梅の盆栽を育てる準備
梅の木は日本人に古来から愛され続けています。赤や白、様々な花の形があり、その香りは春を伝えるいい香りで人々を楽しませてくれます。そんな梅の木の盆栽を楽しみたい、という人は少なくありません。
そんな梅の盆栽を楽しみたいと考えた時、どんな育て方をしたらよいのか、どのような苗木を選ぶか、どんな道具が必要なのか、またどんな鉢が盆栽に合うのか、ということが準備で必要になります。これらの準備について詳しく紹介します。
苗の選び方
梅盆栽の苗は、根の張りがよく全体的には小作りで、幹の太さが鉛筆くらいで、高さは30cmほどのものを選ぶのが良いでしょう。梅盆栽の苗の購入時期は、12月から1月下旬ごろが最適です。梅盆栽のふさわしい樹形は模様木、文人木、斜幹などになります。
梅の苗を選ぶときは、梅盆栽を、どのような樹形に仕立てればいいかをイメージして選ぶと失敗がありません。注意すべきは、根元にカイガラムシなどの害虫がついていないか、病気はないか、を必ず確認した上で梅盆栽の苗を選ぶことが重要です。
盆栽の手入れに便利な準備
梅盆栽の手入れに便利な道具は、次の通りになります。1mm目と4mm目のフルイ・土入れ・細かい作業をするためにヘラ付ピンセット、盆栽バサミ、股枝切り、盆栽用クマデ、ハス口つきジョウロ、アルミ製直径が1~2㎜の針金、鉢底ネット、素焼き鉢や駄温鉢などの仕立て用鉢(5号)。
これらの道具は梅盆栽だけではなく、盆栽全体の手入れには使い勝手がよく便利で、必要不可欠な道具にもなってきます。盆栽の手入れに繰り返し使う道具になります。ぜひ店頭で自分の手にとって使いやすい道具を選んでください。
盆栽におすすめの鉢
梅盆栽の鉢を選ぶときは「梅の花が何色」か、という点を踏まえて選びます。観賞用には、花の色と調和する色彩の鉢を選びます。たとえば紅色の花には赤系の色、白の花には白泥などの釉薬がかかっているもの、などです。
鉢の種類も幹が直立した盆栽は、平たい薄鉢・くねくねとした模様木には、重厚感がある角ばった鉢など、樹形に合わせた鉢を選ぶのもコツです。梅の色、樹形を踏まえて梅盆栽の鉢を選ぶと、失敗がありません。鉢を選ぶことも盆栽をする楽しみのひとつです。
梅の盆栽の育て方
梅盆栽を実際に育てようと思った時、水やりの仕方や置き場所、肥料の与え方、害虫対策など、どのような育て方をすると、美しい梅盆栽を仕立て上げることが出来るのでしょうか。梅の盆栽の育て方のコツについて詳しく紹介します。
育て方のコツを知って、毎年、梅の美しい花をたのしめる盆栽に育ててください。美しい梅の花を楽しめる上に、いい香りで楽しませてくれる梅盆栽は、初心者には育てやすい盆栽です。春がくるのが楽しみになるでしょう。
梅の置き場所のポイント
梅の盆栽の置き場所として適しているのは、日当たりがよいものの、日当たりが良すぎて盆栽を乾燥させてはいけないので、午前中のみ日当たりがよい、など日当たり自体を調整しやすい場所、そして風通しが良く、空気の循環が常にある場所が適しています。
一方、梅の盆栽にとって悪いのは、まず室内に置きっぱなしにすること、日当たりが良すぎること、空気の流れがないところ、エアコンの室外機の風が直接当たってしまうところ、そして冬になると霜が降りるような寒さが厳しすぎるところになります。
ポイントを押さえた上で、適切な場所で育てることが、梅の盆栽がいつまでも元気に生き、病気にもかかりにくくなります。とくに空気の流れがない風を通さない場所は、どんな植物にも厳しい環境になります。置き場所は、盆栽梅の育て方の中でも重要な要素のひとつです。
梅の水やりのコツ
盆栽全体にいえることですが、育て方の中でも重要な手入れが水やりの仕方になります。梅は水をとても必要とする盆栽になります。秋、春は1日1回、夏は1日2回、冬は3日に1回の目安で水やりをします。気温や湿度に応じて、根の先まで水がしみわたるように水やりをしてあげます。
ただ、多湿が苦手でもある梅の盆栽です。湿度が高い、あるいは気温が低くなりはじめた時は土が過度に湿ったままにならないよう注意してください。根腐れや病気、害虫の元になってしまいます。水やりは最も難しい世話でもあります。
毎日、盆栽の土の様子、苔が植えてあるのなら苔の様子、梅の葉のみずみずしさやピンと勢いある姿であるかなど、梅の様子をみながら水やりをします。自然と盆栽梅の様子が分かるようになり、水やりの頻度や水の量なども分かってくるようになります。
肥料の与え方
肥料は花をつけた後の4月から6月、そして冬に入る前の9月から10月にあげます。花を咲かせたのちは苗が精一杯力を発揮した後なので疲れていますし、冬越しをして春に花を咲かすパワーがつくように肥料をあげます。固形肥料と油かすをあげます。
