ファイナンシャルプランナーの難易度は低い
「ファイナンシャルプランナー」と聞いて、どういう仕事をする人かどんな仕事内容なのか想像ができますか?
ファイナンシャルプランナーとは、顧客の家族構成や持っている資産の状況等を見て、それを元に不動産や教育、老後や相続のこと等、将来へのライフプランを構築する為の資金計画やアドバイスをする仕事です。主に保険会社や銀行等で働いています。
ファイナンシャルプランナーとして働く為には勉強するだけでなく、「ファイナンシャルプランナー試験」という試験を受験し合格しなければいけません。試験の難易度は意外に低く、日本に数多ある国家資格に比べると易しい試験です。常日頃から勉強をする学生や社会人の他、主婦でも簡単に受験することができます。
級によって難易度が違う
もちろん受験する級によって難易度は異なり、上にいけばいくほど難易度も上がります。3級はファイナンシャルプランナーの入門試験とも言えるほど易しい試験であり、2級も3級よりは難しくなりますが、急激な難易度の変化は見られません。しかし1級になると難易度は一気に上がり、特に学科試験の難易度は格段に跳ね上がります。
ファイナンシャルプランナーの試験は「日本ファイナンシャル・プランナーズ協会」が主催するものと金融財政事情研究会、いわゆる「きんざい」が主催するものと2種類あります。
受験料と受験日は同じですが、受験会場はそれぞれ異なるため、試験を受ける際には間違えないよう確認が必要です。又、ファイナンシャルプランナーの資格の価値はどちらで受験をしても変わらない為、どちらかの方が資格の価値が高いといったこともありません。
試験内容は学科試験は同じものですが、実技試験の項目がそれぞれ異なります。日本ファイナンシャル・プランナーズ協会主催の3級、2級共にの実技試験は資産設計提案業務。きんざい主催の試験では3級は個人資産相談業務、保険顧客資産相談業務、2級は個人資産業務、生保顧客資産相談業務、損保顧客資産相談業務、中小事業主資産相談業務が試験項目です。
ファイナンシャルプランナー3級の難易度
それでは具体的に試験の難易度や試験の合格率を見ていきましょう。ファイナンシャルプランナー3級の試験は数ある資格の中でもかなり易しい試験です。特に金融業界や保険業界に既に努めている方にとっては、普段の仕事が試験にそのまま活かされるため特に簡単に感じられるでしょう。
日本ファイナンシャルプランナー協会で実施された3級の合格率
ではまずは日本ファイナンシャル・プランナーズ協会主催の試験合格率を見てみましょう。こちらは学科試験が約70〜80%、実技試験が約80〜90%の合格率です。
3級では学科、実技共にマークシート形式の記述式の試験です。学科試験は60点満点中36点以上、実技試験は100点満点中60点以上が合格点になります。
きんざいで実施された3級の合格率
きんざいは学科試験が50〜70%、実技試験が個人資産相談業務が約60〜80%、保険顧客資産相談業務が約40〜60%の合格率です。
きんざい主催の実技試験は2つの項目から選択して回答します。それが、個人資産相談業務と保険顧客資産相談業務です。個人の方は一般の会社員のライフプラン構築、保険の方は一般の会社員が保険勧誘することを前提としたライフプラン構築について出題されます。
ファイナンシャル・プランナーズ協会は個人で受験される方が多いのに対し、きんざいの試験は法人申し込みで受験される方が多くいたり、より専門的な試験内容となる為、少し合格率が低くなる傾向があります。合格点は学科試験は60点満点中36点以上、実技試験は50点満点中30点以上で合格となります。
3級の総合的な合格率
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会、きんざい両方を合わせた総合的な合格率は約70%です。きんざい主催の試験の難易度が高いと言えどそれでも比較的ファイナンシャルプランナー3級の資格は他の資格と比べ取得しやすい試験と言えます。合格率が50%を切ることはほとんどないため、準備をきちんとしていればほとんどの方が合格を狙えるでしょう。
ファイナンシャルプランナー2級の難易度
では次に2級の難易度や合格率です。当然のことながら3級よりは難易度は上がります。そしてファイナンシャルプランナー2級を取得していると、銀行や保険業界、金融業界といった業界への就職にも大変有利に働き、就職後も即戦力として力を発揮できる場合も多くあります。そういった業界を目指す方はぜひ取得しておきたい試験です。
日本ファイナンシャルプランナー協会で実施された2級の合格率
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会主催の2級の合格率は学科試験が約40〜50%、実技試験が約50〜60%です。
学科試験はマークシート形式の筆記試験、実技試験は記述式の筆記試験です。合格点は学科試験が60点満点中36点以上、実技試験が100点満点中60点以上で合格になります。
