「慰める」の意味とは?
元気のない友人や恋人をどのような言葉でどのような方法で慰めるがいいのかについては後程解説するとして、まずは「慰める」の意味から確認してみましょう。「慰める」という言葉を辞書で調べると、複数の意味が載っています。
その意味を順番に並べてみると、「言葉を掛けたり何かをしてあげたりして、人の不幸、苦しみ、悲しみ、不安、不満などを一時忘れさせること・心を静まらせること」「心に潤いを与えさせること」「心のざわめきを静めること」「労をねぎらうこと」などとなっています。
複数の意味がある「慰める」ですが、どの意味も心が乱れたり、不安に駆られたりしている状態を静める、落ち着かせるというニュアンスが含まれています。実際に「慰める」という言葉を使う場合は、そのような場面ということになります。
「慰める」の対義語・類語
「慰める」という言葉の意味に続いて、対義語と類語を見てみましょう。対義語と類語を見ることで、より一層「慰める」の意味が理解しやすくなり、その方法も見えてきますから、対義語・類語の勉強も大事です。
対義語①悩ませる
「悩ませる」とは、「悩む」という動詞の未然形に使役の助動詞が加わったものですが、「人にあれこれ(精神的な)苦しみを与える」という意味になります。つまり、「人の苦しみや悲しみを静まらせる」という意味の「慰める」とは反対の意味になり、対義語ということになります。
余計なことを言って彼女を悩ませると言えば、「彼女に精神的な苦しみを与える・彼女に思い煩わさせる」という意味になり、慰めるのとは全く逆の状態に追い込むことになります。
「悩ませる」と似たような言葉に「悩ます」があります。意味はほとんど同じですが、「悩ます」の場合、人が人へ悩ますという以外にも「頭を悩ます」「心を悩ます」などのような使い方もされます。
対義語②心配させる
「慰める」とは「不安や心配を言葉や具体的な方法で忘れさせる」という意味ですから、その対義語は「心配させる」ということになります。恋愛関係にある彼女を慰めている場合は、彼女の不安や心配を取り除こうとしているのですが、心配させるのはその反対の行為です。
対義語③心労を与える
「心労」とは、「心配して心を悩ます」という意味ですから、それを与えるという行為も「慰める」とは真逆です。彼はいつも妻に心労を与えていると言った場合は、よくない行為を続けて妻を年中悩ませているという意味になります。
類語①労う
「慰める」という言葉には「労を労う(ねぎらう)」という意味があるので、この「労う」も類語ということになります。「一生懸命頑張ってくれた人の労を労う」という例文の場合は、「慰める」と言い換えできます。
類語②慰撫する
「慰撫」という言葉の中に「慰める」という単語が音読みで含まれていることからもわかるようにこれも類語です。「慰撫する」の「撫」とは、「なでる」「さする」という意味ですが、その意味から「慰める」というニュアンスも出てきます。したがって、類語は類語でも同じ意味です。
類語③優しくする
人に優しくしてもらうと、心が慰められます。したがって、「優しくする」も「慰める」の類語です。「恋人に優しくしてあげる」ということは、「恋人を慰める」と似たような意味になります。恋愛関係にある間柄ではよくあることです。
ただ、「優しくする」には、「苦しみや悲しみを紛らわさせてあげる」というニュアンスはないです。ということは、類語であるとは言っても、少し内容や使い方は異なるということです。
類語④慰労する
「骨折りを労う」ことを「慰労する」と言いますが、これも「慰める」の類語です。「K君やY君のために慰労会を催す」という言い方がされることがありますが、これはK君やY君を慰める会という意味になります。
類語⑤落ち着かせる
「慰める」には、「心のざわめきや波立ちを静める」という意味があります。また、「他人の不安や心配を一時忘れさせる」という意味もあります。その意味から行くと、「慰める」という行為は心を落ち着かせるという感じになるでしょう。
したがって、彼を慰めてあげようという場合は、彼を落ち着かせてあげようという意味とかぶさる場合があります。ということから、「落ち着かせる」を「慰める」の類語にすることもできるというわけです。
類語⑥不安を静めてあげる
