脂で汚れてしまった場合の落とし方です。衿や袖口など気になる部分に、おしゃれ着用の洗剤をつけて軽くなじませてから洗濯をします。おしゃれ着用の洗剤がない場合は、石鹸や液体洗剤、部分洗い用の洗剤でも応用できます。
しみがひどい場合には、おしゃれ着にも使用できる酸素系漂白剤を少量水に溶かしたものをつけて、すぐに洗いましょう。
浴衣の家庭での洗濯・洗い方②洗濯機・手洗い
浴衣をご家庭で洗濯する準備が整ったら、いよいよお洗濯に入ります。生地の傷みを最小限に抑えるのはやはり手洗いですが、ポイントに気を付ければ洗濯機でも浴衣を洗うことが可能です。
どちらの場合も浴衣を洗うときにはおふろの残り湯ではなく、新しくて清潔な水を使いましょう。また、粉洗剤は洗浄力が強く、色落ちしてしまう可能性が高いため、避けましょう。それでは、手洗い、洗濯機の両パターンでの浴衣の洗い方をみていきます。
裾だたみをして洗うのがおすすめ
浴衣を洗うときには、生地の痛みや型崩れ、しわを防ぐために、浴衣をたたんでから洗います。このときのたたみ方としては、「裾だたみ」がおすすめです。「裾だたみ」のたたみ方は、まず浴衣を背縫い線で折りたたみます。
続いては、袖を合わせて折りたたみ、丈を順番に三つ折りに折りたためば完成です。浴衣の汚れやすい部分は袖口と裾のため、両方を外側にして洗うと、汚れが落ちやすいです。
洗濯機での洗い方
浴衣を小さく折り畳んだら、洗濯機にかける場合は、洗濯ネットに浴衣を入れます。ネットが大きすぎると浴衣が洗濯ネットの中で動いて、せっかく綺麗に折りたたんだ浴衣が崩れてダメージや型崩れの原因になってしまいます。
また、小さすぎると汚れが落ちにくい場合もあるため、ちょうどいいサイズの洗濯ネットに入れましょう。使用する洗剤はおしゃれ着用の中性洗剤を使い、ダメージを抑えるためにドライコースで洗うことがポイントです。
手洗いでの洗い方
続いては、浴衣を手洗いで洗う洗い方をご紹介します。まずは洗面器などに、浴衣の洗濯表示に適した温度の水を入れ、おしゃれ着用の中性洗剤を溶かします。
そこに折りたたんだ浴衣をつけて、優しく押し洗いをして下さい。その後洗濯ネットに入れて一分脱水したら、再び水を換えてすすぎ洗いをします。
脱水のポイント
浴衣の洗い方で大切なポイントは、しわを極力抑えることです。そのため、浴衣を折りたたんで適切な洗濯ネットに入れて洗いますが、脱水も重要なポイントです。
手洗いでも洗濯機でも脱水は一分程度の最小限に抑えます。「まだ水分が残っている」という程度の方が干したときにしわも伸びて綺麗に浴衣を干すことが可能です。必要に応じてしわ予防に柔軟剤を使う方法もあります。
脱水が足りなくて水がビタビタとこぼれてしまう場合は、浴衣をバスタオルの上に置いて水分を吸わせる方法もおすすめです。
浴衣の家庭での洗濯・洗い方③干し方
浴衣の洗濯が終わったら、続いては浴衣を干します。しわにならないように、浴衣の洗濯が終わったらすぐに干すことが基本ですが、浴衣の干し方にはまだポイントがあります。続いては、ポイントを押さえた浴衣の干し方をみていきましょう。
干し方のコツ
まず、洗濯の際にたたんでおいた浴衣を綺麗に広げ、大まかにしわを伸ばします。その後、浴衣の色褪せを防ぐために、裏返してから干しましょう。ご家庭に取り外しのできる物干し竿がある場合は、浴衣の両袖を通して干す方法がおすすめです。
物干し竿が取り外せない場合は、着物ハンガーに掛けます。干したら、襟の形を整え、縫い目の方向を揃えましょう。
干す前にある程度のしわを伸ばしていますが、干してから手でたたいたり伸ばしたりして、さらにしわを伸ばしておくと、浴衣を干した後のしわが減り、アイロンがけが楽になります。
風通しの良い日陰に干す
浴衣を直接日光に当ててしまうと、色褪せの原因になってしまいますので、風通しの良い日陰に干すことも大切なポイントです。外干しが出来ない場合は、室内干しでも大丈夫です。扇風機で風を当てると、乾きも早くなります。
突っ張り棒を使った干し方もおすすめ
ご家庭に取り外せる物干し竿や着物ハンガーがない場合は、つっぱり棒とS字フックを利用した即席浴衣干し場を作ることが可能です。続いては即席浴衣干し場の作り方をみていきましょう。
まずは、浴衣の両袖を通しても十分に長さのあるつっぱり棒を用意します。その他、S字フックと洗濯ばさみが2個ずつ必要になります。初めにS字フックを物干し竿の両端に引っ掛けておきます。次に、浴衣の両袖をつっぱり棒に通します。
この時、浴衣の袖と肩の部分が真っすぐになるように干すのが、型崩れを防ぐポイントです。そうしたら、つっぱり棒をS字フックに引っ掛けます。風でS字フックが動いたり落ちたりしてしまわないように、洗濯ばさみで止めれば完成です。
浴衣が乾いたらアイロンでシワを伸ばすのがおすすめ
浴衣が乾いたら、保管する前にアイロンでしわを綺麗に伸ばしておきましょう。洗濯表示タグに表示されているアイロンの設定温度に合わせ、当て布をしてアイロンをかけます。
浴衣は大きくてアイロンがけも少し大変ですが、少しずつ浴衣を動かしながら真っすぐにアイロンをかけていけば大丈夫です。アイロンがけと同時に、スプレータイプののりを使って浴衣をパリッと仕上げるのもおすすめです。
アイロンがけが終わったら戻りジワやたたみジワが出る前にハンガーに吊るし、湿気を飛ばしてから浴衣を保管します。
浴衣のコインランドリーでの洗濯のポイント
ご家庭での浴衣の洗濯方法を、事前準備から洗い方、干し方までポイントを押さえてご紹介していきました。しかし、場合によってはコインランドリーで浴衣を洗いたいという方もいるでしょう。同じ洗濯機といっても、コインランドリーで浴衣は洗えるのでしょうか?
