DIYで引き戸の鍵を後付け・交換する方法を紹介!
住宅、特に日本家屋には、玄関やトイレなどドアを横にスライドさせるタイプの“引き戸”が使われることがあります。日常生活の中で様々な理由から、引き戸に「簡易的な物でいいから鍵を後付けしたい」と思う人も少なくないでしょう。
しかし、業者に発注すると費用が掛かり、いざ自分で鍵の取り付けをDIYしようと思っても、その方法がわからずお手上げになってしまうこともしばしばです。
そこで、引き戸に鍵をDIYで後付けまたは交換する方法と、取り付けられる鍵の種類や必要な費用を説明して、業者に引き戸の鍵の交換・取り付けを依頼した場合に掛かる経費を比較し、検証します。ぜひ参考にしてください。
引き戸の種類
引き戸に鍵を付けるときに気を付けたいのが「引き戸の種類」です。慌てて鍵を用意して、いざ取り付けようとしてサイズや種類がフィットしなければまったくのムダになってしまいます。
引き戸には「片引き戸」「引き分け戸」「引き違い戸」「引き込み戸」の種類があり、片引き戸はトイレ、引き分け戸は間仕切り、引き違い戸はふすま、引き込み戸は雨戸のイメージです。
引き戸に鍵を後付けしたい時とは?
引き戸に鍵を取り付けたい理由は様々です。例えば貴重品が盗まれないように防犯のためや、自宅・自室で何か仕事など作業をする際に邪魔が入らないように鍵をかけたいと思うこともあるでしょう。
プライベートな空間を確保することや、子供やペットが入ってきて危険なことにならないようにする防止策の場合もあります。それら目的に応じて取り付ける鍵の種類や設置方法も変わってきます。
プライバシー目的の場合は室内錠で十分ですが、室内外から施錠できるタイプは防犯に力を示します。自分がどのような目的、意図で鍵を付けたいのか、よく検討して鍵を選ぶ必要があるのです。
防犯のため
大抵の人は自室に大切な物を置いています。場合によってはクローゼットにブランド品を多く所蔵していることもよくあるでしょう。それらを守るために、引き戸に鍵を後付けする必要が出てきます。
空き巣被害にあった、家庭の問題、子供やペットのイタズラなどから、大切な物、例えば仕事の書類や通帳、貴重品を守るためにも、引き戸に鍵を後付けしてでも防犯性は高めるべきなのです。
プライバシーを守るため
プライベートな部分は家族からも侵害されるのは嫌だ、という意見は意外と多く、在宅で仕事をしている場合も、部屋に鍵をかけることで仕事とプライベートに区切りをつけることができます。シェアハウスなどで他人と暮らすなら高い防犯性が求められ、鍵は必須です。
ペットや子供が開けるのを防ぐため
生活の中で家事や仕事、または工具を使ったDIYなどをするときに、小さな子供やペットがそばに来て、ヒヤリとすることがあります。それを防ぐために引き戸の鍵を取り付けるのは非常に有効です。入ってほしくない場所でいたずらをされる心配もなくなるメリットもあります。
その他の理由
引き戸に鍵を後付けすることを検討する理由には、生活の不具合も挙げられます。例えば建付けが悪いせいで勝手にドアが開いてしまうと何かと不便です。そのようなとき、ドアを固定してしまえば、不調を解消できるので、鍵を付けるのは有効な手段となります。
引き戸に鍵を後付けした後のメリット・デメリット
引き戸に鍵を後付けすることで、生活の不満や不具合が解消されるのは間違いなくプラスです。そもそも足りない物を補うために付けるのだから、良くなってくれなければ困る人もいるでしょう。
しかし、必ずしも良い面だけではありません。そこで、引き戸に鍵を後付けしたことによるメリット・デメリットについて解説します。
メリット
引き戸に鍵を取り付けることで、防犯性が高まり、プライバシーも保護できます。また、子供やペットなどが不用意に危険な場所に行くこともなく、大事な物も守れます。引き戸がうまく閉まらないなどの生活の不具合も解消できて、鍵を後付けすると様々なトラブルを未然に防ぐことが可能です。
デメリット
引き戸に鍵を取り付けて人の侵入を阻止して安全性を確保できた反面、鍵のかかった部屋の中にいる人に何かあっても、内鍵が閉まっていると助けに行くことができません。これを解消できる両側開閉の本格的な鍵はDIYでは難しいこともデメリットと言えます。
引き戸に後付けできる鍵の種類
引き戸に鍵を取り付けるときにとくに重要なのが鍵選びです。目的や状況に応じ取り付ける鍵は変わってくるので、鍵を取り付ける目的を明確にし、引き戸の種類や、穴開けできるかできないかなどを確認しないといけません。