類語というよりも類語表現と言った方がいいかもしれませんが、「不安を静めてあげる」「不安を取り除いてあげる」などは「慰める」と同じような意味になります。「慰める」とはすなわち、不安や心配を忘れさせる行為だからです。
友人や恋愛関係にある恋人に何か不安なことがあったら、その不安を取り除いてあげる必要が出てきます。その時に慰めるという行為が役に立ちます。慰められるだけで、一時は不安も静まるだろうし、解決の方法も見えてくるかもしれません。
類語⑦力づける
少しニュアンスが異なる部分はありますが、「力づける」を「慰める」の類語と見ることもできます。次のような例文では、「力づける」と「慰める」が似たような意味で使われています。
「試験に落ちてしょげているT君を力づけてあげよう」という例文では、「力づける」を「慰める」と言い換えても大差はありません。同じような言葉に「元気づける」がありますが、これも「慰める」の類語に含めてもいいでしょう。
類語⑧慰安
慰安旅行という言葉でおなじみに「慰安」ですが、この「慰安」も「慰める」の類語です。「慰安」とは、「日頃の労を労って、楽しい思いをさせること」という意味なので、「慰める」とほぼ同じです。
「みんなで慰安旅行に行こう」「会社では10月に慰安旅行を計画している」などのような使い方が多くされますが、「慰安」だけでも「慰安を与える」「慰安を求める」などのように使えます。
「慰める」の使い方・例文
「慰める」の意味、対義語、類語がわかったところで、今度は実際の使い方を例文で示しましょう。その中にはメールで使える例文もあるし、会話で使える例文もあります。その例文を参考に上手に「慰める」という言葉を使ってください。
例文①
「慰める」という言葉を使った代表的な例文は「元気のないA君を慰めてあげた」です。慰めるという行為自体、元気のない人に少しでもその原因を取り除いてもらい、気を楽に持ってほしいということなので、これが典型的な例文になります。
似たような例文はいくらでも考えられます。「元気のない彼氏を慰める」「失敗ですっかり元気をなくした同僚を慰める」など、どのようにでも応用できます。メールで使う場合は、「元気のないあなたを慰めるために○○を贈りましょう」などとすればいいでしょう。
例文②
少しきざなセリフかもしれませんが、「君が悲しくて泣きたい時は僕が慰めてあげるから大丈夫だよ」という例文があります。恋愛関係にある男女の間で用いられそうな例文ですが、悲しくて泣きたい時に慰められれば、とても勇気づけられるでしょう。
恋愛関係にある男女だけでなくても、使おうと思えば使えない例文ではありません。「泣きたい時は思いっきり泣けばいい。後で慰めてあげるから心配しなくていいよ」と友人に言えなくもありません。ちょっと言いにくいセリフではありますが。
例文③
「慰める」という言葉は、他人が別の人の不安や心配、苦労、悲しみを忘れさせる場合に使うとは限りません。自分の心をそれらの感情から紛らわせて、楽しみたい場合や癒されたい場合に用いる場合があります。
そのような場合の例文は、「音楽で心を慰めよう」「楽しい映画を見て気持ちを慰めよう」です。これは「音楽で心を楽しませよう」「映画で心を癒そう」ということですが、日常生活でも使いたくなる例文でしょう。
例文④
メールで使える「慰める」の例文も紹介しましょう。「あなたを慰めるために今度みんなで慰労会を催す予定です。どうぞご期待を」。このメールの例文では、直接相手を慰めるための企画を発表していますが、あなただけが対象とは限りません。
例えば、「今度この前のプロジェクトでミスをしたK君を慰めるために慰労会を行います。ぜひご参加を」と呼びかけることもできます。このように誰を慰めるにしても、メールで内容を伝えることができます。
例文⑤
慰める対象は、精神的な悩みを抱えた人ばかりではありません。肉体的な悩みを抱えた人も相手になる場合があります。そのような場合は、こんな例文になるでしょう。「胃潰瘍で入院して手術予定のC君を慰めに行った」です。
別に胃潰瘍でなくてもいいのですが、病人やけが人を慰めるために訪問するということはよくあります。メールでは、「Dさんが入院したそうですね。今度慰める目的でみんなでお見舞いしましょう」などと呼びかけることができます。
例文⑥
親が子供を慰める場合もあります。たとえば、子供が学校でいじめられた場合などです。その場合の例文は、「学校でいじめられたわが子を慰めてあげるために、おいしいケーキを作ってあげた」です。
