じゃがいも栽培の病気対策を押さえよう
じゃがいもを栽培するには病気対策が必要です。病気の種類をしっかりと把握し、病気を起こさないための対策が必要です。もし病気が起こってしまっても、対応方法を知っておくと他の健全なじゃがいもの株を救うことができます。
病気対策は、じゃがいもを収穫するためには避けては通れない道なのです。自分で育てたじゃがいもには愛着が湧いてきます。大事なじゃがいもが病気にならないように万全な対策を施しましょう。
じゃがいもの栽培のポイント
じゃがいもを栽培する上で、押さえておくべきポイントがあります。植え付けをおこない、収穫までには乗り越えなけらばならないことが沢山あります。じゃがいもを無事に収穫するためにどのようなことに気を付け、注意対策をすればよいのか説明をします。
種いもから3ヶ月くらいで収穫
じゃがいもは種いもから栽培すると約3ヶ月で収穫が可能です。じゃがいもの種類や季節、栽培をおこなう地域の気候によって収穫時期に多少のズレは生じます。
葉っぱの状態が7割くらい黄色くなってきたら収穫の合図です。収穫する際は、晴れが続き土壌が乾いているときにおこなってください。雨の日に収穫してしまうとじゃがいもが腐ってしまう可能性があるからです。
基本的に育てやすい
じゃがいもは他の野菜と比べても、比較的育てやすい野菜の種類になります。寒さにも強くプランターでも地植えでも手軽に栽培できるからです。
じゃがいもと一言でいっても色々な種類があります。様々な料理で活躍できるのがじゃがいもです。料理のレシピによって使い分けするために、じゃがいもの種類も分けて栽培してみてはいかがでしょうか。
春植えは特に病気に注意
じゃがいも栽培は春と秋の2回、植え付けの時期があります。春の場合は3月から4月になり、秋は8月下旬から9月の植え付けとなります。
春に植え付けをする場合は特に病気に注意する必要があります。春に植え付けをすると7月から8月に収穫が見込めますが、梅雨を挟むのでそうか病などの病気や虫による害虫被害を引き起こす可能性があるからです。病気の種類や虫の種類もしっかり把握し、春栽培に備えなければいけません。
病気対策とともに害虫対策もしよう
じゃがいも栽培には病気対策と共に、害虫対策も重要です。病気対策と害虫対策はセットで考えるようにしましょう。なぜなら害虫被害はじゃがいもに病気を引き起こしてしまうトリガーとなるためです。
じゃがいもの害虫は種類も分かれるので、それぞれに合った対策が必要になります。じゃがいもの病気は複合的に発生します。病気の種類によって疑うべきポイントも変わりますので、病気と害虫は表裏一体という考えで対策していきましょう。
じゃがいもの病気を見抜くポイント
じゃがいもの病気を発見するにはいくつかのポイントがあります。病気を発見するためには、じゃがいものどの部分を見るべきかを紹介していきます。
観察力が上がれば、病気を早期に見抜くことに繋がります。病気を発見できれば被害を最小限に抑えることになるので、じゃがいも栽培において重要な項目になります。
葉っぱや茎などに斑点が出る
じゃがいもの葉っぱや茎などに斑点が出ている場合は、病気に感染している可能性があります。なにも手を打たず放っておくと、斑点の生じた葉っぱから茎へ移り最後には苗全体に及んで枯れてしまいます。
じゃがいも栽培において葉っぱや茎の観察は非常に重要視してください。斑点を探すとき葉っぱは表面だけではなく、裏面もしっかり見るようにしましょう。
表に斑点がなくとも裏面にある場合もあり、虫の卵なども発見できるからです。卵の状態であれば、害虫被害や病気に繋がる不安要素に先手を打つことが出来ます。
ちゃんと育てているのに枯れてくる
