自己破産の条件
自己破産には条件がいくつもあります。実際に自己破産を考えている方や、学んでおきたい方に自己破産の条件について細かく解説します。知っていれば実際に自己破産せざる負えない状況になっても、慌てずに対処することができます。注意点も説明しますので、ぜひこの機会に知識を頭に入れておきましょう。
自己破産は誰でも出来るわけではない
自己破産とは、裁判所ですべての債務を免除してもらう手続きのことです。許可されれば税金を除くすべての債務を支払わなくても良くなります。
ですが、この自己破産は誰にもできるというわけではありません。細かく条件があるように、自己破産をできる方とできない方に分かれています。
自己破産・2つの条件
自己破産には二つの条件があり、借金の支払いが不能の状態か免責不許可事由の二つです。二つの条件が揃ってはじめて自己破産をしても良いと認められます。
どちらか片方の審査が通ればいいというわけではなく、二つともの条件が認められる必要があります。条件のハードルが高いと思われる方もいますが、実際は申請した約96%の方が自己破産を認められています。
条件①借金の支払い不能状態
条件の一つめの借金支払い不能状態とは、破産手続きのことです。申し立てた人の費用を調べて借金が本当に支払えない状態なのかを確認します。
借金の支払いができないと認められ破産手続きの開始が決まれば破産者となりますが、これだけではまだ借金を背負ったままになります。
支払い能力のバランスで判断
支払い不能と認められるのはバランスで判断されます。通常のチェック項目は、借金の総額と内容と資産額と内容と収入と年齢や家族構成と生活費用などです。
ですが、生活保護を受給している方やシングルマザーの方なども100万円以下の借金があれば支払い不能と認められるケースがあります。
条件②免責不許可事由
条件の二つ目は、免責不許可事由です。支払いができないと認められ破産手続きの決定がされると、次に免責手続きに入ります。免責不許可事由に該当すれば正式に借金を残すことなく破産が認められます。
ですが、この免責不許可事由に該当しなければ破産手続きが認められても免責が得られません。免責不許可事由になってしまえば、自己破産したということにはなりますが借金は残ったままです。
自己破産前に確認
不誠実だと認識された人は、自己破産が認められません。かならず自己破産の手続きをする前に確認しておきましょう。
免責不許可事由に該当する行為は、財産を隠している人や詐欺行為をしている人などが主にあてはまります。自己破産を検討する前に、自分が免責不許可事由に該当していないかを確認しましょう。
自己破産・免責不許可事由を必ずチェック
ここでは、免責不許可事由についてもっと詳しく解説します。各項目を順番に読み、免責不許可事由に該当かチェックしていきましょう。
免責不許可事由になるのは6種類あります。ここでの注意点は、どれか一つに該当していれば裁判所独自の判断で免責を認めない限りは不許可になるので覚えておきましょう。
①財産の隠匿等
免責不許可事由になるのは財産の隠匿や損壊や債権者に利益のない処分や破産財団の価値を下げる行為があります。隠匿とは、そのままの意味で財産を隠してしまうことです。そして、財産の損壊とは財産を壊すということです。
ここからが少し難しくなりますが、債権者に利益のない処分とは債権者の配当金額を減らそうとする行為のことです。破産財団に属している財産を売った場合や、無料で提供したり安く交換したりした場合も債権者に利益のない処分とみなされます。
破産財団の価値を下げる行為とは、さきほど説明した債権者に利益のない処分以外で破産財団の価値を下げてしまう行為の事です。自動車や自動二輪は、車検を通さなければ状態が悪くなり物の価値が下がります。故意に価値を下げてしまっている場合は、破産財団の価値を下げている行為に値します。正当な理由がある場合は、免責不許可事由になりません。
②換金行為等
不正な債務負担や換金行為をした場合も、免責不許可事由に該当します。高い金利で借金をしたりクレジットカードなどで購入したものを他者に安く販売したりする換金行為は債務負担行為と呼ばれ免責不許可事由に値します。
債務負担行為を行うことで破産手続きの開始を遅くさせる目的があったと判断されてしまうので、遅くさせる目的がなかったとしても換金行為などは行わないようにしましょう。
③偏頗弁済
