パイロットの平均年収は企業の規模で変わる
パイロットの年収にかかわってくるものの一つが「企業の規模」です。日本にも国内線・国際線があり、様々な航空会社が参入しています。もちろん、航空会社と言っても規模は様々です。では、会社の規模によって実際にはどれくらい年収が変わるのか詳しくみていきましょう。
ANAの平均年収は約1,980万円
国内最大手の航空会社の一つが、誰もが知っているANAです。航空会社にはパイロットもいれば、総合職、客室乗務員など様々な職種があります。その仕事内容によって年収は大きく異なるようですが、パイロットに限定するなら年収は1980万円です。
JALの平均年収は約1,830万円
国内最大手の航空会社のもう一つがJALです。航空会社に詳しくないという人でもJALは知っているという人も少なくないでしょう。大手企業と聞くとそれだけで年収が高そうと思うかもしれません。実際、JALの平均年収は1,830万円です。
航空会社の大手ANAに比べると若干年収が低くはなりますが、それでも他の航空会社の年収と比べるとはるかに高収入になります。
民間企業の平均年収は約870万円
日本最大手の航空会社のパイロットの平均年収が2000万円近いのに対して民間企業のパイロットの平均年収は半分以下の870万円までさがります。同じパイロットという職種でも企業の規模によって年収が大きく異なってきますので、高収入を目指すなら大手の航空会社がおすすめです。
公共機関の平均年収は約960万円
公共機関とは、自衛隊や消防、警察などのことです。公共機関のパイロットの平均年収は960万円です。大きな責任が伴う仕事ですが平均年収は普通のサラリーマンより少し多いくらいです。
年収という観点だけで見ると、大手の航空会社より年収はかなり少ないと言えます。年収の高さを目指すというよりやりがいのある仕事を目指している人におすすめです。
パイロットの年収は役職・性別で変わる
パイロットも役職に就けば年収が上がります。データによるとパイロットの平均年収を役職別にみると係長クラスで2252万円、課長クラスで3022万円、部長クラスになると3785万円になります。
また性別で見ると2018年の男性の平均年収が2054万円に対し女性は1181万円となっていて男女間の平均年収は大きな差があります。
機長の平均年収は約2,300万円
パイロットは大勢の乗客の命を預かる重責の伴う仕事です。高度な技術が要求されるのは当然ですが、その他にも身体条件や健康状態など様々な厳しい条件をクリアしなければなりません。
機長になるためには副操縦士として10年以上のキャリアを積む必要があります。そのため、平均年収も上がり、機長の平均年収は2300万円になります。責任が重くなるぶん、年収が上がるのも納得できます。
副操縦士の平均年収は約1,500万円
副操縦士の仕事も重要な仕事です。管制官からの指示を聞いたり機長の補佐を行なったりします。旅客機の乗客の命は機長と副操縦士にかかっていると言っても過言ではありません。その分副操縦士の平均年収も上がり、平均年収額は1500万円になります。
教官の平均年収は約400~800万円
航空関連の仕事と言えばパイロットや客室乗務員などが真っ先に思い浮かぶでしょう。でも、忘れてはならないのが「教官」という仕事です。もちろん、パイロットの資格を得るためには操縦に関する技術などを学ぶ必要があります。その重要な仕事を行なう教官の平均年収は400~800万円程度です。
年収だけ見ると普通のサラリーマンとあまり変わりません。それでも、需要の高いパイロットを育てるというやりがいのある仕事であることを考えると、年収の高さというより満足感の高い仕事と言えるかもしれません。
男女の平均年収の違い
パイロットの平均年収の男女差ですが、2018年のデータによると男性が2054万円なのにないして女性が1181万円ですので大きな差があります。男女差が大きいのは否めない事実のようですが、それでも、日本の平均年収が440万円であることを考えると男女ともに高収入の仕事と言えます。
年齢別の年収の推移
年齢別の年収の推移です。20~24歳の平均年収は331万円ですので、いくらパイロットが高収入の仕事と言え最初はさほど高収入ではないようです。とはいえ、25~29歳代になると平均年収は1016万円まであがります。