じゃがいもをちゃんと育てているのに枯れてきた場合、害虫による食害の疑いがあります。じゃがいもにつきやすい虫にはいくつかの種類があります。特に大きな害虫被害を及ぼすのがアブラムシです。
アブラムシは針で茎を刺して吸う吸汁タイプの害虫で、繁殖力が強いため、数が揃ってしまうとじゃがいもはどんどん弱っていき枯れてしまいます。ちゃんと育てているのに枯れてしまう場合には、アブラムシなどによる害虫被害の可能性を疑いましょう。
じゃがいもの主な病気の種類と症状
じゃがいもの栽培において、かかってしまう可能性がある病気があります。病気の種類によってじゃがいもに現れる症状が異なります。どのような病気の種類があり、どのような症状が生じてしまうのか説明していきます。
病気の種類や症状を事前に知っておくと、じゃがいもの状態が健全かどうかを判断することができます。初期症状を発見できれば病気への対処も早くおこなうことができ、病気の広がりを抑えることにも繋がります。
モザイク病
じゃがいもがかかる病気で、モザイク病という病気があります。じゃがいもがモザイク病にかかると、徐々に葉っぱ表面と茎部分の色が抜けてきます。その後、じゃがいもの葉っぱに黒い斑点が現れてまだら模様になります。まだら模様がモザイク柄になることから名付けられた病気です。
モザイク病の原因
モザイク病はウィルスによって引き起こされる病気です。別名ウィルス病とも呼ばれており、じゃがいもが感染してしまうと、病気にかかってしまった部分は薬剤を使用しても治すことはできません。
モザイク病の感染経路は3つ考えられます。1つはアブラムシやコナジラミ、アザミウマといった虫による媒介感染です。2つ目は収穫に使用したハサミに付いたウィルスや、人の手に付いたウィルスによる感染です。3つ目は栽培に使用した種いも自体がウィルスに侵されていた可能性になります。
夏疫病
夏疫病と呼ばれるじゃがいもがかかってしまう病気があります。読み方は「なつえきびょう」になります。じゃがいもが夏疫病にかかると、葉っぱの表面部分に茶色や黒の斑点が現れます。
高温多湿の時期に発生しやすく、葉っぱの裏側にも斑点が現れ黒いカビが生じます。じゃがいもの生育が進むにつれて発病しやすくなる病気です。
夏疫病の原因
夏疫病の原因はカビになります。じゃがいも栽培に使用している土壌中に、病原体に感染した植物があると感染源になる可能性があります。夏疫病は高温多湿時期に起きやすい病気です。発芽した菌糸が雨水や水滴によって葉っぱの気功部や表皮から侵入し病気に至ります。
感染してしまった葉っぱから新たに菌糸が生まれ、新たな伝染源となりどんどん広がっていきます。最初は下葉に斑点が生じますが、広がってしまうと茎や根にも発症してしまう可能性があります。
肥料の窒素過多でも夏疫病が発生してしまいます。気温が高い日の夕立などが起こると、暖かい雨で肥料が溶け出してしまい、肥料の効き過ぎになってしまうからです。じゃがいもに与える肥料の量にも気を付ける必要があります。
軟腐病
じゃがいもがかかる可能性がある病気に、軟腐病と呼ばれるものがあります。読み方は「なんぷびょう」になります。まず葉っぱから発症し、茎部にどんどん移っていきます。高温多湿時に発生してしまうと症状の広がりがとても早く腐敗が進みます。
じゃがいも部分が軟腐病に侵されてしまうと、初期症状としてじゃがいも表面に赤褐色の斑点が生じていきます。症状が出ている部分が柔らかくなっていき、腐敗が進んでいきます。腐敗が進むと黒褐色の斑点が生じて内部がスポンジ状になります。その後、強烈な腐臭を放ち始めてしまいます。
軟腐病の怖いところは、栽培中のじゃがいもだけではなく、収穫し貯蔵しているじゃがいもにも発生する病気であることです。発生してしまうと健全なじゃがいもにも次々に感染してしまいます。
