オイルマッチとは
火を点ける道具としてマッチはポピュラーですが、オイルマッチはあまり知られていません。オイルマッチはZippoライターのような金属製の箱のようなもので、真ん中に金属製の芯軸が1本だけ入っています。
その芯軸にオイルを染み込ませ、Zippo風の本体から引き出し、側面のフリントと呼ばれる火打ち石にこすって着火させるという使い方をします。普通のマッチでは1回ずつ使い捨てなため、ゴミが出てしまいますが、オイルマッチはゴミが出ない点がメリットです。
更に普通のマッチは紙の箱と木でてきているため、水に濡れると使えなくなりますが、オイルマッチは少々の雨などが当たっても問題なく着火します。これがアウトドアシーンにとても便利なのです。
オイルマッチはパーマネントマッチとも呼ばれる
使い捨ての普通のマッチと違い、何度も半永久的に使うことができるので、オイルマッチはパーマネントマッチとも呼ばれます。パーマネントは英語で「永久的」を意味するParmanentから来ています。
オイルマッチはそのまま、永久マッチとも呼ばれます。さらには日本語の「永久」をもじって、AQマッチと呼ばれることもあります。ずっと使えるのは何よりのメリットです。
オイルマッチは永久的な使い方ができるといっても、メンテナンスは必要です。オイルがなくなったら補充しなければなりませんし、オイルマッチの軸の芯にあたる綿芯を交換する必要もあります。
側面のフリット、火打石部分が摩耗したらメンテナンスしなければなりません。それでも大量に燃えかすが出る普通のマッチと比べ、オイルマッチはメリットが多く、コスパも最高です。
オイルマッチの使い方をしっかりと覚え、アウトドアで使用してみましょう。きっと手放せなくなることでしょう。
オイルマッチとマッチの歴史
人間は火を発明してから、文明が進化していきました。火を作り出すマッチやZippoのようなライターは、日常でなくてはならないものになっています。喫煙する人が使う他、仏壇に手を合わせる時、アロマキャンドルに火を点ける時など、使い方はさまざま。オイルマッチもその中の1つです。
現在では火を点ける用具としては、マッチよりZippoのようなライターがポピュラーになっています。ではそもそも、マッチやライターはいつ頃、発明され、どのように進化したのでしょう?
火事などの危険を避けるための模索
マッチは1826年にイギリスの医師によって発明されました。木でできた軸に黄燐を付けた黄燐マッチでした。使い方は砂紙に強くこすりつけて発火させるというものでした。1831年に、どこにこすっても発火するマッチが発明されました。便利に使えるようになり、マッチは瞬く間に、日々の暮らしに欠かせないものになりました。
しかし黄燐は体によくありません。造っている人が病気になってしまう危険なケースも出てきました。さらに、どこでこすっても発火するため、運搬時にこすれて火事になったり、危険な問題が多く発生しました。
発火の危険を避けるため、さまざまに改良され、現在のマッチとなりました。今ではマッチは何もしなければ発火しませんから、火事の心配はありません。オイルマッチは先端に黄燐がついたマッチと違い、使い方を間違えなければ、火事になることはありません。
実はライターのほうが早く発明されていた
いっぽうでライターは1772年、平賀源内が、火打石と鉄を用いて作りました。なんとマッチの発明より50年も前にライターは発明されていたのです。ただしこのライターの形は、Zippoに代表される今のライターとは全く違うものでした。
Zippoのようなライターが日本で使われるようになったのは1920年です。汽船の乗務員だった男がアメリカのライターを真似して、日本でライターを作りました。これがZippoなどオイルライターの日本での元祖です。
オイルマッチの特徴・メリット
日本の一般家庭ではZippoや木製のマッチが一般的で、オイルマッチは馴染みがありません。でも、その存在やメリットを知らず使わないでいるのはもったいない話です。オイルマッチにはいろいろなメリットがあります。オイルマッチの使い方をよく知った上で利用すると、その便利さやメリットの多さに驚くでしょう。
オイルを入れ替えればほぼ永久的に使える
パーマネントマッチと呼ばれるだけあって、オイルマッチは1度購入すれば、半永久的に使うことができます。火を点ける棒は金属のしっかりした作りで、先端の綿芯にオイルが染み込んでいれば、オイルマッチは着火できます。
オイルがなくなれば、補充すればいい話です。オイルマッチに使われるオイルは、Zippoなどのライターに使われるオイルと同じです。外箱もZippoのような金属なので、水に濡れて使用できなくなることがない点もメリットです。
