一人暮らしの世帯主
一人暮らしをしている人は、必ずしも本人が世帯主になるとは限りません。一人暮らしには、一時的に実家を離れる場合と長期間実家を離れる場合があります。特に注意が必要なのは、一時的に実家を離れて一人暮らしをしている場合です。一時的に実家を離れている場合は、住民票の住所を変更したかに注目してください。
住民票の住所によって世帯主が変わる
一人暮らしの場合、住民票の住所が実家にあるのか、一人暮らし先にあるのかで世帯主が変わります。大学生になったときの一人暮らしを始め、手続きで世帯主の記載が必要になる場合は、住民票に記載されている住所をあらかじめ確認しておきましょう。合わせて、世帯主と自分との続柄についても確認を行ってください。
①住民票が実家の世帯主と続柄
住民票の住所が実家のままになっている場合は、世帯主が父親か母親のどちらかになっていることが多いです。世帯主が父親の場合は父、母親の場合は母と記載しましょう。なお、続柄に記載できるのは、本人から見て六親等以内の血族、配偶者、三親等以内の姻族となっています。
②住民票が一人暮らし先の世帯主と続柄
住民票が一人暮らしをしている場所に移されている場合は、一人暮らしをしている本人が世帯主となります。この場合、本人と記載しましょう。世帯主とは、同一の住居において主体となる生計を担っている人物を意味します。住民票が一人暮らし先に移されていれば、その住所で生計を担うのは本人となりますので、世帯主は本人となるのです。
一人暮らしの大学生は世帯主になる必要がない?
大学生が一人暮らしをする場合は、必ずしも住民票の移動や世帯主の変更手続きが必要とは限りません。そのため、大学生が一人暮らしをするときに住民票の住所を実家のままにしておいたとしても、罰則が発生することは無いのです。では、住民票を移す必要があるのは、どのような場合なのでしょうか?
例外として住民票を移さなくても良い
住民票の移動や世帯主の変更手続きが必要なのは、それまで世帯主だった人が別の住居へ引っ越すときです。大学生の場合は実家の世帯主という訳ではないので、例外として住民票を実家においたままでも問題はありません。卒業後に地元へ戻ることを考えている場合は、住民票を移さないのも選択肢の一つです。
一人暮らしで住民票を移さないデメリット
大学生が一人暮らしをするとき、住民票の住所を実家から変更しないままでいるとさまざまなデメリットが発生します。住民票を移さないと、大学生活や卒業後の生活にも大きな影響を及ぼすので、一人暮らしをするときは住民票を移し、住所と世帯主の変更手続きを行いましょう。
①免許更新が一人暮らし先で出来ない
住民票が実家の住所のままになっていると、運転免許の本試験を受けるときに実家へ戻らなければなりません。運転免許の本試験は、住民票の住所にある地域の免許センターでしか受けられません。住民票の住所を一人暮らしをしている住所に変更していない場合は、一度実家に戻って地元の免許センターで試験を受ける必要があります。
高校在学中に運転免許を取得し、大学在学中に免許を更新する場合でも、地元の免許センターや警察署でなければ更新手続きが行えません。運転免許を更新するためだけに実家へ戻るのはお金と時間がかかるものです。運転免許の取得や更新をスムーズに行うなら、住民票の住所と世帯主の変更手続きを行いましょう。
②本人確認郵便の受け取りが出来ないものも
郵便物の中には、引っ越し先の住所ではなく住民票がある住所に送られる書類もあります。例えば、成人式の案内や国民年金納付のお知らせ、健康保険証や投票受付用紙は住民票がある場所に送られるのです。したがって、住民票の住所を変更しなかった場合は、書類を実家から引っ越し先の住所へ送ってもらう必要があります。
また、住民票の住所に本人確認郵便が届いた場合は、郵便物の受け取り自体が出来ない可能性もあります。本人確認郵便は、日本郵便の「e転居」というWEBサービスを利用すると、引っ越し先の住所へ無料で郵送されます。ただし、転送不要と書かれた郵便物では利用できない場合があります。
③印鑑登録が出来ない
大学生になると、証明書の作成といった公式な手続きをする機会が増えます。その時に必要なのが、実印です。実印とは市役所で印鑑登録を行い、個人の証明として強い効力を持った印鑑のことです。印鑑登録は住民票がある場所の市役所でなければ行えないので、住民票の住所が実家のままの場合は、一人暮らし先の市役所で印鑑登録ができません。
実印や印鑑証明書が必要になった時、印鑑登録ができないと非常に不便です。実印を使うケースは限られていますが、いつでも使えるように印鑑登録を済ませておくことをお勧めします。印鑑登録は、実印用に作成した判子と公的身分証明書に加えて、手数料が必要です。印鑑登録の後に発行される印鑑登録カードは、大切に保管しておきましょう。