きんざいで実施された2級の合格率
きんざいは、学科試験が20〜30%の合格率です。実技試験は2級では4項目からの選択となります。ではそれぞれの合格率を見てみましょう。
実技試験は、個人資産相談業務が約20〜40%、中小事業主資産相談業務が約30〜50%、生保顧客資産相談業務が約40〜50%、損保顧客資産相談業務が約60〜70%の合格率です。それぞれ全く合格率が異なります。
個人は3級と同じく一般の会社員へのライフプラン構築。中小は中小企業オーナーに対してのライフプランの構築です。そして生保と損保は一般の会社員がそれぞれの保険に加入することを前提としたライフプラン構築について出題されます。合格点は学科試験が60点満点中36点以上、実技試験が50点満点中30点以上で合格です。
2級の総合的な合格率
2級の全体的な合格率は3級よりも大きく下がり、約20〜30%です。どの資格のそうですが、級が上がるごとに試験の内容や合格率は下がっていきます。出題範囲そのものは3級とあまり大差はないようですが、より深い知識が必要となります。その分仕事に活かせる面も増えてくる為、金融業界を目指す方は持っておいて絶対損のない資格です。
ファイナンシャルプランナー1級の難易度
では1級の難易度、合格率です。当然のことながら難易度は2級よりも上がります。試験範囲は広く、より深い知識が必要となります。難易度が同じようなレベルの資格に、簿記検定1級や宅地建物取引士等が存在しますが、その中でも難しい部類の資格です。では具体的な合格率を見てみましょう。
日本ファイナンシャルプランナー協会で実施された1級の合格率
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会では1級の試験で受験できるのは資産設計提案業務に関する実技試験のみです。合格率は70〜90%と2級の試験よりも高い確率となっています。試験は記述式の筆記試験で合格点は100点満点中60点以上で合格です。合格すると厚生労働大臣の名前で1級FP技能士の合格証書が発行されます。
きんざいで実施された1級の合格率
では次にきんざいの合格率です。実技試験は約80〜90%の合格率と高い水準となっています。しかし学科試験は約10%とかなり低い合格率です。
学科試験はマークシート形式の筆記試験である「基礎編」と記述式の筆記試験である「応用編」とがあります。合格点は200点満点中120点以上で合格となります。2級で行う学科試験と実技試験が一緒になったような内容が出題されます。
実技試験は口頭試問方式で行われます。しかし受験できるのはきんざい主催の1級の学科試験か日本ファイナンシャル・プランナーズ協会主催の実技試験1級に合格した方のみです。合格点は200点満点中120点以上で合格となります。ここまでの説明で分かるように、1級の試験は2級までと異なり少しややこしくなっています。
ファイナンシャルプランナー1級の難易度が高い理由
級が上がるごとに難易度が増すのはどの資格にも言えることです。しかしファイナンシャルプランナーの資格は難易度の差がとても大きく感じます。3級は金融業界等で仕事をしていない方でも気軽に受験することができるほど易しい試験です。しかし1級はそんなわけにはいきません。ではどうしてここまで1級の試験は難易度が高いのでしょうか。
実務経験が5年以上必要
難易度以前に1級の試験を受験するには5年以上の実務経験もしくは、ファイナンシャルプランナー検定2級の合格者で1年以上の実務経験が必要となります。
複数の会社で実務経験を積んだ方は合算をして年数を計算して構いません。合算した合計年数が必要な実務経験の年数に達していれば受験資格を保有したことになります。仕事の内容は補助業務でも構いませんが、実務経験と認められる業務内容でないといけません。
実務経験と認められる職業は証券会社、保険会社、銀行、クレジット会社等金融機関に勤務している方や保険会社職員。税理士や弁護士等資産に関する相談業務をしている方や会計事務所の職員も含まれます。その他、不動産会社や建設会社等の土地建物取引や建築、相談業務をしている方。その他にもありますが、主にはお金に関する業務に従事している方です。
実技問題が特殊なケースの想定が多い
実技試験は先述した通り、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会、きんざい両方で実施していますが、出題内容が異なります。
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会の実技試験は、筆記試験です。選択問題もあれば、300字程度の論述試験もあります。きんざいは口頭試問形式と呼ばれる面接式の試験である為、苦手視する方も多く、こちらを選ばれる方は多いです。