火を点ける時に使う側面のフリットも、使ううちに摩耗してきます。しかしそこをメンテナンスしてやれば、オイルマッチは一生もののアイテムになるというメリットがあります。
オイルマッチが点火しづらくなったなと感じたら、交換時です。芯軸のオイルが染み込む部分が減ってきていたら交換しましょう。
ただ、オイルマッチの部品だけを売っている店が少なく、Zippoライター用のウイックを代用している愛用者が多いです。メンテナンスも頭に入れ、最初にオイルマッチを購入した時に、部品も一緒に購入しておくことをおすすめします。
オイルマッチにはおしゃれなデザインが多い
Zippoに代表されるオイルライターのメリットの1つにお洒落なものが多いことが挙げられます。オイルマッチは金属でできていて、外見もZippoに似ています。そのため、Zippoのようにお洒落なデザインを施すことが可能なのです。
キーホルダータイプのものもあれば、カラフルな模様のものもあります。また、立体的なオブジェがデザインされたオイルマッチもあります。
このように、持っているだけでお洒落な気持ちになれるのも、オイルマッチのメリットなのです。持っているだけで楽しくなるのが、オイルマッチの大きな特徴です。
オイルマッチの種類
Zippo好きで、さまざまな種類のZippoをコレクションしている人も多いです。Zippoと同じように豪華な装飾がされているオイルマッチにも、さまざまな種類があるので、ついつい集めてみたくなるものです。
オイルマッチはそもそもアウトドア向けのアイテムなので、登山グッズがあるお店で取り扱われています。最近はネットショップでも数多くのオイルマッチを購入することができます。
オイルマッチは、値段も100円のものから、2000円以上するものまであります。しかしZippoライターのように高価なものではなく、比較的手に入れやすい金額でもあります。最初は試しに100円台のオイルマッチを購入し、少し慣れてきたら600円程度のものを探してみましょう。オイルマッチにハマったら2000円以上のものを選んでみましょう。
Zippoメタルマッチ
Zippoメタルマッチは、アウトドアで使うことを考えて作られたオイルマッチです。オイルマッチだけでなく、ハサミ、マイナスドライバー、ポケットナイフの役目も果たすマルチツールです。
お洒落な男なら持っていたいデザインです。渋い男性によく似合うということで、プレゼントにもおすすめです。グリップ部がオイルタンクになっているコンパクトなサイズのオイルマッチです。使用するオイルはZippoのオイルです。
メタル、ブラックなど、色の選択肢もあります。ただ、ネットショップでは取り扱いをしていない店舗が多いので、登山グッズの売り場などで店員に尋ねてみるのがいいでしょう。
ファイヤースターター パーマネントマッチ
ファイヤースターターパーマネントマッチは、携帯に便利なキーホルダー型になっています。渋く凝ったデザインが魅力的なオイルマッチです。お洒落な外観なので、アウトドア用にとどまらず、煙草に火を点けるのにも使っていると、格好いい男を演出できます。
デザインにこだわりがある分、値段は2000円弱と少々高めです。しかし、値段だけのことはある、素晴らしいオイルマッチです。収納袋も付属するので、プレゼントにしても喜ばれることでしょう。
BU-Bauty オイルマッチ
BU-Bautyのオイルマッチは小さな円筒形をしています。19ミリ×63ミリの小ささで、携帯するのに便利なスリムタイプのオイルマッチです。600円程度と手ごろな価格もうれしいところです。アウトドアで予備の着火剤として利用するのもいいでしょう。
このオイルマッチの最大のメリットは、芯棒がねじ式になっていることと、口に当たる部分にシリコンゴムがついていることです。このため、本体に入れたオイルが揮発してしまうことを最小限に防ぐことができます。
Present-webオイルマッチ
Present-webのオイルマッチは、オイルマッチ初心者にぴったりです。値段も手ごろで手を出しやすいですし、シンプルな外観もかえってお洒落です。
キーホルダー型になっており、気軽に使えることがメリットです。古い時代のオイルマッチを知っている人が、懐かしさから購入しています。20グラムと軽量ですが、アウトドアシーンにしっかりと力を発揮してくれます。
Zippoライターのオイルだけでなく、100円ショップで売っているオイルを使うことができるのもこのオイルマッチのメリットです。約200円という安さなので、耐久性に難はありますが、初めてオイルマッチを持ってみたいと考える人に最適です。
オイルマッチの使い方
