保健師の年収を徹底調査!
医療に関わる仕事には、医師、薬剤師、理学療法士、看護師といった仕事があります。しかし、もっと身近にいながらあまり意識されていないのが保健師という職業です。
保健師を目指すと言っても、いったいどんな仕事があるのか、どこで仕事をするのか、あまり知られていません。また、どれくらいの給与がもらえるのか、年収はどのくらいなのか、安定しているのかということも話題になりにくく、目指す学生の中には不安を抱えている人もいます。
そこで、保健師を目指す人のために、保健師の仕事と給与、年収、ボーナスはもらえるのか、そしてどんな現場での需要があるのかといったことを調べてみました。身近なところで活躍している保健師について、色々な方向からご紹介をして行きましょう。
保健師の仕事とは?
保健師には、自治体で働く地域保健師(行政保健師)、校保健室で働く学校保健師、企業で働く産業保健師があります。地域や校の子どもたち、企業で働く人たちの健康を管理する仕事です。
保健師は所属する場所や待遇によって、それぞれ仕事内容も給与も異なってきます。しかし、その根本にあるものは人々の健康全般に関わる仕事です。身近なものでは、健康診断や予防注射、両親学級、インフルエンザの危機管理などで関わりを持ったことがあるのではないでしょうか。
身近な職業なのに、意外と知られていない保健師という仕事について、皆さんはどれくらいご存知でしょうか。保健師になりたいけれど、どうやったらなることができるのでしょうか。そして保健師の給与、年収、ボーナスはどれくらいもらうことができるのかご紹介しましょう。
働き方は3種類
保健師には「地域保健師・学校保健師・産業保健師」の3種類があります。地域保健師または行政保健師と呼ばれる人は、自治体の職員として地域の人々の健康に関わる仕事をしています。
両親学級や育児相談、自治体が地域の人に提供しているがん検診や健康診断、予防接種などの手配や管理、相談などに乗っています。私たちが思い描く学校保健師は、学校の保健室の養護教諭で、子どもたちのけがの手当てや病気の子どもの世話、健康診断などの手配などを行っています。
産業保健師は、産業医と言われる企業相手の病院との関わりを持ったり、企業内で働く人たちの健康管理や栄養指導をしています。勉強でも仕事でも、良い結果は健康あってのことです。保健師はこういった労働者の健康を支える働きもあり、年収もそれに応じて高額な企業もあります。
健康的な生活のための支援が仕事
私たちが楽しく毎日を送るためには、健康であることが第一です。地域の人や子どもが病気にならないように予防接種をしたり、健康的な生活を送るために正しい食生活をおくることを指導します。
地域の人の健康を支援するのは、地域の保健師の仕事です。地域で働く人や住んでいる人すべてが、健康で楽しく生活するためには、入り口となる人間が必要です。病気になったときの出口に関わる人が医師なら、病気にならないための入り口が保健師の役割です。
そのため、看護師の免許を持っているひとや教育学部の養護教諭の人が、保健師になることが一般的です。給与は所属する自治体や企業、病院、学校で異なってきます。自治体で働くには公務員になりますが、企業や病院、私立学校の場合はそれぞれ給与や年収などが異なってきます。
仕事内容に対して年収が低いという話も
医療に関わる仕事には、医師や薬剤師、看護師、理学療法士、作業療法士、レントゲン技師などがいます。保健師もここに関わる一人ですが、所属する場所によって待遇は異なってきます。
同じ公務員の中でも、自治体によって給与や年収が異なるように、保健師の年収も異なります。大きな政令指定都市や、大企業や工場などを誘致してる自治体と、過疎化が進み住人が高齢者と、子どもばかりになった自治体では、自治体の財政が全く異なり公務員の年収も大きな差があります。
そのため、同じ地域保健師や行政保健師の中にも、給与や年収に差が出ています。学校保健師は公立の場合教員免許も必要な養護教諭ですが、私立の学校保健師はピンキリで、学校単位で条件が違い年収も違います。そのため、仕事内容に対してい、給与や年収が少ないという人もいます。
保健師全体の平均年収
地域保健師の年収は、その地域の公務員とほぼ同じ年収です。公務員の多くは、年功序列方式が多く、年齢によって年収は違います。また、産業保健師はキャリアによって異なることもあります。
保健師も看護師や教員同様、キャリアを重ねることで年収やボーナスの額は異なります。しかし、同じ学校や会社で、1人の保健師を雇用するなら、安い給与の若い保健師の方が良いという場合もあります。キャリアと年齢によっては30代、40代でも1000万円以上の年収になる保健師もいます。
しかし、保健師にも月給制の正規職員ばかりではありません。訪問看護ステーションで仕事をしたり、保育施設、自治体や学校で働く時給制の職員もいます。それでは、保健師全体の平均年齢や平均年収は一体どれくらいになるのでしょうか。普通の仕事どう違うのでしょうか。