軟腐病の原因
軟腐病の原因は、土壌や種いもに生息する軟腐病細菌になります。傷ついてしまった根から土壌中の軟腐病細菌が入ってしまうと発生してしまいます。
また茎がアブラムシなどの害虫被害にあってしまうと、その部分より発生する場合もあります。汚染された農具を使用しても感染させてしまう可能性があります。
収穫されたじゃがいもから発生してしまうケースもあります。空中を浮遊している軟腐病細菌が原因であったり、種いも由来の場合や、葉っぱや茎の汚染から発生など汚染経路は多数考えられます。
乾腐病
じゃがいもが感染する病気に乾腐病が挙げられます。読み方は「かんぷびょう」になります。じゃがいもが乾腐病にかかってしまうと、じゃがいも自体が褐色を帯びてきて、しわが生じ乾燥してしまいます。表面にはカビが発生し、じゃがいもの内部は空洞化していき淡紅色のカビが生じます。
乾腐病の原因
乾腐病は主にフザリウム属菌というカビによって発生します。フザリウム属菌は土中に存在していて、収穫の際に付いてしまった傷や、輸送中の振動でついた傷に付着し病気が発生してしまいます。
貯蔵しているじゃがいもの中に発病してしまったものがあると、健全なじゃがいもに感染してしまう可能性が高いです。貯蔵中の環境が高温多湿だった場合には、乾腐病の進行が早まってしまいます。反対に低温貯蔵の場合には進行が抑えられる傾向にあります。
青枯病
じゃがいもがかかってしまう病気で青枯病があります。読み方は「あおがれびょう」です。じゃがいもが青枯病になると、葉っぱや茎が青いまま萎れてきます。
やがて葉っぱ全体が褐色から黄色に変色していき枯れていきます。茎の根元部分を切断し水に浸けると、乳白色の菌泥と呼ばれる粒子が出るのが特徴です。
青枯病の原因
青枯病の原因は、土壌に潜む細菌(ラルストニア・ソラナケアルム)です。根に付いた傷などから侵入し増殖が始まります。青枯病に感染したじゃがいもの根から、周囲の根にも感染が広がってしまう可能性があります。
また、土壌に生息するセンチュウやコガネムシによる食害があると、傷口から感染してしまう場合もあります。
この細菌は地中の温度が25度から30度の高温になると活動が活発になります。土壌に水分が多いと数年生存することも可能な性質を持っています。反対に乾燥した土壌では数日しか生存できません。
そうか病
じゃがいもがかかってしまう病気でそうか病という病気があります。じゃがいもがそうか病にかかってしまうと、じゃがいもの表面に立体的な症状が現れます。皮がめくり上がったようなかさぶた型になったり、隆起型や陥没型などになります。根の部分が褐色してしまう症状も引き起こすこともあります。
そうか病には、症状が酷似した亀の甲症や粉状そうか病があります。病原体や発生した環境により異なるため、判別するのが難しい場合があります。亀の甲症は表面に斑紋ができ陥没や隆起が見られないのが特徴です。粉状そうか病は、斑紋が小さく紫色に変色するのが特徴になります。
そうか病の原因
そうか病はじゃがいもが発症する代表的な病気です。そうか病の原因は、土壌中のストレプトマイセス属菌という細菌になります。土壌の温度が20度以上で、ペーハー値が6.5以上の乾燥したアルカリ土壌で多発します。
そうか病は、同じ土壌でじゃがいもなどの根菜類を連作することにより発生を誘発します。未熟堆肥を土に深くすき込んでしまうことにより発生する場合もあります。
この細菌は生存力が強いため、量販店で販売しているじゃがいもで栽培しても起こる場合もあります。栽培する際は、種いも用で用意した健全なじゃがいもを使用した方が良いです。
じゃがいもが病気になるのを防ぐ方法
