同意書の正しい書き方が知りたい!
日常生活では手術や高度医療への同意を求められたり、最近ではマイナンバーの提供に際しての同意を求められる場面が、ビジネスでは取引先との契約において同意書を交わす機会を経験している人は多いでしょう。
しかし、いざ自分で同意書を作成しなければならない場面に直面した際、具体的な作り方がわからない、注意しなければいけないポイントが不明、そもそも他の書類との違いはどのような点にあるのかについて悩むケースもあるのではないでしょうか。
本記事では同意書とはどのような性格を持った書類なのかについてや、同意書を作成する際の注意点や似た性格を持つ承諾書との違い、そして同意書の正しい書き方等について、具体的な例文や同意書を作成する際に作っておくと便利なテンプレートについても紹介していきます。
同意書とは
同意書とは、相手や事柄に対して「私は賛成しています、同意しています」という自分の意思を明記した文書です。同意書上で提示されている条件等に対して「同じ考えです」と自分の意思を明確に表明した文書のため、公的書類の提出時やビジネス、日常生活で幅広く利用されています。
同意書はその提出先や目的にもよりますが、必要項目に漏れがなければ正式な書類として取り扱われ、同意書により自分の意思が正しい形で認められるという法的効力も持ち合わせています。
そのため、安易に同意書に署名をしたりすることは、正しい取引や同意が行われないばかりか、トラブルの原因にもなりうるため、内容をきちんと理解した上で同意書に署名をする、代理で署名することは避けるなど注意が必要な行為です。
契約書
相手が個人にしろ、企業などの法人であるにしろ、相手のある取引を行ったり、企業間で物品の貸し出しを行う際には契約書を取り交わすのが一般的ですが、同意書もこの契約書の一種であると捉えることができます。
契約書が取引内容に対して法的効力が発生するのと同様に、同意書についても同意内容に対して法的効果は契約書と同様に生じることとなります。
従って何かトラブルや不測の事態が発生した際には、同意書は「事前に相手の同意があったことの証拠書類」として用いることができるのです。
署名捺印が必要
同意書はガチガチに「これこそが正しい書き方だ」というような厳密な書き方が定められている訳ではありませんが、それでも場合によって法的効力の証明が必要な場面もあるので、必ず入れるべき項目がいくつかあります(詳細は後述)。その中でも特に重要なのが「日付」と「署名捺印」です。
日付の記載がないと「いつ」同意書が取り交わされたのかがわからなくなるので、証拠書類としては弱くなってしまいます。また署名捺印が行われることで、同意書が証拠書類としての効力を持つことになると言っても過言ではありません。
同意書を取り交わす際には必ず「日付」と「署名捺印」は忘れないように入れることが肝心と言えます。
承諾書との違い
同意書と性格が似ていますが、同意書とは性格に違いがある書類が「承諾書」です。「承諾」とは、相手の意見・希望・要求を聞いた上で、「自分で納得して相手の言い分を受け入れます」という意味を持ちます。「承諾書」には相手の「要望や要求を受け入れる」意味があるのです。
つまり、「承諾書」は相手からの要求を「受け入れました」という旨を、文書にして第三者から見てもはっきりと認識できる形にしたものと言えます。
また就職活動の結果採用が決まり、内定先への入社を承諾する際にも「入社承諾書」として入社の意思を示すケースや、債務の連帯保証人となるケースの際には「連帯保証人承諾書」という形で承諾の意思を示すケースがあります。
これに対して「同意書」には相手の意見や要求を「受け入れる」という行動は伴わず、相手に対して「自分としては異論や問題はありません」と異論がない旨を示すための文書です。あくまで「同意」を示すための書類という点が「承諾書」との違いです。
もともと「同意」には「他人の意見・見解に対して賛成する」という意味を含み、文字通り「異論はなくあなたの言うことに同意します」という旨を示す文書です。承諾書との違いは、同意書には相手の意思に同意はするものの、「受け入れる」行動が伴わない点にあります。
以上で述べたように、同意書と承諾書にはその文書が持つ意味に違いがあることは勿論、使用される場面や使用目的にも違いがありますので、覚えておくと良いでしょう。
同意書の書き方
ここまでで同意書はある種契約書の一種と見なされる書類であることと、更に同意書と似た様式の承諾書の違いについて述べてきました。同意書と承諾書の最も大きな違いは、「取引相手の意見や要求について同意するだけではなく、それを受け入れるかどうか」という点です。