全体平均年収は500万円前後
保健師の場合は、公務員として働く人、学校や病院の法人職員として働く人、パート従業員として時給制で働く人がいます。同じ保健師でも給与や年収は違い、高額収入の人もそうでない人もいます。
保健師の平均収入は年収500万円と言われています。しかし、ほとんどは公務員のため安定しています。年齢を重ねるうちに、徐々に年収は上がっていきます。中にはボーナスを入れた年収が700万円を超えている人もいます。一般的に40代の平均年収が400万円ですので、かなり高額と言えます。
しかし、一方で40代の保健師の中には年収460万円と平均値とほぼ同額の人もいます。専門の大学に進学し、資格を取っても平均値の年収では、仕事内容に対して収入が少ないのではと考えている人もいます。中でも非正規雇用は、最低賃金より少し上といったところでボーナスがないこともあります。
月の給与は39万円くらい
年収の平均が500万円というと、そのまま12カ月で割ると給与は39万円です。しかし、保健師のほとんどは、公務員や法人職員になるため、ボーナスがきちんと出たうえでの年収となります。
公務員のボーナスが月収の5か月分と考えると、月収はおよそ30万円くらいです。40代では、給与が30万円で、夏冬のボーナスで150万円、年収510万円というのがおよその収入になります。安定していて年収510万円なら高額かもしれません。しかし、医療現場の中では高額年収とは言えません。
医療現場の人は、年収1000万円くらいもらっているのでは、と思っていた人は、意外と普通だと驚いたことでしょう。そして、この金額は税込、社会保険込みの金額で「手取り」ではありません。手取りは皆さんと同じ様に、引かれますので給与の手取りは25万円前後になります。
年齢別保健師の平均年収
地域保健師は、同じ公務員でも医療職給与で市民病院の看護師と同じ給与基準です。同じ等級のレベルの一般職が285,000円のところ、市民病院の医師は462,500円、保健師は309,900円になります。
しかし、これは年齢や職能によって異なり、同じ保健師でも年齢だけでなく、仕事内容によって数段階に分かれています。同じ階級でも給与は285,000円の一般職や306,900円の薬剤師、栄養士よりは高め、320,400円の消防士や、360,400円の教員よりは低めというのが保健師の給与になっています。
さらに、非正規の場合、教員や保健師の給与は資格職としては格安で、しかも自治体では非正規の職員に頼っている部分が多いことが現実問題になっています。それでは、正規職員、非正規職員を含めた保健師の年齢別給与は一体どれくらいなのでしょうか。
20~29歳
保健師は、原則看護師の免許を取ったのち保健師に必要な課程を修了し、初めて保健師の国家試験に臨むことができます。そのため、専門学校や短期大学の看護課程では簡単に取ることはできません。
4年生大学の中には、看護師と保健師の免許に必要な課程を取ることができる大学もあります。また、教育学部の養護教諭から保健室の先生になる人もいます。そのため、最年少でも22歳以上になり、一般の大卒初任給とほぼ同じくらいの給与20万円程度、後半で27万円ほどです。
地域保健師や学校保健師になれば、公務員や法人職員のためボーナスが約束されていますので、給与以外にボーナスが出るため、年収は20代前半で320万円、後半で400万円が平均です。地方の都道府県でも保健師は必要となり毎年採用試験はありますが、枠が1名というところもあり狭き門です。
30~39歳
30歳代の女性の場合、結婚子育て期になります。キャリアを積んで年収は徐々に上がっていくことが多いですが、子育てで正規職員を辞めてしまう人もいます。
正規職員の場合は、キャリアアップによって給与が上がるため、年収も上がり20代の1.1倍~1.5倍になります。少ない人でも給与は30万円、多い人は33万円ほどで、ボーナスを含めた年収は400万円~520万円と自治体や企業によって差が開いていきます。
中でも非正規の保健師は、時給1,500円~2,000円の時給制です。介護や障碍者福祉施設の保健師、訪問看護ステーションで働くとしては、低めの求人もあります。さらに、自治体によっては半日で3,000円と決められていて、最低賃金を割っているところもあり、待遇によって様々です。
40~49歳
40代に入ると、保健師としてはベテランの域に入ってきます。地域保健師なら自らも出産を経験し、両親学級の運営などを任されることもあります。その分給与も年収もアップしていきます。
給与は36万円~41万円、年収は460万円の平均値から650万円と高額収入を得られる職場もあります。人気の自治体の地方公務員の場合、一般職の倍率が2~5倍のところ、保健師は10倍以上の倍率を勝ち取って職員になるのですから、それだけの見返りがあっても良いのかもしれません。