じゃがいもを栽培してより多くの収穫を見込むには、かかる可能性がある病気を防ぐことです。ではどのように防げばよいのか、具体的な対策方法と選択すべきじゃがいもの品種などを説明していきます。栽培する前にどのような手段を講じるべきか、発生したり発見した場合の対応方法が分かります。
害虫からの感染を防ぐ
じゃがいもを栽培するには害虫からの感染を防がなければなりません。じゃがいもの害虫被害で代表的なのが、アブラムシやヨトウムシ、テントウムシダマシになります。これらの害虫が葉っぱや茎、塊根部を食べてしまった傷口から感染をしてしまいます。
アブラムシ対策
アブラムシは繁殖力が非常に強く、あっという間に増えてしまうので発生初期にしっかり駆除していきましょう。多くの種類の薬剤が効果的ですが、牛乳と水を1対1で割って直接吹きかけるやり方も効果があります。
この方法ですとアブラムシを窒息させることができ、水で洗い流すと綺麗に駆除することができます。もしアブラムシが発見されたら、健全な株を救うために土壌をビニールなどで覆うマルチングもおこなってください。被害を最小限に抑え、アブラムシの被害を広げないためにも必要です。
ヨトウムシ対策
ヨトウムシは夜間に出てきてじゃがいもを食い荒らします。集団で食害をもたらす厄介な害虫です。葉っぱの裏側に卵を産み付けるので、普段から葉っぱの裏側を観察するようにしましょう。見つけたら葉っぱごと処分してください。被害は出ているのに見つからない場合は、土壌の中を確認してください。
テントウムシダマシ対策
テントウムシダマシは背中に20個ほどの星型のマークがある虫です。テントウムシはアブラムシを食べてくれますが、この虫は食べてくれません。
幼虫も成虫どちらも葉っぱの裏側を住処として食害を及ぼします。見つけた場合は必ず駆除するようにしましょう。薬剤を使用するのも効果的ですが、ハチなどの昆虫が幼虫を捕食してくれるので自然の力も利用してください。
薬品を活用する
じゃがいもの病気を防ぐために薬品を使用することが効果的です。特に栽培する前の土壌殺菌剤の活用が重要です。なぜなら土壌中には様々な悪さをする細菌が存在しているからです。土壌内には休眠中の細菌も潜んでいるので、この細菌を眠らせておくために発芽抑制専用の薬品も効果的です。
使用する種いもについても注意が必要です。病気を防ぐためにも種いもは、種いも専用で販売しているものを使用してください。農林水産省の検査を通過した品質保証された種いもだからです。
種いもを切り分けて使用する場合には、断面に草木灰をつけて殺菌保護を施すと良いでしょう。根の成長促進と腐敗防止に繋がるからです。
強い品種を選ぶ
じゃがいもには様々な品種が存在しています。皮が黄色いタイプでは男爵いもやメークイン、キタアカリなどがあります。皮が赤や紫色のタイプでは、シャドークイーンやアンデスレッド、ベニアカリなどが挙げられます。
この中でも病気に強く収穫量が見込めて、初心者でも栽培しやすいのがキタアカリです。キタアカリはホクホク系じゃがいもの代表的な品種で、甘味が強いのが特徴です。黄色みと甘みが強いので別名、栗じゃがいもと呼ばれています。
じゃがいもは病気を予防しながら栽培しよう!
じゃがいもを栽培し、収穫を得るためには病気の予防が重要です。じゃがいもには葉っぱに斑点が生じてしまったり、害虫による被害、そうか病などの病気にかかってしまう可能性があります。
これらの病気の予防には土壌の整備と日々の観察が不可欠です。適切な土壌で栽培すればじゃがいもの病気を防ぐことができます。もし起こってしまっても対処法を事前に知っておけば、被害を最小限に食い止めることが可能です。見込んだ収穫量を達成するべく予防に努め栽培していきましょう。