日本人全体の平均年収
普段生活しているとふと自分の年収は日本全体で見るとどれくらいなのか気になったことはありませんか。日本の平均年収は職業や雇用形態、年齢によって様々で、同じ職業でも国の経済状態によって平均値が変動する業種もある等、日本人の平均年収は常に推移しています。今の日本の平均年収は過去と比べるとどれくらいなのでしょうか。
この記事では日本人の平均年収と人それぞれの年収の格差、特に男女や雇用形態による違いについてご紹介します。
平均年収は約420万円
日本人の平均年収は約420万円と言われています。2016年時点で1年間勤務していた給与所得者の数は約4900万人で、その給与所得者の年収の平均値を算出した数値が420万円です。この数値はここ数年で一番良く、日本の平均年収は2008年のリーマン・ショックで一気に下がり、一番低い年では平均403万円まで落ち込んでいました。
年収中央値は360万円
日本の年収の中央値は約360万円とされています。正規雇用、非正規雇用、男女を含む全ての年齢の給与所得者の年収の中央値をとると約350万円~360万円になります。年齢が20代の年収中央値は約300万円で、50代だと年収中央値は約530万円になります。
勤務年数が長くなる程重要な役職やポストに就くことが多くなるので年齢が高くなるほど年収中央値が高くなる傾向があります。
この年収の中央値に一番近い年代は30代の年収の数値が一番近いです。30代は男性であれば働き盛りの年齢とも言われ、この年代での仕事ぶりが後の給与の上昇率に大きく関わってくる傾向が強いです。会社勤めだと30代から40代で役職に就くことが多く、年収額に一番影響を与えます。
平均値と中央値の違い
平均年収と年収中央値では約60万円の差があります。何故これ程差が出ているのでしょうか。平均値と中央値では数値の求め方が違うので同じデータを使って値を計算しても違う答えが出てきます。平均値は全ての数字を足して、その総数で割った数値のことを指します。飛び抜けて大きな数値がデータにある場合、それに応じて値が上がる性質があります。
例えば10人中9人が年収300万円で、残りの1人の年収が2000万円だとすると平均年収が470万円となってしまいます。なので自分の年収について考える時に平均年収を参考にするのは実は間違いです。
中央値が一般的な感覚に近い
中央値は、数値を小さい順か大きい順に並べてその真ん中に当たる数値のことを指します。平均値と違い中央値なら計算の中に飛び抜けて大きな数値があっても丁度真ん中の数値をとるので結果に影響を及ぼしにくいです。年収について考える時はこの中央値を参考にするのが良いでしょう。一般人の感覚ではこの中央値の年収が一番身近です。
日本人の年収の中央値は360万円です。年間のボーナス60万円がこの中に含まれていると仮定すると月に約24万円の手取りとなります。
消費税や保険等の上昇で使える分は少なくなっている
平均年収の金額は所得税や年金等を差し引いた手取りの金額を表しています。しかし近年では消費税増税や保険料の上昇が起こっているので平均年収と実際に使えるお金には少し差があります。日本の平均年収は年々増加傾向にありますが、一方で必要な支出の金額も年々上昇しているので平均年収が上がっているからと言って状態とは言いにくくなっています。
日本人男性の平均年収
日本では男性と女性で平均年収に大きな差があります。日本人男性の平均年収は約521万円と言われています。日本人男性の平均年収は20代から徐々に増えていき50代にピークを迎えてその後老後に向かって下がっていく傾向があります。男性では公務員等の会社勤めの人が多いので年々給与が上がっていき、定年退職を迎える頃が最も高い数値になります。
女性の平均年収と比べて男性の平均年収は高いです。特に30代頃から格差が大きく広がり、50代になると2倍程も差が出ます。しかし20代の頃であれば平均年収にほとんど差はありません。
平均年収は521万円
日本人男性の平均年収が521万円と高水準なのには理由があります。まず、日本の男性労働者は年齢や勤続年数が長くなる程昇給していく総合職の割合が高いのが理由です。公務員や会社勤めのサラリーマン等が代表的です。日本では終身雇用が一番良いという風潮があり、総合職への就職を希望する男性が圧倒的多数を占めています。