一方で、子育てを理由に正規職員を辞してしまっている人は、年齢を問わず時給制で非正規の仕事を受けることになります。しかし、キャリアを積んでいると、初年度の時給も年収も多少違ってきますので、複数業種の仕事をするよりは、保健師の資格を活かした仕事を続けることをおすすめします。
50~59歳
50歳代の保健師は、ずっと同じ場所で続けていると、ベテラン職員として責任ある立場になっていきます。年収も590万円~700万円と一般企業と同じくらいの年収になる人もいます。
年収1000万円を超える仕事をしたい、と思っていないなら安定した良い仕事です。月収は40万円以上となり、男性でも家族を十分に養える額になっていきます。そのため、保健師の多くは女性ですが、男性の保健師も増え、学校の保健室には男性の養護教諭も存在します。
男性が多い企業の産業医や産業保健師は男性も多く、生活習慣病やメンタル不安の相談や、アドバイスを行う仕事もあります。高齢者に携わる人も多く、力仕事では男性の保健師の人は、大変重宝されています。年収分税金も増額されますので、手取りは増えた感じはないかもしれません。
60歳~
ほとんどの自治体や企業は、60歳定年を推奨しています。そのため、60代になると給与や年収が急に下がってしまう人もいます。それは資格職の保健師も民間企業のサラリーマンと同じです。
そのため、50代で年収580万円前後の人でも390万円くらいまで下がります。また、正規雇用が終わってしまう人も多く、その後転職によってキャリアを認めてランクアップしてもらえる会社もありますが、多くの人は100万~200万円程度の減収となります。
このように、年齢によって同じ保健師でも給与は様々です。一般的にはキャリアを積んだ40代、50代の方が給与は増額になっています。しかし、企業が年功序列制度を廃止するところが増えてます。また定年を70歳まで引き上げるとい方針で、保健師の年収にも変化があるかもしれません。
働き方別保健師の平均年収
保健師は自分が所属する場所、行政や企業、学校によって仕事内容も給与、年収も異なります。年齢でしっかりとアップするところもあれば、ほとんど差がつかないところもあります。
また、保健師は資格職のため大学名などには左右されません。むしろ働き方や、所属する自治体、内容によって異なってくるため、大変なのに給与が安いというところもあれば、それほど大変ではないけれど、安定していてしかも年収が良いというところもあります。
特に、産業保健師は所属する企業や病院でかなり差がありますので、自分でより良い条件のところへ行くためにも、多くの仕事スキルをこなして、キャリアアップして行くことも大切です。特に、年齢に関わらず能力で給与の査定をする企業は、自分の能力を生かす機会があるかもしれません。
行政保健師
私たちにとって身近な保健師は、地域保健師、行政保健師になります。行政保健師には保健所保健師と自治体保健師があります。いずれも予防接種や健康教室、両親学級など健康支援を行っています。
採用は都道府県や市町村で行われ、毎年新しい人を採用するとは限らないため、倍率は10倍を超える狭き門となっています。一方で、地方自治体では高齢者の介護医療問題、医療問題を抱え人手不足の自治体も多く、財源はないけれど保健師が不足しているというのが現状です。
行政保健師の仕事は幅広く、妊娠中の女性から高齢者まで、多種多様な地元住民の健康の要望に応える仕事です。しかし、財源は税収のため地方格差というものが生じます。40代平均年収600万円を超えるといわれますが、それは東京や大阪など都市部で、地方は年収が100万円ほど低い地域もあります。
産業保健師
産業保健師は産業医や衛生管理者などコーディネーターとチームを組んで、企業で働く労働者の健康管理を行っています。所属する場所によって給与格差があり、国外で仕事をする人もいます。
労働者を対象に仕事をする産業保健師は、生活習慣病やメンタルヘルスに関わることが多く、健康面での企業コンサルタント的な役割を担っています。そのため健康産業コンサル会社では、キャリアや実績次第では初任給の給与が30万円、年収400万円を超える会社もあります。
パート社員でも時給2000円以上、週に数日勤務で月12万円~15万円と子育てと両立しやすい職場も多くあります。健康診断で生活習慣病やメンタル障害を心配された人へのケアや保健指導、重症化しないためのアドバイザーとしての仕事で、そこそこの年収を期待することもできます。
学校保健師
学校保健師の主な仕事は、学校内の保健室での養護教諭となります。皆さんも、小学校や中学校など学校内でお世話になったり、保健室の掲示物を見たことがあるのではないでしょうか。
正確には、学校保健師という身分はなく、ただ保健師の資格だけでは学校の保健室の先生にはなれません。専門学校や私立では保健師でも保健室業務をこなすことができますが、公立小中高等学校の保健室の先生は養護教諭です。教員免許も必要となり年収も教員と同率です。免許更新もあります。
