キッチンの間取りに失敗しないポイント
キッチンは一日に、何度も作業を行う場所です。そして調理をする人にとっては、作業がしやすく快適な場所にしたいと、誰もが思っています。そんなキッチンにするには、キッチン内での動き方のシュミレーションと、キッチンや家具、インテリアの寸法とレイアウトを考えておくと失敗しません。
キッチンの間取りで失敗しないポイントは、まずは、ご自分の理想のキッチンを決めていきます。キッチンを、どの方向に向かって作業をするレイアウトにしたいのか、から決めていきます。このレイアウトから、冷蔵庫や吊戸棚やカップボードや家電収納・ごみ置き場などのレイアウトも、合わせて決めていきます。
キッチンに収納したい物は、たくさんあります。それらを使いやすく収納できて、さらに動線のよい間取りにするのが理想のキッチンです。ではレイアウトのアイデアを解説しながら、失敗しない間取りのポイントを、ご紹介します。
作業台・インテリアなどの寸法を最初に決める
始めに、キッチンのスタイルと、キッチン内に置きたい収納家具や冷蔵庫・インテリアなどの大きさや、レイアウトを決めていきます。キッチンのサイズとスタイルは、キッチンスペースに見合った横幅で、ダイニングとリビングの間取りのレイアウトも合わせて決めていきます。
次にキッチンの高さを決めます。キッチンの高さ決めは、失敗しない間取りのポイントです。高さ選びを失敗すると腰痛の原因になるからです。キッチンの作業台で調理したり、洗い物をするには、ご自分の身長に合った高さにします。一般的なキッチンの高さは80・85・90㎝から選べます。
そして、キッチンメーカーでは身長÷2+5㎝が推奨の高さで身長が160㎝の方であれば、天板の高さは85㎝が使いやすいとされています。
作業台ではコンロでの調理・作業台での食材のカットや調理・シンクでの洗い物など動作の違う作業を行います。ですから身長160㎝の方の使いや高さは、コンロでの作業は85㎝が使いやすいが、シンクでの洗い物は、水ハネが少ない90㎝にしたい人が多いようです。
しかし、このような設計は、システムキッチンの天板が一体化している形状では、出来ないので実際のキッチンメーカーのショールームで、体感して高さを決めます。
調理や洗い物が苦痛になる原因としては、食材のカットを、するときに力が入りにくかったり、洗い物で腰が痛くなったりするのは、キッチンの高さが合っていないから起こる現象です。長時間同じ姿勢で作業をするキッチンでは高さを選ぶことは失敗しないポイントです。
また、キッチンでの間取りで失敗しないポイントに、収納家具やインテリアの寸法を把握していなかった、ためにレイアウトが上手にできない、という失敗例があります。
キッチンに持ってくる物を収納する家具やインテリアは、持ってきやすいレイアウトにすると、作業効率の良い動線となります。収納家具やインテリアの寸法を把握して、キッチンのサイズと共に、レイアウトを考えます。
キッチンの動線を意識して調理器具を置く
キッチンで一番、作業効率をよくしたい作業が調理です。その調理時の動線を、シュミレーションしてみてください。冷蔵庫や収納家具から食材を取り出す→作業台でカットする→加熱機器で調理する→調理器具を取り出す→調味料を用意する→食器を用意する→ダイニングへ運ぶ、などがあります。
このようにキッチン内での動線を意識して、物を収納します。特に調理器具はすぐ、取り出せる場所に置ける収納にします。動線がスムーズで短くすることで作業がしやすくなります。
キッチン内での動線は「ワークトライアングル」と言われ、調理中は「シンク」「加熱機器」「冷蔵庫」の3ケ所を行ったり来たりしながら作業をします。この3ケ所が動きやすいレイアウトになっているのが、理想のキッチンということです。この動きをシュミレーションした間取りにするのも失敗しないポイントです。
コンセントは多く準備したほうが良い
キッチン内では家電製品を、たくさん置きます。その都度差し替えるのも面倒です。そして据え置きとする家電製品の炊飯器・電子レンジ・トースター・湯沸かしポット・コーヒーメーカーなどはレイアウトを、決めておき、その位置にコンセントを設置します。
またハンドミキサーや携帯電話の充電などを、キッチン内ですることも考えておくとよいです。コンセントの設置場所のアイデアとしては、調理場のそばとカウンターテーブルのそばです。また、キッチンの種類の中には、対面キッチンの作業台付近や、シンク下にコンセントを設置できるメーカーもあります。
ゴミ置き場・器具などのレイアウトを決める
