「送付いたします」と「お送りします」の違いは?正しい敬語の使い方や例文も解説

「送付いたします」と「お送りします」の違いは?正しい敬語の使い方や例文も解説

仕事上メールでファイルを送る、請求書を郵送するなど、何かを送付する場面は多くあります。相手に送る事を伝える時、「送付いたします」「お送りします」等、どれを使うべきか迷ったことはありませんか?「送付いたします」「お送りします」の意味、違いと使い分けを紹介します。

記事の目次

  1. 1.「送付いたします」とは
  2. 2.「送付いたします」と「お送りします」の違い
  3. 3.「お送りします」と「送付いたします」の使い分け
  4. 4.「送付いたします」と「お送りします」は正しい敬語か
  5. 5.「送付いたします」の誤用例
  6. 6.「送付いたします」と「お送りします」を正しく使おう!

「送付いたします」とは

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送るという意味の言葉は、毎日の生活でよく使います。特に「送付いたします」という言い方は仕事上よく使う言い回しです。

少しの違いで、ビジネスセンスやコミュニケーションのレベルは変わります。このようなシンプルで頻繁に使う言葉こそ大切にしたいです。「送付いたします」にはどのような意味が込められているのでしょうか?

単に送るという意味だけではなく、ニュアンスとして「送付いたします」にはどのような意味が含まれるのでしょうか?「送付いたします」の正しい意味と使い方をご紹介します。

意味:送付いたします

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「送付いたします」という言葉を分解すると、「送付」+「いたす」という言葉から成り立っています。「送付」は送るという意味の名詞です。「いたします」は「いたす」の丁寧な形となります。

「送付」という言葉はもともと漢語からきた言葉です。漢詩などで使われる漢語は古くから公式の場面で使用され、現在もやや堅い場面で使われます。例えば、商務の事務専門語や法律用語では、漢語から来た言葉を使うことが多いです。

「送付」という名詞を詳しく見てみましょう。「送」という漢字は物を送るという意味、「付」という漢字は人に手でものをつけるという意味です。「付」はにんべんと手で触るという意味の「寸」という漢字から出来ています。

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「送付いたします」の「いたします」は「する」の謙譲語です。謙譲語は、自分の位置を低くいう事で、相手への尊敬の気持ちを表す言葉です。

目上の人や年上の人に、自分がへりくだって敬意を表す敬語として使います。「送付いたします」は送るという行為に自分を下に置くことで相手への敬いの気持ちと意味をプラスした表現となります。

「送付いたします」と「お送りします」の違い

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「お送りします」も「送付いたします」と同様、送るという意味です。「送付いたします」と比較して、「お送りします」にはどのような意味合いが込められているのでしょうか?ここでは、「送付いたします」との違いを紹介します。

「お送りします」は丁寧語

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「お送りします」は送るということを意味しますが、敬語の種類としては、「丁寧語」となります。送るという意味の言葉を丁寧に表した言い方です。

これは、謙譲のへりくだった意味を持つ「送付いたします」よりも相手に対しての尊敬の表現は弱くなります。

社内の同僚や、特に親しくしている外部の方に使うのは問題ない丁寧な言葉です。一方、目上の人や顧客に対しては、単なる丁寧語ではなく、謙譲をあらわす「送付いたします」という言葉を使うのがビジネス上適切です。

「お送りします」と「送付いたします」の使い分け

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「お送りします」と「送付いたします」は同じ送るという意味を持つ言葉です。しかし、そのニュアンスや敬語の度合いが違いがあることを紹介しました。それでは、実際にメールなどで使う場合は、どのような例があるかを見てみましょう。

ここでは、メールなどの文書、電話などの口頭での伝え方、荷物を送る場合、人を送る場合の「送る」という意味の「送付いたします」の例文を紹介します。

何種類か言い換えを覚えておけば、同じ意味の言葉を繰り返すことなく読みやすい文面になるのもポイントです。違いをしっかり理解して、いつも適切な言葉選びをしてみましょう。

電話・メールの使い方の例文

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「弊社の商品カタログを送ります」という意味の言葉はよくメールなどで使います。これを丁寧に言いたい場合には、「弊社の商品カタログをお送りします」を使います。いたって普通の送るを意味する文章となります。

手紙などの書面や、字を読むメールの場合、熟語や漢字が程度に混在している方が素早く意味をとることが出来ます。「弊社の商品カタログを送付いたします」という文章は、ぱっと見ただけで送ることを意味することがわかりやすいです。

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一方、電話でのコミュニケーションでは柔らかい話し言葉の方が意味がとりやすく、聞きやすいという面があります。電話で話をしていて突然「送付いたします」と言われると、一瞬意味をとりかねることもあります。電話では、「弊社の商品カタログをお送りします」と言った方が分かりやすいです。