引き戸に対応しやすい鍵は「戸先錠(とさきじょう)」と呼ばれるひっかけ式の鍵が一般的です。形状から「鎌錠(かまじょう)」とも称され、鍵を回したときにフックが引っかかることで扉が動くことを阻止する仕組みです。
その他にも電子タイプなど高度な防犯力を持つものもあるので、これより下に鍵の種類を紹介します。自身が取り付けたい引き戸のタイプと、使用法や設置場所を考慮したうえで、一番フィットする物を探してください。
サムターンタイプ
鍵の種類の代表格としてサムターンタイプがあります。これは所謂「つまみ」を回すことで施錠するもので、引き戸だけではなく開き戸にもよく使われ、玄関などでは片方は鍵穴になっている状態でよく目にすることもあるでしょう。
また、引き戸と柱の内側に鍵を埋め込むので、見た目にはサムターン以外目立ないのも嬉しい仕様といえます。
レバータイプ
サムターンタイプよりも大きなつまみがあるタイプのレバータイプの鎌錠は、つまみをしっかりと指でつまみ持つ必要があるサムターンに対し、指先が引っかかれば施錠できて使い勝手が良いのがメリットです。
形としてはトイレなどによくある横スライドのものなどが代表的なデザインでしょう。デメリットとしては見た目がやや大仰で目立てしまう点が挙げられます。
掛金錠
引き戸に鍵をつけるなら、一番シンプルなのは掛金錠(かけがねじょう)です。様々なスタイルがありますが、共通するのは片方の穴にもう一方の先を差し込んで施錠する雌雄があるタイプであることです。
戸を閉めた状態で鍵の雌雄を密着させて、穴に鍵をはめて動かないようにロックすると完成します。一番の問題は、部屋の片側からしか施錠・解錠ができないことです。
召し合わせ錠
主に引き違い戸で使用する鍵に召し合わせ錠があります。閉めたときに2枚の板が重なる真ん中の位置に取り付けるもので、ちゃんとした鍵で施錠するタイプから、片方は穴があるだけで、手前にネジ式の棒が付いている形のものもあります。
また、下から上に半回転させる、窓に付いているものもある。いずれも玄関や窓以外では目にすることは少ないでしょう。
電子ロック式
より強固な防犯を考えるなら電子ロック式の鍵も選択肢に入ります。電子錠と一口に言っても、様々な種類があり、「暗証番号」や「指紋」「カードキー」で認証するもの、「リモコン」で操作したり、「スマホ」で施錠・開錠ができるものなどです。
絶対的な防衛力のありそうな電子式ですが、電池交換の手間や、誤認識の問題があるのでその点は気を付けたいポイントとなります。
引き戸に自分で鍵を取り付ける方法
自分の目的に沿ったタイプの、引き戸の種類にもあった鍵を用意して、「DIYがんばるぞ」となったところで、意外と知らないのが、その取り付ける方法です。そこで引き戸に鍵をDIYで取り付ける方法と、必要な工具を紹介し、DIYで取り付ける際の注意点をまとめました。
用意する工具
引き戸の鍵をDIYで取り付けるにあたって必要な工具は、基本的には“電動ドリル”と“ドライバー”があれば十分です。ドライバーも電動のものがあり、ドリルの刃は百均でも購入できるので、電動のドリルかドライバー本体と、アタッチメントでない方が付け足せれば問題無でしょう。
ていねいな作業を心掛けるなら定規やヤスリも用意します。上に電動ドライバーで十分としましたが、一般の棒状のドライバーや、精密ドライバーもあると様々な面で役立つので心強いでしょう。
他にもL字状の金尺、円の径を測れるノギスと木工に使うノミやけびき、かんな、金づち、ノコギリ、もっと本格的な物なら“ホールソー”という穴あけ工具や、芯材の位置をセンサーで正確に探すことのできるスタッドセンサーというものもあります。
取り付け方・手順
引き戸の鍵をDIYで後付けするときに気を付けたいのは引き戸の構造と、取り付け手順です。下記に引き戸がどのような構造をしているのか解説し、それを踏まえた上で、どのような手順で自力で鍵をDIYで後付けしていくのか、その方法を説明します。
引き戸の構造
引き戸は一枚の板で出来ている様に見えますが、そうではなく、薄い化粧板を張り合わせてあるのが一般的な構造です。中が空洞になっており、鍵を後付けするには板の中身が詰まっているか確認しなければいけません。取手周辺には基本的に芯材があるので、そこに鍵を取り付けます。
鍵の取り付け方
引き戸の鍵を付ける手順は、まずは「設置場所を決める」ことです。芯材を見つけ、固定できて使いやすい場所に鍵を取り付ける必要があるのでゆっくりていねいに取り付け位置を決めます。