そこから少しずつ上がり40歳代になると1370万円弱まであがります。40歳代は最もフライト時間が長くなるので平均年収も上がるようです。
パイロットの給与の仕組み
パイロットという職業柄、フライトで地方に滞在することもしばしばです。その場合は出張費として一日当たり数千円程度が支給されます。また、一般企業と同じように家族手当や住宅手当、交通費も支給されます。年齢によって昇給もあります。
ボーナスは年2回
パイロットのボーナス事情は企業によって大きく異なります。大抵の企業は年2回のボーナスが出ますが、全くボーナスのない企業もあります。また、ボーナスの金額も会社の規模やパイロットの年齢によって異なります。
その他手当・出張費が支給される
パイロットという職業柄、フライトで地方に滞在することもしばしばです。その場合は出張費として一日当たり数千円程度が支給されます。また、一般企業と同じように家族手当や住宅手当、交通費も支給されます。
パイロットの給与が高い理由
そもそも、パイロットという職業の年収が一般的なサラリーマンより高いのにはきちんとした理由があります。人の命を預かる責任の重い仕事であることや、様々な厳しい身体条件をクリアしなければいけないことなどです。では、それらのいくつかを見ていきましょう。
航空会社が増え需要が高まった
90年代以降、航空業界の規制緩和が行われました。それにより、1950年代には日本には航空会社がANAとJALしかありませんでしたが、今では30社弱の航空会社があります。格安航空会社の参入が始まったことで国内のパイロットの需要が増え、それに伴いパイロットの年収も高収入となりました。
パイロットが足りていない
パイロットが少ない、つまり物理的に足りていないということもパイロットが高収入の理由です。飛行訓練を行う施設が少ないことや厳しい身体条件をクリアしなければパイロットにはなれないなど様々な理由でパイロットを増やすことができないのが現状です。
学校の採用枠が少ない
パイロットを増やす必要があると言っても、当然簡単にパイロットの資格を得ることはできません。まずはパイロットを育成しなければなりませんが、その訓練施設が不足しているためパイロットの養成学校の採用枠を増やすこともできません。つまりパイロット不足なので高収入になります。
航空身体検査が厳しい
パイロットになるためには航空身体検査に合格しなければなりません。目の検査だけでも7項目あり、その他にも呼吸器疾患やアレルギー性疾患など検査項目がたくさんあります。どれか一つクリアできないだけで合格できないという厳しさも高収入の要因の一つです。
責任が重い仕事
パイロットが高収入の大きな理由は責任の重さです。大型旅客機には一度に数百人が乗ります。その乗客の命は機長と副操縦士にかかっていると言っても過言ではありません。
たとえ年齢が若くても操縦席に座るということは乗客の命を守るという重責が発生します。その責任の重さが収入に反映されていると言えます。
パイロットになる方法
パイロットになるためには様々な条件をクリアしなければなりません。まず、最初に確認しなければいけないのが身体条件です。ここをクリアできなければ養成学校に入学しても意味がありません。身体条件をクリアできるか確認してから次のステップに移りましょう。
自社養成パイロットとしての訓練を受ける
自社養成パイロットの応募資格は4年制の大学か大学院を卒業していることです。自社養成パイロットとして航空会社に入社することになりますので学費は不要ですが、合格倍率が100倍以上と競争率はとても高くなります。
大学卒業後に航空大学に入り資格を取得する
航空大学に入学しパイロットになるための必要な技術などを学ぶこともできます。航空大学は独立行政法人で現在は宮崎県と北海道、宮城県の3ヶ所しかありません。航空大学のカリキュラムは2年で全寮制になっています。入学できる年齢に制限があり25歳未満しか入学できません。
パイロットは審査が厳しく高収入な仕事
パイロットは年齢にかかわりなく大変な仕事です。機長・副操縦士として人の命を預かるという職業である以上様々な厳しい条件をクリアしなければいけません。それでも、パイロットという職業はやりがいのある仕事です。
まだパイロット不足は解消されていませんし、これからさらにその需要は高まると考えられます。年齢的にまだ資格を満たしているのであればパイロットというやりがいのある仕事を目指してみるのはいかがでしょうか。