電話で話していて、目上の人に特に敬意を表すべきところで「お送りします」では、尊敬の意味が低いと思われる場合には、更に謙譲の意味を持つ助動詞をつけて、「お送り申し上げます」などという言い方も良いでしょう。

荷物を送る際の使い方の例文

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「帽子とユニフォーム一式を送ります」という意味の例文は、荷物を送る時に相手に連絡をする場合使う例文です。丁寧な意味を表現した言い換え文は、「帽子とユニフォーム一式をお送りします」となります。

更に相手が目上の人や取引先の人であれば、尊敬の敬語の意味を加えて「帽子とユニフォーム一式を送付いたします」としたほうが適切です。

相手を目的地まで送る際の使い方の例文

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「駅まで送ります」などの例文の言い方は、相手を目的地まで送る時にかける言葉です。送るのは人なので、「送付いたします」は語用として当てはまりません。「送付いたします」は使わないようにしましょう。

人を送る場合、言い換えの言葉として、「送迎」「お連れする」という言葉が該当します。口頭で相手に伝える場合には、ききやすい話し言葉である「駅までお連れします」を使うと良いでしょう。

また、メールなどで伝える場合には、見た目ですぐに理解しやすいように熟語を使って「駅まで送迎いたします」というのも分かりやすいです。

「送付いたします」と「お送りします」は正しい敬語か

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「お送りします」は送るという意味の言葉の丁寧語となります。「お送りします」には、相手を尊敬したり上に置く意味は含まれません。「お送りします」は丁寧な意味はありますが、相手を敬う意味を表す敬語とはいえません。

「送付いたします」は送るという意味の言葉の謙譲語となります。自分を下において「いたします」という表現を使うことで、相手を敬い尊敬する敬語の気持ちを表します。相手が得意先であったり、社内でも上司であったりすれば、「送付いたします」を使うのが良いです。

「送付いたします」と「お送りします」は注意が必要

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漢語は堅苦しい事務的な語感を与えることがあります。法的書類や商務関係の用語などでは、話し言葉のような柔らかい表現より漢語や熟語が多用されます。 例えば「犯罪の調書を裁判所に送付した」「顧客に請求書を送付した」という使い方をします。

そこまで、堅くない普通の業務内容について伝える時に、例えば、職場の部内での連絡事項などで「部内の歓送迎会の会場を送付いたします」と伝えると、必要以上にかしこまった堅苦しいイメージになってしまいます。

そのような場合には、「部内の歓送迎会の会場をお送りします」とした方が印象が良い場合もあります。使い分けに注意をしましょう。

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また、送付という言葉は漢語から来ています。同時に和語で送付の漢字を使って「送り付ける」という言い方をします。「送り付ける」とは「一方的に乱暴に相手の都合を考えずに物を送る」という意味合いで、「送り付けられる」側は、とても嫌な迷惑な気持ちになる言葉です。

例えば「脅迫状を送り付けられた」「詐欺集団が不当な請求書を送りつけてきた」というような使われ方をします。「送付いたします」という言葉は、人によっては、「送り付ける」と関連づけてイメージしてしまい、不必要に圧迫を感じることもあります。

場合によっては、使い分けをしたほうが良いです。例えば、事務的な要件を述べる時には「送付いたします」を使います。一方、贈答品や依頼する内容などを送る時には「お送りします」と表現すると、印象がアップします。

「送付いたします」の誤用例

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「送付いたします」を使う場合、目上の人に送るので、さらに敬う気持ちを表したいと考え「お送付いたします」と「お」をつける人がいます。

「お」を名詞につけることで、丁寧な言葉の意味を付け加えることができますが、送付という行為に「お送付いたします」と、「お」をつけるのは、適切ではありません。

また、「いたします」で自分を下において謙譲の意味を表現しているのに、自分の行為である送付に対して丁寧な意味を付け加えるのは、敬語のねじれを生みます。「お送付いたします」は誤った使い方なので、注意しましょう。

「送付いたします」と「お送りします」を正しく使おう!

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仕事上、メールでファイルを送る、請求書を郵送するなど、何かを送る場面は多くあります。「送付いたします」「送ります」など様々な言い方の中で、尊敬の度合いと丁寧さの兼ね合いを考えた適切な使い方を心がけましょう。

ビジネスコミュニケーションのスキルがワンランクアップします。相手が得意先や目上の方だと、気が付かないで失礼な言い方になっている場合もあります。この記事では、「送付いたします」「送ります」の意味、違いと使い分けを紹介しました。

GoldStar
ライター

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