ここからは同意書を取り交わす必要が出てきた際に、作成の仕方や、気を付けなければいけないポイントについても紹介し、正しい書き方について説明していきます。また同意書作成をテンプレート化するための必須項目についても触れていきます。
決まった書き方はない
同意書は契約書の一種でもあるので、書き方にも決まったテンプレートやフォーマットのようなものがあるかと思われがちですが、実は様式として定められたフォーマットはなく、ポイントや必要な項目を押さえていれば、比較的自由な書き方でも問題ありません。
次からは同意書の書き方を覚える上で、気を付けなければならないポイントはどのような点であるかについて紹介していきます。
必要項目を押さえておく必要がある
上でも述べたように、同意書には「この通りに書かないといけない」という決まったフォーマットや書き方、形式はありません。ただし、同意書は自分が「同意した」ということを証明する正式な書類として取り扱われるため、以下に挙げる項目の記載は必須です。
同意書の必要項目としてはタイトル(何についての同意書かを明記する)、同意書を交わした日付、同意をする内容、同意を表す旨の文面、署名・捺印を行う点です。この必要な項目の書き方の詳細については、後で詳しく述べることとします。
以上の項目が揃えられていれば、不測の事態が発生した際にも証拠として認められる証憑となります。この中で日付の記載がなかったり、どのようなことに対する同意なのかという記載がはっきりしていない場合には、証拠として扱うにはやや弱くなってしまうこともあるので注意が必要です。
手書きでもOK
必要な書式を満たした書類であれば、手書きの同意書でも問題ありません。1点だけ注意が必要な点は、手書きで同意書を作成する際には、消えないタイプの筆記具で作成することです。
同意書を手書きで作成する際には、鉛筆やシャープペンシルなどの消せるタイプの筆記具を使用しないことは勿論ですが、フリクションペン等の消えるタイプのボールペンを使用していないか、注意してください。
同意書のテンプレート例
同意書には決まった書き方がなく、同意を求める側がレイアウトや記載事項を比較的自由に作成できる点は上で説明してきましたが、一般に汎用的に使用できる同意書の様式は以下のような形となります。一例としてテンプレートの形で紹介します。
通常は「同意書のタイトル、同意を求める人(もしくは法人)の氏名、同意をした日付、同意を求める内容、同意を表す旨の文面、同意する人の氏名(署名+捺印で対応します)」という書き方が一般的で、この形がテンプレートとして用いられることが多いようです。
上記の必要事項を含めて同意書のテンプレートとして作成しておけば、次回に別件で同意書を作成する必要が出てきた際に、テンプレートを基にしてまた別の同意書を作成することができるので、一度同意書を作成した後にテンプレートの形に纏めておくと便利です。
同意書の書き方に必要な項目
ここまで同意書とはどのような書類かについてや、同意書と承諾書の違い、同意書の書き方について説明してきました。同意書の書き方で最も重要なポイントの一つは、同意書作成に必要な項目をしっかりと押さえることです。
前の章で言及した、同意書に記載する必要な項目について、ここから一つ一つ説明していきます。これらの項目は、同意書のテンプレートを作成するために必要な項目ですので、是非覚えておきましょう。
タイトル
同意書のタイトル、つまり「なぜ同意書を取り交わすこととなったのか」についてきちんと理解できる「表題」を同意書の文頭に記載します。例えば「マイナンバー収集に関する同意書」というように、タイトルを見て内容がすぐにわかるような簡潔明快なタイトルが望ましいです。
日付
同意をした時、同意書を取り交わした時の日付を記載します。例えば2020年7月23日と記載します。同意書での日付は、万一トラブル等が発生した際に、「相手からいつ同意を得て、いつ契約事を取り交わしたのか」を示す上で大変重要な材料となりますので、必ず記載するようにしましょう。
同意内容
同意書の書き方を考える上で一番重要と言っても過言ではない項目です。相手と同意する内容について誤解を招かぬよう、正しい表現で内容を表せているかについて気を配りながら記入しましょう。具体的には「私、Aは、物品賃貸契約について同意します。」と記載します。
同意するという名言
こちらについても「同意内容」とならび、正しい表現できちんと記載する必要のある重要な項目です。同意する内容、例えば「マイナンバーを提供すること」「手術を受けること」について明記した上で、文末に「同意します、同意致します。」の文言を入れて結ぶようにします。