特に大手総合商社勤務での平均年収額は飛び抜けて高く、全体の平均値を押し上げている大きな要因となっています。なので男性の平均年収が521万円というのは自分の年収額の参考にするにはあまりに高すぎる数値となっています。
自分の年収がどれくらいなのかを考えるのであれば自分の年代の男性での年収中央値を参考にするのが一番適しています。
もう1つの理由として、結婚や出産を機に奥さんが仕事を辞めて夫の扶養下になるので家庭を支える収入を得なければならないケースが多いことが挙げられます。男性既婚者の場合、共働きでないなら自分が家庭の唯一の収入源なのでその分頑張って稼がなければなりません。そのため女性の平均年収が低い分男性の平均年収が高くなっています。
年収の中央値は457万円
国税庁が発表している民間給与実態統計によると、日本人男性の年収中央値は約457万円と発表されています。2017年の発表では正規社員の年収の中央値は約478万円、非正規社員の場合は約200万円です。大企業勤め、中小企業勤め、非正規雇用の年収を比べると、20代の間はそこまで差はありませんが年齢を重ねる程どんどん格差が出る傾向があります。
一番年収額が大きいのはやはり大企業勤めです。資産の多さや労働組合の強さの点から、安定して高い収入を得られやすく昇給額も一番高いです。近年では「終身雇用の時代は終わった」という声も多いですがまだまだ安定で高収入な職業であることには変わりありません。
男性の場合は30歳を境に業種毎で年収の格差が広がっていく傾向があります。一番年収の中央値が高いのは大企業勤めの50代前半です。
日本人女性の平均年収
日本人女性の平均年収は約280万円と言われています。男性の平均年収と比べておよそ2倍くらいの差が出ています。女性の場合、年代毎の年収額も20代で約250万円なのに対し50代では約320万円と大して差がありません。昨今の男女格差を無くすという声を多く耳にしますがまだまだ平等というには程遠いのが現状です。
平均年収は280万円
日本人女性の平均年収が280万円と、男性の平均年収よりも大きな差が出ているのにはいくつか理由があります。まず、先ほど説明したように男性は年々昇給していく総合職が多いのに対し、女性は給料の上がりにくい一般職の割合が高いのが理由の1つです。もう1つの理由は、女性は非正規雇用の労働者の割合も高いというのがあります。
女性の場合、結婚や出産を機に仕事を退職し、その後子供が大きくなったらアルバイトやパート勤めを始めるという人が多いです。この場合夫の仕事が主な収入源となり、扶養手当等の支給を受けるなら年収を103万円以内に抑える必要があります。
こういった理由から日本人女性の平均年収は男性よりも低い水準となっているのです。ただ、近年では働き方改革等により女性でも総合職の方が増えてきています。
年収の中央値は239万円
日本人女性の年収の中央値は約239万円とされています。中央値においても男性と2倍近い格差があります。この数値は正規雇用と非正規雇用の両方を合わせた数値です。別々に分けると、正規雇用の場合は約341万円で、パート等の非正規雇用の場合は約136万円です。非正規雇用の場合は夫の扶養内で働く人が多いため極端に数値が低くなっています。
近年では家にいながら仕事ができる「在宅ワーク」や「テレワーク」が都内を中心に普及し始めており、女性でも仕事と育児を両立出来るようになってきています。これからこの制度が普及していけば女性と男性の年収中央値の格差が縮んでいく可能性があります。
日本人の男女の収入に格差がある理由
日本では男性と女性で平均年収に大きな格差があります。何故こんなにも年収の額に差があるのでしょうか。男女平等が叫ばれている昨今ですが、実際にはまだまだ社会で女性が活躍する場面は少ないのが現状です。ここでは日本人の男性と女性で平均年収に格差がある理由を説明します。
男性は年齢で昇給する総合職が多い