いじめられる場合だけではありませんが、子供が嫌な思いをすることはあります。お父さんに叱られた時もそうです。そのような時は母親が優しく慰めてあげることがとても大事で、それによって子供も元気を取り戻します。
例文⑦
年老いた人をいたわる時にも「慰める」という言葉を使えます。例文は、「病院でかなりつらい思いをしたようなので、老母を慰めてあげた」です。年を取ると、若い人にはわからないようなつらい思いをすることもあるでしょうが、そのような時は優しく慰めてあげましょう。
例文⑧
慰めようとしても、うまく言葉が見つからなかったり、方法がわからなかったりする場合がありますが、そのような場合の例文は次のようになります。「あまりにつらい表情をしているので、どう慰めたらいいのか言葉が見つからなかった」です。
人を慰めるというのは大事なことですが、状況があまりに厳しかったり、相手がとてもつらそうな顔をしていたりする時はうまくできないことがあります。そのような時にはこの例文のような表現となるでしょう。
例文⑨
慰める相手は人間ばかりではありません。動物を慰める場合もあるでしょうが、そのような時はこのような例文になるでしょう。「病気で入院していた愛猫を慰めてあげた」です。ペットというものは可愛いもので、少しでもつらい目に遭うと慰めたくなるものです。
「慰める」の英語表記
「慰める」という言葉を英語で表記するとどうなるのかを考えてみましょう。英語にも日本語の「慰める」に当たる言葉がいくつかありますが、その言葉を示すとともに例文も提示するので、英語会話で使ってみるといいでしょう。
慰めるの英語①comfort
「comfort」の意味を英和辞典で見てみると、「慰める」「慰問する」「元気づける」「励ます」と出ています。したがって、「慰める」の英語表記として最初に取り上げることになります。英語の会話で「慰める」と言いたい場合は、「comfort」と言っておけば大丈夫です。
「comfort」という言葉を使った例文を見ておきましょう。「Tom comforted his girlfriend.」。簡単な例文ですが、「トムはガールフレンドを慰めた」という意味になります。この「comfort」は名詞としても使え、「give(offer) someone comfort」「whisper someone comfort」のような形で用いることになります。
慰めるの英語②console
英語の「console」は名詞形にすると、「オルガンの演奏台」「コンソール型キャビネット」という意味になりますが、動詞にすると「慰める」「元気づける」というような使い方になります。その意味は「comfort」と似ています。
英語の「console」を使った例文も載せてみましょう。「He consoled Jelly for the loss of her child.」。つらい例文ですが、「彼は子供を亡くしたジェリーを慰めた」という意味です。英語圏の人にとっても慰めるという行為は非常に大切です。
慰めるの英語③solace
英語の「solace」の意味も「慰める」「元気づける」ですから、「comfort]や「console」と同じように使えます。動詞形でも名詞形でも意味は変わりません。例文は以下の通りです。「I solaced myself by reading the Bible.」です。「聖書を読んで自分を慰めた」という意味です。
名詞の「solace」を使った例文も見ておきましょう。「Keiko found solace in classical music.」。これは「音楽に慰めを見出した」という意味です。このほか、「seek solace」「give solace」のような使い方ができます。
慰めるの英語④soothe
英語の「soothe」の意味は「なだめる」「落ち着かせる」ということなので、「慰める」の類語です。ただ、同じ「慰める」の英語訳の「comfort」よりも幾分固い言葉だと言われています。それでも、似たように使えます
「soothe」の例文は以下のようになります。「Poems soothe me when I am sad.」です。「悲しい時は詩が私を慰めてくれる」という意味です。このように「soothe」してくれる手段がある人は幸福です。
慰めるにはどうしたらいい?
