住宅ローンアドバイザーとは?
一口に住宅ローンと言っても、種類はたくさんあり、そのどれを選べばいいのかなかなか判断がつきません。各金融機関の宣伝文句を見ると、どの商品もいいように思えてくるので、迷ってしまいますが、住宅ローンアドバイザーはそのような悩みを持つ人に公正かつ客観的な立場から助言をします。
住宅ローンに特化した専門家
住宅ローンアドバイザーは、住宅ローンに特化した専門家で、住宅ローンの知識や情報なら豊富に持っています。住宅ローンについて聞くなら、住宅ローンアドバイザーに聞くのが最良の道です。わからない点や不明点を丁寧に教えてくれます。したがって、実際に住宅ローンの利用を検討するなら、ぜひ住宅ローンアドバイザーを頼ってください。
住宅ローンアドバイザーの誕生理由
なぜ住宅ローンアドバイザーという資格が生まれたのか疑問に思っている人もいるでしょう。その経過をお伝えすると、まず以前は住宅ローンと言えば、主に住宅金融公庫のものでした。しかし、住宅金融公庫の住宅ローンにはそれほど種類がなく、申込者もあれこれ選別する必要もなかったのです。
その後、住宅金融公庫は廃止され、民間の銀行が住宅ローン市場に登場してきました。ところが、この民間の銀行の住宅ローンは種類が多く、選択が難しくなりました。そこで、自分に合った住宅ローンを探すお手伝いをするアドバイザーの必要性が高まったのです。
ファイナンシャルプランナーとの違い
住宅ローンアドバイザーに似た資格にファイナンシャルプランナーがあります。どちらも仕事内容が近いように思えますが、ファイナンシャルプランナーの場合は、住宅ローンだけではなく、お金に関する全般の相談に乗ります。その範囲は、税金・保険・相続・金融・人生全体におけるお金の計画・退職してからの生活などに及びます。
ファイナンシャルプランナーも住宅ローンの相談ができるアドバイザーです。しかし、住宅ローンだけが専門分野ではないので、その説明が一般的なものになりがちです。細かい住宅ローンごとの商品内容の説明となると、得意ではないかもしれません。
一方、住宅ローンアドバイザーなら、住宅ローンの詳細について質問もできるし、アドバイスもしてもらえます。一つの分野だけに絞って情報収集しているので、深い知識を持っているのです。
両方の資格を持っている人もいる
住宅ローンアドバイザーにも頼りたいし、ファイナンシャルプランナーにも相談したいという場合があるかもしれません。そのような場合は、両方の資格を持っている人に相談するという手があります。それぞれ別の資格ですが、優秀な人なら、一生懸命勉強して、両方の資格を取得している場合があるのです。
住宅ローンアドバイザーとして活躍するのはどんな人?
住宅ローンアドバイザーの資格を取得する人に制限はありません。一般人でも知識の習得は可能で、資格を有することができます。しかし、住宅と関連する仕事に就いている人やお金に関する業務に携わっている人が住宅ローンアドバイザーになるケースが多いです。具体的にどのような人が住宅ローンアドバイザーとして活躍しているのか見てみましょう。
ファイナンシャル・プランナーの資格を持っている人
住宅ローンアドバイザーとファイナンシャルプランナーの両方の資格を持っている人がいると紹介しましたが、もともとファイナンシャルプランナーは住宅ローンに関する知識を持っています。しかし、よりその知識を深め、商品情報について詳しくなるために住宅ローンアドバイザーの資格も取得するのです。
ハウスメーカーや不動産会社に勤務している人
ハウスメーカーの社員の主な仕事内容に、住宅やマンションの販売があります。その過程において、さまざまなお客様の相談に乗りますが、住宅ローンについて聞かれる場合がよくあります。そのような時に住宅ローンアドバイザーの資格があると、きめ細やかな対応ができるので、この資格を併せ持ったハウスメーカーの社員もいます。
不動産会社に勤めている人で住宅ローンアドバイザーの資格を持っている人もいます。不動産会社は、まさに住宅を売る現場であり、住宅ローンにかかわりがあります。したがって、宅地建物取引士と住宅ローンアドバイザーの資格を持って活躍している人も多いです。
住宅の購入予定がある人
住宅ローンアドバイザーの資格を持っているのは、住宅関連の仕事をしている人だけではありません。一般人で、これから住宅を購入しようと思っている人がアドバイザーの資格取得を目指し、実際に資格を手に入れるという場合があります。資格取得を目指す勉強の過程で得られる知識が、自分で購入する住宅のローンの選択に役に立つからです。