偏頗弁財をした場合も、免責不許可事由になります。偏頗弁済とは、自己破産をする前に友人や知人にのみ個人的に借りた費用を返すことです。また、仕事先で自己破産したという事実を知られないようにするため費用を返すことも偏頗弁済となります。
自己破産をすることをほかの債権者に伝え返済を止めているにも関わらず、身近な債権者にのみ返済するということは不公平だとみなされます。
破産法では、偏頗弁財が禁止されていますのでもし偏頗弁財をしてしまったときは免責不許可事由になる場合や詐欺破産罪となるので注意点として覚えておきましょう。
④ギャンブル・浪費による財産の減少
ギャンブルや過度な浪費による財産の減少も、免責不許可事由となります。パチンコのような賭博行為やショッピングによる過度な浪費行為では必ずではないのですが許可されません。必ずではないので例外も存在します。
裁量免責というものがあります。こちらは、裁判官が自ら判断して免責許可を下すことです。ギャンブルや浪費により自己破産をする方もいるでしょう。
自己破産は、多重債務者の救済や更生を目的とし設置された制度なので本人に反省の姿が見られるようであれば裁判官は免責許可をだします。
⑤詐欺的な借り入れ
自己破産を申請した場合、前年1年間以内に自分には資産があると見せかける行為をした場合は免責不許可事由となります。
実際ならばお金を借りられない状況にいる中、自分の収入や個人情報を偽って生活費用を借り返済ができなくなっていた場合に免責不許可事由となりますので、申請をする場合は1年内にそのようなことを行っていないか確認しましょう。
⑥その他
自己破産を申し立てする場合は、書類の破棄改ざんや過去に自己破産してから7年未満も免責不許可事由に該当します。
そのほかにも、該当する項目はありますが今回はこの2つがどのような意味なのかと注意点について簡単に説明します。
書類の破棄改ざん
自己破産の手続きをする際には、確定申告書や通帳や過去の給与明細などの財産に関係する書類のすべての提出を求められます。この時に、故意に財産の改善をしたり破棄したりした場合は免責不許可事由になる行為とみなされますので注意しましょう。あまりないでしょうが、万が一のこともあるので覚えておきましょう。
自己破産してから7年未満
自己破産をしてから7年未満の場合も、再度自己破産をすることはできないので注意しておきましょう。特に、ギャンブルや過度の浪費によって裁判官に面再許可が認められた方は反省がみえるという理由もあるので、7年未満に再度借金をし自己破産をしたいと申請しても反省していないと判断され免責不許可となるでしょう。
自己破産・こんな条件でも免責は得られる?
自己破産の条件をいくつかご紹介しましたが、上記に書いていないことで免責の許可は得られるのか気になる方もいるでしょう。自己破産を申し立てしたい方の理由は様々で、家庭の状況下も個々も変わります。生活保護を受けている際や奨学金についても注意点と一緒にしっかりと説明しますのでこの機会に覚えておきましょう。
①生活保護受給中でも申立可能?
まずは、生活保護を受給している最中でも申し立ては可能なのかですがこちらは可能です。そして、自己破産をした後も生活保護の受給という逆の場合も可能となります。
両方とも審査には関係ない制度となっているため、申し立ての最中でも生活保護の受給は可能になります。一番してはいけないことは生活保護費用を借金の返済に充てることです。これをした場合は、生活保護自体が受けられなくなりますので注意しましょう。
②奨学金が払えなくて自己破産
奨学金が払えなった場合にも、自己破産はできますがここでの注意点はリスクがついてくることです。奨学金を借りた本人が自己破産をした場合は、保証人が引継ぎで奨学金を返済する形となります。
多くの方の保証人は親でしょう。親にも奨学金の残額を支払えるほどの費用がない場合は、所持している自動車や不動産の売り返済することを検討しなければなりません。
③働けなくなり自己破産
借金の返済をしていたときに、突然の病気や事故という何らかの理由で働けなくなった方もいるでしょう。その場合にも自己破産はできます。
手続きをする中で裁判所が重視しているのは、本人が支払える状況の中にいるのかいないのかということなので破産手続きや免責不許可事由に該当していない場合は自己破産が認められます。
④恋人にお金を使った
恋人に多額の費用を投資し借金してしまったかたもいるでしょう。こちらは浪費と同じなので免責不許可事由に該当する場合もあります。