きんざいの口頭試問形式の試験では、受験者がファイナンシャルプランナー役、面接官が相談顧客役となりロールプレイングのように受け答えをしく形です。内容は不動産の有効活用と相談や事業継承対策についての2問出題されます。ファイナンシャルプランナー1級の学科試験にあるような不動産と相続、事業継承の分野の実践版のような形になります。
ファイナンシャルプランナーの勉強のコツ
ではここでそれぞれの級に合わせた勉強法を紹介しましょう。あくまで一例ですので、自分にあった勉強法かどうかは自分で判断してください。もっと良い方法があるという方は是非そちらを選んでもらって結構です。あくまでファイナンシャルプランナー試験の勉強法のひとつと捉えてください。ですがもしぴったりの勉強法であれば是非参考にしてください。
ファイナンシャルプランナー3級の勉強のコツ
まずは3級の勉強法から見てみましょう。3級は何度も言う通り、とても易しい試験です。ですから、よっぽど怠けていない限り取得できます。
勉強の際には、ファイナンシャルプランナー検定3級に関するテキストと問題集があると良いです。まずはひたすらテキストを読み込みます。全てを理解しようとしたり、覚えようとしなくても構いません。とにかくまずは読んでみましょう。
テキストを読み込めたら次に問題集に取りかかります。まずは問題集を最初から全部解いていき、自信を持って正解できた問題と、少し不安ながらに正解したり不正解だった問題とに分けてみます。後者に当たる問題はテキストで何故この答えになるのか理解するまで読みましょう。そして再び不安な問題と不正解だった問題だけ解き直します。
そうして解いた問題をまた自信を持って正解できた物と不安ながらに正解したり不正解だった物に分けます。後者だった問題はまたテキストでどうしてその答えになるか理解できるまで調べましょう。その繰り返しをしていき最終的に7割ぐらいになれば合格が見えます。その後まだ余裕があれば過去問や予想問題にも取り組んでみましょう。
ファイナンシャルプランナー2級の勉強のコツ
次は2級です。2級も3級と同じくテキストと問題集を用意しましょう。そしてまずはテキストを読み込みます。この時もただ読むだけで無理に覚えようとしなくて大丈夫です。
その次は問題集に取りかかります。2級の実技試験は計算問題が中心です。できない問題には必ずチェックを付け、答えを見てからでも良いので必ず自力で解いてみましょう。学科試験もまずひたすら問題をこなし、できなかったり不安だった問題をチェックしておきます。
この後は実技、学科試験両方にチェックを付けたできなかった、もしくは不安だった問題だけを解いていきます。再び解くことによって自信を持って解けた問題はチェックを外し、今回もできなかった問題は再度解き直しましょう。これを繰り返してください。試験日が近付いてきたら過去問をやってみましょう。直近3回分できると安心です。
ファイナンシャルプランナー1級の勉強のコツ
最後に1級です。テキストと問題集は必ず用意してください。1級はかなりの難関なので、勉強時間もできるだけ多く取るようにしなければいけません。
まず学科試験に関するテキストを読みます。分量が増えるのでとりあえず一旦ざっと読む漢字で大丈夫です。次は応用問題から取りかかり、できなかった問題はテキストで調べながら自信を持って答えられるまで繰り返します。
その後基本問題に取りかかります。応用問題と同じようにできなかった問題はテキストで調べながら理解した上で自信を持って回答できるまでにしておきましょう。この時重要なのが、「理解」を必ずして解くことです。その後試験3週間前あたりからは過去問をします。過去問もできなかった問題は理解するまでしっかり反復しましょう。
1級で気をつけなければいけないのが、法改正に伴って問題や答えが変わることです。試験日現在の法令等に基づいて試験が作られます。法改正後に発刊されたテキスト等なら安心ですが、そうでない場合は自分で改正された法律について調べなければいけません。ですから、テキストだけでなく新聞やニュースなどもチェックしておくことをおすすめします。
次に実技試験です。実技試験もひたすら問題集を解きます。ただ、きんざいの試験の場合は面接試験となる為、問題をこなしただ暗記するだけでは足りません。
面接では勉強した知識だけでなく実際顧客に対してどのような受け答えをするかが見られます。顧客がどのような立場の人間で何を求めいてるのか、会話の中から感じ取りそれに合った受け答えをする必要があります。
つまり知識そのものより、ファイナンシャルプランナーという仕事をどれだけ「理解」をしているかが重要なのです。紙に書くだけのテストであれば分からない問題は勘で答えてしまうのも仕方が無いかもしれませんが、実際の顧客を前にそれはできません。間違ったアドバイスをしてしまうと顧客の人生を台無しにしていまいかねないからです。
ファイナンシャルプランナーの難易度と他の業種の難易度を比較