署名捺印
同意書に記載された内容に関しまして、正しい形で理解し、同意しましたという意思を担保するため、同意書の終わりに自分の名前の署名を行い、捺印をします。一般的には署名そのものが(筆跡が人によって異なるので)署名した本人が同意をした証拠として証拠能力は極めて高くなります。
しかし、日本のようなハンコ文化の社会では、署名だけの契約では不安な感じがするという人も一定数いるのが現状です。そこで、署名による本人の意思表示に加えて、捺印もすることで署名の証拠能力をより正しいものにするというのが一般的となっています。
同意書の書き方例文
ここまで同意書を作成する際に必要な項目について、項目ごとに一つ一つ説明してきました。タイトル、日付や「同意する」旨の文言、署名捺印などとても重要な項目ですが、逆に言えばこれらのポイントを押さえておけば、同意書の作成は決して難しいことではないということです。
ここからは同意書の具体的な形を見ていきます。例文を挙げてどのように同意書が作成されるかイメージしていきます。ここでは肖像権に関する例文、マイナンバーに関する例文、手術の承諾に関する例文と未成年のアルバイトに同意する旨の例文を取り上げます。
肖像権に関する例文
ここでは肖像権に関する同意書の記載例を紹介します。テレビCMや掲示広告、また最近ではYouTubeに投稿される動画に対しても適用される例が出てきています。
「私、Bは貴社に対し、貴社が私の肖像及び応募画像被写体への肖像等を、下記の定める使用範囲において無償で使用することに同意致します。また同意書に記載した内容について偽りがないことを保証致します。
使用範囲等:本画像を使用した貴社の作品が、放送・広告・商品・各種メディア(インターネット等)あらゆる媒体で使用されることを許可致します。」
マイナンバーに関する例文
マイナンバーの提供を受けるにあたっては、まず事前にその利用目的をはっきりと示さなければならないというルールがあります。それにあたり、相手の理解をもらった上でマイナンバー提供に関わるトラブルを回避する目的で同意書を作成するケースが多いです。
「私は、マイナンバー(行政手続きにおける、特定の個人を認識するための番号の利用に関する法律」で定められている個人番号のことを指します。)を以下の目的で利用することに同意します。また別便にてマイナンバーを提供致します。
マイナンバーの利用目的は「給与所得の源泉徴収票作成事務(給与支払報告書作成も含む)と報酬・料金等の支払い調書作成事務」であり、この業務に対してのみ利用させて頂きます。
医療への同意書
病院等の医療機関で手術を受ける際や、出産の際に帝王切開となる場合等には手術同意書が必要となります。この手術同意書には病名や手術名、そして手術の必要性等についての記載がされています。
手術同意書の内容はおよそテンプレートの形をとっていることが一般的ですので、以下に手術同意書の例文を紹介します。
「患者氏名:C、病名:虫垂炎、手術日程:7/26、主治医氏名:D、私は、現在診療を受けている疾病に関しまして説明を受け、その内容を十分理解した上で手術を受けることに同意致します。患者氏名:C」
未成年の同意書
未成年がローンや携帯電話の契約、あるいはアルバイト等をする場合、その親権者が法廷代理人となることが法律によって定められており、未成年である本人に代わって意思決定権を持ちます。そのため、親権者が同意することで契約等を行えることとなります。
ここではその一例として、未成年がアルバイトで雇用され、働くことに対して親権者が同意する、同意書の例文を紹介します。
「下記の年少者が貴社で働くことに同意致します。氏名:F、生年月日:2003年8月1日、住所:東京都渋谷区、2020年7月26日、親権者の住所:東京都渋谷区、親権者氏名:G、本人との関係:母」
同意書の書き方を知っておこう
本記事では同意書とはどのような書類であるかに始まり、承諾書との違い、同意書の書き方や同意書作成に当たって必要な項目の説明、具体的な使用方法について、例文を取り上げながら説明してきました。
同意書は契約書の一種であるので、正しい書き方で作成されることが絶対条件です。しかし、必要な項目をきちんとピックアップした上でテンプレート化しておけば、同意書の作成は決して難しいものではありません。
この機会に同意書の作成方法や正しい書き方についてマスターしておき、日常生活上でもビジネス上でもスムーズに物事が運ぶように努めていきましょう。