場所が決まったら次は、引き戸やそれに面する柱などに「設計図を書く」作業です。この設計図を書くことでサイズや位置がブレにくくなり失敗のリスクは大幅に減らすことができます。このときの注意点はあまり目立たないようにすることです。
あとは、ドリルで穴を開け、必要ならノミなどで整えて、購入してきた鍵を取り付けます。戸に鍵を付けて終わりではなく、当然その鍵の受け手も設置せねばならないので、柱や壁の加工もノミなどを使い行います。このときドリルを使い、ある程度の穴を開け調整すると手軽で作業しやすいのでおすすめです。
自分で鍵を取り付けるときの注意点
引き戸に鍵を自分でDIYして交換や取り付けをするメリットは、なんと言っても経費が抑えられることです。しかし、失敗のリスクがあり、半端に穴を開けただけで、見苦しくなってしまうこともあります。
また、鍵の位置が悪く、戸にゆがみが発生してしまうこともありえます。そうならないためにも、まず、交換予定の鍵はどのような鍵か、ドアの幅やサイズはどのくらいか、といった規格をしっかりと把握しなければいけません。
取手の周辺は芯材が入っていますが、そこ以外は空洞の場合もあり、鍵の取り付け位置が空だとネジの固定がゆるくなるため鍵の固定が難しくなる可能性もでてきます。
鍵を後付けする際は取り付け位置とその周辺を軽く叩いて芯材のある部分を見極めなければ設置がうまくいかない可能性も出てくるのです。
賃貸住宅の引き戸に鍵を取り付けるには?
賃貸には“部屋を借りたときの状態に戻す” 原状回復という規定があります。それにより家に元の状態に戻せないような跡が残ったりしたとき、退去時に修繕費用が発生することが起こりえます。
しかし、住んでいる住宅が賃貸だからといって引き戸の鍵を取り付けることができないわけではなく、事前に管理会社や大家へ確認しておくことで可能なことも多いです。賃貸物件でも部屋に傷を付けずに、お手軽に鍵を取り付ける方法を紹介します。
テープで取り付けられる補助錠がおすすめ
引き戸の鍵を賃貸で後付けするときに使うと便利なのは、テープで貼るタイプです。ねじ止め不要で、穴を開けるような大がかりな作業は必要なく値段も比較的安価で手に入るので、お手軽に取り付けられます。
室内用、室外用、内開き用、外開き用など種類も豊富にとり揃っているので用途によって使い分けできます。しかし、はがすときにテープ跡が残ってしまうこともあるため注意が必要です。
また、どうしても粘着力がビス留めや釘打ちに比べ劣るので、強度の面では交換や、同じ後付けでも穴を開けて取り付けた製品のほうが防犯面では優れます。あくまで穴の開けられないときの簡易的な処置や、子供やペットの侵入防止対策用の物といえます。時間が経つと粘着力が弱くなるのが難点です。
引き戸の鍵の取り付けを業者に依頼した場合の費用
引き戸の鍵をDIYで後付けようと思っても、なかなかうまくいかず、そもそもそんな時間もとれないという人には専門業者に委託するのも一つの手法です。
問題点は自力で取り付けるよりもきれいに仕上がる分コストが掛かってしまうことでしょう。そこで、引き戸に鍵を業者に依頼して交換や、取り付けた場合の費用の相場をまとめました。
新しく鍵を取り付けた場合の費用相場
引き戸に鍵を新たに取り付ける費用は、簡易錠の場合10,000円、面付錠や補助鍵の追加は25,000円の料金をカギの生活救急車では公開しています。
生活救急車では実際に行った作業事例として、簡易錠の取り付け15,444円、面付錠の作業費用は30,000円としていました。勿論高価かつ施業の難しい高な鍵になるとその分費用が高くなります。また、部品代は別途請求されることも留意すべきポイントです。
鍵を交換した場合の費用相場
引き戸の鍵を交換する場合の費用は、比較サイトなどによると2,500円程度から十倍の25,000円ほどまでと幅がある値段設定でした。カギの生活救急車では、鍵の交換の作業費用は15,000からの相談とHPに掲載しています。これらと別に部品代も経費として必要となります。
引き戸の鍵を自分で取り付けてみよう!
引き戸に鍵を後付け・交換する方法を紹介してきました。鍵はDIYでも簡単に取り付けられますが、業者に頼むとより安全に設置できます。その時の費用は10,000円以上は見積もっておいた方が良いでしょう。
自力でDIYするなら、正しくドアの寸法を測り、扉の種類を知って、穴を開けて問題ないならDIYで費用を抑えつつ本格的な物を、それがかなわないならテープで貼るタイプの補助錠が便利です。
そう難しい作業でもないので、思いきって鍵を取り付けて日常の不便を解消し、快適な生活を満喫しましょう。