結論から言えば、コインランドリーでも浴衣を選択することは可能です。しかし、ご家庭で洗濯をするよりも注意点が多いです。続いては、そんなコインランドリーでの浴衣の洗い方をご紹介します。
「洗濯機マーク」が付いていればOK
コインランドリーで浴衣を洗うときにも、まずは浴衣の洗濯表示をチェックします。ご家庭で浴衣を洗濯するときには、水洗いが可能かどうかをチェックすれば良いだけでした。
しかし、コインランドリーで浴衣を洗濯するときには、水洗いが可能かどうかはもちろん、その中でも「洗濯機で洗えるか」をチェックする必要があります。洗濯機で洗える場合は、旧式の洗濯表示では洗濯機のマーク、新式の洗濯表示では洗い桶のマークが表示されています。
畳んでネットに入れて洗う
洗濯機の使用が可能だった場合は、ご家庭で洗うときと同じく、浴衣を裾だたみしてたたみ、適切なサイズの洗濯ネットに入れてから洗います。
最近のコインランドリーでは、洗剤も自動投入されますが、自分で用意した洗剤を使える場合は、浴衣の洗濯に適したおしゃれ着用の中性洗剤を使います。
コインランドリーでの洗濯の注意点
雨が続く梅雨の時期や、毛布やラグなどの大型アイテムの洗濯に便利なコインランドリーですが、元々コインランドリーは家庭の洗濯機よりも大型でパワフルという特徴があります。
そのため、型崩れしやすくデリケートな衣類に当てはまる浴衣の洗濯には、あまりおすすめできないのが事実です。ですので、可能な限りご家庭の洗濯機を使ったり、手洗いで浴衣を洗ったりしたほうがおすすめです。
しかし、どうしてもコインランドリーで浴衣を洗いたい場合には、続いてご紹介する注意点をしっかりと理解した上で洗いましょう。
乾燥機の使用は素材により縮むことも
コインランドリーでパワフルなのは、洗濯機能だけではありません。乾燥機能も家庭用の洗濯機に比べて強力です。自宅の洗濯機で乾燥するよりも早く乾くというメリットはありますが、浴衣の場合は、コインランドリーで乾燥させると素材によっては縮みの原因になってしまうことがあります。
ご紹介したように、浴衣は脱水もほとんど必要としない衣服です。そのため、コインランドリーで浴衣を乾燥させるのはあまりおすすめできません。
脱水後すぐ干せないのでシワが心配
ご紹介したように、浴衣を洗う上で大切なポイントの一つに、しわをつけないようにするというものがあります。そのため、洗濯した後にはなるべく早く干す必要があります。
しかし、コインランドリーで浴衣を洗濯した場合、自宅での洗濯と違って、脱水してから干すまでに時間がかかってしまいます。コインランドリーを利用した場合には、ご家庭で浴衣を洗濯するよりも、浴衣にしわがつきやすいという点を念頭におきましょう。
正しい洗い方で浴衣を気持ちよく着よう!
今回は、ご家庭で浴衣を洗濯する際のチェックポイントや洗い方、干し方に加え、コインランドリーを利用する際の注意点も合わせてご紹介しました。
浴衣は着る季節や機会が限られているため、着付けで精一杯になってしまい、洗濯方法まで頭が回らないという方も多いでしょう。しかし、浴衣の洗濯方法はポイントさえしっかりと覚えてしまえば、そう難しいものではありません。
小さいお子さんにありがちな食べこぼしで浴衣を汚してしまった場合でも、自宅での洗濯方法を知っていれば、焦る必要もありません。ぜひお気に入りの浴衣を正しい洗濯方法で綺麗にして、長く愛用していきましょう。