公立は教員採用と同じで、地方保健師、行政保健師よりも給与は月で5万円、年収で80万円ほど高くなります。40代では年収が600万円を超えることもあります。子どもたちの健康や教職員の健康管理が主な仕事ですが、保健室登校の児童の授業指導をすることもあり、教員と同様に責任ある仕事です。
年齢別保健師の平均ボーナス額
ボーナス、賞与というものが当たり前にもらえるもの、と考えている人もいます。しかし、職種や所属する場所によっては無償、または年棒制のため給与に反映されているという場合もあります。
また、年功序列方式が残っている企業や公務員の場合は、年齢によってボーナスの額の上昇しますが、出来高制の企業では毎年の査定によって異なる場合もあります。非正規雇用の場合は、年収も低くボーナスがないことも珍しくはありません。
特に、産業医とチームを組む場合は、チームで新しい企業との契約を結ぶ場合もあります。仕事が増えれば、それだけボーナスも増え、年収もアップします。そこで、年齢や仕事内容、種別によってどれくらい年収が違うのか、ボーナスの有無なども考えながら、ご紹介しましょう。
20~29歳
同じ20代の公務員でも、行政保健師、地方保健師と学校の保健室の先生では給与が異なります。学校の保健室の先生は「養護教諭」で保健師だけの免許ではなることができません。
採用時の給与に3~5万円ほどのちがいがあるため、ボーナスの額も必然的に20万円くらい違ってきます。もちろん、保健室の先生そのものの採用数が少ないため、毎年数名の狭き門になります。普通の地方保健師なら、年間ボーナスは100万円前後ですが、学校保健師は120万円くらいです。
産業保健師は新卒での採用が少なく、少しでも医療現場でキャリアを積んだ人を求めていることが多くあります。転職なら20代でも給与が25万円前後、企業によってはボーナスが5カ月というところもあり、2回合わせて120万円を超えることもあります。
30~39歳
30代になると、キャリアを積んでいくため条件の良いところへ転職をする人も増えていきます。どうしても保健師の資格を生かしたい人は、初めは低賃金でも我慢して転職をする方法もあります。
行政保健師や地方保健師、保健室の先生を希望しても採用試験を突破するのは簡単ではありません。しかし、他の教科の免許があると院内学級でキャリアを積む方法もあります。安定した給与やボーナス、年収を求めるなら、そのまま養護教諭として先生を続けることをおすすめします。
地方保健師や学校保健師はただ安定しているだけでなく、30代のボーナスは年間100万円以上が保証されます。それ以上にジャンプアップしたい場合は、自分で産業医とチームを組み、起業するという方法もあります。しかし、それは自分の力でクライアントを見つける能力が必要になります。
40~49歳
40代の保健師では学校の保健室の先生「養護教諭」、地方保健師、産業保健師によって年収にも差が出てきます。安定とボーナスの良さでは養護教諭がダントツで150万円くらいになります。
普通の私立学校の学校保健師、産業保健師は採用する学校や企業によって大きな違いがあり、良いところでは養護教諭よりもよく、年間200万円以上になることも珍しくありません。しかし、待遇の悪い学校や自分でチームを組んで起業した場合は、ボーナスが出ない場合もあります。
また、産業保健師や学校保健師の場合、所属している場所で事故などがあり対応が遅れてしまうと、責任問題になることもあります。特にベテランの域に達している40代では、1人で仕事を任されていますので、それだけ責任が重くなっていきます。
50~59歳
50歳を超えると、いくら資格職でも転職は難しくなります。それまでにいた場所で、地道にキャリアを積み上げて、責任ある立場になることが一番重要になります。
地方保健師なら、年間のボーナスは180万円近くになり、年収も650万円以上で安定以上に価値がでてきます。学校の養護教諭は、教員の資格を有するためさらに給与も年収も良く、ボーナスも普通の地方保健師よりさらに上回っていきます。退職金も違います。
県や自治体の中でも色々な仕事を任されて、感染症の発生時には出張や視察などが増え、ボーナスが年間200万円を超えても割に合わないかもしれません。産業保健師もリーダー的な役割を任されて、高額になる人もいますが、パートで続けているとボーナスは数万円ということもあります。
保健師の平均年収は世間の平均より高め
保健師の平均年収は40代で500~600万円と世間の平均よりも高めです。しかし、それには専門の勉強と国家試験の合格が必要です。養護教諭になるためには教員免許も必要になります。
行政や学校に関わる安定した職業の保健師ですが、その仕事につくためにはたくさんの努力と狭き門に合格するだけの能力も必要となります。年収が世間の平均よりも高めであるのは、そういった理由もあります。
大学へ行って学生生活を楽しむことも一つですが、頑張って資格を取り採用されれば、生涯活用することができる資格です。また、勉強することで家族や周囲の人の健康管理を学ぶこともできます。保健師の資格を生かして、健康な生活を支えながら、安定した生活基盤を作ってみましょう。