オイルマッチを手に入れたら、さっそく使用してみましょう。オイルマッチは普通のマッチともZippoライターとも違う形状をしているので、最初はどう取り扱っていいか、戸惑うかもしれません。
オイルマッチは本体に入れたオイルに芯棒の綿芯の部分を浸し、オイルを染み込ませます。次に芯棒を取り出して、その先端を側面のフリント部分にこすりつけて、火を点けます。使い方はそれほど難しくありません。
オイルマッチの使い方①火打石のコーティング剤を削る
オイルマッチを購入しただけでは、まだ使える状態にありません。オイルマッチの使い方の下準備として、側面にあるフリント、火打石部分を削るという作業があります。
ナイフなどで軽くこするように削りましょう。強くこすり過ぎると、火花が飛んで火事の危険があります。危険を避けるために、目が細かい紙やすりなどで軽くこするといいでしょう。
もしこの作業をしないでオイルマッチを使おうとしても、火が点きにくくなります。さらに、何度もこすってしまうために、オイル漏れを起こす危険もあります。危険を避ける使い方をするため、この行程は絶対にはぶかないようにしましょう。
オイルマッチの使い方②オイルマッチ本体から芯を取り外す
オイルマッチの中央に、マッチの軸棒である金属の部分が装着されています。まず、これを外しましょう。ネジのようになっているので、くるくると回してみると、簡単に外すことができます。マイナスドライバーのような芯棒が出てきます。この芯棒が装着された穴になっている部分が、オイルマッチのオイルを入れる入口となります。
オイルマッチの使い方③オイルを注入
まずオイルマッチにはオイルを入れなければなりません。オイルマッチに入れるオイルはZippoのオイルで充分です。
オイルマッチの入れ口は小さいので、オイルをこぼしてしまう場合もあります。そのまま火を点けたら危険ですが、慌てる必要はありません。
オイルを充填したら、オイルマッチをティッシュなどで丁寧に拭き、しばらく放置しましょう。オイルが気化して、危険なく使えるようになります。
このオイル充填の作業で、オイルマッチの芯棒の綿芯に、しっかりオイルが染み込みます。こうしたオイルマッチの使い方を誤ると、火事になったりするので、慎重に行いましょう。
オイルマッチの使い方④着火の仕方
火の点け方はそれほど難しくありません。オイルマッチの軸棒の先端を、本体側面のフリントにこすりつけるだけです。新軸のマイナスドライバーの形状をした部分とフリントを合わせて、しっかりこすりつけるのがコツと言えます。
この時、オイルの入り口が開いた状態です。オイルがこぼれてしまうと、火事の危険があります。軸棒をこすりつける時は、オイルマッチの入り口をしっかり指で押さえて、オイルのこぼれを防止しましょう。
オイルマッチの消し方
オイルマッチで火を点けてみたはいいものの、消し方はどうすればいいのでしょう。Zippoライターなら蓋を閉めれば火は消えますが、オイルマッチはそうした消し方はできません。しかし不安に感じる必要はありません。オイルマッチの火の消し方は簡単です。また、消し方には2つの方法があります。
オイルマッチの消し方①芯の先端に息を吹きかける
オイルマッチの消し方の1つ目の方法は、点いている火に息を吹きかけるやりかたです。軸棒の芯の先端に向かって、強く息を吹きかけましょう。芯軸の、マイナスドライバーのような形状になっている、先端部分に息を吹きかけるのです。オイルマッチはオイルを使っているので、火に直接、息を吹きかけても消すことはできません。
アウトドア用なので安易には消えない
普通のマッチなら、炎部分に息を吹きかけるという消し方ができます。また、手であおいで風を送るという消し方もできます。
しかしオイルマッチはそのような消し方では火を消すことができません。これは、オイルマッチがアウトドアシーンで使うように作られているためです。アウトドアでの作業は、強い風との戦いです。
簡単に消えてしまっては、用をなしません。このような理由で、オイルマッチは普通のマッチの消し方では火を消すことができないのです。
オイルマッチの消し方②芯をタンクの中に戻す
2つ目の消し方は、最初は勇気がいるかもしれません。火のついた軸棒を、オイルマッチのタンクの中に入れてしまうのです。「オイルが入っているのに、火事にならない?」と不安に思う人もいるかもしれません。
しかし、タンクの中に入れる消し方をする時、中のオイルを空にする必要はまったくありません。中に燃えるだけの酸素がないので、簡単に火が消える消し方なのです。
オイルマッチに慣れている人は、この消し方をしています。火を消すと同時に、マッチの芯棒をしまうことができるので、何かと便利です。火事になる心配はありません。
オイルマッチは火事になる危険性がある?