男性の平均年収は勤続年数が長くなるにつれて昇給していく公務員や会社勤めの総合職の割合が高いです。日本では年功序列の風潮が強いということが平均年収にも表れています。男性会社員で一番稼げる年代は勤続年数も多く役職についている者も多い40代から50代とされています。
もちろん総合職以外にも専門職に就いている人や独立して会社を立ち上げた人等様々なので絶対にこれに当てはまるという訳ではありません。あくまで参考程度に留めておきましょう。近年ではIT資格系の職業が平均年収が高い職業ということで注目が集まっています。
女性の非正規の割合が高い
何故日本人女性の平均年収が低いのかと言うと、女性労働者の大半がパートやアルバイト等の非正規雇用の人であるからです。パートやアルバイトで働いている女性の過半数は既婚者であり、夫の扶養内で子育てをしながら働いている、というパターンが多いです。これが女性の平均年収を大幅に下げている一番の要因です。
女性は役職者の数が少ない
男性と女性の平均年収の差には、昇進による違いもあります。日本の会社は、課長や部長等の役職に就くと給与が上がりますが、日本の会社で役職に就いている女性の割合は全体の約7%ととても低いです。
そもそも昇進を望まない女性社員の人が多く、仕事と家庭の両立が難しかったり、周りに同姓の役職者がいなくて肩身が狭いという理由が過半数を占めています。役職に就くと多忙になるのでプライベートの時間が減ってしまうというのを女性はわかっているので既婚者の人等は特に辞退してしまうのです。
日本の平均年収推移
日本の平均年収は毎年少しずつ変化しています。日本人の年収は景気や日本全体の経済状態に大きく左右されやすく、2008年に起きたリーマン・ショックの時は翌年の平均年収が前年比で約5.5%も下がっています。ここでは日本の平均年収がどのように推移していっているのかを説明します。
日本の平均年収の推移を知ることによって今日本の景気がどれくらいなのかを知る指標にもなります。自分んの年収の参考にする時以外でも投資や経済の勉強の役に立つことでしょう。
ここ数年は徐々に回復している
2008年に起きたリーマン・ショックでは翌年に平均年収が一気に下がってしまいましたが、それ以降少しずつ回復しており2017年にはリーマン・ショックが起こる以前の水準にまで回復しました。対前年の伸び率も年々上昇しており、日本経済が良い方向に向かっているのが平均年収にも表れています。
一番高かった年は1997年
過去の日本の平均年収で一番平均年収が高かったのは1997年の465万円です。この1997年を境に徐々に平均年収が年々下に推移していき、2008年を境にガクンと落ちました。ここ数年で徐々に回復してはいますが最も高かった465万円の年と比べると伸びつつあるとはいえまだまだ好景気とは言いにくい状態です。
20年前は消費税もまだ5%の時代でした。現在では10%まで上がっていることを考えると平均年収が420万円であっても当時と比べると支出込みでの手取り額は更に少なくなっています。
平均年収の推移は景気が影響している
日本に限らず、世界のどこの国でも国民の平均年収の推移は大きな経済的出来事や関係性の強い国の景気の推移に左右されやすいです。2008年のリーマン・ショックは世界経済に大きな影響を与えました。先進国である日本もこの影響を強く受けることになり、結果として不景気に推移していき平均年収も下がってしまいました。
このように世界規模で大きな経済変動が起こるとそれにつられて平均年収も推移するという性質があるのです。しかしこれは好景気等、良い出来事が起こると平均年収も上がるということでもあります。金が関わっている以上経済と年収は強い結びつきがあります。
平均年収の推移と景気や経済成長の推移は常に似た動きをする傾向があります。なので現在の平均年収の推移を見ると景気が回復傾向にあるのが読み取れます。
日本人の平均年収は毎年回復傾向にある!
日本の平均年収は男性女性の年収格差等まだまだ問題もありますが、年々上昇傾向にあります。近年の働き方改革によりこれからどういった推移になるのかは不明瞭ですが、現在の日本の平均年収は世界のトップ20位内に入る程の高水準となっています。
勤続年数が物を言う総合職は特に安定して年収を上げやすいので転職するなら早めにすることをおすすめします。