キッチン内ではゴミ置き場のレイアウトも決めておきます。キッチンの種類によっては、シンク下やカップボードにゴミ箱を、セットできるものもあります。またゴミ箱の分別の仕方や、使いやすい形状やインテリアとしてのデザインなどを見極めて、サイズとレイアウトを決めておきます。
またキッチンの器具として、食器洗い乾燥機の設置をどうするかを決めていきます。キッチンに組み込めば作業台が広く使えます。また作業台に置くタイプは組み込み式よりも、使い勝手は楽です。そして、どちらにしても、洗いカゴの置き場所も考えておかなければなりません。
キッチンの種類によってシンク周りの作業台のスペースに違いがあります。また天板の長さが同じでも、シンクの広さを何種類から選べるキッチンもあります。天板の長さが同じでも、シンクの広さで作業台のスペースが変わるということです。
パントリーの有無を決める
またオープンタイプでキッチン内がダイニングやリビングから見える場合や、収納場所をたくさん確保したい場合に、パントリーを設置する間取りがあります。パントリーを設置すると、大容量の収納ができるので物の多いキッチンでは便利に使えます。
食材・食器・調理道具・キッチン用品のストックから料理本までキッチン廻りに、あると便利な物をまとめて収納できるメリットがあります。また居室のように壁で仕切る作り方では、来客時のときの片付け場所として使えます。
換気扇の位置を意識する
キッチンの加熱機器には換気扇を設置します。換気扇は外壁の排気口にダクトを使って設置します。換気扇には、壁に背面を付けるタイプ・側面を壁に付けるタイプと、壁に接しない天井にダクトを抜くタイプがあります。またインテリア性のデザインで選ぶこともできます。
換気扇のタイプは加熱機器の位置により、選ぶことになります。換気扇の価格は背面を壁に付けるタイプ→側面を壁に付けるタイプ→壁に接しないタイプの順番で価格が高くなりますので、そのことも考慮して加熱機器の位置を決めます。通常は加熱機器は右か左のどちらかに寄せて設計されています。
ですからキッチンを背面や側面のどちらかを壁に寄せれば、加熱機器は壁側になります。そして壁に付けないアイランドスタイルのキッチンでは天井からダクトを抜き外壁まで繋ぐ設計です。
ダイニングテーブルの寸法と置き方を決める
ダイニングテーブルの寸法やレイアウトは、キッチン内で作った料理を、持って行ったり、キッチンへ片付ける動作を、シュミレーションして決めます。対面キッチンやアイランドキッチンの背面には、収納とすることもできますが、ダイニングテーブルのレイアウトで背面収納が活かされないのであれば、必要ないです。
ダイニングテーブルのレイアウトのアイデアとしては、対面式なら短辺をキッチンの背面か側面に近づけると、動線は短くなります。しかしテーブルを回遊できないデメリットもあります。
キッチンがI型の特徴と活用アイデア
キッチンのI型とは一列に加熱機器・作業場所・シンクを並べたタイプです。このキッチンのレイアウトアイデアは、背面を壁に付けるスタイルと、対面キッチンとするスタイルです。対面キッチンにするアイデアは、造作でキッチンカウンターや、対面となる背面の壁を造作する方法です。
また、あらかじめ対面スタイルのI型キッチンもあり、キッチンカウンターや背面を収納とすることもできます。キッチンのフロアーキャビネットはユニット式で、お好みの機能を天板サイズ内で組み合わせることができます。
I型キッチンはキッチンスタイルの中では、一番コンパクトに設計できます。狭いキッチンでキッチンスペースで場所を取りたくない場合や、予算が気になる方は造作の対面キッチンを考えてみます。またI型のキッチンの使い勝手はどうでしょう、メリットとデメリットを、ご紹介します。
間取りがI型のキッチンのメリット
I型キッチンのメリットは、コンパクトにレイアウトがされているので、設置スペースを取らないことです。背面を壁に付けるとダイニングのスペースが広く取れます。また対面式のキッチンにしたいけれど、キッチンのユニットにすると高価になってしまう場合には、造作で対面式にもできることです。
そして造作の対面キッチンでは背面の収納や、カウンターの高さが、ご自分のアイデアで設計できることもメリットです。
間取りがI型のキッチンのデメリット
I型キッチンで横の寸法を長くするスタイルでは、シンクから加熱機器までの横移動の距離が長くなります。そして、左右のどちらかを壁に付けた対面式のスタイルでは、キッチン内の出入り口が一か所と、なることです。二人以上でキッチンに立ちたい場合や、料理をダイニングに運ぶ動線を考えてください。
またI型キッチンの背面を壁に付けるスタイルでは、食器棚や冷蔵庫も横並びとなると、その場所までの動線も長くなります。このように横寸法が長い場合は、動線が長くなることがデメリットです。