④移す義務ある人が移さないと罰金
住民票を移す義務がある人が住所をそのままにしておいた場合、5万円以下の罰金を科せられます。就職先が実家から遠く大学卒業後も一人暮らしを続ける場合は、住民票のを一人暮らし先に移しておく義務が発生します。卒業後も一人暮らしを続けると分かった段階で、住民票の移動手続きを行いましょう。
住民票の移動手続きは、住所を変更する本人か旧住所の世帯主が行います。一人暮らし先が実家から遠い場合は、実家の世帯主に住民票の移動手続きを頼むことも可能です。また、委任状を書いて本人や世帯主以外の人物を代理人として手続きを行う方法もあります。ただし、委任状は引っ越しを行う本人が書かないと効果が無い点にご注意ください。
一人暮らしで住民票を移す変更方法
一人暮らしに伴い住民票を移す場合は、引っ越しの14日前~引っ越し当日に実家がある地域の市役所で転出届けを提出した後、引っ越し後14日以内に新住所がある地域の市役所で転入届を提出します。また、引っ越し先が同じ市町村内にある場合は、市役所に転居届を提出します。
①転出届の手続き
転出届けの手続きには、本人確認書類と印鑑に加えて印鑑登録証が必要です。マイナンバーカードを作っている場合は、カードも一緒に持っていきましょう。
転出届けを行う時は引っ越し先の住所を記入するので、引っ越し先の住所のメモを持参すると手続きがスムーズに行えます。転出届けの手続きが終わると転出証明書が発行されるので、なくさずに保管しておきましょう。
マイナンバーカードを持っている人が転出届けの手続きをするときは、特例転出として扱われるため転出証明書は発行されません。特例転出では、マイナンバーを通じて引っ越し先の自治体へ転出証明情報が送られるのです。なお、マイナンバーカードで転出届けを行う時は、暗証番号を入力します。暗証番号を正確に入力するため、控えを持っていきましょう。
②転入届の手続き
転入届に必要なものも、基本的には転出届けと変わりません。旧住所で転出証明書を受け取っている時は、一緒に持っていきましょう。
転出届けの手づ続きでマイナンバーカードを使った場合は、転入届でもマイナンバーカードを使います。転出届けの時と同じく、暗証番号が必要なので忘れないようにしましょう。転出届けの手続きが完了すれば、住民票の住所移動は完了です。
転出届けの場合は郵送での手続きが可能ですが、転入届は郵送での手続きができません。単身の一人暮らしでは、引っ越しをする本人が手続きを行うのが基本です。どうしても手続きができないときは、代理人を立てて転入届の手続きを行いましょう。代理人が転入届を行う時に必要なものは各自治体で異なる場合があるので、事前に確認しておきましょう。
③転居届の手続き
引っ越し先が同一市町村内の場合は、転居届けの手続きを行います。転居届の手続きは、引っ越し後14日以内に行わなくてはなりません。手続きが出来るのは本人と世帯主、本人と同じ世帯に住む人に限られています。必要なものは転出・転入届と同じで、代理人による手続きも可能です。
e転居を利用するときの注意点
住民票を新しい住所に移動する時間が取れない時や、一人暮らしの期間が分かっている時は、e転居を利用して新住所に郵便物を届けてもらう方法もあります。e転居は日本郵便の公式HPから無料で利用できますが、2つの注意点を把握していないとスムーズに利用できません。e転居に登録する前に、注意点をおさえておきましょう。
登録から利用できるまで時間がかかる場合がある
e転居にサービス登録をしても、利用できるまで1週間程度の時間がかかる場合があります。そのため、e転居を利用したいときは、引っ越しの日程が決まった時点で利用登録をしておきましょう。e転居のサービス登録では携帯電話の番号登録があるので、手元に携帯電話を用意してください。
転送期間を過ぎた郵便物は送り主に戻される
e転居の転送期間は、申請した日から1年間と決められています。転送期間を過ぎた郵便物は送り主へ返されるうえ、送り返されたという知らせも届きません。転送期間が近い時は、住民票の住所を変更するか、サービスを更新する手続きを行ってください。更新手続きを行うと、更に1年間e転居のサービスが利用できます。
一人暮らしで住民票の変更義務ある人は必ず手続きをしよう!
一人暮らしに伴い、住民票の住所や世帯主と続柄を変更する義務がある人は必ず変更手続きを行いましょう。変更手続きをせずに放置すると、日常生活でデメリットが発生するだけでなく罰金刑に課せられることがあります。住民票の移動は簡単にできるので、引っ越しの前後で住民票の移動手続きを忘れずに行ってください。