油かすだけの場合は栄養がたりないので、液肥をあげます。「部屋に入れて楽しみたい」場合は、虫などがつきにくい液肥がおすすめです。肥料は適切な量をあげましょう。また、肥料のやりすぎは、逆に肥料やけを起こして梅の盆栽をいためるので、注意が必要です。
病害虫の注意点
梅の害虫や病気についてはいち早く気づいてあげることが大切です。葉や幹、枝の状態をよく観察し、異常がみられた場合は早めに対処してあげれば枯れることはありません。病気や害虫はいくつも種類があります。
病気としては黒星病、潰瘍病、縮葉病、うどんこ病、すす病、根頭がん腫病、葉炭疽病があります。それぞれに対処法や薬剤があるので対応可能です。早めに対処することで病気の広がりを押さえられるので早期発見が重要です。
梅の害虫についてはコスカシバ、アブラムシ、ウメスカシクロハ、ウメケムシ、カイガラムシ、ナシヒメシンクイ、ミダレカクモンハマキムシ、コウモリガ、イラガ、モンクロシャチホコガなどになります。こちらも対処法、殺虫剤等で対応できます。
梅の手入れの方法
梅の盆栽を育てる時、手入れの中でも剪定は非常に重要です。樹形を整え、梅の花を多くつけてもらうためにも、剪定の手入れは不可欠です。剪定の時期や剪定のポイントについて紹介します。剪定をうまく行うことが梅盆栽の花つきや健康につながります。
剪定の時期
梅盆栽の剪定は、花が終わった後に行います。花が散った後は、そこから新芽が出て新しい枝を伸ばしてゆきます。梅盆栽の花の時期が終わる2月から3月が剪定の時期です。梅はどんどん枝を伸ばしてゆく木なので、剪定をすることで樹形を整え、また健康に育てる育て方にも通じるでしょう。
剪定のポイント
剪定するときのポイントは、新芽を探す時にはなるべく下向きに出る葉を探し、その上で切るというのがポイントです。古い枝から延びた、新しい緑色の部分にある新芽の下から、数えて3つめぐらいまでを残し、5㎜ほど上で切り落とします。
梅の植え替えの方法
盆栽の育て方の中でも、非常に重要な要素であるのが、盆栽の植え替えです。植え替えの時期や頻度、植え替えのときに使う土の種類、植え替えの方法について詳しく紹介します。植え替えは、梅盆栽の健康と花つきに関わる大切な作業になります。
植え替えの時期・頻度
梅盆栽の植え替えの時期は、花が咲いた後の2月から3月の間です。基本的には、1年に1度植え替えを行い根っこのケアをします。成長を左右するため、若い木ほど根っこのケアが重要です。根が張りすぎると水がしみこまず梅自体が弱ってしまうので注意しましょう。
植え替え用の土
梅盆栽には、水はけがよく有機質の多い土が適しています。赤玉土と砂を8:2の割合で混ぜ、腐葉土や樹皮堆肥を、全体の1割ほど混ぜるのが良いでしょう。土は、梅盆栽を育てる上で大切な要素のひとつなので、ぜひ丁寧に土づくりをしてあげてください。
植え替え方法
植え替え時に、根っこを割りばしで櫛で髪をとかすようにそっとほぐし、長く伸びた根があれば刈り込みます。その後に、新しい根が沢山張れるようにしてあげると良いでしょう。それから鉢に戻し土をいれます。
土を入れた後は水やりを行い、強すぎる直射日光はさけ、2月であれば霜がおりてしまわないような場所に置いてあげましょう。植え替えをしたばかりの後は少し弱い時期にもなるので、注意深く見守ってあげてください。
年老いた木の場合
年老いた梅盆栽や、ほぼ完成した梅盆栽については、植え替え方法は基本的にかわりません。しかし、いくつか注意すべき点があります。まず、根のほぐし方に注意しましょう。若い木であれば、根についた古い土を落としてもいいのですが、年老いた梅盆栽は、根についた古い土を落とさないようにしてあげましょう。
年老いた梅盆栽の土は、軽く手でほぐせば落ちるような土のみ落とします。根の処理も、他と比べて明らかに長く伸びた根、太くなりすぎた根を切り落とします。むやみに根を切りすぎると、年老いた梅盆栽に樹勢がつきすぎて、徒長枝が増えたり、花芽がつかないなどのトラブルになります。
梅の盆栽は初心者にもおすすめ!
梅盆栽は、初心者にとって非常に育てやすい盆栽です。暑さや寒さにも強く、根の処理についても根を張る力が強い梅なので、失敗しやすいということがありません。剪定についても分かり易く、剪定しやすいです。その上、花も楽しめるようになります。
はじめての盆栽が、なんとか上手く育てることが出来れば、楽しみにもなり、続けて育てる気持ちにもなりやすいです。ぜひ、「初めて盆栽を育ててみたい」と思う時は、梅盆栽を育ててみてください。春にきれいな梅の花をつけてくれたら、嬉しい気持ちでいっぱいになるかもしれません。