ファイナンシャルプランナーの3級の試験は資格の中でもかなり易しい資格だと何度も書いてきましたが、実際他の試験と比べるとどれほどなのでしょうか。
ファイナンシャルプランナーの3級の試験合格率はだいたい70%前後、2級に関しては約30%です。それに比べ司法書士や簿記1級は合格率が1桁というのが基本です。行政書士や税理士に関しても10%台とファイナンシャルプランナーと比べるまでもありません。
ファイナンシャルプランナーの2級と3級の間ぐらいの合格率となるのが、介護福祉士やITパスポート等です。それでも3級のように70%に近付くことはなく、高くて50%台後半になります。難易度が上がるといえども、国家試験全体で見れば2級も比較的易しい試験であり、3級に関してはよほどのことがない限り誰でも取得ができるのです。
保険・年金に関わる仕事をする人には3級は簡単な資格
ファイナンシャルプランナーは個人のお金に関してライフプランを構築したり、アドバイスをしたりします。そういったことから、元々保険や年金等、個人のお金に関する業務をしている人にとっては特に3級の試験はかなり簡単に感じられます。普段の業務よりも基礎中の基礎が出題される為、寧ろ普段の仕事内容よりも簡単に感じるでしょう。
ファイナンシャルプランナーに相談できること
ファイナンシャルプランナーは顧客の生活や資金を見ながらライフプランをアドバイスしてくれます。では、具体的に相談できる内容をいくつか見てみましょう。
まずは年金についてです。年金については高齢化社会をひた走る日本で一番気になります。ファイナンシャルプランナーには公的年金がいくらもらえるのか。又、老後を有意義に送る為には退職するまでにいくらあれば安心か等を相談しアドバイスしてもらえます。
その他に、株式や社債等の金融商品を利用した資産運用のことも相談できます。そして、ファイナンシャルプランナーが得意とする保険に関しては、生命保険の見直し方や、自分に合った保険の相談、万が一の病気やケガに備える保険はどのようなものがあるか等、様々な相談に対応してくれます。
住宅ローンの相談
先述した以外にもファイナンシャルプランナーへ相談できる事項はまだあります。その一つが家を買う際に頭を悩ませる住宅ローンの相談です。
住宅ローンや金利の選び方や、自分がいくらまでならローンの返済ができるのかをアドバイスしてくれます。又、そういった資金の具体的な試算も可能です。将来金利が上がった場合の返済額がいくらぐらい増えるのか等の疑問に対してシミュレーションをしてくれます。
住宅ローンの返済のことだけではなく、借りる際にかかる諸費用や税金についても教えてくれる為、住宅ローンのことは何でも相談可能です。住宅ローンの控除や住宅取得資金の贈与の非課税について等々、住宅ローンを組む際に疑問に思うこと、不安なことはファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。
ライフプランの作成
更にもう一つ、ライフプランの作成です。自分や家族の年齢や収入等を見ながら、家計の収支や貯蓄がどのように推移するのか時系列でシミュレーションしてくれます。
ライフプランを作成することで、将来赤字にならないか、又赤字になった際にどのように貯蓄からカバーできそうか等、具体的に見通すことができます。年金に関する不安も、ライフプランを作成し見通しが立つことによって少し安心です。
完璧な全くズレのないライフプランの作成はできませんが、作っておくことによってある程度の人生への見通しが付き、安心感に繋がります。もし将来貯蓄がゼロになったらという漠然とした不安も、ライフプランを作ることによって、家計の見直し方等を考えアドバイスしてもらえる為、破綻を未然に防ぐことも可能です。
相談できないこと
お金に関することであればなんでも相談できるファイナンシャルプランナーですが、弁護士や税理士等が専門とする相談に関しては踏み込むことができません。
特に税理士はファイナンシャルプランナーと同じく、お金を扱う専門家です。仕事の分野や勉強する内容も同じになるような所も多く、混在してしまうかもしれませんので、気を付けましょう。
例えば、税金対策で税額がいくらになるかの具体的な試算の提示は税理士の仕事にあたります。ファイナンシャルプランナーは一般的な税制の仕組み等の説明は可能ですが、具体的な税金に関する相談は税理士にしなければいけません。又、ファイナンシャルプランナーによって得意不得意の分野がある為、自分の相談事に強い方を見つけ相談しましょう。
ファイナンシャルプランナー1級は実技問題対策が必要
ライフプランや資金計画のプロ、ファイナンシャルプランナー。1級の面接試験ではより実践的な回答が要求される為、知識や内容に対しての理解がより必須となります。又、実践になるということは実際の顧客を相手にするということです。どのように伝えれば相手が理解してくれるのか、会話力も1級試験の対策の一つと考えておきましょう。