ですが、裁判所の判断基準が正確には分からないので多くの場合は免責不許可事由にはなりません。ここでの注意点は、キャバクラやホストに行き借金をしてしまったときは浪費と判断されることがあることです。
恋人に貸していた費用が、キャバクラなどに使われていると知っているのなら一度弁護士に相談しましょう。
⑤公共料金費用を滞納
公共料金滞納していた場合ですが、こちらは免責許可と同時に滞納していた分の支払い義務が全てなくなります。ですが、注意点が1つだけあります。水道は上水道と下水道がありますが、地方自治体が管轄している下水道の滞納分は非免責となりますので注意しておきましょう。
自己破産の注意点
自宅の立ち退きや、今後の生活についても気になる方は多いでしょう。ですので、自己破産をするときの最大の注意点をご紹介します。免責不許可事由に該当する項目の注意点をご紹介しましたが、ここでは申し立て途中の注意点や自己破産をした際の注意点についてご説明します。
①手続き中の生活
手続き中の生活についてですが、裁判所側の指示に従っていれば特に制限はありません。ですが、財産を隠したり手続きに必要な書類の提出を拒むと自己破産に失敗する可能性が高まります。
もちろん、手続き中に借り入れもしてはいけません。直前に不動産の名義を移転することも、財産を隠しているとみなされてしまいますので注意しておきましょう。
②自宅の立ち退き・売却
自己破産をした後は、20万円以上かかっている自動車や自宅はをち退いたり売却しなければなりません。自己破産を検討するときにすべてなくなるのでそちらも頭に入れておきましょう。ですが、所有しているすべての財産が無くなるというわけではありませんので自己破産後路頭に迷う人はいないでしょう。
③自己破産後にも残る債務がある
自己破産をした後の注意点は、支払いを続けなければならない費用も残ることです。キャッシングやカードローンについては自己破産の対象となりますが、税金や損害賠償などは自己破産の対象とはなりません。交通違反での罰金も、対象とはなりませんので注意しましょう。
さらに、経営をしている際に自己破産した方は雇っている従業員の請求権もなくすことができません。
自己破産にはメリットもある
免責不許可事由に該当したりと自己破産には注意点が多くあり、しないほうが良いのではと思う方もいるでしょう。ですが、自己破産にはメリットもあります。無理にする必要はありませんが、もし借金の返済に本当に困っているの状況ならば、自分でストレスを過剰に抱えてしまう前に自己破産をしたほうが良いでしょう。
借金の返済生活から解放される
自己破産は、多少の債務は残りますが背負っている多額の借金をなくすことが出来ます。返済の生活から解放されとりあえずは一息つけるでしょう。今後は1からのスタートなので苦労することもあるでしょうが、高額の返済はなくなっているので生活しやすくなるでしょう。
借金が理由で、精神的なストレスを抱えてしまう方も少なくありません。原因は様々ですが、ストレスを抱えてしまう前に自分に最善の方法を考えましょう。
生活に必要なものは手元に残せる
先ほども説明していますが、自己破産しても生活に必要なものや費用はある程度手元に残せます。費用に関しては、99万円を手元に残すことが出来ます。
今では生活するうえで必要なスマートフォンも、延滞料金がなく本体代の支払いが済んでいる状態であれば自己破産後も使用することが可能です。
自己破産は、借金で窮地に立たされた方を救済するために設置されているのですべてが奪われることは絶対ないので安心しましょう。
債務者の家族には影響しない
自己破産した本人が、一番気になる項目でしょう。自己破産したのは債務者のみなので、家族や身内には絶対に影響はありません。会社側には知られることもありますが、事前に話していればおおやけにしない会社も多いでしょう。
現代はSNSという便利なものがありますが、同時に怖いものでもあります。自己破産をしたと親しくしている友人に話してしまい、何らかの理由で広まってしまうほうが家族に影響を及ぼすので安易に話さないようにしましょう。
自己破産検討中には条件を必ずチェックしよう
今回は自己破産についてご紹介しましたが、あくまで自己破産は最終手段となります。他の方法で返済できる可能性もあるのでもっと良く知りたい方は弁護士の方に相談しましょう。そして、現在自己破産を県庁中の方は必ず注意点や条件を忘れずにチェックしていきましょう。