オイルマッチに限らず、Zippoライターも普通のマッチも火器に当たります。使い方を間違えると、火事になってしまいます。特にオイルマッチは世間一般でまだあまり知られていないので、使い方をわからず、火事になってしまう事例があります。
Zippoライターとは違い、オイルマッチはオイルが液体のまま本体に充填されています。使い方を間違え、オイル漏れを起こして、火事を起こしたりしないように充分な注意が必要です。
また、オイルの充填時にも注意が必要です。オイルマッチの本体は金属なので、中にどのぐらいオイルが入ったかわかりづらいです。オイルを多く入れ過ぎて、こぼれてしまうこともあるでしょう。オイルが気化するまで完全に乾かさないと、軸棒に点火する時にとても危険です。オイルを入れる作業に慣れるまで、細心の注意が必要です。
オイルマッチの危険ポイント①室内での使用
オイルマッチはそもそもアウトドアグッズです。外で使う時に風に吹かれて火が消える心配がないのが特徴です。室内は周りに燃えやすいものがたくさんあります。
カーテン、ティッシュペーパー、衣服、ソファやベッドのファブリックなどです。燃え移ると火事になってしまいます。室内では普通のマッチを使い、オイルマッチは屋外で使うようにしましょう。
オイルマッチの危険ポイント②コーティング剤の削り忘れ
オイルマッチの軸棒をフリントにこすりつける時、何度も強く行うと、軸棒を入れていた入口からオイルが漏れてしまう危険性があります。オイルが漏れた状態でフリントで着火すると、火事になる危険性があります。
オイルマッチを使う前の準備として、フリントの部分を削るという作業がありますが、これを怠ると火事の危険性があります。
フリントに何度もこすりつけ、火花は飛ぶのに火が点かないと焦ると、本体の入り口からオイルが漏れやすくなってしまいます。オイルマッチのような火器は、きちんと使用できる状態にしてから使うようにしましょう。
オイルマッチの危険ポイント③火の消し方を知らない
そもそも使い方を知らないでオイルマッチを使うのは大変危険です。使い方を知らずにオイルマッチを使い、火事になってしまった一部始終が動画に残されている事実を知っていますか?この動画は、今流行りのYouTuberが、マインクラフトというゲームの実況中にオイルマッチを使用し、火事になってしまったという大事件が記録されています。
火事はなんと生放送中に発生しました。YouTubeでゲーム配信は大変人気で、多くのYouTuberが生配信をしています。このYouTuberは、ゲームをしながらオイルマッチで煙草に火を点けようとしました。オイルマッチの使い方を全くわかっていませんでした。
オイルマッチを点火しようとしたところ、本体が燃えてしまい、慌てて火を消そうとしました。この時火が点いたマッチ軸をゴミ袋に捨ててしまったのです。
マッチの軸の火はゴミ袋の中の紙屑に引火しました。しかしこのYouTuberは、それに気づかずに、本体の消化にばかり気を取られてしまいました。ゴミ袋は激しく燃えて、YouTuberが気づいた時には手遅れでした。
他の可燃物にどんどん燃え移ってしまいました。YouTubrは鍋に水を入れて、火にかけて消火しようとしました。しかし間に合わず、大火災になってしまったのです。
木造二階建ての家の二階37平方メートルが燃えました。本人だけでなく、同居している母親と近所の女性がやけどを負いました。
何より衝撃だったのがオイルマッチを点けるところから大火事に発展するまでの一部始終の動画が、世界中に生配信される事態となってしまった点です。YouTubrの商売道具でもあるパソコンも燃えてしまい、大損害が発生しました。
この動画をYouTubrは削除依頼しておらず、現在も視聴することができます。衝撃の映像ですが、使い方も知らずにオイルマッチを使うとこういう顛末になるという証拠のような動画です。
オイルマッチは安全に使えば快適にコスパよく使える
オイルマッチはアウトドア派の強い味方です。キャンプファイヤー、食事作りの火起こし、バーベキューなどにオイルマッチは活躍します。小型のものがほとんどなので、普段はバーナーで点火する人も、オイルマッチを予備に持っていれば安心です。
オイルマッチは正しく使えば大変便利で、廃棄物がでないコスパの良いアイテムです。上手に使って、レジャーシーンを楽しいものにしていきましょう。