キッチンがII型な場合の特徴と活用アイデア
キッチンのⅡ型はセパレート型とも言われています。加熱機器と作業台・シンクと作業台などのレイアウトで加熱機器とシンクを分けたスタイルです。加熱機器の脇とシンク脇に作業台が付くので調理スペースや物の置き場が充実します。
またフロアコンテナも増えるのでキッチン下部分の収納量も充実します。一般的には加熱機器の背面側を壁に付けて、シンク台をアイランドスタイルで、両側からキッチン内に出入りできるレイアウトとします。活用アイデアとしては、アイランドスタイルとした、シンク台周りのインテリアが楽しめることがあります。
シンクは対面方向に設置しますから、ダイニングやリビングが見渡せたり、コミュニケーションが取りやすくなります。
間取りがII型のキッチンのメリット
Ⅱ型のキッチンのメリットは横の寸法を抑えながら、作業スペースが多く確保できることです。作業台は調理をするだけでなく、洗い物の置き場や調味料や調理器具・家電製品なども置けると便利です。また作業台が多いと複数での調理ができます。
特にシンク側の調理台は、アイランドスタイルにすると、3方向から作業を行えます。そして作業動線も2列に並べると振り向いて数歩の動きで、作業が始められるので効率のよいレイアウトです。
間取りがII型のキッチンのデメリット
Ⅱ型のキッチンのデメリットとしては、I型よりも価格が高値になります。キッチンは置き型の収納家具のように、移動することができないので、模様替えをすることは出来ません。そしてシンク側は対面キッチンとなりますが、加熱機器側は壁に向かっての調理となるので、ダイニングやリビングの様子を見ることはできません。
キッチンがL型な場合の特徴と活用アイデア
L型のキッチンは加熱機器と調理台・シンクの3ケ所の「ワーキングトライアングル」の動作をコンパクトなキッチンでまとめるには、効率の良いキッチンのレイアウトです。調理台から加熱機器までも振り向いて数歩で移動できますし、シンクからも少ない動線になります。
Lの長い寸法がシンクと作業台で、短い寸法が加熱機器と作業台になります。レイアウトのアイデアは、キッチン内のコーナーに、全体の背面を壁に付けるタイプと、長い寸法のシンク側を、対面キッチンにする方法があります。
間取りがL型のキッチンのメリット
L型キッチンのメリットとしては、横寸法の狭い間取りでも、効率の良いレイアウトのキッチンにできることです。I型に比べると価格はアップしますが、Ⅱ型程の価格差はありません。横の寸法は短い間取りでも、コーナーのスペースがあれば、作業台の面積を広くとれるキッチンにできます。
間取りがL型のキッチンのデメリット
L型キッチンのデメリットとしては、コーナーのフロアコンテナの収納部分が収納しずらいことです。キッチンの種類によっては、出し入れのしやすいアイデアを、取り入れた設計としている物もありますが、どうしても形状の問題で、収納内が暗く出し入れがしにくくなります。
キッチンがU型な場合の特徴と活用アイデア
U型のキッチンは、キッチンスペースを無駄なく収納ができて、作業台が多く使えます。キッチン内では物を置く事が多い場所ですから、カウンターやオープンタイプの棚が多いと、便利です。I型キッチンとカウンタータイプのカップボードのレイアウトでもよいのですが、U型キッチンでは天板が一体となります。
インテリアやキッチンでは、いろいろなサイズの家具を、いくつか置くよりも、大きな家具で一体としたデザインのほうが、掃除も楽で、インテリアの奥行も揃うので、見た目がスッキリと見えます。
間取りがU型のキッチンのメリット
キッチンスペース内が、統一されたキッチンにできるのが、U型キッチンのメリットです。一体とした天板の広さは、作業台や物の置き場として便利に使えます。フロアーコンテナの収納も大容量ですから、調理道具や大皿の収納もできます。また一辺をダイニング側に向けると、対面キッチンのレイアウトができます。
吊戸棚も合わせて付けると、食器類の収納もできますから、他に収納家具を置く必要がありません。そしてデザインの統一されたキッチンでキレイに見えます。
間取りがU型のキッチンのデメリット
U型キッチンのデメリットとしては、コーナー部分の収納は、出し入れがしにくいことと、作業台が奥まで手が届きにくいことがあります。またU型キッチンを設置するには、広い面積が必要とすることです。作業台が多く使いやすい分面積が必要になると言うことです。
キッチンがアイランド型な場合の特徴と活用アイデア