金融機関に勤めている人
金融機関は直接さまざまな住宅ローン商品を扱う場です。したがって、金融機関に勤めている人は、住宅ローンに関する知識を豊富に持ち合わせていなければいけません。そのために、住宅ローンアドバイザーの資格を取得して、実際の業務に生かしている人もいます。もちろん、資格がなくても仕事はできるのですが、あったほうがより信頼度が高まります。
住宅ローンアドバイザーの仕事内容
住宅ローンアドバイザーの仕事内容は、住宅を購入しようという人が住宅ローンを組む場合に相談に乗り、適切な商品を紹介し、その内容を詳しく説明することです。この点についは理解しやすいでしょうが、細かくその仕事内容を見ていくと、できる事とできない事があるのがわかります。その点について検証してみましょう。
相談者の家庭の収入を分析する能力が重要
住宅ローンアドバイザーの仕事内容で大切なのは、相談者の置かれた状況を分析することです。その第一は、収入分析です。相談者の収入の額によって、住宅ローンを組めるか組めないのか、組めるとしてどのような商品があるのかを説明できます。収入が多ければ選択できる住宅ローンも増えますが、収入が少なくてもいい案を出してくれる場合もあります。
収入以外の項目も分析
住宅ローンアドバイザーが分析をするのは、相談者の収入だけではありません。家族構成、年齢、勤務先なども重要なチェック項目です。いくら収入が多くても、家族もそれに応じて多くなれば、住宅ローンに回せる額が低くなります。年齢も高ければ、住宅ローンを組んでも返済に苦労します。それらの点を総合的に見て、相談に応じるのです。
住宅ローンアドバイザーができる事
住宅ローンアドバイザーの仕事内容からできる事を見てみましょう。まず、住宅ローンに関する基本情報は提示できます。次に、金利と返済の仕方の問題、実際に特定の住宅ローンを利用した場合の返済額などについては、詳しくアドバイスできます。
住宅を購入する場合、いくつかの税金がかかってきますが、その税金の計算も住宅ローンアドバイザーはできます。また、繰り上げ返済や住宅ローンの借り換えについても知識があり、有益な助言ができるのです。
住宅ローンアドバイザーができない事
住宅ローンアドバイザーの仕事内容は、住宅ローンについて相談に乗り、アドバイスをすることです。したがって、住宅ローン以外のことには応じられません。たとえば、住宅の設計や施工、建物の構造、購入すべき不動作の紹介、不動産のリフォームなどの相談は仕事内容の範疇外です。また、住宅ローンの契約自体にもかかわりません。
住宅ローンアドバイザーの資格について
住宅ローンアドバイザーの資格を取得するには、専門的な知識を持つことも重要ですが、それ以外に相談者に懇切丁寧にわかりやすく説明する能力も求められます。その両方を身につけるためには、しっかりと勉強する必要があります。そして、勉強した成果を生かして、資格を取得し、現場に応用します。
資格の取得には2つの方法がある
住宅ローンアドバイザーの資格取得方法は2種類あります。いくつかの団体が主催している養成講座を受講して、効果測定を受けて合格する方法と一般社団法人金融検定協会の行う認定試験に合格する方法です。どちらを選んでもいいのですが、資格取得の流れや時間、難易度に違いがあるので、よく検討したうえで、自分にマッチした方法にするといいです。
資格取得の試験は誰でも挑戦できる
住宅ローンアドバイザーの資格取得の試験は誰もが受けられます。特に不動産関係や金融機関関係に勤めている人でなくても、試験には臨めます(一般人でもOK)。要は、住宅ローンに関する知識を身につけ、接客能力が備わればいいのです。試験の難易度の問題はありますが、頑張れば合格への道は近いです。
3年間の有効期限がある
いったん住宅ローンアドバイザーの資格を取得したら、ずっとその資格を使えるのかというと、そういうわけにはいきません。3年間の有効期限があり、期限切れの前に更新する必要があります。さもないと、資格を失うことになります。
住宅ローンアドバイザー資格の更新の方法ですが、養成講座を受講して資格を取得した人は、同じ機関の継続講習課題を提出するか自宅での通信講習を受けて、合格しなければいけません。試験を経て資格を取得した人は、資格継続試験を受験します。