「慰める」という言葉のイメージは大体つかめたでしょうから、今度はその具体的な方法を考えてみましょう。恋愛相手でも友人相手でも慰める場合はうまくやらないと逆効果になってしまうので、いい方法を見つけなければいけません。
慰める方法①そっと見守る
慰めるというと、声を掛けたり何かをしてあげたりすることのようにも思えますが、そっと一人にして見守ってあげるのも一つの方法と言えます。つらい時はあまり声を掛けてほしくないという場合もあるので、それを尊重した方がいいケースもあります。
恋愛関係にある男女の場合、片方がつらそうにしていると具体的な方法で慰めたくなる場合もあります。それが恋愛というものでしょうが、時にはそれをせず静かに見守るほうが結果が良いこともあります。
慰める方法②食事や飲みに誘ってみる
人を慰めると言っても、方法だけではなくどこで慰めるかも大切です。軽く一言慰めの言葉を掛けるくらいならどこでもできますが、じっくり話を聞いてあげようという場合は場所選びが重要なポイントとなります。
そこで一つの方法として、食事や飲みに誘ってみるのもいいです。その場で話をよく聞いてあげ、慰めの言葉をさしはさんでいくのです。恋愛関係でも友人関係でもこれなら効果的な慰め方ができる可能性があります。
慰める方法③優しく理由を聞く
これは慰める前の段階での相手への接し方になりますが、優しくそれとなく元気がない理由を聞いてみましょう。人は悲しい時、つらい時、苦しい時誰にでも打ち明け話をするわけではありません。この人は信用できるという場合にのみ相談します。
その信用できるかどうかの判断材料が優しいかどうかということです。優しい人相手なら正直なれます。そのように正直に悩みを話してくれた人には、まずは共感してあげて、安心感を与えるのがいいです。これは恋愛関係にも友人関係にも言えます。
慰める方法④努力を肯定してあげる
人を慰める場合は、相手に共感すると同時に、相手がこれまでに取ってきた行動を肯定してあげるのもいい方法です。これまでの努力を否定されたら、元気が出るどころの話ではありません。ますますしょげ返ってしまいます。
したがって、上手に相手の努力を認めてあげるのです。それだけでも慰められた気分になる人は多いです。恋愛でも友人関係でもそのように認めてくれる人には厚い信頼を寄せるでしょう。
慰める方法⑤協力することを伝える
ただ言葉で慰められただけだと、うれしくない場合もあります。恋愛でも友達付き合いでも表面的な慰めの言葉では相手も満足しないかもしれません。そこでどうすればいいかですが、協力を惜しまないことを伝えましょう。
問題解決のためには何でもする用意があると言えば、相手もかなり勇気づけられます。もちろん実際の行動となると大変な部分はありますが、そのような気持ちを伝えるだけでも慰め効果が非常にあります。
慰める方法⑥気遣いの言葉を掛ける
慰めと励ましがうまく行けば、相手も元気を取り戻すでしょうが、だからと言ってそれ以上励ましすぎるのも良くありません。一度にあまりに勇気づけるというのも考え物です。少しずつ気持ちの回復を待ってあげるのも配慮というものです。
その際には、気遣いの言葉を軽く掛けてあげましょう。「無理しないでね」とか「頑張りすぎなくていいよ」というような言葉です。恋愛関係にある男女でも、このような気遣いの言葉は優しく心に響きます。
慰める場合の注意点
いくつかの慰める方法を紹介しましたが、恋愛相手でも友達でも慰める際には注意すべきことがあります。その注意点をよく覚えておかないと慰めるつもりが逆効果になってしまう場合があるので、気を付けましょう。
注意点①他人の悪口を言わない
恋愛相手や友達が落ち込んでいる原因が、他人にある場合の注意点ですが、その他人の悪口を言わないようにしましょう。それは悪い奴だなどと言ってしまうと、かえって相手は気分を害するかもしれません。
というのも、たとえ落ち込んだ原因になっている人でも、本当は大切な人というケースがあるからです。一時的には何らかのもめごとが起きて、悩んでいても本当は大事な人であるという場合も多く、その人の悪口を言われると怒ってしまう場合があります。
注意点②タイミングが肝心
人を慰める場合、励ますという行為を伴うことが多いですが、その励ましの言葉を掛けるタイミングを間違わないようにしましょう。まずは相手の話を徹底的に聞いてあげることが肝心です。思いの丈を思いっきり吐き出させてしまうのです。
それを話を十分に聞かないうちに励ましの言葉でも掛けようものなら、相手は「私のことをわかっているの」と反発してくる場合があります。話をしっかり聞いてあげるというのも慰める重要パーツですから、その上での励ましとなります。
恋愛問題で悩んでいるのか仕事の苦労か人間関係のいざこざか、人が落ち込む原因はさまざまですが、その内容を十分理解してあげれば、適切な励ましの言葉が見つかります。励ますタイミングとともに励ます言葉自体もいいものが見つかれば、慰めるという行為がうまく行くでしょう。
「慰める」は悩みや苦しみを忘れさせるという意味
ここまで、「慰める」の意味、対義語・類語、例文、英語表記、方法、注意点などについてお伝えしました。恋愛相手や友達が落ち込んでいる時には慰める場合もあるでしょうが、その意味をしっかり理解し、適切な方法で行うことが重要です。