アイランド型のキッチンは壁に接しない置き方をします。ですから回遊式となり、どの方向からでも、キッチンに立つことができるのが特徴です。ダイニングと対面できるので、家族とのコミニュケーションが取りやすいキッチンです。
またキッチンを囲むように人が、立てるので大勢での調理が楽しめます。またカウンターテーブルを兼ねたタイプでは、奥行も深くなるので、フロアーキャビネットの収納量が多くなります。
その奥行が深いことで、キッチンの存在が部屋のインテリアのようなスタイルになるので、デザインがおしゃれなタイプが揃っています。しかしオープンタイプのキッチンは、全てが見えてしまうので、キレイにしておく時間がない方には失敗したと感じる方もいるので、その点に注意してください。
間取りがアイランド型のキッチンのメリット
キッチンの周りを回遊できるのがU型キッチンのメリットです。左右からキッチン内に出入りできるのは、ダイニングからや、廊下からなどの出入りが便利です。また3方向から囲んで作業のできる作業台では、料理教室など調理を楽しむときに便利です。
間取りがアイランド型のキッチンのデメリット
アイランド型のキッチンは、他のキッチンに比べると、奥行を深く設計しているので、場所を取ってしまうことがデメリットです。キッチンやインテリアをレイアウトするには人が、動きやすいスペースが必要です。そして狭い空間に大きなキッチンや、インテリアをレイアウトするのは、より部屋を狭くしてしまいます。
またキッチン内がダイニングやリビングから、見えやすいのがデメリットです。キレイにしておくことのできる方では、問題ありませんが、忙しい方や、キレイにしておける自信のない方には、失敗したと感じる方もいます。
そして加熱機器がダイニングやリビングに近い事で、料理の臭いや油はねが、そちらにも行ってしまうことと、シンクでの水ハネがパネルなどを設置しないと、ダイニング側にも行ってしまうことです。
キッチンがペニンシュラ型な場合の特徴と活用アイデア
キッチンのペニシュラ型はI型の対面キッチンと、背面にカウンタータイプのカップボードをレイアウトするスタイルです。作業動線は横移動となりますが、振り向いて数歩で冷蔵庫や食材・食器・調理道具などが収納できるので、使い勝手のよいレイアウトです。
間取りがペニンシュラ型のキッチンのメリット
ペニシュラ型のキッチンは対面キッチンのことで、キッチンでの作業をしながら、ダイニングやリビングが見渡せて、作業中でも家族とのコミュニケーションが取れるレイアウトです。背面の壁には冷蔵庫・収納・カウンターなどにしておくと、振り向き少しの移動で食材や食器が取れるので便利です。
またインテリアで飾りたい場合にはオープン棚にするアイデアもあります。棚に、お気に入りのインテリアを、見せるように飾ることができます。
また大収納にしたい場合は、壁面一面を収納を収納とする方法があります。そしてカップボードもユニット式ですから、ゴミ箱とできるユニットや、蒸気を排出してくれる機能のユニットを組み込むと炊飯器や湯沸かしポットを収納することができます。
間取りがペニンシュラ型のキッチンのデメリット
ペニシュラ型のキッチンのデメリットは、左右のどちらかは壁に付けるレイアウトになります。ですからキッチン内への出入り口が1ケ所となるので、複数での作業がしにくいことがあります。また調理台・加熱機器・シンクの移動は横移動となるので、横の寸法が長いと移動が長くなります。
キッチンは動線を意識することで使いやすさが決まる
キッチンのスタイルとレイアウトは、調理をする作業で冷蔵庫・シンク・作業台・加熱機器・ダイニングテーブルへ料理を運ぶのことの一連の作業が、スムーズに行える動線となっているか、そして移動距離やキッチン内での作業をする人数などに、対応できているのかが、キッチンで失敗しない間取りのポイントです。
また、ダイニングテーブルが使いやすい位置に、希望のサイズがレイアウトできているのか、も考慮します。他にも来客を招いたときの、玄関からリビングの動線に、キッチン内が見えてしまう、ことを嫌がる方もいます。
またキッチンと洗濯場や浴室を、そばに配置して、家事のしやすい間取りにしたい、日差しの入る明るいキッチンにしたい、などキッチンスタイルやレイアウトを決めるには、考慮したいことがたくさんあります。
ですから一階全体の部屋の間取りを、パズルのように、どのように組み合わせていくかで、キッチンのスペースやスタイルが決まっていきます。建築面積に限りがあるほど、リビングの広さを優先させた場合は、キッチンのスペースも狭くなります。
その限られたスペースに見合った、キッチンのスタイルやレイアウトを考えることも、失敗をしないキッチンの間取りとも言えるでしょう。