なぜ、住宅ローンアドバイザーの更新期間が3年間なのかというと、金融機関が売り出す住宅ローン商品は常に新しくなっているのと、住宅事情、住宅に関する法律も刻々と改変されているからです。それらに応じる意味で3年間の更新期間となっているのです。
資格取得の難易度
住宅ローンアドバイザーの資格取得を目指している人は、その難易度が気になるでしょう。難易度が高いのか低いのかで、資格取得に向けての気持ちも変わってきます。この点については、実際の難易度統計があるので、それを見てみましょう。
住宅金融普及協会という機関が実施した養成講座では、平成30年7月時点で、修了率が8割強となっています。この点からいくと、難易度はそれほどでもないように思えます。
金融検定協会の住宅ローンアドバイザーの認定試験難易度については、最新の数字は公表されていません。したがって、少し古い数字ではありますが、2011年の合格率は73.2%です。やはり難易度はそれほど高くはありません。
住宅ローンアドバイザーの資格取得方法
住宅ローンアドバイザーの資格取得方法については簡単に説明してありますが、養成講座を受講するか試験を受けるかのどちらかです。それぞれメリットやデメリットがあり、資格取得を目指す人の事情によって、どちらを利用したらいいのかが変わってきます。そこで、養成講座と認定試験の特徴を詳しく見てみましょう。
養成講座を受講して資格取得を目指す場合
いくつかの団体が主催する養成講座があると説明しましたが、その団体とは、住宅金融普及協会と全日本不動産協会です。ただし、残念ながら全日本不動産協会の住宅ローンアドバイザー養成講座は、平成28年度で終わってしまいました。したがって、現在養成講座があるのは1団体のみです。
住宅金融普及協会の養成講座は、年2回実施され、基礎編と応用編があります。受講方法は、Aコース(自宅で受けるWEB講習)とBコース(会場で受けるDVD講習)の2種類あります。
養成講座を受講し終わると、効果測定が行われ、合格した人が資格取得へと進めます。難易度については解説してありますが、40問中28問以上正解、計算問題10問中6問以上正解が合格ラインです。
認定試験を受験する場合
金融検定協会の住宅ローンアドバイザー(HLA)認定試験を受けて、資格取得をすることもできます。この認定試験は、一般試験が5月と11月に行われ、特例試験の実施月が1月となっています。試験時間は2時間30分で、50問出題されます。この試験の難易度についても解説してありますが、基本的には、100点満点中60点以上の正解が必要です。
養成講座と認定試験のどちらがおすすめか?
養成講座で住宅ローンアドバイザーの資格取得を目指すのもいいし、認定試験を受験するのもいいし、どちらにしたらいいのか迷ってしまうという人もいるでしょう。そのような人のために、それぞれのおすすめポイントを簡単にお伝えします。いざ選択する場合の参考情報にしてください。
養成講座はどんな人に向いている?
養成講座の受講方法は、自宅でWEB講習という形と会場でDVD講習という形の2種類ありますが、いずれにしろ参考書片手に自習するのとは違います。講義を受けながらの勉強になるので、知識が身につきやすいです。その中でも、金額が気になる人はWEB講習のほうがおすすめです。一方、講師の解説が欲しいという人はDVD講習のほうがいいでしょう。
認定試験がおすすめなのはどんな人?
養成講座のうちWEB講習のほうが料金が少しだけ安いですが、もっとお金を節約したいというのなら、認定試験で資格取得を目指すのがおすすめです。受験料は6170円(税込)とかなり抑えられています。また、住宅ローンアドバイザー試験の参考書入手は難しいのですが、その確保ができそうなら、認定試験を通して資格取得を目指すのもいいでしょう。
講習を受けなくても、自力で試験に合格して見せるという自信に満ちた人もいるでしょう。そのような人も、養成講座経由ではなく、認定試験受験を通して、住宅ローンアドバイザーの資格取得を考えてみるべきでしょう。
住宅ローンアドバイザーは住宅ローン商品を熟知している事が大切
ここまで、住宅ローンアドバイザーの資格、その仕事内容、資格取得方法や難易度などについて解説しました。住宅ローンアドバイザーは、文字通り住宅ローンの相談に乗り、助言をする人です。それだけに住宅ローンに関しては熟知している必要がありますが、そのほかに優れた接客術があれば、いいアドバイザーになれるでしょう。